【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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被お気に入りがとんでもないことになっている・・・!


第8話「初陣」

上空でメビウス1は美緒、ハルトマン、バルクホルン、エイラから固有魔法についての説明を受けていた。空は少しずつ晴れてきて雲の量は半分ほどになっている

 

「えーと、話を簡単にまとめるとウィッチには個々人に固有魔法というものがあり、その力は人それぞれなのか」

「そうだ、参考に私は右目に魔眼を持っている。ハルトマンは気流操作、バルクホルンは怪力、エイラは先ほども言った通り未来予知の能力の持ち主だ」

 

美緒の説明を受けて「ほうほう」とメビウス1は頷く。

 

「ということは、それを利用した攻撃も可能ってことか」

「そうだ、例としてバルクホルンの怪力を使えば強力な銃撃になることもできる」

「なにそれ。なんかずるいな」

「ずるいとはなんだ。するいとは」

 

バルクホルンが怒る。だがそれもすぐに治まった。

 

「メビウス。私からも質問がある」

「なんだ?」

 

バルクホルンはかなり真剣な表情で話してきた。それによりこちらも気持ちを切り替える。

 

「お前はどうやってエイラを倒したんだ?それが気になっているのだが」

「あ、それ私も気になってたんだ」

 

バルクホルンとハルトマンがあの時の模擬戦について質問してきた。チラリとエイラのほうを見る。彼女はずっと俺に顔を合わせていない。

 

(・・・しかたない)

 

メビウス1は溜め息ひとつした後話し出した。

 

「エイラに対しての攻撃がすべて回避されたから、至近距離からの銃撃にしたんだ。いかに未来予知で銃弾のなかを潜り抜けることができても近距離からの銃撃は避けようがない。そう判断したまでだ」

「能力も知らずにたった数回のアプローチでそれを実行に移すのがすごいな」

「でもどうやってエイラの攻撃を避けれたの?」

「勘だ」

「え、勘?」

「勘だ」

 

メビウス1の発言が参考にならなかったとばかりにバルクホルンとハルトマンの2人はがっくりと肩を落とす。

 

「エイラ相手に対策できると思ったのに」

「はっはっは。そう気を落とすな2人とも。運も実力の内だというじゃないか」

 

美緒が笑い2人を励ます。その間にメビウス1はエイラに近づいて小声で話しかけた。

 

「(エイラ、ちょっといいか)」

「(・・・なんだヨ)」

 

相変わらずの反応を無視して話を続けた。

 

「(お前の弱点だ。攻撃されているときに一度も俺の姿を見なかっただろう。それだとさっきみたいに懐に入られてやられるぞ。未来予知に自信があるのはいいが頼りすぎてはいけない)」

「(・・・なんでそれを教えるンダ?)」

 

こちらは言っている真の意味を理解できないのかそんな表情をするエイラ。その顔を見ずにメビウス1は答えた。

 

「(そうすれば今より強くなれるだろう?)」

「え?」

 

エイラはつい声をあげてしまう。

 

「(一つ言っておくが、お前の攻撃を避けれたのは勘だけじゃない。お前の目線、銃口の向き、あと顔の表情から攻撃のタイミングを予測したからな。それに俺の私見だが、エイラの未来予知は他の奴より起こり得る未来が見えるだけで確実な未来が見えるわけじゃないと思う)」

 

そこまでいうとメビウス1はエイラと向き合ってこう言った。

 

「確定された未来は存在しない。未来っていうのは、あやふやだから未来なんだ」

 

エイラはメビウスの目を見る。それはさっきの模擬戦のときの目ではなく、地上にいるときのいつものメビウスであった。

 

「なんていうか・・・お前に指導されるとは思わなかっタゾ」

「だてにISAFのアグレッサーを務めている訳じゃないよ」

「アグレッサーってナンダ?」

「そっちは何を話しているのだ?」

 

