【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐   作:skyfish

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それは、すべての英雄たちが望んだ空なのかもしれない


最終話「Blue Skies」

≪こちらレオナード。目的の13階サブコントロール室前に辿り着いたが……≫

 

「どうかしましたか?」

 

≪敵が出てこない。静かすぎる。まるで―――≫

 

バババババババババババッ!!!

 

≪大佐! B扉からクモ型ネウロイが!≫

≪C扉にも!≫

 

≪ええい、やはり罠だったか! 応戦しろ。なんとしても死守するんだ! 聞いての通りだ。急いでジェネレータを破壊してくれ!≫

 

「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 攻略艦隊は敵ネウロイの猛攻にさらされていた。

 

「右120°よりデヴァステイター接近数3!」

 

 インプラカブル右舷側のQF 連装2ポンド砲とエリコンFF 20 mm 機関砲が接近させまいと弾幕を集中させる。1機を撃墜させるも残り2機が魚雷を投下した。

 

「面舵――! 急げ!」

 

 

 スカイアイからの報告で魚雷を恐ろしさを聞かされた艦隊はその回避に必死になっていた。魚雷の恐ろしさは当たり所が悪いと大型艦でも立った一発で致命傷になることだ。船体に穴をあけられるとどうなるかなど誰にでも分かる。魚雷の対処は投下する前に撃ち落とすしかない。そして、投下されたら逃げるしかない。

 

「!! 雷跡1被弾コース!」

 

「どいて!」

 

 本来なら投下された魚雷の対処は逃げるしかない。だが、今この空母にはそれに対応できる女性が一人いる。対装甲ライフルを構えたビショップは被弾コースの雷跡手前に照準を合わせ引き金を引く。手前150mに水柱が立った。

 

「迎撃成功です艦長!」

 

「ああ。だが問題は九七艦攻だ……酸素魚雷……あれに戦艦二隻が被弾している」

 

 魚雷になれない彼らがさらに頭を悩ませているのが九七艦攻型ネウロイから投下される魚雷だった。

 

 『九四式酸素魚雷3型』

   重量:850㎏

   全長:550cm

 弾体直径:45cm

   射程:45ktで3000m

 弾頭重量:250㎏

 

 1940年代にノースポイントが開発した航空魚雷のひとつ。実はこの魚雷、酸素魚雷の技術を注ぎ込んであるのだ。酸素魚雷の特徴は雷跡が見えないことだ。通常の魚雷は燃料消費により排気ガスが発生し、その気泡で魚雷の位置が分かる。だが、酸素魚雷の燃料は酸素で排気ガスは二酸化炭素になる。二酸化炭素は海水に溶けるため雷跡は消滅するのだ。魚雷に慣れていない彼らにとって目に見えないそれは脅威だ。現に戦艦キング・ジョージ五世は左舷に2発、プリンス・オブ・ウェールズは右舷に1発酸素魚雷が命中している。敵は明らかに戦艦と空母の大型艦にのみをターゲットに絞り込み攻撃している。上空からの急降下爆撃機は坂本美緒が、魚雷の処理はウィルマ・ビショップがやってくれている。酸素魚雷の処理は雷跡が見えないうえ海面が反射して見つけにくい。そのため回避するしかなかった。

 

「敵ぃ! 直上! 急降下ー!」

 

 そのとき、上空より坂本と艦載機の防衛網を突破してくるドーントレスと九九艦爆計4機が逆落としを仕掛けてきた。艦長は身を乗り出し確認すると即座に指示を出す。

 

「取り舵! 急速転舵!」

 

 突入角度からどう回避したらいいか瞬時に割り出す。爆弾は投下されるも自分たち右舷100mに落下する。だが、監視員から悲鳴にも似た報告が伝えられた。

 

「か、艦長!」

 

「どうした!?」

 

「左90°より九七艦攻、デヴァステイター型ネウロイ接近! 魚雷投下! 数……11!」

 

「何!?」

 

 艦長はまさかと考える。あの急降下はどこか攻撃が甘かった。もしあれがこのための誘導だったのだとしたら……。確認できる雷跡は5。残り6は酸素魚雷だ。どこにいる? いやそれよりもこのコースはどちらに舵をきっても間に合わない!

