【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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ウォーロック暴走のもう一つの可能性を描いてみました。

それではどうぞ


3月7日追記
赤城は注水機能がないと思っていましたが、劇場版で同型艦の天城が消火のため注水するシーンがあったため修正しました。


第33話「ウォーロック」

基地に戻ると彼女たちは滑走路で盛大なお出迎えを受けていた。

 

「ご苦労だった、ミーナ中佐」

 

「随分なお出迎えですね。基地を乗っ取るおつもりですか?」

 

「乗っ取るも何もここは我々ブリタニア空軍の基地だ」

 

 マロニー大将を代弁するかのように副官の男が勝ち誇ったように言う。

 

「事例に基づく正式な対処だ。この基地は私の配下である特殊強襲部隊、通称ウォーロックが引き継ぐことになった」

 

 マロニーが言い終えると同時にあの機体が下りてきた。

 

「これこそ我々が開発した魔女でなくともネウロイと戦える最強の兵器、ウォーロックだ!」

 

 副官が彼女たちに熱く語る謎の機体“ウォーロック”。

 

「最強の兵器~? ネウロイの攻撃にやられてたくせに」

 

 マルセイユの食って掛かるような発言に怒りの表情をする副官。そして、ウォーロックを見た宮藤は声を上げた。

 

「その後ろの機体知ってます! ネウロイと一緒に実験室みたいな場所で」

 

「!!」

 

「なっ、何を根拠のないことを言ってるんだ君は!」

 

慌てる副官に対しマロニーは眉をピクリと動かすだけで表情は動じていない。マロニーは咳払いひとつすると彼女たちに言い渡す。

 

「これまでブリタニアを守ってきたことは感謝しよう。だが、このウォーロックがある限り、君たちは必要としない。本日をもって第501統合戦闘航空団は解散する」

 

「そんな……」

 

力なくつぶやく宮藤。その時、マロニーの後ろに来た兵士がマロニーと副官に報告した。

 

「報告します。例の魔女が目を覚ましました!」

 

「え」

 

「メビウスが目を覚ましたのか!?」

 

 重体だったメビウスの意識が戻ったことに彼女たちは喜ぶが内心複雑だった。このあと彼女に迫られるのはおそらく技術協力に間違いない。続いてもう1人の兵士がやってくる。

 

「報告します。基地のどこを探しても例のストライカーユニットがありません!」

 

「なに? ちゃんと探したのか!」

 

 報告を聞き眉間にしわを寄せる副官。やはり彼らの目的はメビウスさんのストライカーの奪取も含まれていたのか。いつもなら格納庫に置いてあるはず。無いと言うことはどこかに隠したのだろう。察したミーナは嘘を言った。

 

「彼女の機体ですか? 彼女が被弾したときにパージして海に落ちました。誘爆の危険がありましたので」

 

 それを言った途端2人の顔が変わる。マロニーは残念そうに息をもらし、副官は苦虫を潰したような顔をする。だが、すぐさまその顔は晴れた。何故なら

 

「報告します。例の魔女が我々に協力すると申してきました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだメビウス!」

 

 バタン! とメビウス1が寝ている部屋の扉を開けたバルクホルンは大声で言った。

 

「うるさいぞ。もう少し静かにできないのか」

 

 それに臆することなくメビウス1は出されてパンを頬張っている最中だった。そこにはメビウスのほかに坂本とペリーヌの他に武装した兵士もいる。

 

「どうもこうも、俺が選んだことだ」

 

「なに?」

 

 501メンバーの皆が入ってくる。

 

「聞けばそのウォーロックとやらは無人機だって? ならそのほうがいいと思ったから賛同しただけだ」

 

「………本気で言っているの?」

 

「ああ。本気だ」

 

 食べ終わったメビウス1は立ち上がり服装を整える。

 

「もう一度言っておく。これは、俺のため(・・・・)に選んだことだ。人が決めたことに口を出すな」

 

 メビウスが言い終わるとバルクホルンがメビウスに殴り掛かった。殴られた勢いでしりもちをつく。

 

「………満足か?」

 

「……お前には失望したぞ。メビウス」

 

 バルクホルンは下を向き呟く。メビウスは立ち上がり埃と払うとかつての仲間たちの間を分ける様に進む。その中に宮藤芳佳の姿を見つける。

 

「あ……えっと、あの……」

 

