とあるファンタジーな世界。
モンスターと人が存在するファンタジーな世界。
いわゆる『ドラゴンクエスト』と呼ばれる世界でとある一行が人々の生活を脅かす存在。魔王を見事に打ち倒し、王宮で晩餐会が行われていた。
その一行のメンバーは、
勇者(男)
魔法使い(男)
賢者(女)
剣士(女)
盗賊(男)
格闘家(男)
の、六人だった。
王様はこの六人に褒美を取らすと言いました。
その内の、魔法使い(男)と剣士(女)は魔王を倒したのを機に褒美として城で結婚式を開くことになった。
賢者(女)はいつの間にかいなくなった幼馴染である盗賊(男)の後を追う為に一足先に城を跡にしている。褒美として、それを支える資金と情報を渡すことになった。
あの二人が帰ってくるころには、その子どもの顔が見れるとパーティーメンバーの誰もが思った。
既婚者である格闘家(男)は妻と息子がいる村に道場を構える事を願い出た。王様はそれを気持ちよく承諾した。
最後は勇者(男)である。
勇者は未婚者で女性に興味津々の17歳。
王様は何でもくれてやると言ったので王様の傍にいる王女様(美少女)との婚姻を願い出ようと思っていた。
王様や貴族。そして王女様もそれを望んでいるように今か今かと勇者の言葉を待った。
勇者はこれで俺も彼女持ち&将来安泰!リア充だぁあああああっ!と、内心はしゃいでいた。
その時の拍子に胸に手を当てて王様に王女様との結婚を言おうとした時だった。
バキリッ。
と、豪華な服にあしらわれていたアクセサリーの一つを握りつぶしてしまった。
と、同時に勇者の脳裏に自分のレベルがよぎった。
魔王を倒したのは伊達じゃない。
今の自分の力は野生のクマなど鼻で笑い、ドラゴンすらも素手で殴り倒せる。
そんな力を持つ人間が王女様とやらかす際、誤ってミンチにしてしまったら・・・?
王女絞殺。罪人確定。国を追われ、帰る場所を失い、かつての仲間達からも人でなしと言われるだろう。
というか、今の自分とやらかすことが出来るのは剣士(女)並の耐久力がある女性でなければだめだ。
だが、勇者はマッチョは趣味じゃない。
かといって、王女様にレベルを上げてもらう訳にはいかない。
王女様は温室育ちだし、レベル上げには命の危険が伴う。
だが、勇者が抱くことが出来る女性は高レベル且つ耐久力のある女性。
一応魔法で体を強化することもできるが、素手で岩を割ることが出来る勇者の行為にはたして王女を含め、普通の女性が耐えきれるだろうか?
答えは否である。
勇者(男)は言いました。
「魔王がいなくなったとはいえ、魔物や心無い人間の行為に心を痛めている人達が世界中にいる。そんな人達を助けるために再び世界を旅する許可をください」
と、
もちろん、これは建前。
本音としては、
『美少女な王女様でいちゃこらしたいけど力がありすぎて殺してしまうかもしれない、そんなことになったら全世界に指名手配されちゃうから、冒険者の美少女を見つける為の旅に行きたいです!』
と、勇者(男)は心の中で絶叫していた。
その言葉を聞いた王様綾王女様。貴族たちは勇者が旅に出るのを惜しみながらも数日後彼の背中を見送ることになる。
だが、彼等以上に勇者は惜しんでいた。
(・・・やっぱり王女様を連れてレベル上げの旅に出ればよかったかな)
と、
そして時が流れる事・・・。
六十年。
レベルを上げすぎた勇者は結局高レベルの冒険者を見つけることが出来ず、女性の肌を知ることなく、どこかの洞窟の奥地で隠居しながら、その生涯を全うした。
『納得いかねえ!』と殴り書きされたメモを片手にしながら・・・。
そんな勇者(男:童貞)の魂が天に召された後、勇者はルビスという神と対峙していた。
ルビスは言った。世界を救い、更にはモンスター達を虐殺するのではなく人間たちとの懸け橋になるように奔走した勇者にお礼を言った。
そしてルビスは言った。
今度、貴方の魂が生まれ変わる時に自分が出来る範囲で融通すると。
勇者(男:童貞)は言いました。
今度生まれ変われるのなら、人並みの身体能力の男の子にしてください。と、
身体能力が普通なら女の子達とも仲良くなって、やらかしたとしても殺すことはないから。と、
勇者(男:童貞)の執念は死してなお、失うことはなかったのである。
そして、勇者であった魂が転生して、五年後。
勇者は自分の状況を改めて確認した。
モンスターも魔王もいない『日本』という国に生まれ落ちた勇者は『天空(てんくう)遊左(ゆうさ)』。愛称ユーサというどこにでもいそうな男の子になっていた。
その体の身体能力はそれこそ平均的な物だった。だが、その体に内包している前世勇者だった魔力とその魔法が使えることに気が付いた。
魔法を?
1.使う。
2.ばれないように使う
3.使わざるを得ない。
1を選んだ場合。最悪モルモット扱いされる。変な宗教家に神様扱いされる。どちらにせよまともな人生は遅れそうにない。
よって、これは却下。
2だが、実は既に選択済みである。
体に内包している魔力が全盛期の勇者の力で、使わないと次第に溜まりきって体がはじけ飛んでしまう。それなので仕方がなく常時魔法耐性が上がる『マジックバリア』・防御力が上がる『スカラ』の二つの魔法を使っている。
自分の体の中で発動するように仕向けているので他人はおろか、両親だって気が付かない。
そして、3。
「皆さんしっかり座席におつかまり下さい!当機は間もなく墜落。じゃなくて不時着いたします!」
「今、墜落って言った!墜落って、言ったぁああああ!!」
「畜生、この仕事が終わったら俺は田舎に残している彼女と結婚するはずだったのに!」
「もう駄目だっ。おしまいだぁああああっ!」
「助かると信じろっ。奇跡も希望もまだ残されているんだよ!」
「おかあちゃあああああんっ!!」
「・・・これを乗り切れたら。おれ、もう何も怖くない」
「お前だけは絶対に父さんと母さんが助けてあげるからね!」
「まだ諦めるなっ!これが終わったら一杯奢ってやる!」
などなど、
ユーサの家族が乗っているジャンボジェットが乱気流に巻き込まれ、墜落中である。
ユーサはそんな状況で自分に出来ることをやるのであった。
(ばれませんように!ばれませんように!ばれませんように!ばれませんように!)
「スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト、スクルト」
墜落中のジャンボジェットの乗員全員に防御力がアップする魔法をかけ続けるユーサ。
パニックを起こしているからかほとんどの人間が自分の体が薄く光っている事に気が付かない。
だが、ほとんど。である。そして、それに気が付いたのはユーサの向かい側の席に座っている一人の少女と目があった。
これがのちの受難になるかもとユーサは予感していた。
前世勇者。全盛期
肉体の強さ:ドラゴン級
魔法:準魔王クラス
運の良さ:2。スライム以下
女性経験値:0
現世ユーサ
肉体の強さ:ふつう
魔法:準魔王クラス
運の良さ:1。道端の石以下
女性経験:これから積めばいいさ!