宇宙警備隊長・冴子   作:EF12 1

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新たな動きあれこれ

 

  ――地球防衛艦隊臨時総旗艦『エチゴ』――

 

“ピーッ!”

 

土方と参謀達が打ち合わせをしている執務室に、艦橋から通信が入った。

応対に出る副官に通信長が告げた。

 

「第13戦隊の嶋津艦長から総司令宛の通信が入っております」

 

副官は内心で舌打ちした。彼と嶋津冴子は訓練生時代、先輩後輩の間柄だが、反りが合わなかった。

 

嶋津が悪い人間でないのは確かだが、とかく暴走気味の上、彼が風紀委員をしていた当時、寮の門限破りはもとより、寮内持込禁止の有害図書=――成人図書、特にBLもの、あるいは極右・極左主義やアナーキズム関連の思想書やカルト関連の本、各国の軍が冒した過去の不祥事関連の本や媒体を持ち込んでは、仲間内で回し読みしているという噂が絶えなかった。

 

にも関わらず、どう立ち回ったのか、ついに尻尾を掴む事ができなかった。 その時のしれっとしたツラを思い出すと今でも腹が立つが、任務に私情を介入するほど愚かになるつもりはない。

土方を振り返って通信を繋ぐか確認する。

 

「繋げ」

 

ほどなく、壁面のモニターに映し出された嶋津が敬礼する。

土方や参謀達も立ち上がり答礼するや、TF13側の報告が始まった。

 

『監視衛星21・22号は所定の座標に設置完了、動作確認済みです』

「ご苦労。本部でも正常に運用に入っている」

 

TF13は出発に際し、太陽系外縁部北極軸付近への外周監視衛星の設置を命じられ、『ヤマト』『オシマ』に衛星を搭載して出発しており、所定のポイントで衛星を解放した後、太陽系外に進出。

最初の外宇宙ワープで、イスカンダル回廊と名付けた、かつて『ヤマト』が辿ったルートに入ったところだ。

 

「リアルタイムでの通信もしばらくは難しくなるだろう。取り敢えず、現在の状況を伝える」

 

参謀長のサー・ウィリアム・ホランド中将が代わって現状を説明する。

 

現状では、天の川銀河外縁部に行ったら、タキオン通信でもリアルタイムでの交信はできなくなる。

 

 

――イスカンダル救援への助力を要請してきたデスラーは、長距離ワープ技術だけを提供したわけではなかった。

 

かつての地球移民戦争の際、ガミラス本星と冥王星基地、更に地球の情報収集のために設置した“デスラーズ・ザーチ・ウンド・ネット”を、地球連邦政府に無償で引き渡す旨を持ち掛けてきたのだ。太陽系内からサンザー星系まで設置した通信衛星の座標と管理パスワードも含めて。

 

技術本部で解析するとともに、送られてきた座標に護衛艦と工作艦を派遣したところ、確かに衛星が存在し、接収とシステム掌握に成功した。

連邦政府がガミラスに対する態度をいくらか軟化させたのも、デスラーからの情報に偽りがなかったからだ。

 

「――太陽系内の情報収集・通信システムは順次接収しつつあるので、君達には、帰路にイスカンダル回廊沿いの通信衛星を、可能な限り接収・掌握してもらいたい」

『わかりました』

 

ホランドの現状報告はなお続き、白色彗星帝国残党の捜索状況、地球側艦船の就役状況等がもたらされた。

その中で注目すべきなのは

 

①『アンドロメダ』の復帰。

 

②同級5番艦の『マルス』の設計が大幅に変更され、人類史上最大の戦艦として近日中に起工する。

 

③ガミラス戦で全壊を免れた旧アメリカ合衆国の地球脱出艦『アリゾナ』が、アンドロメダ級等の設計を導入し、外・深宇宙戦艦として建造が再開される。

 

④軍は、次世代主力艦の具体化に動いており、戦艦についてはコンペ方式をとり、各自治州に打診する。

但し北米州は『アリゾナ』をもってコンペ対象艦とする由。

 

次世代艦の設計はこれから着手するが、それまでの間は現行形艦船をマイナーチェンジして建造する一方、本格的な無人制御艦の建造にも着手する事は聞いていたが、こうも早く路線変更するとは――。

 

やはりガミラスとガトランティス帝国との戦闘で、太陽系以外の恒星系にも人類を進出させる必要性が高まったと見るべきだろう。

 

となれば、今回のイスカンダル救援作戦は、標準形艦船における長距離長期間の作戦行動のノウハウを蓄積することにも繋がろう。

 

通信を終えた嶋津は、そのまま艦長会議に入った。

 

「当面の行動予定は、バラン星経由でイスカンダルに向かうことを第1とするが、この座標にあるデスラーの手土産は我々のワープ明け予定座標が近い。こいつは是非とも掌握すべきだと思うが、どうだろうか?」

『異存ありません』

『賛成です』

『異議なしです』

『賛成します』

『賛成よ』

 

――デスラーの手土産は大いに興味をそそられる対象だが、優先すべきなのは親友夫妻(あるいは一家)を救うことなのだから。

 

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