 自分のせいで大怪我させてしまったから何を言ったらいいのか分からない宮藤。メビウスの右手が上がり叩かれると思った彼女は目をつぶる。しかし宮藤の予想とは違い。メビウスは宮藤の頭を撫でた。

 

「無事でよかった」

 

 それだけ言うと再び彼女は歩き出す。メビウスが振り返ることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のため……か~」

 

バスの中でハルトマンは呟く。ハルトマン、ミーナ、バルクホルン、マルセイユの4人はバスを使いロンドンへと向かっていた。

 

「まったくあんな奴らの言いなりになるなんて」

 

「まーまー仕方ないじゃん。メビウスが決めたことなんだからさ」

 

「それでもだ!」

 

「あーもう、うるさいなもう少しその脳筋な頭を柔らかくして考えたらどうだ? こっちは眠くて仕方ないんだ」

 

「誰が脳筋だ! そもそも貴様が眠いのは寝なかったせいだろう!」

 

「うるさいわよ。少しは静かにしなさい」

 

 騒ぐ2人を叱るミーナ。一応まだばれていないが今のマルセイユは大きく服装を変えてポニーテールのサングラスをかけた変装中だ。バスに乗る一般人の目は私たちを向いているが、もしマルセイユがばれたら面倒なことになる。

 

「失礼。隣に座っていいかね? お嬢さん」

 

「ええ。どうぞ」

 

「ありがとう」

 

 乗ってきた初老の男性がミーナの隣に座り新聞を広げる。老人はミーナの顔を二度見て驚いた表情になる。

 

「驚いた。まさかあの501部隊の隊長さんではありませんか」

 

「ええ。そうです」

 

「あなた方にはいつも助けられています。知り合いのベルツ(・・・)さんもお礼が言いたいと言っておりました。失礼ですが記念に握手をお願いできますか?」

 

「はい。よろこんで」

 

ミーナと老人は握手を交わす。

 

「隣の2人はカールスラントのWエースさんですね?」

 

「そうだよ~よろしくね、おじいちゃん」

 

「こらもっと礼儀正しくしないか。ゲルトルート・バルクホルンです」

 

「はっはっ。死ぬ前にお会いできるなんて儂は運がいいですなぁ」

 

 カールスラント組3人と老人の何気ない話は続く。しばらくして後方から2人の男性が降りバスが出発する。

 

「―――――。」

 

「ん? おじいちゃんなんか言った?」

 

「いえ。空耳ではありませんか?」

 

 ハルトマンに笑って答える老人。

 

「3人とも。次のバス停で降りるわよ」

 

「え?」

 

「どうしてだミーナ。次のバス停なんて何もないぞ?」

 

「少し用があってね。重要なことなの」

 

「分かった。起きろ」

 

バルクホルンは隣に寝ている変装マルセイユを起こそうとする。

 

「ん~? あと10分……」

 

「起きろこの馬鹿!」

 

マルセイユを叩き起こしたバルクホルンは彼女を引きずるようにバスを降りる。老人はバスの中から降りた4人に手を振った。バスが走りだす。そのバスにはその老人のみ。

 

「頼みましたよ………ミーナ中佐」

 

 老人の呟きはバスのエンジン音に消えていった。

 

 

 

 

 

 

「ねー。一体どこにいくの?」

 

バスを降り、途中でヒッチハイクして基地から10kmくらい離れた場所から海岸線沿いに歩く。ミーナは小さな紙切れを彼女たちに見せる。そこには

 

基地 北側10km 廃屋

 

とだけ書かれていた。

 

「なにこれ?」

 

「レオナード大佐からのメッセージよ。バスの老人から手渡されたの」

 

「あの老人がか!?」

 

「ええ。相当なプロね。私たちを監視してた人がバスから降りるとき小声で『ひよっこめ……』って毒舌してたわ」

 

驚きながらも4人は目的地の基地が見える廃墟に辿り着いた。

 

「ここがそうか」

 

 バルクホルンは廃墟の扉を開ける。すると―――

 

「はっ?―――ぐわっ!?」

 

 中に入った瞬間組み伏せられるバルクホルン。一瞬のことで気づいたときにはやられていた。

 

「「トゥルーデ!」」

 

「おー。怪力のバルクホルンをいとも簡単に……」

 

「く……誰だ!?」

 

