【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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日本国 扶桑皇国 ノースポイント

この3つは似通った文化をもつ国々だ。

ただ似通っているだけですべてが同じわけではない

しかし、この三国はひとつだけある共通の同じ楽しみが存在する

それがなんなのか。君たちには分かるよね。



それでは、ごゆるりと……


第24.5話「ルッキーニを探せ!」

早朝7:25

 

隊の中で朝早い人を順番にするなら、毎日朝の訓練を怠らない美緒。朝食の当番に当たる2人。その後は、個々人の起床時間になる。

 

その中でもバルクホルンは早い方だ。カールスラント軍人たるもの常に余裕をもって6:30に起きる。その後20分間じっくり時間をかけて柔軟体操をし、7時までに身支度を整える。そして、食堂に移動する。あまりの模範的な動きに自画自賛だと理解するが誇らしく思う。

 

目の前の、ゴミ屋敷の中に寝る同僚を見なければの話だが

 

「起きろハルトマン! 朝食の時間だ!」

 

「う~ん………あと50分」

 

「いいわけないだろ!」

 

毎朝恒例のハルトマンの寝坊を何とかしようと奮闘していた。あと5分で朝食の時間になってしまう。そう思った矢先部屋のドアが思いっきり蹴り開かれた。そして、ジュワ~ン!! と銅鑼を叩いたような音が響き渡る。

 

「朝食だ起きろ……1人は起きているようだな」

 

「オメガか……なんだその手に持っているものは」

 

「何って、中華鍋だが?」

 

メビウス8もといオメガ11が持っているのは中華鍋とすり鉢用の棒だ。それを太鼓のように鳴らしている。

 

「飯だ。起きろ~」

 

ジュワ~ン!!ジュワ~ン!!ジュワ~ン!!

 

「う~る~さ~い~。分かった分かったから、その音止めて」

 

「すぐに来るんだぞ」

 

それだけ言い残し8は部屋を後にした。ものすごく眠たい表情のまま起き上がるハルトマン。

 

「これから毎朝これなの?」

 

「いや、奴が朝食当番の時だけだろう……おそらく」

 

これがフラグなのかどうかは、読者のみぞ知る。

 

 

 

 

 

 

 

「ルッキーニがいない?」

 

午後3時過ぎ。宮藤が作ってくれたおはぎを食べていたメビウス1はミーナから聞かされた内容を復唱した。聞いた話によると、ルッキーニは出撃以外は好きにしていいようで基地中に隠れ家というか秘密基地を多数作っているらしい。

 

「ええ。昨日の夜から見かけていないのよ。ごはんの時間には戻ってくるのだけれど…」

 

「そういえば、お昼ごはんのときオメガさんも見かけませんでしたね」

 

「あいつなら確か朝食終わった後ルッキーニ探しに行ったはずだぞ」

 

朝食終わった後ルッキーニがいないことに気が付いたメビウス8は探しに行ったのだ。

 

『いい年頃の嬢ちゃんが朝食抜くとかいけないな。どこにベイルアウトしたんだ?』

 

とかなんとか言ってたそうな。

 

「とにかく、彼女を見かけたら伝えてくれる? 連絡事項があるの」

 

それだけ言い残しミーナは出て行った。

 

「どうせそこらの隠れ家で寝ているんですわ。私は部屋に戻ります」

 

辛口な言葉をいいペリーヌも出て行った。が

 

「……あっちって、外だよね」

 

「うん……」

 

部屋に戻るなら階段を使わないと行けない。しかし彼女はそれとは逆方向に向かう。あまりの演技力のなさに顔を見合わせる芳佳とリーネ。

 

「私たちも行こう!」

 

「うん!」

 

宮藤とリーネの2人もルッキーニを探しに部屋を出て行った。それを静かに見送る。

 

「これ食べ終わったら俺も行くかな」

 

まだ残っているおはぎを見て食べるのを再開する。

 

「あ~いいお湯だった~。なにか冷たい物無いかな~」

 

どうやらお風呂から出てきたハルトマンとバルクホルンが何かを飲もうと食堂にやってきた。そしてメビウス1の顔を見る。

 

「なんだその顔は」

 

「あはははは! 髭が出来てるよ!」

 

「む……」

 

指摘され人差し指を口のまわりにつけるとそれはおはぎの餡子が。間抜けなように見えるメビウス1だが、その光景はおはぎを美味しく食べる大和撫子そのもので絵になっていた。

 

 

 

 

 

「ここも違う」

 

「次で最後だね」

 

シャーリーさんとルッキーニさんの報告だと隠れ家を造る為に木の板とカナヅチ、ロープ、そして懐中電灯を買っていたことが分かった。木の板とロープは分かるけど懐中電灯を何に使うのだろうと考えた結果地下に新しい隠れ家があると予想した。しらみつぶしに地下室を探索したが見つからない。

 

そして最後の部屋に入ってあるものを見つけた。

 

「これって」

 

「造りかけのイスに、ロープだね。それにカナヅチもある」

 

それはルッキーニが買っていったであろう物だった。どうやらここで間違いないようだ。よく見ると壁にぽっかりと横穴が開いてある。人ひとりがようやく通れるくらいの広さだ。

 

「もしかしてこの中にいるのかな?」

 

穴の中にライトを照らすが何も見えない。

 

「とりあえず行ってみよう」

 

芳佳の提案に乗り2人は穴の中へと入っていく。そして

 

ガラガラガラガラ!!

