【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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これを読んだ皆さんの反応が気になります。



それでは、どうぞ


第20話「その男の正体は」

1944年7月10日

 

昨日の襲撃から一夜明けた今日。朝食後のミーティングが行われていた。

 

「昨日のこともありましたので全員基地に待機してください。それとメビウス、伝えないといけないことがあるので来てください」

 

普段と変わらぬ一日が始まろうとしているが、ミーナに呼び出された。

 

「それで、なんなの?」

「今日の午後2時にブリタニア海兵隊の者が来ます」

「海兵隊? なんだってこの基地に」

 

メビウス1は疑問に思う。ここは空軍の基地だ。海兵隊が来るような場所じゃない。

 

「どうも昨日のロンドンで助かった礼を言いたいそうよ」

「そうですか…いつくらいにここへ?」

「午後の2時にこちらへ来るそうです」

「分かった」

 

昨日の出来事の礼を言いに来るなんて、手紙か何かで済ませればいいのにと思う。だけど助けられた本人に直接言いたいのだろう。それじゃあその人が来るまでいつも通りにしてるか。

 

 

 

 

 

基地へと続く道を車で進みながら、彼――海兵隊の大佐は昨日見たウィッチが履いていたストライカーのことを思い出していた。

 

(あのストライカー…あれはこの世界の物ではない。私の記憶が正しければあれはオーシアの物に似ていたような)

 

進む車の中を無言でいながら考察を進める。実をいうと彼――大佐はこの世界の人間だが、別の世界の人間でもあった。メビウス1のように何らかの事情で別世界に迷い込んだ場合異世界の人間となるが、彼は少し違っていた。

 

(しかし、機体だけが迷い込んだ可能性も否定できないがあれを乗りこなせる者がいるのか? 音速すら突破していないこの世界にいきなりマッハ2は厳しいぞ)

 

あれを見た最初は機体だけがこの世界に迷い込んだと思った。だがあれを使いこなせるのかどうかが問題となる。そこである答えが出た。あのウィッチはもともと別の世界の者なのではないのかと。機体と共にパイロットも一緒に来てしまったと考えるのが妥当だった。

しかし、私が前にいた世界に魔法という概念そのものが存在しない。しかし、何より機体の表面に描かれたマークは紛れもなく………

 

「大佐、もうそろそろ着きます」

「おお、そうか。すまないね。こんな予定にないことをしてしまって」

 

目的地の第501統合戦闘航空団の基地に近づく。島1つをそのまま基地にしてそれをまるで山のように建造物が建っているため基地というよりも要塞に見えなくもない。だがここはそんなに対空武器が置いてないので要塞とは呼べないが。

 

ふと車窓から空を見上げると太陽の光に紛れてウィッチ数名とあれは…飛行機? が飛んでいるのが見えた。

 

 

 

 

 

メビウス1は十七試艦上戦闘機を操りながらある訓練に参加していた。

 

「おーい。どういうことですか~? あれだけやって1発も当てられないなんてないでしょう」

≪メビウス少佐がうますぎなんですわ!≫

≪戦闘機なのにあんなに動けるなんて≫

≪なんであんなに動けるの………≫

 

 

ペリーヌ、リーネ、宮藤の順に声が上がる。

 

今回は動く標的に弾を当てる訓練していた。そこで敵役にメビウス1が指名された。理由は飛行機の操縦に長けていることと、参加するのは宮藤、リーネ、ペリーヌの3人ということだ。ペリーヌはいいとしてもほか二人はまだ未熟なところがあるので大きめの的が必要になったことだった。他にあげるならもしかしたら遭遇するであろう高機動のネウロイ相手に対処できるようにするためだ。

 

「だから言ったでしょう? 当てられないなら絶対に当たるなにかを模索するんだ。距離を詰める、相手の弱点を見つける、いろいろあるわよ。それにあなた達は3人いるでしょう? もっと連携をとったほうがいいわよ」

(((いや、連携とっても絶対に無理でしょ!!!)))

