【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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第2話 「尋問」

「ここは・・・」

 

目が覚めると石造りの天井が見えた。

 

「あら?目が覚めたのね」

 

声がしたほうを向くとそこには看護婦と思われる女性がいた。

 

「ここは医務室よ。昨日の夕方にいきなり運ばれてきたから慌てたわ」

「それは申し訳ない。記憶はないのだが助かった。礼を言います」

 

メビウス1は深くお辞儀をした。

 

「別にいいですよ。じゃあミーナ中佐を呼びに行きますのでしばらくここにいてください」

「?ちょっと待ってくれ。その前に質問していいか」

 

部屋を出ようとした看護婦を呼び止めた。ある言葉が引っ掛かったからである。

 

「さっき中佐といったがここはどこかの軍事施設なのか?ノースポイントにこんな施設があるなんて聞いてないが」

 

しばらくの間、顔をきょとんとしていた彼女だがこう答えた。

 

「ここはブリタニア連邦、ウィッチーズ基地よ」

 

と言い残し部屋を後にした。残されたメビウス1は

 

「・・・はぁ?」

 

少々まぬけな声を出していた。

 

(ブリタニア連邦?どこの国だ、ユージアにそんな国は存在しない)

 

メビウス1は今の現状を理解しようと努めていた。だが、答えがまるで出てこない。

まあ、答えなんて出るわけがないのだが。

 

(それにウィッチーズ基地と言ってたな。ウィッチーズ・・・ウィッチ(魔女)?)

 

考えれば考えるほど分からなくなっていく。むしろ考えるだけ無駄なのか?と思えてきた。

 

(魔女の基地ねぇ。箒に乗って呪文でも撃ちあうのか、もしくは魔術師の戦闘機部隊が戦うのか)

 

などと、自分で勝手にどうでもいい想像を膨らませていた。ちなみに魔術師のエンブレムを持つ戦闘機部隊が彼の世界で8年後に表に出てくるのだが、それは別の話。

 

そんなことを考えているとドアが開いた。

 

入ってきたのはオレンジ色の長髪をした女の子であった。部屋の中に入る前になにやら周りを気にするようなしぐさをする。

 

「よし。誰もいないな・・・」

 

それに1人で何かぶつぶつ言っていて不審者以外の何物でもない。なんだこいつとか思っていると向こうから話しかけてきた。

 

「よう、気分はどうだい。少しはマシになったか?」

「ああ、まだ本調子ではないが悪くはない」

 

そうかそうかと言いながらどんどん顔を近づけてきて、

 

「なあ、おまえの機体どれだけスピードが出るんだ?」

 

そんなことを聞いてきた。

だがそんな言葉はあまり頭に入ってこなかった。なぜなら彼女の大きな胸が目の前にあったから。

 

脳内でアラートが鳴り響いているのが平静を保とうと自分を落ち着かせる。

 

(落ち着け!落ち着け!今までの戦闘に比べればこの程度・・・)

 

など考えているがあることばで現実に引き戻された。

 

「なぁ。いま『俺の機体』って言ったよな?この基地あるのか?」

 

「ああ、そうd「そうか!!」(ビクッ)!」

 

相手のあまりの変化にすこし驚くシャーリー。

 

「よかった。無事だったのか。あ~安心した」

「ずいぶんとあの機体が気に入ってるんだな。」

「当たり前だ。長年一緒に飛び続けた相棒だからな」

「そ、そうか。よかったな。で、話を戻すけどどれくらいのスピードが出せるんだ?」

「ああ、それは・・・」

 

メビウス1は自分の愛機の性能を言おうとした口が止まった。

なぜなら、シャーリーの瞳が、なんというか、えーと、その・・・しいたけのようになり輝いていたからだ。さながら新しい玩具を見つけたこどものように。

 

「で?どのくらいなんだ!?」

「あ・・・ああ。速度は985ノット」

「985!?」

「マッハ1.7だ」

 

うそを言った。だがF-22はアフターバーナーを使わなくても超音速航行が可能なため、それだけでも十分速い。

 

「すげえ。音速を簡単に超えられるのか。面白い話聞かせてもらったよ。じゃあな」

「ちょっと待て。お互い自己紹介もせずに行くのか」

 

