【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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昨日になって知ったのですが、エスコン新作品発表してましたね。

詳しくは分かりませんが、現実世界地図だけが似ている架空世界×エスコン04コラボのストーリーになるのでしょうか?

見ただけでも ストーンヘンジ、アイガイオンらしき空中要塞、モルガン?、震電Ⅱ、PAK-FA? にスカイアイ(L。□_□) が確認できます。

2chは「またかよ・・・」みたいなコメがちらほら見かけますが、私としては面白ければそれでよいと思っています。これで新世代の「メビウス1」が生まれるのであればいいですね

黄色の13出してほしいですね

それではどうぞ


第22.5話「肝油とサウナ」

1944年8月18日 9:00

 

宮藤が夜間飛行に参加してから1週間が過ぎた。あのとき遭遇したネウロイは姿を見せていない。そのかわり昼間ではいつもと同じように不規則な出現となっているネウロイを迎撃した。

 

そして今、食堂に集まっている。

 

「……なんですのこれは?」

 

ペリーヌは目の前に置かれたものをまじまじと見て疑問の眼差しを向ける。そこにはお猪口に注がれたなにやら粘度の高い液体が置いてある。

 

「ヤツメウナギの肝油です。ビタミンが多くて目にいいんですよ」

 

「…………なんだか生臭いぞ」

 

慎重に匂いを嗅いだハルトマンが疑念の表情を浮かべる。

 

「魚の油だからな。栄養があるなら味など関係ない」

 

その横では「大丈夫だ。問題ない」とは言わないがそんな顔でバルクホルンは肝油に口をつける。

 

「おほほほほほ! いかにも宮藤さんらしい、野暮ったいチョイスですこと!」

 

「いや、持ってきたのは私なのだが」

 

宮藤の後ろにいた美緒が告げる。一瞬、ビシッと体が固まったかのようになる。

 

「ありがたくいただきますわ!」

 

そしてペリーヌは、あたかも毒ニンジンをあおるソクラテスのように肝油を一気に飲み干した。

 

「う!?」

 

とたん、顔面蒼白になり悶絶する。

 

「うえ~! 何これ~!?」

「エンジンオイルにこんなのがあったっけな」

 

舌をだし、表情も隠さずまずいと表現するルッキーニと、その横でシャーリーが顔をしかめながらソムリエよろしく肝油の味の感想を述べる。エンジンオイルを飲んだことあるのかと皆が思うが口には出さなかった。そんな余裕がないのだ。

 

「ペッ! ペッ!」

 

吐きだすエイラの横には無言で凍りつくサーニャの姿。

 

「新米だったころは無理矢理飲まされて往生したものだ」

 

「……お気持ち、お察しいたしますわ」

 

みんなの反応に坂本は笑って頭を掻いた。気まずい雰囲気ではないのに空気が重い。

 

「あれ? リーネちゃんは?」

 

いつの間にかいなくなっていたリーネに気が付く。すぐに答えが返ってきた。

 

「リーネなら口をおさえて出て行った」

 

「そ、そうなんだ……大丈夫かな」

 

「………………まずい」

 

栄養があるなら―――と豪語していたバルクホルンは、顔面蒼白を通り越して灰色に近くなりつつある。Wエースの2人がものの見事に撃墜されてしまった強敵、肝油。無言の時間が続く中

 

「もう一杯!」

「おかわり」

 

ただ2人。上機嫌にお代わりを要求するミーナ中佐と全く動じていない顔でいうメビウス1。

その場に居合わせた坂本以外の全員が隊長2人(メビウスは厳密には違うが原隊の隊長という意味で)に対し、尊敬の念を抱いたのは言うまでもない。

 

 

 

 

仮眠を済ませた宮藤はエイラの勧めで初めてのサウナを体験していた。しかしお湯に浸かるのが一般的なお風呂と違いサウナは高温と高湿度だからすぐには慣れない。でも体の芯から温まる感じは同じだと感じ取っていた。