 

心の中で同じ言葉を思う3人なのだった。

 

「今日はもういいわね。基地に戻るわよ」

 

 

 

 

 

 

 

基地に着いた海兵隊の者をミーナは出迎えていた。

 

「ようこそ。第501統合戦術航空団隊長ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケです」

「ブリタニア軍海兵隊ロイヤルマーリン大佐のレオナード・スウィントンだ。急な訪問を受け入れていただき感謝する」

 

手短に挨拶した2人は歩きはじめる。

 

「それでは執務室へ案内します」

「いや、すまないが昨日のウィッチにすぐに会いたいのだが、格納庫に案内してくれないか」

「いえ、それはこちらとしては困るのですが」

「? なぜかね?」

 

疑問に思うレオナードを余所にミーナは内心焦っていた。今あそこにはメビウスのストライカーF-22Aが置いてある。今のあれはオーバーテクノロジーなうえに他の者に見せるわけにはいかない最重要機密だ。もしもに備えて近くの場所に置いていたがそれをすっかり忘れていた。どうにかしなければと思うがそれを見たレオナードが彼女の顔を見て何を言いたいのか分かった。

 

「ああ。もしかしてあのストライカーの事かね? だったら大丈夫だよ。あんなもの興味はないからね」

「は? え、えーとなんのことでしょうか?」

 

まさかあのストライカーを指摘されるとは図星のようで少しばかり焦ってしまう。

 

「あ、いや少しばかり誤りがあるな。正確にはあのストライカーに描かれた模様が気になるのだ。見るだけでもいい。この通りだ」

 

深々と頭を下げるレオナードにミーナは少し考えた後承諾することにした。

 

「分かりました。ですが、見るだけですよ」

「感謝する」

 

笑顔でレオナードは答えて2人は格納庫に向かった。

 

 

 

格納庫に着いた2人はF-22が置いてある場所に歩いた。そしてその目の前に止まる。

 

「こちらになります」

「おお。これか」

 

目の前に置いてあるF-22Aストライカーを隅々まで見つめる。そして機体の裏側に回り目当てのものが見つかった。

 

「やはり、私の見間違いでは無かったか」

 

そう1人呟いたレオナードは懐かしさを感じる。そして勝手に鼻歌を歌い始めた。

 

「あの、レオナード大佐?」

「気にしないでください」

 

鼻歌を歌い始めたレオナードを見たミーナはその光景を見て疑問に思うがそれを彼の付添いの者が止めた。

 

「大佐は時たまに鼻歌とそれと同じ歌を歌うんですよ。そうしているときは声をかけても返事しません。少し待ってあげてください」

「はあ……そうですか」

 

50歳を過ぎた男性の渋い声で歌われる歌を聞きながらミーナは彼が歌い終わるのを待った。

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、訓練を終えたメビウス1たちは滑走路に着陸しようとしているところだった。だが、少しおかしなところがあった。

 

「ん? 格納庫入口に人がいる?」

 

よく見ると整備員の人たちが格納庫前にならんで左の広場に行くように誘導していた。何かあったのだろうかと思いながらその誘導に従った。

 

「どうしたの?」

「実は海兵隊の大物が来ているのですけど」

 

静かに来てくださいという仕草で格納庫の近くに来た。見ると相棒の傍にミーナと知らない人物が2人。1人は20代後半くらいの男性でもう1人は白髪が目立つ50代の男性だった。

 

「ミーナから海兵隊の人が来るって聞いたけど、彼らかしら?」

「中佐の隣にいる人は知りませんがもう一人のほうは知っています。超有名人ですよ」

 

私たちの他にも除くように彼を見ている者が大勢いた。

 

「そんなにすごいの?」

「すごいも何も、第1次ネウロイ戦争のときは陸軍が主力だったのですが部隊の指揮をとり占拠された拠点の奪取に成功。当時初めて開発された戦車で部隊を指揮しネウロイの撃退。銃撃戦の中を飛び込んで負傷した兵士を救助。ほかにもいろいろありますよ! その功績を称えてヴィクトリア十字勲章を授けられていますし!」

 

説明してくれた整備員は興奮しながら抑えた声で説明してくれた。彼の言った通りものすごい人物なのだろう。

 

「♪~♪~~」

 

その人物から鼻歌が聞こえてくる。それも1フレーズだけですぐに終わってしまった。

 

(…ん? どこかで聞いたことあるような)

 

聞こえてきたメロディーが何故かよく知っているように感じたのだ。だけど答えが出てこない。

 

(う~ん。なんだったかな?)