 

 そのとき、魚雷と空母インプラカブルの間に戦艦一隻が入り込んだ。ブリタニア海軍キング・ジョージ5世級戦艦1番艦“キング・ジョージ5世”

 

「一体どういうつもりだ! これ以上キングが被弾したら……」

 

「まさか危険を顧みず我々の盾に!?」

 

 空母を狙った魚雷は壁となった戦艦目がけ命中した。6つの水柱が立つ。計8本の魚雷を左舷に被雷したキング・ジョージ5世は速力低下。傾斜甚大になり総員退艦命令が出された。

 

「艦長。キングが………」

 

「救助は駆逐艦に任せろ。彼らのためにも我々がやられるわけにはいかない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「突入部隊が目的地に辿り着きました! これよりジェネレーター破壊に移行してください!」

 

 レオナードからの連絡を受け取ったミーナは彼女たちに次の作戦に移行することを伝えた。正面向かって右・ダクトAをアメリー、フラン、ラウラが。左・ダクトBをバルクホルン、ハルトマン、マルセイユ。横・ダクトCに芳佳、リーネ、ペリーヌのメンバーが突入した。

 

 

 

【ダクトA】

 

 フラン、ラウラ、アメリーの順で3人はダクト内部に突入した。戦闘機一機がギリギリで通れるダクトも人サイズ、ストライカーを履いても精々2m前後であるため余裕に入ることが出来た。だが、慣れない閉塞感か、入口から目標までそんなに離れていないのに上空から飛んだ時よりも長く長く感じられた。

 

「最大速力で突っ切るぞ」

 

「OK。私の後ろから着いてきなさい。アメリー! 後ろ任せたわよ!」

 

「はい!」

 

 もしものために護衛を2人付けた編制だったが、突入時すでに敵航空戦力を壊滅させたおかげで追手はなかった。これなら大丈夫かもしれないとアメリーは思う。だが、決して簡単ではないと通信が聞こえてくる。

 

≪K扉にも敵だ。入れるな!≫

 

≪アルトマン、手榴弾を使え!≫

 

≪火炎放射器だと?! 伏せろ!≫

 

≪撃て撃て! 階段のところだ!≫

 

 通信越しにメガリス内部の戦闘が音声のみで聞こえてくる。自分たちの成功を待とうと必死に戦っている。急がなければ彼らは全滅してしまう。

 

「もうちょい……見えた!」

 

 通路を上って行った先、目立つように赤く光るものが見える。あれがジェネレーターだ。

 

「ラウラさん!」

 

「ああ。目標破壊する!」

 

 ジェネレータのそばに対空し、アメリーとフランに守られるなかラウラは銃を構え引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

【ダクトB】

 

≪ダクトAのジェネレータ破壊開始! のこり2つ!≫

 

 ダクトAに突入した部隊がジェネレータに取り付いたと通信に流れてくる。

 

「スピード出すぞ着いてこいよお前ら!」

 

「貴様に言われなくとも」

 

「そのつもりだよ」

 

 先頭からからマルセイユ、バルクホルン、ハルトマンの3人が進む。

 

≪こちらタンゴ2、通路6に増援をお願いします!≫

 

≪だめだ手が回せない! 持ち堪えるんだ!≫

 

≪あきらめるな!上の連中がなんとかしてくれる!≫

 

≪後退!後退!≫

 

≪そいつは死んでいる、置いていけ!≫

 

 より激しさを増した戦闘音が聞こえてくる。分かり切っていたことだが既に戦死者も出ている。彼らの死を無駄にはしない。

 

「あれだ!」

 

「トゥルーデ!」

 

「ああ!」

 

バルクホルンの両手に持つ機関銃が火を噴いた。

 

 

 

 

 

【ダクトC】

 

≪ダクトBのジェネレータ破壊開始! 残りは宮藤さんたちだけよ!≫

 

≪背後をつかれました!完全に袋のねずみです!≫

 

≪こちらチャーリー1、限界です!後退します!≫

 

≪まだだ、あきらめるな!≫

 

 聞こえてくる通信を聞きながら宮藤たちはダクトCを飛ぶ。こんな狭いところをメビウスさんたちは戦闘機で通り抜けたのかと思うと背筋がぞっとする。メビウスさんの強さは天性のものだと思っていた。だが、実際は違う。戦争を経験し、多くの戦場を渡り歩いた経験から積み重なった実力なのだ。

 

「あれですわ!」

 

「芳佳ちゃん」

 

「うん!」

 

 3人のなかで一番の火力をもつ13mm機関銃を持っている宮藤がジェネレータに向け銃弾を発射する。だが傷一つつかない。

 

「堅すぎる!」

 

 その間にも突入隊の被害は増していく。

 

≪チャーリー1、応答しろ!どうした?!≫

 

≪くそ、このままじゃ全滅だ!≫

 

≪ジェネレーター破壊はまだか?!≫

 

 私が手こずっているせいで人が死んでいく。このままでは埒が明かないと判断し3人全員でやることにした。

 

「リーネちゃん、ペリーヌさん! お願い!」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

 三人同時に銃弾が発射される。赤く光るジェネレーターにひびが入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バツン という音と共に停電が起こった。そして非常用の電源に切り替わったのか最低限のランプだけが薄暗く光る。

 

≪ミーナです。聞こえますか!? ジェネレーター全ての破壊を開始しました。そちらの様子は!?≫

 

 連絡を受け取りレオナードは後ろに振り返った。そこには固く締められていたはずの扉が開放されていた。

 

「いいぞ、扉が開いた!突入!突入!」

 

「他の奴等は退路を死守だ! 帰り道を守れ!」

 

 十名も満たない隊員がサブコントロール室に入る。それと同時に足の動きが止まる。見た光景に言葉を失った。サブコントロール室の床にはこの研究者たちだった死体が転がっていた。

 

「ネウロイがやったのでしょうか………」

 

「………………そうだろうな」

 

 部下の質問にそう答えたベルツ―――レオナードだが彼は真実を見極めていた。

 

(コアの暴走で閉じ込められて、発狂して互いに殺し合ったか)

 

 あまりにも凄惨な光景に憶測とはいえ部下に恐怖を与えるようなことなど言えないためネウロイの仕業だということにした。そんな血の海の中心には5㎝にも満たない小さな赤い結晶が置いてある。ネウロイのコアだ。

 

「コア周辺に爆弾をセットしろ。ありったけだ、ケチるな!」

 

「おい。手榴弾も括り付けるぞ!」

 

 コアの周りに爆薬が設置される。1つはタイマーを5分に設定した時限爆弾だ。準備を進めている間、部下があるものを見つけた。

 

「……? 大佐。これは一体」

 

「どうした?――――これは!?」

 

 それは1つのモニター。映し出されている画面を見てベルツは驚愕した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪緊急事態だ! ミサイルの発射シークエンスが作動している!≫

 

「なんですって!? 残り何分ですか!」

 

≪もう1分をきっている! あと40秒だ! こちらも急ぐ! 予定変更だ予備の導火線を出せ!≫

 

 

 

 想定外の事態だ。弾道ミサイルの発射が始まっていた。基地破壊も当然だが、ミサイルの破壊も成功させないと意味がない。

 

≪コア爆破の準備が完了した。急いで脱出する!≫

 

「了解しました。全機上空に上がってください。これよりミサイル撃墜のミッションに入ります!」

 

『了解!』

 

 ジェネレータ破壊に参加していた9人も上がっていく。弾道ミサイルを内蔵している場所は特定しているため発射直前に開いたところを攻撃すればいい。しかし、そうさせまいと最強の対空火器ファランクスが今までよりも比べものにならないほどの弾幕を張る。

 

「くそっここまで来て……!」

 

「対空火器は任せろ!」

 

 声と共に一陣の風が機銃郡を抜ける様に飛んでいく。通り過ぎた後ファランクスは弾倉が爆発したり、砲身が斬れ使い物にならなくなっていた。メビウス1だ。素早い立ち回りですべての対空火器を翻弄している。ファランクスは超高速で飛来するミサイルを撃ち落とすために作られている。だが、今のメビウス1を捉えきれていない。追い切れず懐に入られ、破壊されていく。同様にメビウス8もハルバードを振り回して一帯のファランクスを一掃する。その光景の中宮藤は見えた。メビウス1の口から血が滲んでいるのを。

 

「メビウスさん血が」

 

「俺のことは後回しにしろ! 来るぞ!!」

 

 メビウス1が言うと同時に、弾道ミサイルの発射口が開いた。

 

 発射したミサイルをバルクホルンが能力の怪力でへし折り。サーニャがフリーガーハマーで撃ち落とす。各々がミサイルを撃ち落としている中たった一つだけ、大型ミサイルだけが残されていた。入口は開いているが、そこには対空機銃搭載の四足型ネウロイが防御を固めている。

 

「俺が行く」

 

「ダメです! 死ぬ気ですか!?」

 

「大型ミサイルは強力な妨害電波を搭載している。発射されたら作動して攻撃できなくなる。その前に内部に突入しなくちゃいけないんだ! 時間が無い!」

 

「でも入口があれじゃあ「私に任せてください!」え?」

 

 返事をしたのは角丸美佐。彼女は弾倉から銃弾を取り出すとそれを拳で殴りつけた。能力の金剛力を付加させた銃弾は、艦砲の破壊力にまで上がる。戦艦の主砲斉射に似た大爆発は入り口前の敵を一掃した。角丸は右手を抑える。

 

「行って!」

 

「ああ、でも出口は……」

 

「俺に任せろ隊長! 大穴開けてやる!」

 

「…………ミサイルは?」

 

「ない!」

 

「あーもー、 知らねえからな! って、芳佳! なに抱きついてんだ離せ!」

 

 いつの間にか背中から宮藤はメビウス1に抱き着いていた。ストライカーは穿いていない。

 

「行くなら私も行きます」

 

「はあ!? だめだ離せ!」

 

「いやです!! カザマさんこそ無理しすぎです。治癒魔法かけます。言ったじゃないですか。どんな傷も治して見せるって」

 

「………勝手にしろ。但し、振り落とされんなよ!」

 

「はい!」

 

 芳佳がしっかりとメビウス1にしがみつき治癒魔法をかける。二人は青い光に包まれる。

 

(なんだこれは? 今までの治癒魔法と違う。なんというか………すごく温かい)

 

 出血による息苦しさがなくなる。それだけじゃない。こんなにも体が軽く感じるのは初めてだった。これが本当の宮藤の魔法によるものなのか。不思議な感覚になるもそんなに深く考えている時間はない。

 

 さあ、決着のときだ。

 

 終わらせよう。お前を

 

 終わらせない。世界を

 

 ここはお前のいるべき世界じゃない!

 

「アフターバーナー点火! メビウス1、突入する!」

 

 最後の突入だ。青い流星のような2人に弾幕が襲い掛かるも全く当たらない。通路に突入し真っ直ぐ進むと見えてきた。大型の弾道ミサイル。真黒な色だけで他は全く変わらない。禍々しいそれにメビウス1は機銃を向けた。

 

「ガンアタック―――墜ちろおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 引き金を引く。野獣のうなり声のような音を立てて、13mm機関銃が火を吹いた。ミサイルの下から上まで弾が尽きるまで叩きこむ。そして、一発がミサイル燃料タンクに当たり爆発を起こした。それを皮切りに爆発が連鎖し大型ミサイルが崩れてゆく。

 

 

 

≪メビウス8、イジェーーーーーーーーーヽ(0w0)ノーーーーーーーーーークト!≫

 

 

≪ええええええええええええええ(゚Д゚)えええええええええええええええ!!??≫

 

 

 

 頭痛くなる通信と聞きなれた台詞が聞こえてくる。そしえ上部開閉扉が爆散。出口ができた。

 

(やりやがったあの野郎……)

 

 イジェクトしてストライカーをぶつけたんだ。あまりの所業に見ていた彼女たちが驚いているのだろう。だが、おかげで脱出口は確保した。

 

「出るぞ!」

 

「はい!」

 

 崩れ落ちるミサイルの弾頭はまだ起爆していない。その前に自分たちは上の脱出口向けまたアフターバーナーを点火した。

 

 

 

 サブコントロール室。誰もいなくなったその場所で火のついた導火線が火薬に引火した。爆弾に引火したそれは小さなコアを破壊するには十分すぎた。コアを失ったことによりメガリスの崩壊が始まった。運命の巡りあわせかこの世界で再誕した王は再び目覚めることない長い眠りにつく。大型ミサイルを収容していた場所からも炎があがる。そして、中央、一際大きな火柱が立ち上る。その中から青い光が飛び出してきた。

 

「目標破壊しました! 作戦成功です!」

 

「いたぞ、レーダーにメビウス1を確認した!」

 

≪こちらレオナード、飛びこんだウィッチは無事か?≫

 

「彼女は無事だ。今ここから視認している」

 

 メガリスから脱出した後下を見下ろした。メガリスが音を立てて崩れ落ちていく。

 

「ぃやったーー!」

「よかった………」

「芳佳ちゃん!」

「うん! やったよリーネちゃん!」

 

 表情は様々だが皆作戦の成功に喜んでいた。これでブリタニアに平和が戻ると。あの悪魔の兵器を破壊することができたのだと。

 ふと横を見るとスカイアイとメビウス8がいた。メビウス8はストライカーを履いておらずスカイアイに肩車してもらっている状態である。スカイアイ若干キレかかっているのが伺えた。

 

 ふと、体に違和感を感じた。自分の体を見て合点がいった。

 

「リーネ。宮藤をお願いする」

 

「え? どうしてですか」

 

「―――どうやらここまでのようだ」

 

 皆がメビウス1を見た。彼女の体が白く光り透けているのだ。起こっているのは彼女だけではなかった。

 

「おお!? 俺もだ」

「どうやら元の世界に戻るらしいな。なんて間の悪い」

 

 スカイアイのいう通りだ。作戦成功の喜びを分かちあう時間もないなんて。

 

≪向こうに帰るのか?≫

 

 隊員収容に待機していた潜水艦に向かうボートの上からレオナード……ベルツが話しかけてきた。

 

「ああ。そうらしい」

 

≪そうか……いや、そうであるべきだな。あるべき世界に戻るんだ。こちらのことは心配しないで行くがいい。そのかわりと言っては何だが―――向こうをよろしく頼む≫

 

「ええ、貴方こそ」

 

 メビウス1たちはもうこの世界に干渉できない。彼は前の世界に戻ることなど許されない。もとは同じ仲間なのにどうしようもなく隔たれた大きな溝がある彼らは仲間を信じ託すことにする。どちらも世界観が違う自分が生きる世界の平和を祈って。

 

≪総員。敬礼≫

 

 レオナードの言葉に海兵隊が、ウィッチたちも同じく彼らに敬礼した。メビウス1たちも同じく敬礼で返す。

 

 光が彼らを包んでいく。

 

「どんなときでも仲間を大切にしろよ。それが大きな力になる」

 

 メビウス8が仲間の大切さを

 

「どれほど苦難に合っても諦めないことだ。私たちと同じように」

 

 スカイアイが諦めない強さを

 

 

 

そして―――

 

「生きろよ。世界は絶望するほどに、残酷だ。だがその分、幸福とか、希望とか、世界にたくさん溢れている」

 

最後に生きることの喜びを伝えた。501の皆を見渡して笑顔で言う。

 

「まあ、なんて言うのかな。君たちとの日々も悪くなかった。………楽しかったよ。ありがとう」

 

そうして、彼らを包んでいた白い光は刹那閃光するとリインという鈴の音を奏でて弾け消える。光の残滓は白い羽根となって舞い落ちる。

 

「こちらこそ、ありがとう。貴方がたには本当に助かりました。どうか、お元気で」

 

「メビウスさん………さようなら」

 

かくして、彼女たちとユージアの英雄たちの物語はここで終わりを迎える。

 

彼女たちの頭上、

 

平和を取り戻した空が彼らを祝福する様に青く青く広がっていた。

 




はい。とりあえずですが『ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐』
最終話を迎えることができました。ここまで付き合ってくださった読者の皆様方本当にありがとうございました。私自身初めての二次小説をボロボロながらも書き終えることができたのはほかでもない読者様方の皆様のおかげです(感謝感謝)

次回、エピローグその他を入れまして今作品の最後とさせていただきます。もうしばらくお付き合いくださいませ。今までありがとうございました。

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