明久side
「ドアと壁をうまく使うんじゃ!戦線を拡大させるでないぞ!」
秀吉の指示が飛ぶ。9時になったためBクラス前から進軍を開始した。今回はBクラスを教室内に閉じ込めるのが目的だ。ただ姫路さんが戦線に参加しない。やはり昨日、何か盗られてしまったのだろう。
『後方出入り口押されている。だれか援軍を!!』
『姫路さん、後方を頼む!』
「あ、そ、その…」
姫路さんはオロオロするばかりで召喚をしようとしない。
やっぱり何かしら盗られているのだろう。
『くっ、それなら比那名居!頼む!』
「分かっ……」
「いや、天子は休んでて!僕が行く!
僕は一応天子の代わりに後方へと向かう。あいつの盗られてる物からして動けないことはないけど、万が一の時のために天子の動きは制限しておきたいのだ。
「さて、ちょっと技ってものを見せてあげようかな?」
戦技 ー
僕のある能力(というよりも特技)、そして操作技術を駆使して超連続早撃で銃弾の雨を浴びせかける。
『なっ!?早……』
ふむ……戦果としては二人戦死にして残りも虫の息か……。これなら一旦下がれるな。
「ごめん、ちょっと僕は下がるよ!その間の指揮は須川君お願い!」
『お、おう!』
(あと天子は本当にヤバイと思った時に出て!それまでは待機)
(了解よ)
そんな会話とアイコンタクトで指示を出すと僕は教室に向かった。
「雄二、話がある!」
「どうした明久?」
教室に戻ると戦況をノートにまとめている雄二が気だるそうに聞いてくる。
「姫路さんをしばらく前線から離して!」
「無理だ。姫路にはやってもらうべきことがあるからな」
「それは僕がやっとくから!」
「ほう……そこまで言うならやって貰おうか」
雄二は僕を見定めるように見てからそう言う。
「俺が指示するタイミングで奇襲を仕掛けろ。どんな方法でも構わん」
「分かった」
「絶対に失敗するなよ。これがうちのクラスの生命線だ」
「任せなって!」
僕はそう言って教室を出ると前線へと向かった。
「はっ!それで終わりか?Fクラス代表!」
「ほざいてろ。それよりも汗まみれだな、根本。お前こそ焦ってるんじゃないのか?」
「なわけねえだろうが!お前ら、攻めたてろ!あと窓を開けておけ!」
あの後天子と軽い打ち合わせをしてから前線に戻ると雄二率いるFクラス本陣がいた。
「お、明久。やっときたのか。ビビって逃げ出したのかと思ったぞ」
「そんな訳ないでしょ。それで、奇襲っていつなの?」
そして僕は軽口を雄二に叩きながら質問する。
「行けるんなら今すぐにでも行ってもらう」
「じゃあ今から行くよ」
「おう。……お前ら!一旦下がって立て直すぞ!」
「逃がすな!ここで討ち取れ!」
そう言って雄二たちは下がり、Bクラスは追い討ちをかけようとする。
「吉井明久、Bクラスに勝負を挑みます!
『舐めんなやあっ!』
『返り討ちにしろ!』
『『『『
そうして僕とBクラスの前線部隊8人が一斉に召喚する。科目は前線で使われていた現代文だ。
現代文
『2ーF 吉井明久 279点』
VS
『2ーB モブ×8 平均190点』
『くっ、数で押せ!』
そう点数を見た一人が指示を飛ばしてくる。
「そっちが数で来るならこっちは技で対抗するまで!」
戦技 ー
斬撃と銃弾を一斉に放ち、距離に関わらずに敵に攻撃を当てて討ち取る。
『『『『なっ……!?』』』』
討ち漏らしは一人、これなら一対一で瞬殺できる!
「ほっ!はっ!」
『なっ!?』
足払いをして倒してから、ガンブレードを突き刺してトドメを刺す。
「くっ!てめえら、吉井を討ち取れ!」
根本君はそう言って残ってる部隊をこちらに向かわせてくる。
これで根本君の周りが空いた!
ダン!
そんな音が鳴り、開けられた窓からムッツリーニと体育教師の大島先生が入ってくる。
「なっ!?窓からだと!?」
「……土屋康太、Bクラス代表の根本恭二に保健体育で……」
「甘いんだよ!近衛部隊!」
『『『『その勝負、俺たちが受ける!