ああ。と立ち止まりこちらに振り返る。

 

「私はシャーロット・E・イェーガーって名だ。シャーリーって呼んでくれ、お前は?」

「おれのことは・・・メビウスと呼んでくれ」

「メビウスか。変わった名だな」

「よく言われる」

 

また嘘をついた。正直嘘をつくことが嫌いなメビウス1だが上からの命令であるため従っていた。

 

「じゃあな。メビウス」

「ああ」

 

そういってシャーリーが部屋から出ていくのを見届けた。

その顔が何かを企む顔になっているとも知らずに。

 

「あら、思ったより元気そうでなによりだわ」

「起きたばかりで悪いのだがこちらの質問に答えてもらえるか」

 

しばらくして、2人の女性が入ってきた。1人は一昔前のどこかの士官の服を着た赤毛の女性。もう1人は黒髪で眼帯をした隻眼の女性、細部は違うが60年ほど前のノースポイント海軍の軍服に似ていた。

 

・・・なぜ下はズボンを穿いていないのか

 

「質問を返すようで悪いがあんたがこの基地(?)の指揮官か?」

「ええ。カールスラント空軍JG3航空団司令、ストライクウィッチーズ隊隊長ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐です」

「私は扶桑皇国海軍遣欧艦隊第24航空戦隊288航空隊、ストライクウィッチーズ隊所属、坂本美緒だ。階級は少佐。」

 

2人が自身の所属を伝える。聞いたことのない国名だったのでよく分からなかったのだが向こうが言ってくれた以上こちらも応える必要がある。

 

「ISAF空軍第118戦術航空隊メビウス隊隊長、コールサインはメビウス1。階級は少佐。名は・・・申し訳ないがお答えできない」

 

2人は表情を難くしてメビウス1を見つめた。

当然といえば当然の反応だった。名を明かせないことはさらなる疑いがかかることは当然である。

 

「どうしてもお答えできませんか?」

「上からの命令でな。自身の特定に関わるような情報は口外するなと言われている。名前や血液型、生年月日、出身国などすべて」

 

しばし、2人は黙っていたがミーナが口を開いた。

 

「さきほどアイサフ空軍の者と言いましたがそんな名前の軍隊は聞いたことがありません」

「なっ、そんなはずはない。今ではオーシアやユークトバニアに次ぐ軍事力にまでなったのだから知らないはずがないだろう」

「オーシア、ユークトバニアという国も知らないな」

 

ミーナと美緒の言葉で訳が分からなくなっていく。

ISAFどころか超大国であるオーシア連邦とユークトバニア連邦共和国すら知らないと目の前の2人は言ったのだ。

 

「じゃあ2人が知っている国をできるだけ多く言ってくれ。1つでも知っているものがあるかもしれない」

 

それに美緒が「じゃあ私が」と応える。

 

「まず帝政カールスラント、ブリタニア連邦、扶桑皇国、リベリオン合衆国の四大国。ほかにファラウェイランド、オラーシャ帝国、ガリア、スオムス、ヴェネツィア公国、ヒスパニアなどがある」

「・・・すまん。すべて聞いたことない国だらけだ」

 

余計に混乱するだけであった。

はぁ、とため息だけが出てくる。一体ここはどこなのだと。

 

「・・・ひとつ質問してもいいかしら」

「なんだ?」

 

ミーナの顔を見ないで応える。

 

「今、何年何月何日か答えてください」

「?何日か分からないが2007年の5月だろう」

 

おかしな質問を聞きながら即答する。

帰ってきた返事がとんでもないものだった。

 

「今は1944年の5月です」

「・・・・・・」

 

沈黙。顔をあげてミーナと美緒を交互に見る。

信じたくなかったが嘘をついている顔ではなかった。

そもそもこの場で嘘を言う理由が思いつかない。

 

「・・・仮にそうだとして君たちが1944年の人間だと証明できるものは?」

「それは貴様が証明している」

 

美緒がこちらを睨みながらそう答えた。

 