 

何とか思い出そうとするメビウスに今度は歌が聞こえてくる。

 

それを聞いて、やっと思い出せた。

 

 

 

 

 

 

O'er azure skies and emerald plains   

紺碧の空と緑豊かな大地が果てしなく広がる

Where freedom and justice prevail with courage and strength

この地には 勇気と力強さに溢れた 自由と正義に充ち満ちている

We'll fight to the end for liberty in our land

我らは最後まで戦う 我が祖国の自由のために

 

 

 

 

 

 

 

最初のフレーズを聞いたとき、メビウス1は反応しただの偶然と思ったが最後のフレーズを彼が歌い終えるときには確信に変わっていた。

 

(ちょっと待った。なんであの歌をあの人が知っているんだ?)

 

先ほど海兵隊のものが歌っていた歌。あれは紛れもなく“ユージア国歌”だ。とてもじゃないが偶然で済ませていいものではない。

 

「え、あ、ちょっとメビウスさん」

 

横にいる人の制止を気にせずメビウス1は海兵隊の人に近づいた。確かめなくては。メビウス1の頭にはそれしなかった。

 

「おい、あんた」

「うん?」

「き、貴様! 大佐に向かって無礼ではないか!」

 

自分より上の階級の者にかなり失礼なことを言ってしまったがそんなことはどうでもよかった。真っ直ぐにこの大佐を呼ばれる男の目を見る。

 

「まあまあ落ち着きなさい。君がこのストライカーのパイロットだね?」

「ああそうだ。そんなことよりも聞きたいことがある。あの歌をどこで聞いた!?」

 

自然と口調が乱暴になるが大佐と呼ばれる男は少し思案したかと思うとこちらに顔を向けた。

 

「私の思い違いでなければ、君はISAFの関係者で間違いないかね?」

「な…!? ISAFを知っている? あんた一体」

 

まさかこの世界でISAFを知っている人に会えるなんて思いもしなかった。それと同時に疑問が生まれる。一体この人は誰なのかと。

 

「ふむ。どうやら自己紹介したほうが早いようだな」

 

大佐と思われる男はメビウス1に体を向けビシッと敬礼した。

 

「元ISAF軍海兵隊所属のレオナード・ベルツ中尉だ。バンカーショット作戦のときは第32海兵コマンド連隊B部隊を指揮していた」

「レオナード・ベルツ中尉…バンカーショットのときの!? 失礼しました。ISAF空軍第118戦術航空隊メビウス隊隊長コールサインメビウス1。階級は少佐ですが、あの時は中尉でした」

 

自分に会いに来た海兵隊の大佐の正体。それがメビウス1の世界、大陸戦争のときにバンカーショット作戦で共に戦ったレオナード・ベルツ中尉だとしりメビウス1も彼に敬礼した。

 

「ISAFのマークを見た時もしやと思ったのだよ。あの作戦の時は私の上を飛んでいたのだろう? だからここで言わせてくれ。ありがとう」

「いえ、自分はできることをしたまでです。なんて言えばいいのか…こんなところでお会いできて光栄です」

 

2人はあのとき果たせなかった再会を果たし、握手を交わす。傍から見れば30歳も差が離れた2人がまるで旧知の知り合いのように見えてミーナたちは困惑していた。

 

 

 

 

 

 

「ヒソヒソ(うーんよく聞こえない)」

「ヒソヒソ(ちょっと、あまり押さないでください!)」

「ヒソヒソ(しずかに!)」

 