「なんだとっ!?」
「……くっ」
しかしカーテンの後ろに隠れていた近衛部隊にムッツリーニの攻撃は阻まれてしまう。
「ちっ、万事休すか……お前ら!明久とムッツリーニを回収して「ムッツリーニ、そこで近衛部隊引きつけといて!」な、おい明久!?」
雄二が指示を飛ばしてくるが、僕はそれを無視するような指示を出す。
「天子、上がれ!」
「了解!」
さらにここで温存しておいた戦力……天子を突入させる。前線から教室内へと入ったことで科目は現代文から古典へと変わっている。古典は僕の苦手科目だ。だけど……
「比那名居天子、行きます!
古典
『2ーF 吉井明久 212点』
『2ーF 比那名居天子 496点』
VS
『2ーB モブ×10 平均200点』
古典は天子の得意科目の一つだ。500点近い点数をキープしている科目のうちの一つである。
さらに天子と姫路さんは参加できないと聞かされていたのか驚きが大きい。
『『『『なっ!?』』』』
「驚いてる暇はないわよ?腕輪発動!」
「よっ」
そして天子は自身の腕輪の力を発動し、僕は召喚獣をジャンプさせる。天子の腕輪の能力は『地震』。40点消費してフィールドに地震を起こして床に足をつけている召喚獣全員にダメージを与えるのだ。そう、敵味方、そして……
『2ーF 吉井明久 212点』
『2ーF 比那名居天子 407点』
VS
『2ーB モブ×10 平均130点』
自分の召喚獣にさえも!
てか天子さん?あなたこれ自虐ですよね?
ま、いいか。僕のやることは地震で倒れていて、点数を減らしている召喚獣にトドメを刺すこと!
戦技 ー
空中から放たれる超早撃の弾丸が相手を撃ち抜き続け、戦死に至らせるまでのダメージを与える。
『2ーB モブ×10 DEAD』
『嘘……だろ?』
『一瞬で10人を……』
さて、後の戦力でまともに戦えるのは近衛部隊だけだがムッツリーニと戦闘中で手が離せない。他は補充中でほとんど点数がないだろう
「さて、根本君。残りは君だけのようだね」
「覚悟はできているのかしら?」
「な、ぐっ……」
そして僕たちは残ってる根本君に詰め寄る。
「くっ、こうなったら……。比那名居、これを見ろ!」
「なっ、それは……」
そう言って根本君が近くの机の中から取り出してカッターを突き付ける。それは僕の秘蔵コレクションであった。ケースも南京錠もついてるから取り出した形跡はないのだろう。
「これが何かわかるよなあ、比那名居?何が入ってるか分からんがここまで厳重なんだ。大切なものなんだろ?」
いや、どっちかっていうと僕の大切なものなんだけど……
てか焦ってるのかどうか分からないけどバカだなあ……
「これを返して欲しかったらお前が吉井を討ち取れ!そうすれば……」
『根本君、それはどういうことですか?』
「…………あ」
当然フィールドが張られてるから近くに先生がいるっていうのにさ……
『根本君、まさかそれを盗んだというわけではありませんよね?最悪停学になることを分かってるのですか?』
「えと、いや、それは……」
「策士策に溺れるとはこのことね……」
「いや、違うと思うよ?」
まあともかくこれでもう脅しはできないだろう。なら気を取り直して……
「じゃあ改めてFクラス吉井明久」
「同じく比那名居天子」
「「Bクラス代表根本恭二に勝負を挑みます。
僕と天子は声を揃えて召喚獣を呼び出す。もう召喚を終えているのでこのまま召喚しなかったり、逃げたりしたら根本君の負けでこの試召戦争は終わり。
そして例え召喚したとしても腕輪持ちの天子、そして召喚獣操作が学年随一の僕には勝てない!
「くっ、
古典
『2ーF 吉井明久 212点』
『2ーF 比那名居天子 407点』
VS
『2ーB 根本恭二 231点』
「さあ、決めさせてもらうよ!」
「くっそおおおおっ!!」
「甘いっ!」
「てい!」
「なっ!?」
ヤケクソになって突っ込んでくる根本君の召喚獣に足をかけて転倒させる。
さらに天子の召喚獣が剣を倒れている根本君の召喚獣に突き刺して地面に縫い付ける。
「終わりだよ……」
そしてトドメに僕はガンブレードを後頭部に突きつけ、そしてゆっくりと引き金を絞り、根本君の召喚獣の頭を撃ち抜いた。
『2ーB 根本恭二 DEAD』
『戦争終結!勝者、Fクラス!』
そしてクラス内に絶叫と歓声が響き渡った。