「貴様が寝ている間に貴様のストライカーユニットを調べさせてもらった。分解はしていないが特異なフォルムにレーダーを反射する装甲。さらに機銃の威力と速度が今の技術を集めても作れるものではない」

 

先ほどとは違う雰囲気に押されそうになるメビウス1。

だがこちらも引くわけには行かなかった。

 

「俺と俺の相棒(F-22ラプター)の存在自体が俺が未来から来た人間だと証明するに足ると、じゃあ力ずくで奪うのか?もしそうなら無駄だとしても抵抗するぞ」

 

こちらも2人に睨みかえす。

 

「奪いなんかしないわ。まあ、未来の機体だと予想はしていたけど私たちが使うとどうなるか分からない。今はだれも触れさせないようにしてるから安心しなさい」

 

すこしだけ安心した。このまま相棒が知らない連中にバラバラに分解されるなら拳銃片手に抵抗するつもりだった。

 

「話を戻すけどなんで未来の人間であるあなたがこの世界にいるの?」

「そりゃこっちが聞きたいよ。黒くてでかいレーザー兵器もつ化け物と交戦して勝ったと思ったら吸い込まれて気が付いたらここにいた」

 

メビウス1は独り言のように呟く。

すると2人が

 

「黒い化け物・・・ネウロイだな。」

「その可能性が高いわね」

 

と、なにか知っているような感じだったので聞いてみた。

 

「もしかしてあの化け物のこと知っているのか?」

「さっきから思っていたのだが貴様は本当に未来の人間なのか?なぜネウロイのことをしらない」

「ネウロイという言葉も知らないし、ついでに言うと俺がいた世界の1940年代に君がさっき言ってた国は俺の知る歴史には一つも存在しない」

 

これまでの会話を踏まえてミーナはこう結論づけた。

 

「もしかしたら別の世界、それもネウロイがいない世界の人間なのかしら」

「にわかには信じ難いがな」

「俺には目に映るものすべてが信じられん」

 

そんな感じでメビウス1に対する尋問は終了した。

 

「ちなみに貴女の機体の性能はどうなっているの?」

 

先ほどシャーリーが聞いてきたことと同じことを聞くミーナ。

 

「速度は985ノット、上昇限界高度は50000フィート」

 

驚く2人、だが

 

「このことはシャーリーに言ってはダメね・・・」

「ああ・・・あいつのことだ。やることは目に見えている」

 

と、先ほどの人物でなにか物騒な話をしている。

メビウス1は聞いてみることにした。聞かなければ大変なことになるかもしれないと第六感が働いていた。

 

「なあ、そのシャーリーって奴なにかあるのか」

 

2人は顔をしかめながら答えた。

 

「私の隊員の1人なのだけど彼女ものすごいスピード狂で」

「自分のストライカーユニットを改造して罰を受けたり、バイクやトラックも改造して近くの町まで爆走している」

「何度注意しても聞かないのよ」

 

はぁ、と一際大きなため息を漏らすミーナ。

なるほど苦労しているのだなと考えていたが、つい先ほどのあいつのことを思い出す。

そんなこの彼女の前に音速を簡単に超える機体(彼女にとっては玩具)があればとるであろう行動がすぐに想像できた。

 

「おい!今すぐ俺の機体のところへ案内してくれ!!」

 

いきなり大声を出したメビウス1に驚く2人。

 

「どうしたの?」

「なんなんだ急に」

「お前らが来る前にシャーリーって奴が来て性能を言っちまったんだよ!早くあいつを止めな・・・い・・・・・・と・・・」

 

急いでベッドから出たメビウス1は自身の目を疑った。

なんと自分はズボンを穿いてなくパンツだけだったこと。

 

いや、それ以上に驚いたのは

 

「な・・・な・・・!」

 

自分の足が自分の知る姿ではなく

 

足だけでなく自分自身の体全体が

 

「なんで女の体になってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

 

病室にこれまでにない絶叫が鳴り響いた。




女体化するに至った経緯

エスコンss読んだ
   ↓
現代版ジェットストライカーイラストを見た
   ↓
エスコン×ストパンssあるけど女体化したものあまり見ないな
   ↓
だったら自分で書いちゃおう

後悔はない(`・ω・´)キリッ

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