と、ここで坂本少佐たちが合流した。アグレッサーという言葉を知らないのか質問してきたので簡単に説明した。

 

「メビウスは私と同じ教官なのか」

「少し違う気がするが、他の部隊の実力を上げるために訓練で敵役をやるんだ」

「へー、メビウスがいたところはそんなことやってたんだね」

 

メビウスの説明に納得する。

 

「あ、でもときどきその訓練に俺だけ省かれるんだよな」

「何故だ?敵役を務めるならその部隊の隊長もでるべきだろう?」

「いや、それはそうなんだが、な・・・・・・」

 

バルクホルンの指摘で途端に歯切れが悪くなるメビウス1を見て全員が首を傾げる。

 

「前にスカイアイ、君たちからいえば司令官のような存在から言われたんだが『君が出ると相手が落ち込むだけだ』と」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

静寂がメビウス1たちを包む。唯一、美緒だけが平然としていた。

 

「はっはっは!メビウスがやると訓練にならないからやるなと言われたんだな」

「そういうことだ少佐。こっちは手を抜いているのにそれでもと言われる時がある。まぁ、教えることに関しては隊の中で一番だと言われたけど」

 

メビウス1と美緒が会話している中、バルクホルンとハルトマン、エイラは同じことを思っていた。それを言われるメビウスの実力は一体どれほどなのかと。

 

だがそれを中断するかのように、甲高い音が鳴り響いた。

 

「なんだ!?」

「敵襲?」

 

あまりに突然のことにメビウス1は動揺を隠せない。その間にも警報は鳴り響いている。

坂本少佐が通信越しに怒鳴りつけている。

 

「ネウロイか!?今までの周期からあと3日後のはずだろう!?」

≪こっちでも分かりません!ですがガリアのネウロイの巣から小型3機、中型1機のネウロイが出現しました!まっすぐこちらに侵攻しています≫

 

突然の敵襲に美緒は悪態つく。そのあとすぐにミーナから通信が入ってきた。

 

≪聞いたわね、皆さん。私とシャーリーさん、ペリーヌさん、ルッキーニさん、リーネットさん、宮藤さんのメンバーで迎撃します!あなたたちは基地で待機してください!≫

「ミーナ、私はもしもの時に備えて実弾装備にしていたからだから大丈夫だ」

≪そう。では坂本少佐も参加してください。いいわね?≫

「「「「「了解!」」」」」

 

すぐさま行動を開始。美緒を残して滑走路へと向かい、そして離陸してきた者とすれ違う。

 

「お前ら、死ぬなよ」

「ありがとう、行ってくるわ」

「はい!みんなの役に立ちます!」

「メビウスさんは基地で待っていてください」

「大型ではありませんし、問題ないですわ」

「すぐに終わらせるからな、メビウス」

「行ってきまーす!」

 

メビウス1の言葉にそれぞれが返事を返す。彼女たちにとってこれはいつも道理なのだろう。だが――――とメビウス1は一つの不安を抱き思う。大陸戦争で多くの戦場の空を飛び、闘い、生き残った彼だからこそ言えることがある。

 

たとえ相手がネウロイ―――――人間じゃないとしても戦争、戦場ではいつ何が起きても不思議ではないことを。それが時には自身の理解を超えるものだとしても、普通に起きることを。

 

 

 

「シャーリーさんとルッキーニさん、ペリーヌさんは小型をお願い。私と坂本少佐と宮藤さんは中型の足止めを」

「「「「「了解」」」」」

 

すぐさま戦闘が始まった。

 

ミーナ、坂本、宮藤の3人は中型に取り付きコアを探しながら攻撃していく。

シャーリー、ペリーヌ、ルッキーニたちはすでに3機のうち2機の小型ネウロイを破壊していた。やはり、大型でないことが功を奏し、戦いを有利に運んでいた。

 

 

≪最後の小型ネウロイを破壊しましたわ!≫

≪よし、全員で畳み掛けるぞ!≫

≪はい!≫

 