「はあ、少しは警戒しなさい。もし私がマロニー一派の者だったらあなた達終わってたわよ」

 

 バルクホルンを組み伏せていた女性は手を離す。金髪碧眼。長髪の典型的なブリタニア人の女性だった。風格から見てミーナ達より年上だと分かる。

 

「まあいいわ。ようこそ。父がお世話になったわ」

 

「父? 貴女は一体……」

 

「あら。何も聞かされてないの?」

 

目の前の女性はミーナたちに自己紹介した。

 

「はじめまして。私はメアリー・スウィントン。MI5の職員よ。たまに大学の助教授をしているけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ、一応パイロットスーツに着替えたメビウス1は滑走路よこに出してあるF-2AとF-4Eのところに向かう。とホーマーの怒鳴り声が聞こえてくる。

 

「この馬鹿野郎どもが! 死にてえのか!」

 

「どうした?」

 

 聞くとマロニー傘下の研究者たちがまだ無事なF-2Aに手を出したのを止めたのだそうだ。それを見たホーマーは「勝手に起動すると爆発するぞ!」と言い放ったそうだ(もしもの場合としてホーマーと2人で打ち合せた)それを知った途端研究者たちは一目散に機体から逃げ出した。

 

「やっと来たか。さっさと起動させろ」

 

「勝手に動かそうとしてよく言う」

 

 偉そうに言う副官を尻目にメビウスはF-2Aに乗り込もうとする。F-4Eを見ると機首部分。機銃が収納されている場所がこじ開けられていた。

 

「おい。あれどうしたんだ」

 

「破損したウォーロックの機銃と交換した。そんなことよりも貴様は我々の言う通りにすればいいのだ」

 

 小銃片手に脅してくる副官の男に内心舌打ちする。コックピットに乗り込む。と、すぐ横の滑走路から修理されF-4Eの物だった機銃を取り付けたウォーロックが飛びたった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあて。そろそろ行くかルッキーニ―――ん?」

 

もう1つの滑走路からシルフィー ソードフィッシュに乗り込むシャーリーは基地から飛び立つウォーロックを見る。

 

「もう出撃か」

 

「あの音好きじゃないな。メビウスのは キュピイイイイン シュボッ! シュウウウウウウウウウウ!!! ってかっこいいのに」

 

「おいおい。今と未来の機体を比べちゃ勝てるわけないだろ」

 

「イ゛―――だ! やられちゃえばいいのに」

 

 そう言いながらソードフィッシュは発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 空母赤城の甲板 

先ほどまで自分がいた基地を宮藤は眺める。それを見かねたペリーヌは宮藤に言った。

 

「ちょっと。いつまでくよくよしているのですの?」

 

「あ。いえ、少し考え事をしてて。メビウスさんは誰も死ぬことがないからウォーロックに頼ったのかなって」

 

「どうしてそう思ったんだ宮藤?」

 

「………夢を見たんです」

 

「夢?」

 

 宮藤は2人に見た夢の内容を説明する。星が落ちてくる夜空。それを撃ち落とす大砲。そして―――巨大なクレーター

 

「最初はいやな夢だと思ったんです。でも……もう1人のネウロイが見せた映像が同じだったんです。その中でメビウスさんが乗るような戦闘機がたくさん飛んで……互いに撃ち合ってました。ネウロイじゃないのに…………」

 

 宮藤はそこで言葉を切る。

 

「あの人は人がたくさん死ぬ苦しみを知っている。だから、私たちから離れたんじゃないかなって」

 

 再び基地を見る芳佳を見てペリーヌは溜め息を吐いた。

 

「はぁ。宮藤さん。あなた勘違いしてますから言いますわ。メビウスさんは自分のためとおっしゃいましたが、本当は私たち……いえ、宮藤さんのためを思って言ったのですよ」

 

「わたしのため……? なんで」

 

「あなたがメビウスさんの―――」

 

ペリーヌが言う途中で基地を出撃した。ウォーロックのジェット音にかき消された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃屋の置かれた双眼鏡で基地を飛び立ったウォーロックを観察するミーナたち。

 

「さっそく出撃か」

 

「戦果がほしいのかな」

 

 様子を見るハルトマンたちの後ろでミーナとメアリーは情報を交換していた。

 

「そのウォーロックだけどお父さんは「何故動くか分からない」って言ってたのよ。なにかそれらしい情報ないかしら?」

 