 

エイラとサーニャはサウナを満喫している中、サウナ部屋の隅っこで正座を組み、目を閉じて何やらぶつぶつ呟いている人物が一人いる。

 

「379 383 389 397 401 409 419 421 431 433 439 443 449 457 461 463 467 479 487 491 499 503 509 521 523 541 547 557 563 569 571 577 587 593 599 601 607 613 617 619 631 641 643 647 653 659 661 673 677 683 691 701 709…………」

 

「……なにやっているでしょうか、あれ?」

 

「さあ?」

 

宮藤たちがサウナに入ったときすでにメビウス1が先客としていたのだ。といってもサウナに入ってからあまり時間は経っていないときに宮藤たちがやってきた。退出しようとするところを宮藤に捕まったのだ。彼女の抵抗も空しく一緒にサウナに入ることになったのだ。それからずっと彼女は数字を数えている。

 

(おちつけおちつけおちつけおちつけおちつけおちつけおちつけおちつけおちつけ)

 

当のメビウス1は葛藤の真っ只中にいた。サウナの存在を知ったとき素直に入りたいと思っていた。実をいうとメビウス1は一度もサウナに入ったことがないのだ。軍に入ってからそんな機会などゼロに等しく。別に入りたいと強く思うこともなかった。だが、この基地にサウナが完備されていると知ったとき行動は早かった。

 

そして、入り少し温まったとき宮藤たち夜組の3人が入ってきたのだ。平静を装いながらすぐ出ようとしたが、3人に捕まってしまったのだ。いや、気持ちは分かるよ? 外見女だし、口調も女だけど私男なんですよー!! 目を開けたら負けだ、見た瞬間ストーンヘンジに墜とされる覚悟を持て、そうだ落ち着くには素数を数えるといいってスカイアイが言ってたぞ。

 

………とまあ始まった素数のカウント。今は100桁に到達しているが全然落ち着かない。

 

「あの、メビウスさん」

 

「なに?」

 

「サーニャが何か聞きたいんだってサ。それとなんで目瞑ってんだ」

 

「聞かないで、いろいろ面倒だから」

 

素数を数えるのを止める。目は開けないように開けないように

 

「メビウスさんの国……『ノースポイント』はどんな国ですか?」

 

「どうしてそれを知ってるの……!?」

 

「あーそういえばメビウスは知らないんダッタナ。随分前のこっくりさんのときに知ったんだよ」

 

「ああ……あのときね」

 

こっくりさん。今ではその言葉すら出すのも禁止とされ、とくにミーナの前でいうのは危険と暗黙の了解となっている。とくにオカルト関係で一番の被害者はメビウス1だったのだから笑えたものではない。こっくりさんは質問に霊が答えるらしいからそのときに分かったのだろう。出身地が知れるのはこちらとしてはまずいが知ってしまったのだからしょうがない。と割り切ることにした。

 

「ノースポイントは、簡単に言うなら島国かな。四季があって、その時々の季節に見れる光景が美しいんだ……」

 

メビウス1は自分が伝えられる限りの故郷についてのことを話した。歴史とかそういうものを教えても分からないだろうと思い、自然と食文化の話になってしまった。

 

「メビウスさんの国って、私の国となんだか似てますよね」

 

「扶桑が?」

 

「はい。刺身に鍋、ほかに季節の移り変わりとかいろいろ似てるものがありましたし」

 

言われてみるとそうかもしれない。実際に扶桑を見ないと断言できないが、ノースポイントと扶桑は似通っているところが多い。

 

「帰りたい……ですか? 故郷に」

 

「そりゃあね。向こうにいるあいつらのためにも、こんなところでくたばりたくないし」

 

「あいつらってメビウスの部隊のことカ? なあ、一体どんな奴がいるんダ?」

 

「私を含めた8人だよ。前はその倍の人数がいましたが、部隊編成の見直しで減りました」

 