レーダー機器や通信機器が置かれた管制塔の中でメビウス1たちは戦いのようすを通信越しに聞いていた。レーダーにも映るのだが、時代が時代なだけに戦闘しているおまかな場所しか映し出されていない。

 

「会敵から1分で小型ネウロイを撃墜か、全員いい腕だな」

「メビウスが言うとなんだか嫌味にしか聞こえないゾ」

「今日はそんなに脅威でもなかったね」

≪コアを見つけたぞ!やつの先端だ!≫

「おまえは少しは危機感を持たないのか。だがもう終わりだな」

 

通信から多くの銃声が聞こえてくる。すぐに静かになった。

 

≪ネウロイを全て破壊した。レーダーのほうはどうだ≫

 

美緒の声が通信越しに聞こえてくる。それにバルクホルンがレーダーを見ながら答えた。

 

「こちらでも確認した少佐。ネウロイの反応は見られない・・・ん?」

 

話していたバルクホルンの会話が止まった。彼女はじっとレーダーを見つめている。

 

≪どうした?≫

「少佐、敵の増援だ。さっきと同じ方角から数は8・・・なんだこいつは!?」

 

途端、バルクホルンが大声を上げる。

 

「少佐、そっちにネウロイが8機接近している!それにこのスピードは!?」

≪なに?・・・!全員、シールドを張れ!!≫

 

坂本少佐の危機迫った声が聞こえた数秒後、爆発音が管制塔の中に響いた。

 

「坂本少佐!ミーナ!!」

「なに?何が起こったの!?」

「それにさっきの爆発ハ・・・?」

 

いきなりのことにハルトマンやエイラも動揺を隠せていない。

 

「坂本少佐!ミーナ!誰でもいい、聞こえるか!」

 

バルクホルンはマイクを握り何度も大声を上げている。しばらくのあと向こうの音声が聞こえてきた。

 

≪はなれ―――で――全員―――!≫

≪なん――あ―――ネウ――――は!?≫

≪き――――あああ―――!≫

≪―――ネちゃん!≫

≪だいじ―――――か!?リネ―――ん≫

≪ありが―――――――ペリ――――≫

≪う――――――はや―――よ!≫

≪メビ―――――いいしょ――――いか!≫

 

向こうの通信が聞こえるが、そのほとんどは爆発の音にずっと続いている轟音で聞こえなかった。途切れ途切れの通信だが混乱しているのは明らかだった。

 

「くそ!エイラは基地に残れ。私とハルトマンで救援に向かう!」

「わかったゾ!」

「うん!」

 

すぐさま救援に向かおうとバルクホルンは決心する。ハルトマンやエイラもそれに従った。とここでハルトマンがあることに気が付いた。

 

「あれ、メビウスは?」

 

メビウス1だけがこの場所から忽然と姿を消していたことに今頃になって気が付いた。

 

 

 

メビウス1は基地内を全力で走っていた。目指す場所は自身の相棒が置いてある第2格納庫。メビウス1は通信を通して聞こえた爆発音に紛れていた轟音を聞き洩らさなかった。残る3人のことを気にせず動き出していたのだ。そして、メビウス1の頭の中ではずっと同じ疑問が出ては自ら否定したりを繰り返していた。

 

(まさかそんなことは・・・いや、あの音は間違いないはず)

 

あの轟音をメビウス1は知っていた。たとえ2年、いや正確にはカティーナ作戦を含めると1年経つが忘れることはなかった。そしてあの女は言っていた『あなたのほうが詳しい』という言葉が離れなかった。

 

「これが、この世界で俺がやるべきことなのか・・・?」

 

メビウス1の言葉は誰に聞かれるでもなく、急いで自分の機体のところへ走った。第2格納庫に着くや否やそこにいた整備班の者に大声で叫ぶ。

 

「おい、俺の銃は?」

「はい?」

「俺がここに来た時に持っていた銃だ!坂本が試し打ちしたと言ったからあるんだろ」

「あれは弾切れです。バルクホルン大尉がその時に使い果たしました」

「なに!?」

 

弾切れという言葉に舌打ちする。持っていたものが何か分からなかったが、戦闘機には効果があるに違いないと思ったのにまさか弾切れとは―――!

