【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐ 作:skyfish
現在IS 錬鉄の女騎士 がいいところなので そちらのラウラ編が終わりましたら戻ってきます
筋肉もりもりマッチョマンの変態「I'll be back」
気温40℃。炎天下の環境で半袖を着たいと思う気持ちになるが、ここではあまりの暑さに肌が焼けてしまう。この気候に住んでいる人々は全身を覆う服を着て体を守っている。しかし、目の前の男が着る服は誰から見ても暑そうに見えた。
「待て! 私は反対だぞお前の作戦は!」
その男の背後から私は声を荒げて言った。
「敵の拠点にお前1人で行くなど自殺行為だ。だったら私たちも」
「その隙を狙ってカイロからのネウロイに襲撃されたらどうする」
「ぐっ……それは」
ここトブルクは北アフリカ戦線の最前線基地。ここが落ちると地中海の向こうに位置するロマーニャが南北から挟まれる状態になる。故にこの基地の戦力が落ちることは許されない。そんな中ここから南500km付近の砂漠地帯で新たなネウロイの巣らしきものが確認された。そしてそれが目の前の男がよく知るものだということ。
「もし俺の予想通りなら、君たちは近づく前に落とされるほどの防空火器。実際あれを破壊したほうも戦力の50%を失うほどだった。その状態でも半数をあいつ――リボン付きが沈黙させたんだ。あいつにできて俺にできないはずはない」
そして、男は私に封筒を手渡した。彼のいう言葉を聞き、私は反論する。が、彼はそれを私に押し付けた。ハンガーの中へと入る。そこには彼の愛機が完全武装で鎮座していた。
「本当に行くつもりなの?」
機体のそばに圭子が立っていた。
「あれを野放しにはいかない。―――ふん、皮肉な話だ。あれを守る部隊の隊長だった俺が今こうして破壊しようとしているのだから」
「一枚。お願い」
「手短にな」
写真を一枚撮り、彼は愛機に乗り込んだ。主を迎え入れた鉄の大鷲が目を覚ます。あの空の戦場に舞い戻るのではない。けじめをつけるため、彼の翼がこの空に蘇る。
機体の風防が閉じようと動く。完全に閉まる前に私は大声で言った。
「いいか! この手紙はお前が届けることに意味があるんだからな! あの約束ぜっっっっったいに聞かないからな!!」
ビシィ! と渡された手紙を突き出しながら私は言った。
―――絶対に帰ってこい。それ以外は絶対に認めないからな!―――
私が言った言葉の本当の意味を理解したのかどうか分からない。彼はそれに敬礼し軽く笑って返した。
それが私、マルセイユが見た彼―――『黄色の13』の最後の姿だった。
乗り込んだ飛行機の振動で目が覚めた。気流が不安定なのか機体がガタガタ揺れている。
(あの時を夢で見るなんて、な)
「マルセイユ大尉。あと30分ほどで501基地に到着します」
「分かった」
パイロットからの報告に返事をする。私はポケットから一枚の写真を取り出す。
「思っていたよりも早かったぞ」
ひとりマルセイユは呟いた。
夜
それはどの時代でも、戦う上で攻める側は絶好の時間であり、守る側は一層神経を尖らせる時間である。夜間の飛行が容易にできるジェット戦闘機は例えステルス能力がなくとも電撃戦に利用できる。これほど厄介なものはない。
そして、今スカイアイが交代で飛んでいた。基地からサーニャとエイラが飛んでくる。
「スカイアイさん。あとは私たちがやります。もう休んでください」
「こっからはうちらがやるゾ」
「すまない」
「謝る事なんてありません」
本当なら夜もやらなくてはいけないのだが、それだと自分の体がもたない。夜は彼女たちに任せようと判断した。基地に戻ろうとする。と、ロンドンからこちらに飛んでくる何かをレーダーに捉える。
「サーニャ中尉。ロンドンの方角からこちらに来る反応を確認できるか?」
「こちらでも確認しました。おそらくミーナ隊長の報告通りならおそらくマルセイユさんかと」
パパラッチとロンドン市民……いや、おそらく情報はブリタニア国内全域に回っている可能性がある。外に出るのが危険な状態なのにどうしても行くと言ってきかない彼女にベルツから夜間にストライカーでそちらに向かわせる、と連絡があった。確かにそれなら大半の人物の目から逃れられる。何時に出るという話は無かった。念には念を入れた結果からだろう。
