明久side
「さて、総合科目の補充試験ご苦労だった」
Bクラス戦から二日後、いよいよ次は本命のAクラス戦である。
そして今から代表の雄二が前でみんなにAクラス戦の作戦が説明されようとしていた。
「まずは皆に礼を言いたい。周りの連中には不可能だと言われていたにもかかわらずここまで来れたのは他でもない皆の協力があっての事だ。感謝している」
「ゆ、雄二!?どうしたのさ。素直に礼を言うなんてらしくないよ?」
「ああ、自分でもそう思う。だがこれは偽らざる俺の気持ちだ。ここまで来た以上、絶対に勝ちたい。勝って、生き残るには勉強すればいいってもんじゃないという現実を教師どもに突きつけてやるんだ!!」
『『『おおーーっ!!』』』
『『『そうだーーっ!!』』』
『『『勉強だけじゃねえんだーーっ!!』』』
そしてここで皆が一斉に雄叫びを上げる。
「皆ありがとう。そして残るAクラス戦なんだが、これは一騎打ちで決着をつけたいと思う」
『どういう事だ?』
『誰と誰が一騎打ちで するんだ?』
『本当にそれで勝てるのか?』
その言葉にクラス中から疑問の声が上がる。
「落ち着いてくれ。やるのは当然俺と翔子だ」
「何言ってんの?馬鹿の雄二が霧島さんに」
シュッ(雄二がカッターを投げる)
ひょい(首を傾けて避ける)
シャッ(畳に刺さったカッターを投げ返す)
「勝てるわけないじゃないか」
「うおっ!?危ねえだろ!!」
「じゃあカッター投げないでよ」
そもそも投げてきたのは雄二だしね……
「まあ、明久の言う通り確かに翔子は強い。まともにやりあえば勝ち目はないだろう。だがそれはDクラス戦とBクラス戦同じだったろう?まともにやりあえば俺たちに勝ちはなかった」
まあ確かにね……。だけどAクラスでもあの腕輪の力を使えば……いや、無理だな。みんなの操作技術が乏しくて少し不安がある。
「今回だって同じことだ。俺は翔子に勝ち、FクラスはAクラスを手に入れる。俺たちの勝ちは揺るがない」
そう自信満々の笑みを僕たちに向けて来るが、どことなく不安があるんだけど……
「俺を信じて任せてくれ。過去に神童とまで言われた力を皆に見せてやる」
『『『『おおぉーーっ!!』』』』
「さて、具体的なやり方だが、一騎打ちのフィールドを限定するつもりだ」
「フィールド?何の教科でやるつもりなの?」
「日本史だ。ただし内容を限定して、レベルは小学生程度、方式は上限ありの百点満点の点数勝負だ」
え?それならどっちも満点は確実の集中力勝負になるはずだけど……。
「でもそれなら同点になるんじゃないの?」
「おいおい、そんなわけないだろ?」
「それじゃあ霧島さんの集中力を乱す方法を知ってるの?」
「いや。あいつなら集中なんてしてなくても小学生レベルのテストなら余裕で満点を取れる」
「雄二よ。そろそろ勿体ぶらずに教えたらどうじゃ」
秀吉のその言葉にみんなが頷いた。
「ああ、すまない。俺がこのやり方を取った理由は一つ。ある問題が出ればあいつは確実に間違えるからだ」
「ある問題って?」
「その問題は……大化の改新」
「大化の改新?」
「そうだ。その年号を問う問題が出たら俺たちの勝ちだ」
え?それってかなりの運ゲーだよね?ていうか霧島さんが間違えると思わないんだけど……
「大化の改新の年号は645年。こんな簡単な問題はFクラスの連中でも間違えない」
それもそう……ってみんな、何後ろ見てるのかな?まさか分からなかったってわけないよね?
「だが翔子は間違える。これは確実だ。そしたら俺たちの勝ちでこの教室とはおさらばだ」
なるほどね……。だけど一つ疑問があるんだけど……
「あの……坂本君」
「ん?どうした姫路?」
「坂本君って霧島さんとは仲がいいんですか?」
確かに霧島さんのことを翔子とかあいつとか親しげに呼んでるからな……。それに弱点のことも知ってるし。
「ああ、あいつとは幼なじみだ」
「総員狙えっ!!」
その声で僕と秀吉、女子以外の全員が雄二めがけて上履きを構えた。
「な!?なぜ須川の号令で皆が急に上履きを構える!?」
「黙れ、男の敵!Aクラスの前に貴様を殺す!」
相変わらずこいつらのこういう団結力はすごいな……
「俺が一体何をしたと!?」
「遺言はそれだけか?待つんだ横溝、靴下はまだ早い。それは押さえつけた後に口に押し込むものだ」
「了解です隊長」
「てか女の幼なじみなら明久もいるだろ!比那名居とか風見とか!」
「よし、それなら後に吉井も処刑しよう」
『『『『異議なし!』』』』
異議なし、じゃないよ……
さて、どうしようかな……
「吉井君」
「ん?どうしたの姫路さん?」
「吉井も霧島さんみたいな人がタイプなんですか?」
「ん〜……確かに美人とは思うけどタイプではないかな?」
正直恋愛してるよりも幽香や天子と遊んでる方が楽しいしね……
「で、なんで姫路さんは攻撃態勢をとってるの?そして島田さんはなんで教卓なんて危ないものを投げようとしてるの?」
「死になさい、吉井っ!」
そう言って投げられてきた教卓をひょいと避ける。うん、ほぼ直線に投げられるっておかしくない?普通上に投げないかな?
『『『『ぐあっ!?』』』』
あ、何人かに当たって教卓が砕けた。ま、いいか……
「はあ……おぬしらは少しは落ち着かんか」
そしてそこで今までずっと傍観していた秀吉が手を叩いて落ち着かせる。
「それに冷静になって考えてみよ。相手はあの霧島じゃぞ?男である雄二に興味があるとは思えん」
確かに霧島さんは告白は断るし付き合ってる人がいるという噂を聞いたことがなくて同性愛の噂さえもある。
むしろ興味があるのは……
「な、なんですか!?私なにか……」
どうやらみんなが一斉に姫路さんの方を見ているようだ。
うん、みんな考えることは同じなんだね……
「と、とにかくだ!俺と翔子は幼なじみで小さい頃に間違えて嘘を教えたんだ。そしてあいつは一度覚えたことは忘れない。だから今、学年トップの座にいる。俺はそれを利用してあいつに勝つ!そしたら俺たちの机は……」
『『『『システムデスクだ!』』』』
でもそう上手くいくのかな……。雰囲気的に言えないけど
次回からはAクラス戦!
明久の全力がベールを脱ぐ!
……とは言ったものの苦手教科で挑まれるんですけどね