 

「おい!何でもいいから威力の高い銃を用意してくれ。今すぐに!」

「はっはい!」

 

怒鳴られてビックリしながらも慌ただしく整備班の人たちは動きだす。

その間にメビウス1はF-22Aストライカーに乗る。そうしているうちに全長1.5mくらいの銃が運ばれてきた。そばにはホーマーの姿もある。

 

「おい!メビウス。一体なにがあった?」

 

まだこちらが説明していないのにホーマー曹長は聞いてきた。おそらく長年の勘だったのだろう。

 

「ミーナたちが敵に囲まれているんだ。急いで救援に向かう」

「なんだと!?了解した」

 

ホーマーはすぐに理解してくれた。持ってきてくれた銃を確認する。

 

「こいつは」

「扶桑の九九式二号二型改13mm機関銃だ。これでいいか?」

「13mm?20mmのやつはないのか?」

「あるにはあるが修理中でな。大丈夫かこれで」

「ああ、選り好みしている場合じゃないしな。借りるぞ」

 

銃を受け取りエンジンを起動させる。甲高い音と風が発生する。

 

「どいてくれ。すぐに出撃する!」

「おーし、お前らぁ!道開けろ!!」

 

さながらモーゼの十戒のように、どたどたと開かれたところをメビウス1は移動していく。滑走路に着き管制塔に連絡した。

 

「管制塔、そこにいるのはエイラか?これより離陸する」

≪メビウス!?お前どうしてそこにってちょっとま・・・おい!メビウス!何をしている。貴様その機体は許可が出ないと乗れないはずだろう!?≫

 

エイラだったがバルクホルンが強引に通信に入ってきた。

 

「相棒で飛んでいったほうが速い。メビウス1、離陸する」

≪おい!まだこっちの話は――――≫

 

うるさいので通信を切り離陸した。すぐさま索敵レーダーに切り替えて戦闘空域を確認する。方位170、高度5000mで小さな7つの光点を取り囲むように大きい光点が8つ。2機づつに分かれて動いているのが確認できた。距離は100kmほど、F-22Aの性能ならあっという間だ。

 

「いくぞ、相棒!」

 

メビウス1は自身の愛機に呼びかける。それに答えるかのようにF-22AのF119エンジンが唸りをあげた。

 

 

 

「全員!シールドを張れ!!」

「美緒どうしたの?」

 

突然のことにほとんどの者が反応していなかった。ただ、宮藤だけ咄嗟に自身の魔力で全員をカバーできるほどの巨大なシールドを展開した。

 

その直後、何かが命中。爆発が発生した。

 

「きゃあああーーー!!」

「なに、何が起こったの!?」

「ネウロイだ。速いぞ!」

 

爆発音が治まる前に巨大な物体が、彼女たちの横を爆音を上げて通り過ぎた。

 

「は・・・?おい、今横を通り過ぎたよな。見えたか?」

「シャーリー、速すぎて見えなかったよ」

「一体なにが・・・」

「話はあとよ!右から2機、接近して来るわ!!」

 

ミーナは固有魔法:空間把握を使い敵の動きを皆に伝える。その方向を見たとき、全員が言葉を失った。

 

外見はネウロイと変わらない。だが巨大な機体、全長20mくらいの体にそれに見合う大きな主翼、二つの垂直尾翼を持ち、特徴的な形状は、そこにいる誰もが目にするのは初めてだった。

 

当然だった。彼女たちを襲っているそれの名は“Mig-29 ファルクラム”。ユーク版のF-16と呼ばれ、格闘戦能力に優れた機体だ。

 

「離れないで、全員で対応するのよ!」

 

