【完】ACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐ 作:skyfish
2人は話の続きを始めた。
「つまり、俺の機体はそのストライカーユニットになっていると?」
「形状から見て間違いないはずです。我々のものと異なりますが異世界の戦闘機を元としているなら飛ぶには問題は無いでしょう」
「そう言われてもな。操縦の仕方が分からないなら乗れないのも同然だと思うが」
仮にあれを履いたとしてもどうすればいいのか。しかもあれを履いている自分の姿が想像できない。
「昨日あなたを救助したとき、あのストライカーユニットを履いていたと報告にはあります」
「あれを履いていた?俺が?」
「ええ、もしかしたら動かせるんじゃないかしら」
俄には信じられないことだった。あんな状態の相棒でも飛ぶことができるかもしれないのだ。試に動かしてみることは可能だろうか。
「じゃあ、13:00に試運転を兼ての性能の確認を行います。それでいいわね」
「分かった。その時はよろしく頼む」
こうして動くかどうか分からないが、相棒を飛ばすことが決まった。
まだ隊員の皆に顔を合わせる段階ではないので病室で昼食を取ることにした。
少しだけ待っていると昼食を持ってきたのが
「よ~。待たせたな~メビウス」
シャーリーだった。先ほどと比べて大分回復しているようだがまだ疲れているのだろう。
「おいおい。大丈夫か?それと相棒に勝手に乗るなよ」
とりあえず、釘を刺しておこうとする。
「フフフ・・・。私は夢を簡単に諦める女じゃないのさ!」
・・・こいつ。まだ諦めていなかったのか。
「だがどうやって動かすんだ。ミーナ中佐から聞いた話じゃ動かす前に魔力切れ起こしたそうじゃないか」
「それはもう解決済みさ!」
今度はどうしようというのだろうか。また、変なことを起こす前に聞いてみることにする。
「どうすんだよ」
「そんなの簡単だ。お前があれを操縦する、私はそれに乗れば魔力を使わなくとも音速を超えることができる!」
ガッツポーズを取りながらシャーリーは力説した。そんな彼女に非情な現実とやらを教えてやることにする。
「その案、無理だぞ」
「この作戦で私は・・・へ?」
シャーリーの間抜けな声が響く。しばらく無言が続いたがこちらから話を切り出すことにした。
「あの機体はもともと単座、一人乗りだ。それに無理やり乗り込まれると失速しかねない」
相棒に乗ること自体を諦めてもらうためにいろいろ言った。第一危険極まりない。
シャーリーはというとフリーズしているように見えた。
「え・・・だめ?」
「だめ」
それだけで会話は終了した。シャーリーはため息ひとつして部屋から出ていく、涙を流しながら。
(泣くな、強く生きろ)
心の中でそう励ましメビウス1は食事を始めた。
昼食を食べ終えたメビウス1は格納庫にある愛機の前にいた。本当に履けるのかこれ?と思いながら機体を見つめていた。
「どうした。乗らないのか?」
後ろから坂本少佐が話しかけてきた。
「いや、乗る前に確認するが助けられたときこの格好してたのか、俺?」
「ああ、そうだ」
改めて自分の服装を確認する。上は渡された私服に何故か普段着ていたフライトジャケットだった。下は・・・パンツ一枚だけである。彼女たちから見れば制服の一部らしいから変な目で見られることはないが、それでもこっちが気にしてしまう。
「ジェット機乗るには耐Gスーツ、ヘルメットが必要不可欠なんだが・・・不安だ」
「はっはっはっ!まぁ試運転するには見つけた時の格好にするのがいいだろう」
「にしても下パンツ一枚・・・いや、君たちからいえばズボンか。これはどうにかしないとこっちの身が持たん」
メビウス1は大きくため息をはいた。これは試験飛行が終わった後にどうにかしなければ。
「坂本少佐、だれでもいいから余っているのもがあればジーンズか男性用の作業服がほしい」
外見でいえばスカートなのかもしれないがあんなもの履きたいと思わない。絶対に。
「そうだな、高射砲部隊か整備部のところに聞いてみよう」
「助かる。で、これをどう履けばいいんだ?」
メビウス1は少し躊躇っていた。足を入れる場所は分かっているのだがとりあえず聞いてみた。
「そこに穴が開いてあるだろう?そこに入れるんだ」
予想通りの返事が返ってきた。ふと、気になったことを口にする。
「そういえばこいつは機械の塊だから足を入れるスペースなんてあるのか?」
「ストライカーユニットに入れた足は魔法で別次元に移動するから問題ない」
なんか不可能なことすべて魔法で補っているのかと思えてきた。
「そろそろ時間だ。準備してくれ」
「了解。相棒に乗るはずなのに変な気分だ」
疑心暗鬼のままメビウス1はF-22と思われるストライカーユニットに足を入れた。