「それでは迎えに行ってきます」
「分かった。それまではここで警戒しよう」
「じゃあ言ってくるナ~」
マルセイユを迎えに行く二人を見送ったスカイアイは通信を開いた。周波数はISAFのもの。
「メビウス8。『黄色の14』がもうすぐ到着する。問題は無いと思うが念には念をだ。メビウス1がいる病室に待機してくれ」
≪了解≫
「さて……」
彼女は我々の世界の関係者なのか違うのか。少なくともメビウス1に会いたいと言っている現時点では可能性は低い。しかし、完全に0ではない。まず何の目的で来たのかをハッキリする必要がある。
「もし関係者なら、どう対処すればいいのだ」
仮にエルジア側だったら一触即発だ。そしたら本当に………
スカイアイとメビウス8は隠し持つ小銃が使うことないことを祈った。
そのころリーネはあるものを洗っていた。それはメビウス1がいつも着ていたジャケット。あの戦闘で血まみれになったが本体は穴が開いただけだから洗って縫い合わせばまた使える。赤黒く固まった血を念入りに溶かし落したあと、穴の開いてある箇所を見る。
「あれ?」
その穴はちょうど胸ポケットの下を突き抜ける様になっている。その間に何か神のようなものが覗いてあった。なんだろうと思い、入ってあった中身を取り出す。血がまだべっとりと付着しているがなんなのか分かった
これは、写真だ
入っているのを知らないまま洗っていたから血は少しだけとれている。けどすべて取れきれていない。擦ると血が取れて3枚の写真内容が分かった。
1枚目は何かの集合写真。全員男性だ
2枚目は前の写真にいた黒髪短髪の男性と車椅子に座る黒髪長髪の女性が写っている。
最後も同じ男性が写っていた。それは見たところその人の家族写真だった。家族構成はお父さん、お母さん、その人と妹―――?
「どうして―――?」
「どうかしましたの?」
唖然としているとペリーヌさんがやってきた。リーネは何をしていたか説明する。
「その中にこれが入っていたのだけど、これおかしくありませんか?」
「どれどれ?」
ペリーヌは渡された2枚を見る。それを見ておかしな点にすぐに気が付いた。
「これ。メビウスさんが持っていたもので間違いありませんのよね?」
「はい」
「ならどうして彼女がいませんの? これではこの男性の写真ではないですか」
そう。この写真にはどこにもメビウスさんがいないのだ。それなのになぜこれを大事に持っていたのか。最初は好きな人との写真と思っていたが、車椅子に座る女性は彼女と似ていない。どちらも美しいことに変わりないのだが。
「それと……これを見てください」
リーネは最後の一枚 その男性の家族写真 をペリーヌに渡す。それを見たペリーヌは目を見開いた。
「どうして……宮藤さんがいますの?!」
そこには私たちが良く知る宮藤芳佳が笑顔で写っていた。
メビウス1が眠る病室内でオメガ11―――メビウス8はアレンジしたコーヒーを飲みながら隊長の顔色を眺める。ちゃんと息をしているから生きてはいる。が、その無表情な顔だとまるで死人のようだ。
(大丈夫だ。これくらいのことで死ぬやつじゃない)
そう思いながらコーヒーを飲もうとする。そのコーヒーの水面にうっすらと自分の顔が映る。それに頬の傷跡を見て、昔を思い出した。
私は一匹狼の傭兵だった。ミッションで共にする同業者はいても関わらずやっていた。そして『ユージア大陸紛争』での活動を境にその実力を認められた私はFCU(中央ユージア連合)の正規軍に入れられた。一部隊の隊長となったが、うれしいとは思わなかった。何せ自分は傭兵の出だ。それにも関わらず部下たちは自分のことを親しんでいた。最初は慣れないなかだったが少しずつ、あまりにもとろかったが部隊の者達に気を許すような状態にまでなった。
そして、あの戦争が起き、私の部隊はストーンヘンジの砲撃で落とされた。地上支援のためにA-10で低空を飛んでいたおかげか全員が落ちることは無かった。しかし自分も含め隊の半数が落とされた。私は脱出できたが、できないで機体と共にしたやつが多かった。なんとか生き延びた部下を連れ味方のもとまで辿り着こうとした。あと少しで抜け出せることが出来る。と安心し後ろの部下を元気づけようと振り向いた。