ミーナからの指示で攻撃を開始するが全く当たらない。敵ネウロイに銃弾がかすることなく音速を超えるスピードで通り過ぎた。

 

「なんなのだ、あのネウロイは!?」

 

坂本少佐が叫ぶ。その間に上空から接近してきた別の2機がR-73E短距離空対空ミサイルを発射する。それをシールドで防いだが、リーネは防いだものの耐え切れずふきとばされた。

 

「きゃあああああ!」

「リーネちゃん!」

 

宮藤が悲痛な表情で叫ぶが、そばにいたペリーヌが飛ばされた彼女を抱き止めた。

 

「大丈夫ですか!?リネットさん」

「うん。ありがとう、ペリーヌさん」

「ウジュ~~~、速すぎるよ!」

「メビウスのやつといい勝負じゃないか!」

 

スピード系の攻撃が得意なシャーリーとルッキーニは敵の速さについていけないことに苦虫をかんだ表情をする。Mig-29は全機集結してミーナたちにR-27ER1長距離空対空ミサイルを1発ずつ計8発、発射した。ペリーヌが前に出る。

 

「あまり調子に乗らないでください。トネール!」

 

ペリーヌが自身の固有魔法を使用、自分を中心に電気が発生し徐々に大きくなり、それは雷のようになる。それにふれたミサイルは誤作動を起こし目標に当たる前に自爆した。

 

「これで――」

「ペリーヌさん、あぶない!」

 

ペリーヌの前に宮藤が出てきてシールドを張った。瞬間、シールドに何かが当たる鈍い音が聞こえてくる。敵は自爆したミサイルの爆発に向けてGSh-30-1 30mm機関砲をばら撒いたのだ。宮藤が出てきたのはほぼ直感だった。

 

「あ・・・あいがとうございます。宮藤さん」

 

突然のことに動きが止まりかけるがそれに美緒が叫ぶ。

 

「気を抜くな!敵はまた分かれたぞ!」

 

敵はまた2機編隊の4つのグループに分かれていた。その中の一つが機首をこっちに向ける。また仕掛けてくる!と皆が気を引き締めた瞬間、接近していた敵2機が突然爆発した。

 

「え・・・?」

「何が起こったんだ?」

 

いきなりのことに皆は反応していなかった。ただ一つ言えることは、小さいものの敵が撃ってきた矢のようなものと同じものが敵の側面にぶつかるところを全員が目にしていた。

 

「一体誰が・・・」

 

誰かが言いかけた時、爆音が響き渡る。見るとひとりのウィッチが彼女たちの上空を飛んでいた。スピードのせいか顔は確認できなかったが、彼女の髪に結んであるのと同じ色をしたリボンのマークがはっきりと見えた。

 

≪こちらメビウス1、ミーナ聞こえるか≫

 

通信が入ってくる。それと同時に皆が顔と合わせて理解した。メビウスが来たのだ、と。

 

 

 

「全員無事だな」

 

AIM-120C AMRAAM 中距離空対空ミサイルが命中したのを確認し、メビウス1はミーナたちが無事だということを確認した。

 

「こちらメビウス1、ミーナ聞こえるか」

≪メビウスさん、どうしてここに≫

「状況が状況だったんでな。バルクホルンの奴には怒られたが勝手に来た。」

 

話ながらメビウス1は敵機を見る。

 

(あの音、やはりMig-29だったか)

 

大陸戦争のとき、エルジアは多くの機種を揃えていたが、その中でMig-29は2番目の数を保有していた。多くの戦場で必ずと言っていいほどこの機体と交戦していた。

 

「こいつらの相手は俺がやる。ミーナたちは低空に退避してくれ」

≪そんな!いくらなんでも無茶よ。6機相手にあなた1人なんて!≫

 

ミーナは俺の心配をしてくれるがそれを断った。

 

「大丈夫だ、心配すんな。伊達に”死神”呼ばわりされたわけじゃない」

「死神?」

 