「ウォーロックが動く理由……」

 

 ミーナは宮藤が言っていたことを思い出す。

 

「1つ。確証はありませんがネウロイの技術を使っている可能性があります」

 

「ネウロイ!? もしそれが本当ならなんて危なっかしいものを……でもその可能性が一番高いわね」

 

 メアリーは部屋の隅に置いてあるものに手をかける。それはトン・ツーだ。

 

「何故これが?」

 

「急いでたからこれ以外なかったのよ。でも10キロ先にいる仲間に確実に届くわ。そこから本部まで有線だからね」

 

一通りの話を終えると2人は3人のところに移る。

 

「どう? なにか変化はあったかしら」

 

「変化も何も」

 

「アッと間に4機の大型ネウロイがやられちゃった。ていうかどうしてあれビーム出せるんだろ?」

 

 ハルトマンの疑問。なぜビーム兵器を扱えるのか。もしネウロイの技術を使っていると考えれば辻褄は会う。

 

「んん!? どうなってんだ!?」

 

「どうしたマルセイユ」

 

 双眼鏡をのぞくマルセイユが声を上げる。

 

「巣からうじゃうじゃ湧いてる。サイズはバラバラだが、100機以上だ!」

 

「なんですって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全てのネウロイを支配下に置きました」

 

「すごい……予想以上の成果だな……」

 

 勝手に動き始めたコア・コントロールシステム。だがそれは正常に稼働しウォーロックの周辺を飛ぶネウロイを全て支配下に置いてしまった。凄まじい結果に驚きを隠せないマロニーと研究員たち。しかし、突然警報が鳴り響いた。

 

「どうした! 何が起きている!?」

 

「それが、コア・コントロースシステムの稼働率が上昇し続けています!」

 

「馬鹿な! こんな数値がウォーロックだけで出せるはずが……まさかネウロイのコアと共振しているのか!?」

 

 研究員たちの悲鳴が飛び交う。有り得ない現象。だがそうとしか考えられない現象が起きていた。危険を察したマロニーはすぐさま指示を出した。

 

「ウォーロックを緊急停止させろ! これ以上は危険だ!」

 

「ダメです! こちらの命令を受け付けません!」

 

「なに!?」

 

悲鳴のように叫ぶ兵士の報告に、マロニーは驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔眼を使い見ていた美緒は不思議に思った。

 

「どうした。まったく動かないぞ?」

 

 ウォーロック。そしてその周りを囲むように飛ぶ大小さまざまなネウロイはどちらも攻撃せず、不気味な沈黙をとっている。そしたらどういうことだろうか。ウォーロックはネウロイたちに何もせず飛行形態になると巣の範囲内から出てしまった。囲むネウロイたちは何もしてこない。

 

「帰ってきますわ……」

 

 

 

 赤城艦橋では先ほど艦上を通り過ぎたウォーロックを副艦長の樽宮敬喜が双眼鏡で見ていた。

 

「ネウロイと交戦していた機体がこちらに向かってきます」

 

「味方なのか……?」

 

 見慣れない飛行機に艦長の杉田淳三郎は言う。再度ウォーロックを見る樽宮中佐。そのウォーロックがこの赤城に向け攻撃態勢の構えをとっていた。

 

「艦長! あの機体がこちらに砲を向けています!」

 

「なに!? くっ、機関全速面舵いっぱい。総員衝撃に備えろ!」

 

 赤城の左舷90度から来るウォーロックの攻撃の直撃を避けるよう指示を出す。村田艦長の素早い判断が功を奏した。

 

放たれる野太いビーム。それは回避行動した赤城の右舷50mを通り過ぎたが、そのビームは元501基地を直撃しなかったものの被害を与えた。

 

「きゃああああ! ウォーロックが私たちを!?」

 

 振動で倒れ、水柱の海水をあび動けない宮藤たち。3人の中ですぐに動けたのは坂本だった。

 

「行くぞお前たち! 出撃準備だ!」

 

「はっ、はい!」

 

「了解しました!」

 

 赤城格納庫に置いてある自分たちのストライカーを履きに向かう。対空砲の砲撃が始まった。がウォーロックはシールドのようなものを張り全く聞いていない。急いで艦内に入ろうとしたとき艦が揺れ甲板を転がった。

 

「きゃああああ!!」

 

被弾したのだと悟った。

 