大陸戦争終戦後、極秘任務としてメガリスを叩く際に、ようやく皆のコールサインがメビウスになった。精鋭たち20人の部隊として戦ったが、その後経費削減等の見直しを兼て8人までとなったのだ。残りは原隊に復帰したが、有事の際にはメビウス隊として戻れるよう措置にしている。

 

そして、メビウス隊として最後まで残った8人が、ノースポイント防衛から終戦までメビウス1と共に空を駆け抜けた強者たちであるのは言うまでもないだろう。

 

「私抜きで一番実力があるのは、メビウス8ですね」

 

「あれ、副隊長さんじゃないんですか?」

 

「メビウス2とメビウス8の実力は拮抗していてね。あいつのほうが紙一重強いかなぁ」

 

「なんでその人が副隊長やらないんですか」

 

「ああ、それなんですが………はあ……………」

 

「???」

 

頭に手を当てて、今までで一番の溜め息を吐くメビウス1を見る3人。しばらくしてメビウス1は話し始めた。

 

「メビウス8は本気を出せば私のスイッチを入れさせるほどの実力なんだ。もちろん副隊長のメビウス2も同じだけどな。だが、あいつの場合ある一点が評価を大きく落としてるんだ」

 

「ある一点?」

 

「とにかく壊すんだよ。部分的に破壊するんじゃなくて、機体そのものを壊すんだ。ついたあだ名が『不死身のベイルアウター』。本人はそれを誇りに思っているからいろんな意味で性質が悪い」

 

はあー、とまた溜め息を漏らす。メビウス8……もとい、オメガ11の戦果はいろいろ悪い意味でずば抜けている。最初に大きな戦果を挙げたのがエイギル艦隊の空母ジオフォンを爆弾で戦闘行動不能に、艦隊の防空の眼であるイージス艦レイヴンを脱出した機体をぶつけて撃沈させている。

 

ストーンヘンジ攻撃作戦のときはイジェった機体をストーンヘンジの砲口に入れて破壊させるなど奇天烈な方法でやってのけている。(さらにいうと、後日のブリーフィングにちゃっかりいた。どうやって戻ってきたし)

 

極めつけはウィスキー回廊の敵野戦飛行場を攻撃するときA-10で出撃した後、イジェクトし敵基地に忍び込んで“Su-47ベルクト”で脱出したことは関係者以外知られていない。その時メビウス1は敵と勘違いして攻撃をかけたのを思い出す。撃墜させずに済んだのはよかったが、いろんな意味で心臓に悪い。いや、マジで!

 

「よく壊すていうなら、ニパも大概だよナ。いや、あっちは運が悪いだけカ」

 

「メビウスさんの周りの人たちは個性的な人が多いんですね」

 

「メビウス8さんかぁ……どんな人かな。一度でいいから会ってみたいです」

 

「止めとけ。もしここに来たら人類の財政が崩壊するぞ。シャレにならん」

 

メビウス中隊の皆の話(といってもメビウス8の話が多くなったが)を終えた自分たちはサウナから出た。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、外で水浴びしに行くゾ。サウナのあとは裸で水浴びに限るんだ」

 

「止めてください死んでしまいます遠慮させてくださいお願いします」

 

「土下座するほど!?」

 

丁重に断り、3人と別れた

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました

Skyfish「なんで素数なの?」

(L。□_□) ≪半人前だったころ先輩から教わった。信じられないかもしれないが、私にも未熟なときがあった。終始慌てていたな。先輩は冗談のつもりだったが私は実践した。おかげで『絶対に動じない空中管制官』の二つ名をもらうくらいにまでなった。今は数えなくても冷静に彼らに指示を出している。まあ、黄色中隊やストーンヘンジのときは内心驚いて、10ケタまで数えてしまったがね≫

Skyfish「因みにどれくらいまで数えられる?」

(L。□_□) ≪100万ケタまでなら余裕だ≫

Skyfish「………ISAFぱねぇ」

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