ミーナがあの言葉を反芻する。とにかくこの脅威を排除しなくては

 

「そういうわけだ。手早く頼む」

 

それで通信を終了して敵機のほうを見る。形状はMig-29だが外見はネウロイと同じ色をしている。しかもあの動き・・・生き物かどうか分からない存在だとしても本当に”人が乗っているような”動きをしている。

 

「メビウス1、交戦!」

 

メビウス1とジェット戦闘機の形をしたネウロイとの戦闘が始まった。

 

 

 

敵機Mig-29全機と正面から向き合う。メビウス1はフレアとチャフを放出、敵のミサイル攻撃を封じ機銃攻撃に入った。敵も同様に機銃攻撃に入る。ほぼ同時に撃ったがメビウス1はラダーを活かし自らの位置をずらして敵の銃撃を回避、メビウス1の攻撃で1機のエアインテークに命中、失速し海へ落ちていった。

 

「くそ、やっぱり初速が遅い」

 

自身が持つ銃をダメ出しする。ジェット戦闘機相手だとやはりM61A2 機関砲が断然やりやすい。

自身と敵が交差する直前にメビウス1はインメルマンターンを行い、敵の背後に着く。

 

「メビウス1、FOX2!」

 

ストライカー側面にあるウェポンベイが開きAIM-9L/M サイドワインダー短距離空対空ミサイルが発射され鈍間な回避行動をしていた1機に命中した。残り4機になったとき敵機が別れた。2機は別々の方向を取りながら旋回を始める。他の2機は左スライスターンを行い下降していく。すぐさまレーダーを確認する、その方向に7つの光点―――

 

「あいつ」

 

自分と彼女たちへの攻撃へと別れたのだとすぐに理解し、2機の後を追う。武装を変更し下面ウェポンベイが開く。

 

「メビウス1、FOX3 FOX3!」

 

AMRAAM中距離空対空ミサイルを発射した。だが2機はフレアとチャフを放出、急旋回を行い回避する。だがその動きを予測していたメビウス1は回避行動を続ける2機に九九式二号二型改機関砲の13mm弾をお見舞いする。うち1機のエンジンに命中、もう1機にも撃ち、片方のエンジンに命中した。片肺飛行となったMig-29は飛んではいるが先ほどと比べればかなり減速していた。両のエンジンに被弾した敵機は出火、ほどなくして爆散した。

 

「ミーナ、その手負いのやつを頼む」

 

片方のエンジンだけで飛行しているMig-29を任せる。

 

メビウス1は普通のパイロットがかかるであろう時間の半分もかからずに4機撃墜または戦闘不能状態にした。残り2機、自分の後方にしっかり張り付いている。その距離はほんの少しだけ敵機の機銃射程外だった。Mig-29がメビウス1を追いかける。メビウス1は逃げるが少しづつ減速、距離を詰めていた。

 

(まだだ!もうすこし)

 

後方の敵機を睨みながら思う。そして敵の機銃射程に十分な距離になった。Mig-29の機銃が火を噴くが、そこにメビウス1の姿はなかった。実はその時メビウス1は攻撃を見計らってコブラ機動を行っていた。スホーイ系の戦闘機が得意なこの機動はF-22Aでも可能だった。大陸戦争で黄色中隊がよく使っていたので戦争終了後にこの機動をマスターしていた。実戦で使ったのは今回が初めてだったがうまくいったようだ。

 

「メビウス1、FOX3!」

 

間髪入れずにAMRAAMを発射。もう片方の敵に機銃を掃射した。ロックオンした敵は回避もままならず被弾し、火の玉となって落下していった。もう片方の敵は左翼に命中したが、バレルロールで決定打は当てられなかった。

 

(このミグ・・・、本当に人が乗っているみたいに動く)

 

ジンキングで逃げるMig-29の後ろを取りながらメビウス1はあることに気が付いた。被弾させた場所がなくなってることに。

 