「隊長危ない――――!」
突き飛ばされる私。それに対して反対側に倒れる男。遅れて聞こえてくる銃声。咄嗟に小銃を抜き取り、30m先にいたエルジア兵を撃ち殺した。頬に熱を感じ触れると血が付いた。私に当たるはずの銃弾がかすめたのだった。部下を引きずり隠れる。私をかばった彼は頭を撃たれ即死だった。
「―――馬鹿野郎が……」
傭兵だったころの私ならこんな気持ちは抱かなかった。ただ1人死んだ。とだけ決めつけて忘れるだろう。しかし、この数年で彼らといるうちにあのころと変わったのだ。あのときと比べ強くなったのか弱くなったのか自分でも分からない。だが、あの気持ちは絶対に忘れない。
私は今日もしぶとく生き残り続ける。あいつらの最後を知っているのは私だけだ。あいつらの分まで私は飛び続ける。これからも、ずっと
「お前も同じだろ。メビウス1……?」
眠り続ける隊長にそう呟いた。
「ハンナ・ユスティーナ・マルセイユだ。自己紹介は別にいいよな」
「ああそんなことしなくてもいいぞ。だが何しにお前がここに来たんだ?」
「あ。私のことは気にしなくていいよ。聞くだけだから」
執務室。そこでマルセイユとバルクホルン、ハルトマン、ミーナがいる。ミーナはいつも通りだがバルクホルンはマルセイユと言わば犬猿の仲な関係だ。ハルトマンは出された紅茶と菓子を食べている。
「マルセイユさん。来て早々申し訳ないのですが、質問に答えてください。どうしてここにいらしたのですか?」
「この写真だよ」
マルセイユは一枚の写真を取り出す。そこには小さいがかつて飛んでいたF-4Eの姿が捉えてあった。
「6月くらいにブリタニアを出た輸送船の船員がとった写真さ。それを見つけたからここに来たのさ。それ、ジェット戦闘機だろ?」
なるほど。あのときの戦闘を写真でとったやつだったか。
「これに乗っている操縦者に会いたいんだけど」
「今メビウスさんは先の戦闘で重傷を負って眠っています。彼女の関係者を―――」
「ちょっと待て。電話でも言ってたけど……“メビウス”って言ったか?」
「どうしたマルセイユ? 顔色が悪そうだが」
メビウスという単語が出た途端どこか動揺した顔になる。マルセイユが口を開いた。
「もしかして、“メビウス1”―――“リボン付きの死神”?」
「な、なぜその名を?」
「“リボン付きの死神”? 何だその名は」
バルクホルンは何のことか分からないが、ミーナは表情が固まっている。2人の顔を見てマルセイユは確信した。
「よりにもよってあいつの宿敵か~……世界観的にビンゴだったけど大丈夫かな」
「あいつ? あいつとは誰だ」
「“黄色の13”」
「なに!? 貴様あのねう―――」
“黄色の13”について知っているという口ぶりにバルクホルンがマルセイユを問い詰めようとするが横にいるミーナが彼女の口をふさぐ。
「マルセイユさん。貴女から“黄色の13”について聞きたいの。どんな人物でしたか?」
「どうだったか? そうだなぁ」
腕を組み、真剣に考えるマルセイユ。その間にミーナは小声で話す。
「(“黄色の13”について何か分かるかもしれないわ)」
「(そうか。すまない)」
「(トゥルーデ。メビウスがやられてから落ち着かないよね)」
「(こ、これはあいつのことを心配してだな……!)」
3人がそうこうしている間にマルセイユは言いだした。
「黄色の13は、隻眼のくせに腕が高くて、一カ月で40機近くのネウロイを落として、私が模擬戦しろと言っても『必要ない』って軽くあしらわれて、仲間想いなやつで、私の約束を守らなかったくせに頼みごとを私に押し付ける馬鹿野郎で―――」
私が惚れた男だ
最後の言葉を言った後、ハルトマンが盛大に紅茶を噴き出した。
なかなか書けずにやっとこさ更新しました。最初のころは一年でおわすつもりだったのにどうしてこうなった?
今回、オメガ11の過去を書きました。雑かもしれませんが楽しんでいただけましたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます。