【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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遅かったな。言葉は不要か……








はい。待たせてすいません。

一応弁明しておきますが、いろいろとカオスです

どうぞ


第40話「MEGALITH」

1944年9月19日5:30

 

 陽はまだ出ていないものの明るい空の下。彼女たちは海面スレスレを飛行していた。

 

≪レーダーに感。囮艦隊に向けメガリスから小型の大部隊の反応を確認。数……300以上≫

 

「ここまでは作戦通りですね。でも作戦が長引いてしまうと……」

 

「小型だけなら戦闘機だけでも何とかなるだろう。こちらも300機だからな」

 

≪……いや、どうやらそう簡単にはいかないようだ。敵機の機種が判明した≫

 

 スカイアイは敵機の形状を伝えた。

 

≪零式艦上戦闘機、九九式艦上爆撃機、九七式艦上攻撃機、ワイルドキャット、ヘルキャット、ドーントレス急降下爆撃機、デヴァステイター雷撃機!≫

 

「なに!?」

 

 報告を聞きまっさきに驚いたのはメビウス1だった。何故敵が今の時代に合わせた兵器になっているのか分からないが今そんなことはどうでもいい。

 

「おい。扶桑に九七艦攻という飛行機は、魚雷は存在するか?」

 

「九七艦攻は存在するが……魚雷とはなんだ?」

 

 返ってきた言葉に歯ぎしりする。考えてみれば簡単なことだった。この世界の兵器が彼らの世界1940年代の物と酷似しているのは前々から分かっていた。だが、全てが100%合致しているわけではない。この世界と自分たちの世界で唯一違うのはネウロイの存在だ。だから、基本兵器もそれに対応したものが主流になっている。魚雷の危険性など知らないのだ。

 

「スカイアイ。艦隊に雷撃機を優先的に落とすよう伝えてくれ」

 

≪もう伝えた。あとは祈るだけだ≫

 

「ああ」

 

 今は彼らを信じるしかない。

 

「みんな急ぐぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《三国連合艦隊》

 

 スカイアイからの通信を受けた連合艦隊は護衛の戦闘機を上空から襲ってくる爆撃機の排除、低空から迫りくる雷撃機を艦隊が受け持つという形で迎撃態勢を取っていた。既に上空で会敵した戦闘機部隊が交戦に入っている。戦力は拮抗しているがそれでも擦り抜けてこちらにやってくる敵がいる。これほどの大部隊を全て戦闘機部隊だけで防ぎきるのは不可能である。艦隊に近づく九九艦爆とドーントレスに似たネウロイ郡に扶桑艦隊の戦艦長門、陸奥。重巡洋艦高雄、愛宕、鳥海、麻耶、利根、筑摩の主砲が向けられる。

 

「まさかこれを使う時が来るとはな」

 

 戦艦長門、射撃指揮所にいる砲雷長は言う。今主砲に搭載されている砲弾は扶桑海事変での艦対空戦闘の経験をもとに開発され、しかしネウロイの大型化により使われることはないだろうと言われていた物が詰められている。それが今使われようとしている。

 

「三式焼霰弾、発射用意!」

 

≪甲板員は直ちに爆風退避! 繰り返す。甲板員は直ちに爆風退避!≫

 

「距離2万! 仰角30°!」

 

「照準良し! 主砲発射準備良し!」

 

「目標前方ネウロイ郡 撃ち方始め!」

 

 扶桑艦艇から爆音とともに主砲が火を噴いた。放たれた砲弾の一つ。戦艦長門から発射された砲弾がネウロイの目の前で炸裂した。瞬間、炎に包まれ穴だらけになり墜ちていく。搭載されていた砲弾は “三式焼霰弾”扶桑海事変後に考案され開発された艦船用の榴散弾である。時限信管で爆発すると無数の散弾と可燃性ゴム弾がばら撒かれる。小型ネウロイに対して大きな戦果を挙げれるが一つだけ欠点がある。それは信管の調整が難しい点だ。高速で飛んでくる敵に対して爆発時間を調整するのは非常に困難なのだ。現にその他の軍艦から発射された三式弾は、目標を通り過ぎたり、手前で爆発して散弾の威力が弱くなってしまったり、うまくいけば一網打尽にできるが3分の1しか仕留められなかった。

 

「扶桑海を乗り越えた俺たちがやるんだ。いいな!」

 

「右30度、口角40度 敵5接近!」

 

「機銃高角砲撃ち方始め! ネウロイを近づかせるな!」

 

全艦艇からまるでハリネズミのように弾が発射される。扶桑軍人は二度目の、ガリア・ブリタニア軍人は初めての艦対空戦闘が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連合艦隊が作戦通り取り巻き達を引き付けたおかげで彼女たちは本来の高度で飛んでいる。だが、要塞をがら空きにしてはいない。レーダーがこちらに高速で接近する影を50機捉えた。その中9機が他の追随を許さない速さで迫ってくる。

 

「ここは俺たちに任せて先に行ってくれ」

 

「すぐに追う」

 

≪分かったわ。ここはメビウスさんたちに任せて行くわよ≫

 

≪了解!≫

 

 メビウス1とメビウス8を除いた皆が超低空へと避難する。高度8000mに移動した2人はそれぞれの武装を構えた。見えてくる先頭の9機。それを見てやっぱりかと2人は思う。

 

「9機と聞いてもしやと思ったが………」

 

「ああ。本当に亡霊になっちまったか」

 

 二人の目の前にいるのはSu-37 メガリス破壊作戦時に相対した相手。そして、死んだ数が一致する。

 

「片づける。メビウス1、エンゲージ」

 

「メビウス8、エンゲージ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………! 見えた!」

 

海面スレスレを飛んでいる彼女たちの先頭にいるガランドが能力の魔眼でついにメガリスの全貌を見つけた。次第に見えてくるそれを見て、皆が言葉を失う。

 

「何ですのこの大きさは……」

 

「島全部が要塞になってるのカ!?」

 

 それはまるで十字架のようで、巨大な要塞が鎮座していた。これこそがメガリス。かつての災厄、今だユージア大陸の人々の心の奥底に潜む恐怖を利用しようとした悪魔の兵器。要塞が彼女たちを近づけまいとすべての銃口が向けられ発射された。散開して回避する。

 

「全員散開して敵を私たちに引き付けるのよ!」

 

『了解!』

 

 各所に散った彼女たちは要塞の防御火器を1つ、また1つと潰していく。想定していた破壊した対空火器が再生しないことを確認したが、確実に減っているのにその弾幕の量が減らない。

 

「ちょっとー! なんで弾幕薄まらないの?」

 

「おい。あれを見ろ!」

 

 バルクホルンが今破壊した対空機銃を指差す。なんとそれが地下に下がるとまるで何ともなかったかのように新品同前の機銃が出てきた。

 

「なんだよあれ!?」

 

「おそらくストックが用意されているんだ。これではジリ貧だぞ」

 

≪話は聞かせてもらった。全員上空に退避してくれ≫

 

「分かったわ。全員急いで上昇して!」

 

 スカイアイの指示に従い彼女たちは高度を上げる。

 

≪メビウス8、やれ!≫

 

≪アフターバーナー点火!≫

 

 低空から侵入したメビウス8による超音速飛行により発生した衝撃波が大地を揺さぶる。その衝撃が対空機銃を襲う。銃身が僅かに、歪み弾が詰まり暴発するものが多数見受けられた。

 

「エドガーさん。カザマさんは?」

 

≪隊長に任せた。あいつなら問題ない! それよりも突入隊は!? もう頃合いじゃないのか!?≫

 

「突入部隊。準備が整いました!」

 

≪了解した。諸君作戦開始だ!≫

 

≪第一、第二、第三エンジン稼働。魔導エンジン稼働。全システム異常なし。総員衝撃に備えろ!≫

 

 通信越しに向こうの声が聞こえてくる。数秒後、島の沖合500m付近から海中よりその姿を現した。

 

 それはブリタニア海軍が扶桑陸軍の協力の下造ってしまった珍兵器。ブリタニア版三式潜航輸送艇。メガリス内部に侵入するためにはどうしても部隊を投入しないといけない。だが、この時代の方法は航空機からの落下傘降下か上陸用舟艇による強行上陸の二つのみ。

航空機では近づく前に撃ち落とされるし、上陸用舟艇の鈍間なスピードでは容易に撃沈される。そこで白羽の矢がたったのがこれだった。潜水艦の隠密性とそこそこの兵員を目的地まで運搬できる上陸用舟艇としての能力。珍兵器に違いないが今回の作戦に最適な能力だったのだ。運用するに至り、急遽船名がつけられた。

 

Ark(アーク)

 

 名前は旧約聖書に出てくる巨大船『ノアの方舟』から拝借した。堕落した人類を抹殺するために神々が起こした大洪水を乗り越えた船『ノアの方舟』。この神話では神に選ばれたノアの家族だけが生き延びたとされる。そして、神話の世界から遠く離れた今、設計者たちは願いを込めてこの軍艦に名前をつけた。

 

アーク(方舟)

 

 それは気の狂った神によって起こされた災厄を乗り越える希望の船という意味を込めて。

 

 海上に出たアークはそのまま最高速度で島の海岸に乗り上げた。そして、艦首が開くと同時に海兵隊1個小隊と5人の陸上ストライカーを履いた海兵隊所属の陸上装甲歩兵が現れる。老兵の身でありながらベルツが指揮を執る突入部隊と出口を確保するウィッチ部隊だ。

 

「あそこを狙え! あれが入口だ!」

 

「ラジャー! 徹甲弾装填、撃て!」

 

 陸戦ウィッチ5人の斉射により入口が破壊され、そこからメガリス内部に続く通路が見える。

 

「突入隊は私に続け! ここは任せたぞ!」

 

「大佐も御気を付けて! いい皆! 絶対に死守するのよ!」

 

 突入部隊がメガリス内部に侵入したことで作戦の第一段階が完了した。あとは彼らが目標のサブコントロール室がある13階まで到着してくれるのを待つのみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突入部隊が潜入に成功したか………」

 

 レオナード率いる海兵隊が作戦を開始したとの連絡を受け取った坂本とウィルマは静かに彼女たちが今戦っている方角を見つめる。今の私たちが出来ることは彼女たちの帰るこの空母を守り作戦の成功を祈るだけだ。だが、そんなことなど気にしないとでも言うばかりに警報が鳴り響いた。

 

≪レーダーに感! 東より接近する小型ネウロイの反応あり。数50!≫

 

「くそ。 艦隊の迎撃に出ていた敵が私たちに気付いたのか!?」

 

「私も出る! 直掩隊もすぐに発艦準備しろ!」

 

 想定していたとはいえ厳しい戦いになる。坂本は急いで自分のストライカーを装着する。

 

「先行して敵を叩く! 発艦する!」

 

 空母インプラカブルから発艦した美緒は東に進路をとり敵部隊と会敵する。

 

「ワイルドキャットか!」

 

 敵の先頭はリベリアンの艦上戦闘機 F4Fワイルドキャット に酷似したネウロイ。それをすれ違いざまに斬りつける。が

 

(!? 堅い!)

 

 切れ込みを入れたものの完全に斬れなかった。予想以上に堅い構造になっている。

 

(急いでくれ。みんな―――!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その海にはごみが散乱していた。形状の様々なゴミが散在し、そのほとんどが抉られ、穴だらけで、火が付き黒い煙を上げている。その真ん中でポツンと水面に立っているように見える女性が1人。誰かは言うまでもない。

 

 

 

「―――こちらメビウス1。敵航空戦力の完全破壊が完了した。これより彼女たちの支援に向かう」

 

 

 

 メビウス8と共同で20機。残りの30機のジェット型ネウロイをたった一人で殲滅したのだ。使い切ったM61機関銃を海に投げ捨て背負っていた13mm機関銃に持ちかえようとした際急に咳き込んだ。口を抑えた掌には血が

 

(まだだ。もう少しだけ耐えてくれ……)

 

 改めて13mm機関銃を持ち直したメビウス1はメガリスへと飛んだ。

 




Q 何故ネウロイをレシプロ機に真似たのか

A ただやりたかっただけ



魚雷は調べた限りストパン世界には無いそうです。
まあ、ネウロイですし、仕方?ありませんね


まだまだ時間がかかる。ご了承ください

次回につづく

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