「メビウス1よりミーナ、被弾したところが修復されている。どういうことだ?」

≪なんですって?おそらくそのネウロイはコアが存在するわ。それを破壊しないと何度でも再生するわ≫

「コア・・・」

 

ふと元の世界で遭遇し交戦したときに見つけたあの赤い結晶を思い出す。あのときは偶然見つけたがどこにあるのか。

 

「そのコアはどこにあるか分かるか?」

≪私だ、メビウス。私の魔眼はコアの場所が見える。だが、あのスピードだ。何とか速度を落とせないか?≫

「メビウス1、了解した」

 

メビウス1は武装のチェックを行う。機銃はまだ余裕がある、ミサイルはAMRAAMが残り1発。

 

「ケチってる場合じゃない。メビウス1、FOX3!」

 

最後のミサイルが放たれる。それに対し、敵機はチャフを散布した。だが、距離があまりに近かったこと、AMRAAMの特徴でチャフに強い作りになっていたこともあり、直撃はしなかったが近距離で爆発。発生した爆風と衝撃波と飛び散った破片により右エンジンに被弾、煙を上げ速度が大幅に下がった。本当は回避したところを機銃でやるつもりだったが運がよかった。

 

「坂本、敵機を失速させた。見てくれ」

≪よくやった、メビウス≫

 

美緒は右目の眼帯をはずし紫色の瞳―――魔眼を使い片肺飛行をするMig-29を隈なく見る。

 

≪見つけたぞ。コアは先端の盛り上がっている部分にある≫

「コックピットか。了解した」

 

すぐさま動きだし、敵機に接近する。敵機と10mもない近距離を並走、そして操縦席の場所に九九式二号二型改機関砲を構えた。

 

「インガンレンジ、ファイア!」

 

九九式二号二型改機関砲全弾を惜しむことなく発射した。敵機のコックピット部分はヒビが入り、細かく砕け、蜂の巣にされていく。全弾使い切るのと同時に命中箇所が赤く光りだした。攻撃かと思いすぐさま離れる。そのあと、なにかが砕け散り、それに追随するように爆散した。

 

「こちらメビウス1、ミグ・・・じゃなかった、敵ネウロイを破壊した。ミーナ、そっちはどうだ?」

≪こちらももうすぐ終わりそうよ≫

 

見るとかなり失速したMig-29に全員が取りつき蜂の巣にしていた。弾丸の一発が発射されずにあったミサイルの弾薬に命中、爆発を起こし砕け散った。索敵レーダーを起動し頭に入ってくる情報を確認する。

 

「レーダーに反応なし。戦闘終了」

 

本当ならAWAXのスカイアイが言うのだが、本人はいないので自分が代わりに言った。

 

「こちらメビウス1、全員無事か?」

≪ええ。あなたのおかげだわ≫

≪すまないなメビウス。助かった≫

 

その他の人からもいろいろお礼の言葉が贈られる。

シャーリーだけは一つ余計なことが加えられていたが。

 

「俺はミーナたちの後ろで警戒しながら帰投する。また何か来たら厄介だからな」

≪お願いするわ。全員基地に帰投します≫

「坂本、その銃を貸してくれ」

 

美緒が投げた銃を受け取り、周辺・・・特に南の方角を警戒する。

メビウス1を除いた全員が疲れた表情を隠すことなく基地へと帰り始める。

そんな中メビウス1は最後に撃墜したあのミグのことを考えていた。

 

(あのミグの動き・・・いや、気のせいか)

 

敵機の動きが気になるが、ただの思い違いだろうと決めつけた。

 

こうして、メビウス1にとってこの世界で初めての、彼女たちにとって未知の敵との戦闘が幕を閉じた。

 




読んでいただきありがとうございます。

出す機体でかなり迷った

戦闘描写もっと勉強します。はい

やめて!殴らないで!これでも精一杯頑張ったんだよ!?
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