その時、頭に直接“ピィィィン”と電子音が響いたのを感じた。
それと同時に表には出さないものの動揺するメビウス1
(なんだこれ?操作は全く違うのに手に取るようにわかる)
そんなことは余所に灰色の猛禽類はその眠りから徐々に目覚める。
キィィィィィィというエンジンの甲高い音が格納庫に反響する。
美緒はメビウス1を真剣な表情で見つめていた。
(ものすごい量の魔力だ。宮藤の数倍かそれ以上の魔力量だな)
そう心の中で思い無意識に口から
「これが未来の戦闘機・・・」
と呟いていた。
その頃、滑走路にはストライクウィッチーズ隊の皆が集まっていた。
「いったい何が始まるんだろうね」
「ちょっとだけ楽しみだね。芳佳ちゃん。」
「昨日助けた方のストライカーユニットの性能の確認と聞きましたが」
「ミーナの奴、あんな得体のしれないやつを得体の知れないストライカーユニットに乗せて試験飛行するなんて」
「いいじゃんいいじゃん、トゥルーデ。面白そうでさ」
「お前はもう少し危機管理というものをだな!・・・」
「ウジュ?シャーリーは?」
「シャーリーさんは、“あいつのスピードをこの目で確かめてみたい!”といって飛んでいきましたよ」
「えっ、でもミーナ中佐から罰則として格納庫と皆のストライカーユニットの清掃って言われてなかった?」
「リベリアン・・・ミーナに報告が必要だな」
「そういえばエイラさんもいないですね」
「エイラさんとサーニャさんなら例のストライカーユニットの性能の確認のためもう空にいますわよ」
宮藤、リーネ、ペリーヌ、バルクホルン、エーリカ、ルッキーニの5人が集まっていた。
理由はもちろん昨日助けたウィッチが履いていた不思議なストライカーユニットの試験飛行をすると聞いて。
「一体どんな機体なんだろうな~」
「ジェットストライカーなのかな?」
宮藤とリーネはそれぞれの想像を膨らませていた。
「あまり期待しないほうがいいですわよ」
「そうだぞ・・・お。ようやく出てきたな」
皆の視線が格納庫から出てきた陰に注目する。
私たちが使うものとは違う構造を持ちとても滑らかに見える。
操縦者を見るとあることに気が付いた。
何か鳥の羽のような耳や尻尾があったが、頭の右側の髪にあるものが結ばれていた。
「・・・リボン?」
「油圧、電子系統、制動系に異常なし。燃料は・・・ん?MAXになっている?」
少しおかしいと思った。この世界に飛ばされる前の戦闘で燃料はすでに半分は切っていたのを覚えていたからである。
「メビウス1よりミーナ中佐へ、いつの間に燃料を補給したんだ?」
≪燃料なんて入れてないわ。それにさっきも説明したけどストライカーユニットのエネルギー源は操縦者の魔力よ≫
そう言われてメビウス1は思い出す。ということは
「これは俺自身の魔力・・・ってことか」
≪そういうこと。他に質問はあるかしら?≫
「いや、大丈夫だ」
機器の最終チェックを済まし、管制塔に連絡する。
「メビウス1、離陸準備完了。指示を待つ」
≪こちら管制塔、発進を許可する≫
「了解。メビウス1、離陸する」
管制塔からの指示を受けてメビウス1はエンジンに火をつけた。
ゴオオォォォォォ!!とジェット機特有の轟音をあげてスピードを上げる。
滑走路が短すぎると思ったが、それよりも短い距離で離陸ができた。
≪エンジン始動から30秒もかからずに離陸!?≫
ミーナ中佐の驚きの声が通信を通して聞こえた。
「こちらメビウス1、離陸完了した。どうすればいい?」
≪あ・・・ええ、基地上空にエイラさんとサーニャさんがいますので合流してください≫
索敵レーダーを起動する。出てきた情報が直接頭の中で映し出される。
「これか。ん、反応が3つ?もう一人はだれだ」
疑問に思いながら近づくとそのもう一人がシャーリーだと気付いた。本当に相棒のことが気に入っているらしい。
「・・・すごいスピード」
「ダナー。でも音がうるさすぎるナ」
「やっぱり私の予想は間違いではなかった!」
3人で短い会話をし通信を入れた。
≪メビウス、聞こえるか?≫
「ああ、通信はクリア。シャーリーと君たちは?」
≪私はサーニャ・V・リトヴャクです。性能の確認をするため呼ばれました。サーニャと呼んでください≫
≪私はエイラ・イルマタル・ユーティライネン。エイラでいいゾ≫
2人が名前を紹介してくれた。名前からしてサーニャはユークトバニア系かなとメビウス1は思った。
「こちらメビウス1、どうすればいい?」
≪はい。これから最大速度と上昇限界高度の確認をやります≫
≪中佐から聞いた話だと速度985ノット、高度50000フィート。本当ナノカ?≫
≪マジだって!今もうちらよりスピード上じゃん!≫
そんな返事が返ってきた。当たり前だな、こいつ(F-22)はこの時代、この世界にないものなのだから。
「こいつの性能は君たちが確認してくれ。こっちの準備はOKだ」