執務室のドアにベッタリと張り付いて宮藤とリーネ、ペリーヌ、は中で話しているメビウスとレオナードの会話を聞こうとするがなかなか聞こえない。メビウスとレオナード・スウィントン。この二人は全く無関係のはずなのにどうにも知り合いのようなのだ。興味がわかないはずがない。

 

「ヒソヒソ(でもなんであのレオナード大佐がメビウスと知り合いなのだろう?)」

「ヒソヒソ(リーネちゃん知ってるの?)」

「ヒソヒソ(うん。軍の人なら知らない人はいないくらいだよ。)」

 

へーと言いながら宮藤は耳をドアに押し付ける。

 

「もうちょっとで聞こえるのに」

「なにがだ?」

「「「へ?」」」

 

後ろを振り返るとそこには鬼―――もとい、坂本美緒が立っていた。竹刀を持って。

 

「ほうほうお前たちは今暇なようだな。よし私に着いてきたまえ。特別に訓練をしてやる」

「お願いしますわ!」

「えっと…私は」

「その…」

「なんだ? 言ってみろ」

「「失礼しまーす!」」

 

美緒から逃げ出そうとする2人だったが襟を掴まれてしまう。

 

「よし。やるぞ」

「よろしくお願いしますわ少佐!」

「「うわーん」」

 

宮藤とリーネを引きずる坂本はほんの少しだけ執務室のほうを見る。

 

(短い時間だが、水入らずの話を)

 

心の内でそう囁いた。

 

 

 

 

 

「…………そうか。戦争は終わったか」

「ああ。バンカーショット作戦から9カ月後の2005年9月15日にな」

 

メビウス1はベルツ…もといレオナード・スウィントンに大陸戦争を話していた。

 

「君が言うにはそっちでは終戦から2年経っているのか。それよりもなんで君がここにいるのだ?」

「あー…話せば長くなるんだが、ようは昨日みたいなジェット型ネウロイを破壊しないと帰れないらしい。それにあいつらのことが気に入らない」

 

死んでいったパイロット達の真似をするのはどうしても許せなかった。そして思うことが出てくる。

 

(もしかしたら、あいつも出てくるのかな………)

 

メビウス1は大陸戦争で最大の宿敵であったエースを思い出した。出てこないかもしれないが、もしいたらかなりの強敵かもしれない。だが、少なくともあいつの真似ごとをするネウロイに負けることはないと思う。どんなに真似てもあいつには到底及ばないのだから。

 

「それと、なんでその体なのだ? それにあの機体は?」

「言わないでくれ。いろいろあったんだ。いや、いろいろされたんだ。いろいろと…」

「そうか。すまなかった。失礼なことを聞いて」

「こっちも聞きたいことがある。なんでこの世界にいるんだ? 確かあんたはバンカーショット作戦の時に戦死したはずじゃ…」

「それには理由があってな…輪廻転生というものを知っているか?」

 

輪廻転生

死んでも魂は新しい命として生き続ける。あらゆる生物は生まれ変わり、死に変わりし続けることである。仏教で知られる概念の一つだ。

 

「あのとき私は確かに死んだ。そのあと魂は新しい命としてこの世界に転生するはずだったのだが少し問題が起こってな」

「問題?」

「なんでも、私の以前の記憶を消さずに転生させてしまったのだ。ヒューマンエラー(人為的ミス)いや、強いて言うならゴットエラー(神様的ミス?)といえばいいのか。私は困惑したよ。死んだはずなのに子供の姿になっていたのだからね」

「…なんだそりゃ。それって、その、神様のせい?」

「そのようだね。現に幼いころにその神様が出てきて私に謝ってきたぞ」

 

メビウスはそれを聞いてため息が出た。輪廻転生が彼らの仕事ならそれに文句は言わないが、ちゃんと仕事しろよといいたい。まあ。そのせいで彼に会えたのでこの場では感謝するが。

 

