明久side
「えっと……ここがAクラス?」
「そのはずよ」
僕たち3人はせっかくだからAクラスを見ていこう、という考えに至ってここにいる。
「豪華すぎない?」
「そうですね。教室の設備としては破格の設備ですね」
いいな……幽香はここで一年間過ごすのか……
「ほら、あんたたちもそろそろ行ったら?HRが始まっちゃうわよ?」
「あ、そうだね。ありがと幽香」
「はいはい」
そう言って僕と天子はFクラスへと歩いて行った。
「……ここがFクラス?」
「……さっきとは違う意味で次元が違いますね」
うん、これこそまさに廃墟だよ
「それよりも早く入りましょう」
「あ、そうだね」
そう言って教室のドアを開けると
「遅いぞ、この蛆虫やろう」
いきなり罵倒された
「酷っ……ってなんだ、雄二か」
そこにいたのは僕の悪友である坂本雄二だった
「いきなり罵倒って酷くない?常識無いの?」
「遅れてくるやつのほうが悪いんだよ」
「いや、まだ遅刻じゃないからね」
やれやれ、いきなり罵倒とは酷くないだろうか?
「明久、いきなり罵倒というのはやはり」
「天子、君は少しは黙っていようか」
まったく、こいつはこれさえ無ければ完璧なお嬢様なのに……
「ん?そっちのは比那名居か……、これは思わぬ戦力だな……」
そう言って雄二はニヤリと笑う。
それよりも戦力ってことは……
「すいません、そこどいてくれますか?」
「え?あ、すいません」
そして後ろからヨレヨレのスーツを着た先生に話しかけられてその場を退く。
「雄二、席って……」
「決まって無いらしい。好きな席に座れ」
このクラスは席すら決まって無いのか
「じゃあ僕ここね」
「隣いいですか?」
「どうぞ」
そして僕と天子は隣同士の席に座る。
うん、監視とかには便利だからちょうどいいな
「それでは私は2年Fクラスの担任の……福原慎です」
そう言って黒板の方を向くも、何も書かずにまた振り返る。
まさかチョークすら無いのか?
「まずは設備の説明をしましょう、卓袱台と座布団。えー不備があったら言ってください」
『先生、俺の座布団の綿の量が少ないです』
「我慢してください」
『窓ガラスが割れていて隙間風が吹き込んできます」
「セロハンとテープが用意されてるのでそれでふさいでください」
『俺の卓袱台の脚が折れてます』
「我慢して『無茶言うな!』冗談です、木工ボンドが支給されてるのでそれで直してください」
ほんと酷いな……
「それでは廊下側の生徒から自己紹介してもらいます」
「木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」
おっ、秀吉もいるのか……
秀吉は女寄りの顔立ちだけど男だ。だけど
そうそう間違えるやつなんて……
『『『『好きです!付き合ってください!』』』』
いたよ、しかもこのクラスのほとんどのやつか
大丈夫か?このクラス……
「……土屋康太」
お、ムッツリーニもいるのか……
相変わらず寡黙なやつだな……
「……です。外国育ちですけどドイツなので英語はできません。趣味は……」
そう聞こえてくるのは女子の声
天子以外にも女子がいたのか
「趣味は吉井明久をサンドバッグにすることです☆」
「誰だっ!?そんなピンポイントで危険な趣味を持ってるのは!」
「はろはろ〜、吉井」
「う、島田さんか……」
そう言ってこちらに手を振ってくるのは去年のクラスメイトの島田さんだ
「次の方、お願いします」
「ん?次は僕か……」
するといつの間にか僕の番まで回ってきたようだ
さて、どんな自己紹介を……
「吉井明久です。好きなものはゲームですので、機会があればみんなとやってみたいと思います」
うん、極めて普通の自己紹介だ
これでもう僕は何もすることが……
「次は私ね」
いや違う。まだ僕には天子の暴走を止めるという重大な仕事があったんだ
何としても暴走を止めないと……
「えっと、比那名居天子です。このクラスでは数少ない女子ですが気にせずに接してください」
普通だ……
でもこれなら完璧な自己紹介だね、安心安し……
「あと……」
くそっ!まだ安心はできない。
爆弾発言でもするつもりか?
「さっき自己紹介していた明久とは幼なじみです」
え?これだけ?
でもこれなら特に何も……
『『『『殺せえええっ!!』』』』
「なんでえっ!?」
だけどこの言葉を聞いた途端にほとんどのFクラス生徒が立ち上がってこちらに殴りかかろうとしてくる
『女子と幼なじみだとおっ!?』
『そんな羨ま……妬ましいこと許せるかっ!』
『処刑の用意をしろおっ!!』
「吉井っ!死ぬ覚悟はできてるのかしら?」
そう言ってFクラスの男子と島田さんが立ち上がってくる。
島田さん、卓袱台はフリスビーじゃないからね?だからそんな風に投げないでね?
ガラッ
「あの、すいません、保健室に行って遅れま……し…たってこの状況って何ですか?」
『『『『え?』』』』
しかしそこに入ってきた一人の女子生徒……姫路さんが来たことで全員の注目がそちらに集まって僕は無事にすんだ
「ああ、ちょうど良かった。今自己紹介をしているのであなたもしてください」
「あの、姫路瑞希と言います、よろしくお願いします……」
驚いた、まさか姫路さんがこのクラスに来るとは……
でもなんでだろ?
『はいっ! 質問です!』
「はっ、はい! なんですか?」
『なんでここに居るんですか?』
そう言ってクラスメイトの一人がそんな質問をする。
『姫路さんって、入学最初のテストで学年2位だったろ?』
『それに、いつも上位1桁内だったじゃないか、……あとかわいいし……』
「そ、その試験の最中に高熱を出してしまいまして……」
そういやぁ途中退席は0点扱いだったな……
『あぁ、なるほど、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに……』
『あぁ、化学だろ? あれは難しかった』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いてそれどころじゃなくてな……』
『黙れ一人っ子!』
『俺は前の晩彼女が寝かせてくれなくてさぁ』
『今年一番の大嘘をありがとう』
流石はFクラスだ。バカなやつしかいないな……
「はいはい、皆さん静かに……」
そう先生が教卓をたたいてざわつく生徒たちを落ち着かせる。
「お待たせしました、坂本くん君で最後です、自己紹介をお願いします」
おっと、いよいよ最後はクラス代表の雄二か
そして雄二は立ち上がり教卓の前まで歩いた。
「俺の名前は坂本雄二だ。代表とでも、坂本でも好きに呼んでくれ」
雄二はそう言った後、軽く教室を見回してニヤリと笑う。
あ、いやな予感が……
「さて、これがFクラスの設備だが、不満は無いか?」
『『『『『大ありじゃあぁーーーっ!』』』』』
おお……まさにFクラスの魂の叫びだな。
「Aクラスはシステムデスクにリクライニングシート、個人パソコン、更には冷蔵庫完備だ」
『いくら安い学費とはいえ、酷すぎる!』
『Aクラスだって同じ学費だろ!? 改善を要求する!!』
クラスメイトたちはそう口々に言ってくる
「そうだろう!だから我々Fクラスは、Aクラスに対して試験召喚戦争を仕掛けようと思う!!」
そして雄二は、ある意味天子以上の爆弾発言をした