≪あの・・・一つだけ問題が≫
「なんだ?」
≪なぜか分からないけどストライカーユニットの反応が弱いのですが・・・≫
反応が弱い・・・ああ、そういうことか。メビウス1は胴体下ウェポンベイを開く。そこからAIM-120C AMRAAM(中距離空対空ミサイル)が姿を現す。
≪うおっ、開いた!?≫
≪あ、映った≫
≪なんだあの長いモノ?≫
機体のウェポンベイを開けたことで目を丸くする3人。
「これで問題ないか?」
メビウス1の言葉に無言でうなずくサーニャを確認する。
「メビウス1、これよりスピード性能の確認を行う」
と言ってもアフターバーナーの存在は伏せてあるので最高速度を偽る形になるのだが。
スロットルをあげてどんどん増速する。魔法がかかっているのかスピードの対しての風圧は少なかった。だが、速度が上がるにつれて大きくなっていく。
「現在時速1400km以上・・・!」
「スゲ~・・・」
「ああ!一度でいいから乗ってみたい!!」
シャーリー、エイラ、サーニャの3人はそれぞれの感想を口にしていた。一方地上の面々も
「想像以上のスピードね」
「距離15kmをあっという間に飛行か」(魔眼使用)
「えっ!?もう見えなくなっちゃった」
「速いねー」
「一体何者ですのあのウィッチ」
「うじゅ!シャーリー絶対よろこんでそう」
「簡単に音速以上のスピードを出し、そのうえレーダーに引っ掛からない装甲をもつストライカーユニット・・・」
「これ見たらウルスラどんな反応するかな?」(ワクワク)
と十人十色な反応をしていた。
「現在870ノット」
全身で風を受けながら報告する。しばらくそのままの速度だったので加速をやめた。
≪時速、約1600kmでストップしました。≫
≪985ノットまで出てナイナ≫
≪おいおいメビウス。もしかして出し惜しみしたのか?≫
通信から3人の話が聞こえてくる。シャーリーが言ってきたので理由を説明した。
「ウェポンベイを開いたままだからな、その分空気抵抗が増えたんだ。普段は閉めているから985ノットは出せる」
言い終えると同時に≪へ~≫と驚くような感心するような返事が聞こえてきた。
「それじゃあ、今度は上昇限界高度の確認を行う」
機種を上にあげて上層を開始する。高度10000フィート・・・15000・・・20000・・・
「メビウスさん、高度12000mを突破しました」
「どんどん上がってイクナー」
「すっげー!すっげー!!!」
あまりの性能に驚く2人と目を輝かせるやつ1人。
「現在50000フィート!・・・限界か」
1人呟いて体を水平にした。すると眼下に広がる絶景。戦闘機の性能から見て可能だったが、一度も見たことがなかったので思わず見惚れてしまう。
≪高度、約15000mで止まりました≫
≪おいメビウス、どうした。もう戻ってきていいぞ≫
「・・・ああ。こんな絶景はあまり見たことがなくてね」
≪なに!どんなだったか基地に戻ったら教えろよ!≫
≪高度15000mからの風景・・・私も聞きたいです≫
≪サーニャが聞きたいなら興味あるな≫
3人が今俺が見ている風景に興味津々のようだ。
「分かった。基地に帰ってからな。メビウス1、これより帰投する。 RT・・・」
あるものを見かけてメビウス1は黙ってしまった。あまりにも分かりすぎる異常を目にして。
「こちらメビウス1、ミーナ中佐。聞こえるか?」
≪聞こえるわ。どうかしたの?≫
メビウス1の通信に応答するミーナ。
「南の空・・・大陸の空に黒い積乱雲のようなものが視認できるが」
そう。メビウス1は大陸の空を覆っている黒い雲を見つけたのだ。それがただの雲ではないとメビウス1は感じ取っていた。
≪それはネウロイの巣よ。そこからネウロイが生まれているの≫
「あれがあの化け物の巣か・・・」
メビウス1はそれを少しの間だけ見続けた。大陸を占領したネウロイ。奪われた故郷を取り戻そうと奮起し最後の砦である島国を守る人々。
(あのときのノースポイントといっしょだな)
心の中で呟き、基地へと帰って行った。
最初は使い魔無しのリボンだけの設定だったのですが「ユージアの猛禽」という言葉とストパンの世界観に合わせるため使い魔ありにしました。
使い魔はハヤブサ(私はこのイメージが強い)
因みに皆さんはエスコンキャラに使い魔つけるとしたらはどんなだと思いますか?
まあだいたい想像つくと思いますが私としては
メビウス1 ハヤブサ
黄色の13,4 大鷲
オメガ11 わかんない
ウォードック隊 ラブラドール・レトリバー
ラーズグリーズ隊 説明不用
おやじさん 鷹
チャーリー11 どうしよう・・・
サイファー 番犬ガルム
ピクシー 鷲
PJ カラス
スカーフェイス1 不死鳥
ガルーダ隊 神鳥ガルーダ
グリフィス隊 ハゲワシ
あれ? こうしてみると主人公勢赤いの多くない?(元ネタ含めて)