 

足元が崩れ、2人の姿は穴の奥へ消えた。誰もいなくなった部屋にしばらくした後

 

「ここで最後だな」

 

バルクホルン、ハルトマン。そしてメビウス1が入ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

「いたたたた」

 

「芳佳ちゃんだいじょうぶ?」

 

「大丈夫。私たち落っこちちゃったのかな」

 

「そうみたい」

 

何とか無事だった懐中電灯を手に周りを照らす。先ほどの穴と違い、どこか人の手が加えられたような、それで時代を感じさせる通路だった。空気は温かく湿っぽい。

 

「出口はどこか探そう」

 

「うん」

 

こんな状況ではルッキーニの捜索どころではない。ここからの脱出を考えないと。そう思い暗い通路を歩いてゆく。すると

 

「―――――」

 

「あれ?」

 

「どうしたの?」

 

「今人の声が…」

 

何を言っていたか分からないが、確かに人の声が聞こえたのだ。音がしたほうを凝視すると明るい。どうやらあそこに明かりがあるようだ。

 

「行こう!」

 

リーネの手を引っ張り明かりのある方へ走る。そして目の前が開け、明かりに目が慣れ、それを見た。

 

「な、何これ!?」

 

女神のような大理石の像

古代の戦争を描いたレリーフ

壮麗な白い柱

そして、滾々と湧き上がるお湯を湛えたプール

 

それは遥か昔、古代の文明が栄えていたときに使われていた大浴場だった。そしてその一角に、人影が二つ。

 

「はあ…………いい湯だなぁ」

 

「気持ちいね~…………」

 

探していたルッキーニと、オメガさんが温泉を堪能していた。

 

「お、芳佳君にリーネ君じゃないか! 君たちもどうだ?」

 

「芳佳! それにリーネも一緒に入ろうよ!」

 

「いや、え~っと」

 

「なんていうか」

 

現実に頭が追いつけていないようなそんな錯覚がする。と、その時

 

 

「「「うわああああああ!!?」」」

 

 

ドボボボオオォォォォーーーーーーン!!!

 

 

何かが温泉の一角に落っこちた。そしてすぐに

 

「冷たーーーーーーい!?」

「さっ、さぶいッ!?」

 

水の中から出てきたのはバルクホルンさんとハルトマンさんだった。急ぎ足で温かいお湯の方へと走る。どうやら墜ちたあの場所は水風呂のようだ。

 

「凍え死ぬかと思った」

 

「ここは温泉か? 地下にこんなものがあったなんて―――て、ルッキーニとオメガ! それに宮藤たちも!」

 

どうやらルッキーニを探していたのは私たちだけではなかったようだ。

 

「あれ? そういえばメビウスは?」

 

ハルトマンの指摘に全員(オメガとルッキーニを除く)が固まる。落ちてきたのは二人の他にメビウスの3人だったようだ。でもバルクホルンとハルトマンしかいない。

 

「そういえば、あの水風呂の底。やけに柔らかかったような………」

 

おそるおそる水風呂のほうへと目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぷかぁ~~~~~~……………

 

 

 

 

 

 

 

 

「メビウスさーん!?」

 

メビウス1の救助に動き出す芳佳たち。それを見ていたメビウス8は

 

「イジェクト失敗か。まあいい訓練だろ」

 

1人そう呟いていたそうな。

 

 

 

 

 

 

その後。ルッキーニ発見と古代大浴場遺跡発見のむねを伝えた宮藤たち。遺跡は基地の者で有効活用していくことが決定した。

 

 

「まったくひどい目にあった」

 

「あっはっは。それは災難だったな」

 

 

皆が発見した大浴場を楽しんでいる今、メビウス1、8、スカイアイは普段ウィッチが使っている浴場に入っていた。夜空に浮かぶ三日月を肴に扶桑酒を飲む。今日飲んでいる扶桑酒の名前は『空誉』というらしい。お米の風味が効いて自分好みだ、とメビウス1は思った。

 

「基地の酒蔵覗いたが、さすがに黒竜はなかったな」

 

「あんな高級品求めんな。記憶に留めるだけにしろ」

 

「せっかくこんなに月が綺麗なのになぁ」

 

「確かに……向こうじゃ見れないかもしれないな」

 

メビウス8の呟きにスカイアイも頷く。メビウス1も「だな」と頷き空を見上げる。

 

此処よりも未来に位置する自分たちの世界。技術が格段に進歩した変わりに空気が汚れ、大半の星が見れなくなった。月は見えるが、やはり今見る月と比べるとどこか濁っている。

 

ある意味、本当の月の輝きを楽しみながら3人はゆっくりと語り合った。

 




温泉は 現世に降臨した 極楽浄土である

異論は認めない

※お湯に浸かりながらの飲酒は大変危険です。絶対に真似しないでください。え?なんで彼らはいいのかって?あの3人がそれくらいでくたばるお方だとお思いか


今回でコメディー話は終わりです。ここからシリアスへとA/B全開になります。

覚悟は、できているか?

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