「記憶が残った状態で新しい人生が始まったわけか」

「そうだな。最初は驚いてばかりだった。時代でいうなら50年前の世界、ネウロイという正体不明の敵、そして魔法という概念とウィッチ(魔女)…。まあ。そんな中でも精一杯生きてきたつもりだがね」

 

レオナードは出された紅茶を飲みながら物思いにふける。

 

本当にいろいろあった。新しく始まった人生。成人と共にブリタニアの陸軍に入る。そして始まった第一次ネウロイ戦争。毎日繰り広げられる攻防。毎日消えていく戦友たち。そんな中でも指揮を取り、勝利を収めていく………そのときに私はある兵士を助けようと前に出たのだ。そしてその時に―――

 

ふと右手が左腕があった場所を掴む。それを見たメビウス1がどうしようかと思いながらも聞いてみることにした。

 

「その腕は?」

「ああ。前回の大戦のときにある兵士を助けた時に腕ごと吹っ飛ばされてね」

「………そうか。すまなかった。不躾なことを聞いてしまって」

「いいさ。後悔なんてしていない。この腕のおかげで彼女を救えたのだからな」

 

彼女? その言葉を聞いて質問してみることにした。

 

「その兵士は、ウィッチか?」

「ああ。君は知らないと思うが陸戦ウィッチが存在していてね。彼女のストライカーが故障して助けたんだ」

「彼女は? 今何している?」

 

メビウス1は出された自分の紅茶を口に入れる。

 

「家内だ」

「そうかあんたの家内か……………ブッ!!」

 

驚きの言葉を聞いてメビウス1は紅茶を噴き出しそうになるが何とかこらえた。

 

「あんた結婚していたのか! あ、いや年齢考えるとそうなのか」

「ははは。そんなに驚くかね? ちなみに娘もいるぞ。大学の助教授をしている」

 

ちなみにその娘がいく大学は名門中の名門オックスフォード大学であったりする。

 

「そうか。…会ってみたいがそれはできないな」

「やはり機密の問題か?」

「ああ。この世界でF-22Aは危険極まりないからな」

「仕方がないにしても、残念だ」

 

はははと笑いながら2人は会話を進ませる。メビウス1にとっては2年ぶり、ベルツにとって54年ぶりの再会だった。

 

 

 

 

時間にして一時間くらい話しただろうか。そろそろ刻限が迫ってきていた。

 

「時間だな。話ができてうれしかったよ」

「こっちのだよ。ああ、それと1つ聞いていいか?」

「なんだ?」

 

席を立ったレオナードにメビウス1が呼び止める。

 

「お前を転生した神ってどんなだったんだ?」

「どんなだったか? ふむ…確か……」

 

右手を顎に当てて思案する格好をし考えること30秒ほど

 

「確か、聖職者が身に着けるような白い服を着た女性だったぞ。それがどうした?」

「……………いやなんでもない。気にしないでくれ」

「?」

 

レオナードから聞いたメビウス1は内心頭を抱えていた。これは感謝するべきなのか、それとも苦言を言うべきなのか。

 

(まあこの場合は感謝すべきかな。それにしても仕事ミスるとか、案外神様もドジなとこあんのね…)

 

心の中で思っていた。

 

 

 

 

彼らをミーナと一緒に見送る。車が見えなくなったところでミーナがメビウス1に話しかけてる。

 

「一体どんなことを話したのかしら?」

「そうだな。強いて言うなら、向こうで果たせなかった約束…ですかね」

「…そう」

 

察してくれたのかミーナはあまり深く探ろうとはしなかった。

 

「さあ。基地に戻るわよ」

「了解」

 

メビウス1とミーナは基地へと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北アフリカ戦線の重要拠点 トブルク

 

 

そこは北アフリカのネウロイに対し防衛している拠点。町の外は砂漠が迫り、昼は摂氏50度、夜はマイナス30度と過酷な環境だ。

 

そこでアフリカの空を守るために戦う魔女がいる。

 

「マティルダ~。もう一杯頼む」

「ちょっとティナ。飲みすぎよ」

 