≪艦首甲板被弾! エレベータ大破! 火災発生!≫

 

≪艦首右舷区画より浸水発生! 隔壁閉めろ!≫

 

 空母赤城が艦首からゆっくりと沈む。まだそんなでもないがこれが大きくなったら艦尾のスクリューが海面から出てしまい航行不能。いい的になってしまう。ウォーロックはその赤城にさらに攻撃しようとする。がそれを中断して赤城とは違う方角にビームを撃った。空中で爆ぜる1つの火球。その中から突如蒼い海鳥が姿を現し、ウォーロックと赤城の間を擦り抜ける。ウォーロックとは違う澄みきったエンジン音と出力が違うことを証明する大音量。F-2Aバイパーゼロ。誰が乗っているかなんて考えるまでもない。

 

「メビウスさん……!」

 

 F-2Aはウォーロックとの交戦に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地と赤城が燃えるのをミーナたちは双眼鏡を使わなくとも見えていた。

 

「ウォーロックが暴走している! なんで?」

 

「分からない。一体何が……ん? あれは!?」

 

「どうしたの?」

 

「基地からF-2 が出撃した!」

 

「なんですって?!」

 

 といことはあれにはメビウスさんが乗っている。だが今の彼女は危険な状態だ。もしものことがあったら……

 

「それだけじゃなさそうよ。見なさいネウロイの巣を」

 

「え……!! なんだあれ!?」

 

 それを見たマルセイユは驚愕する。100機を超えるネウロイたちが真っ直ぐブリタニアへと向かっているのだ。その中の1割が赤城へと迫る。

 

「一体何が起こっているの?」

 

「それはわからないわ。とにかく、すぐに基地に行きましょう!」

 

「分かった!」

 

「メアリーさんは?」

 

「私はこのことを連絡しないといけないわ。近くの林に私の車を隠してある。それを使いなさい!」

 

「分かりました。ありがとうございます!」

 

 急いで廃墟から出て行くミーナたち。その彼女たちを見送る時間も惜しい今メアリーはトン・ツーで手短に連絡した。

 

 

『緊急事態発生。対象X暴走。ネウロイの大群襲来。レベルSと判断す。繰り返す。レベルSと判断す』

 

 レベルとはブリタニアの組織間で取り決めた問題のレベルをランクづけるものだ。他に高い順からA B C D の4つのレベルが存在する。そしてSは最高レベル。国家存亡の危機。各組織は連携しこれを対処せよ、という意味だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「急げ! 訓練でやっただろう!」

 

「そうは言いましても……」

 

「さすがに階段はキツイ……」

 

赤城艦内の坂本たちは自分のストライカーを担いで階段を上がっていた。エレベータを待っていたら時間がかかってしまうからだ。何とか甲板に辿り着く。

 

「くそ! ここまで傾斜していると発艦が……注水はまだなのか」

 

 赤城の船体は片方に浸水が起きた場合、艦を水平に戻すための注水機能がついている。だがそれが間に合っていないのかまだ艦首が下がった状態だった。そのせいでスクリューの効率が悪くなっている。さらに振動で足元が不安定な今だと発艦が出来ない。

 

「坂本さん。あれを!」

 

 宮藤が指差す方向。そこには大型3 中型5 小型10 のネウロイがこちらへと迫っていた。それに巣から次々とネウロイが出てくる。

 

「こんなときに!」

 

 メビウスはウォーロックの相手をしていてこちらまで手が出せない。苦虫を潰したような顔をする。だが、大型の1機が突然爆発した。

 

「え?」

 

 大型だけじゃない。その周りにいる中型や小型も突如爆発する。なにが、と思っているとネウロイの間を縫うように1人の黒い影が見える。

 

「あれは……!!」

 

 宮藤は息を呑む。当然だろう。その人は、あの時の人型ネウロイだった。

 




いかがでしたでしょうか?

さて、次回ですが私が妄想するお話を存分に書こうと思います。

また、自分がかねがね思っていた『ウィッチじゃないエースはいないのかな?』

で、あるエースパイロットを出します。オリキャラではありません。皆さんがこよなく愛するあの方ですw

ぶっちゃけますとこの人は伏線みたいなものです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

この勢いにのって書きます。目指せ! 今ストーリー一話最大文字数記録2万越え!

次回 第34話「バトル・オブ・ブリテン」

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