ビールを飲むその少女こそ北アフリカ戦線のエース

 

ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ

通称「アフリカの星」「砂漠の鷲」「黄の14(ゲルベフィアツェーン)」

持ち前の明るさと美貌、そして輝かしい戦果でアフリカ戦線を支えるウルトラエース

他のウィッチや民間人からの人気が高いがサインはしない主義だ。

 

その彼女は今。毎日のように従卒のマティルダが営むバーで彼女はビールを飲んでいた。それを隊長である加藤圭子が見かねて止めようとする。

 

「なんだよ~。私はまだ酔ってないわよ~」

「ケイ。彼女の思うままにしてください。この程度で鷲の化身が倒れることはありません」

「そうはいっても」

「はっはっは! やっぱりマティルダは分かっているな! よーしじゃあカンパー」

「急にすいません! マルセイユさんはいますか! ていうかマルセイユさんここにいますよね!?」

 

マルセイユが飲酒を続けようとグラスに口をつけたと同時にバーの入口が勢いよく開けられた。

 

「マイルズ? 一体どうしたのそんな慌てて」

 

入ってきたのはブリタニア王国陸軍第4戦車旅団C中隊隊長のセシリア・グリンダ・マイルズだった。彼女の手にはなにか四角い紙切れがある。自分の楽しみを邪魔されたマルセイユはしかめっ面でマイルズを見る。

 

「なんだよ。あたしに何か用? いま楽しんでるところだったんだけど」

「そんなことよりもこれ見てください!」

 

マイルズはマルセイユに手にした紙を見せる。あれは写真だろうか? そう圭子が思っている間にマルセイユはそれを酔った目で見ていたが映っているものを理解するとそれを奪い取る。その顔はすでに酔いが醒めていた。

 

「マイルズ! これは誰が持っていた!?」

「は、はい! 今日来たブリタニアの補給船の船員が持っていました! 彼らなた今はブリタニアの駐屯地にいるかと」

 

大声で言われたのでビビりながらマイルズは知っていることをマルセイユに伝える。

 

それを聞いたマルセイユはバーからダッシュで出ていた。

(あいつとの約束が果たせる!)

 

マルセイユは心の中でそう思いながらこの写真を持っていたブリタニアの兵士に詳しく聞こうとした。

 

「ああ! ちょっとティナ! 私たちも追うわよ!」

「はい!」

 

バーにいた圭子とマイルズは出ていったマルセイユを追いかけようとバーから出る。

 

「やれやれ、鷲の化身は今日も騒がしい。だが、あなたの気持ちは分かりますよ…」

 

マティルダはマルセイユが置いて行ったビールを片づける。

 

そのバーの端に写真がいくつか置いてある。

 

もとはフリーのジャーナリストだった加藤圭子が持っていたカメラで撮られた写真だ。それは統合戦術航空団の先駆けとなった第31統合戦闘飛行隊「アフリカ」、通称「ストームウィッチーズ」のこれまでの軌跡が映されていた。

 

 

 

その写真たちに映っているのはほとんどが彼女たちだが一つだけおかしな写真がある。

 

そこに映っているのはマルセイユと一人の男の姿。だが、その男はカメラのほうを向いておらず、背中だけが見えている。まるで彼女の背中を任されたようにも見えなくもない光景だ。

 

その男は、マルセイユより身長が高く、およそ180cmかそれ以上だろうか。マルセイユから一歩左にずれて立っている。写真は白黒なので正確なことは分からない。分かることは短髪でマルセイユと同じかそれに近い髪の色をしている。頭には斜めに黒いひもが結ばれている。

 

 

 

 

そして、その男が着るジャケットの背中には小さく、しかしはっきりと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『13』の文字が描かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さあ。あの時の伏線回収です。

これからどうなっていくのだー!?



それとコメント欄でいくつか見受けられたので書きます

メビウス1の女口調ですが、空戦で本気になった時とかではもとに戻ります

それ以外にもありますがおいおい別けていくつもりですので

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