ラブライブ! 〜変わらない笑顔〜   作:PJIMO OO

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第二話 転入

 

 

朝、新しい日の始まりであり、動物たちも活動を始める時間

鳥がさえずり、天然の目覚まし時計となり、夢心地の人を覚醒させる

 

「zzz…」

 

この青年もまだ夢心地

 

「隼人、起きなさいよ」

 

すると彼を呼ぶ声がする

少し高い女性の声

重たい瞼をこすり、体を起こす

 

「起きないと遅刻するわよ」

 

「ん〜…」

 

ぼんやりとした視界で焦点はうまく合わない

目を声のするほうに向けると赤い髪が見えた

彼は本人かさえも確認せず

 

「真〜姫〜…」ギュ

 

「えっ!ちょっ、きゃあ!」

 

隼人は前のめりで声のするほうへ腕を伸ばし抱きつく

声の主は隼人の体重と勢いに負けて尻餅をつく

 

「イタタ…、なにすんのよ〜」

 

「zzz…真姫…♪」

 

「はぁ…、全くもう…///」

 

呆れたような声だったが不思議と嬉しそうな声でもあった

真姫は自然と隼人の頭に手が伸びてしばらく撫でていた

 

 

 

 

 

 

「真姫、なんで起こしてくれなかったんだよ〜!」

 

「何度も起こしても隼人が起きないからよ!」

 

「それでも始業の10分前とかほっとくのも程があるぞ!?なにしてたんだよ?!」

 

「えっ…、そ、それは」

 

真姫と隼人は猛ダッシュで音ノ木坂学院へ登校していた

理由は真姫が時間も忘れて隼人の頭を撫でていたことにある

 

「ヤベェ!ほんとに間に合わねぇ!こうなったら」

 

「こうなったら?」

 

「よっと…!」

 

「ゔぇぇ!?ちょっと!降ろしてよ!///」

 

隼人は真姫を所謂お姫様抱っこで再びダッシュする

 

「よし、ギリ間に合いそう!」

 

「よし、じゃないから!早く降ろして!」

 

「で、教務室何処だ真姫?」

 

「話を聞きなさいよ!」

 

真姫は隼人と別れて自分の教室に急いだ

なんとか間に合い、授業に支障が出なかったことにホッとした

 

「真姫ちゃん、おはよう」

 

「凛、花陽。おはよう」

 

「今日は遅かったけど、寝坊でもしたの?」

 

「ま、まぁね…」

 

「かよちん、ちがうにゃ。きっと男の子がらみのことにゃ」

 

「えっ!そうなの真姫ちゃん?」

 

「えっ…えっと〜///」

 

(えっ…図星かにゃ?でたらめだったのに)

 

「そ、そんな事いいから。早く授業の準備しなさいよ。先生来るわよ」

 

「あっ、本当にゃ!」

 

「じゃあまた後でね、真姫ちゃん」

 

二人は自分の席に戻り先生が来るのを待った

 

 

 

 

 

 

その頃隼人は

 

「う〜ん?何処だここ?真姫を降ろしたらすぐ走ってたし、場所聞くの忘れたな」

 

教務室に行くのに迷っていた

隼人は何度も通った場所をグルグルしていた

 

「君、どしたの?あんま見た事ないから転入生かな?」

 

「ん?」

 

後ろから声をかけられ振り向くと自分より少し高い男子生徒に声をかけられた

隼人よりガタイが良く、しっかりしている

 

「いやぁ、教務室に行きたいんですけど、この学校に来る初めてだから」

 

「やっぱ転入生かぁ、教務室はこの廊下をまっすぐ行って右に曲がるとすぐだよ」

 

「本当か!先輩ありがとう!」

 

「どういたしまして〜、あと廊下走るなよぉ」

 

隼人はなんとなくのんびりしてる先輩に感謝すると走って急ぐ

 

「根古屋くん!貴方遅刻よ!早く教室に行きなさい!」

 

「はぁ〜い、ただいま〜」

 

その先輩も先生に急かされ教室に行く

 

 

 

 

 

 

あの後隼人は担任に怒られ、一年生の教室に連れて行かれた

 

「じゃあ私が呼んだら中に入ってきてね」

 

「わかりました」

 

先生が教室に入り、しばらくする

 

「はいってきて」

 

「はい!」

 

ガラガラッとドアを開けて、教壇の上に上がる

パッと見ると男子生徒もいて、少し安心した隼人

元女子高だった事もあり、不安でもあった

 

「初めまして、一之条 隼人です!趣味は水泳と釣りだ!三年間よろしく!」

 

「みんな仲良くするのよ。じゃあ一之条の席は……西木野の横ね。西木野、一之条のこと頼むわね」

 

「は、はい」

 

「じゃ、授業始めるわよ。教科書はP42ね」

 

そして授業が終わってみんなから質問攻めになっている隼人

 

「ねぇねぇ一之条くんは部活動するの?」

 

「う〜ん、まだ決めてないかな。ゆっくり決めるよ」

 

「なら是非、私たちの陸上部へ!」

「いやいや、俺たちの野球部に!」

「あえて、私たちの吹奏楽部へ!」

「何を言うか!我が柔道部に!」

 

各部活から熱烈な勧誘を受ける隼人

 

「えっ…え〜と。お、俺…用事思い出した〜!」

 

「一之条くんが逃げたわ!追うわよ!」

 

「「「おぉ!!」」」

 

対処に困った隼人は脱兎のごとく駆け出し校内に逃げる

それを逃すまいと大勢で隼人を追いかける勧誘組

それ以降も休み時間は何処からともなく勧誘組が現れ、鬼ごっこの繰り返し

 

放課後

 

「はぁ…めっちゃ疲れた」

 

「大変だったわね…」

 

やけにやつれた隼人は真姫と一緒に廊下を歩いていた

 

「なぁ、真姫。なんか良い部活ないかなぁ?他の部活入ったら俺大変なことになりそうなんだけど?」

 

「隼人は一度、大変な目にあった方が良いかもね」

 

「そんな事言わないで紹介してくれよ〜」

 

今にも泣きそうな声と目で真姫を見つめる隼人

 

「も、もう!そんな顔で見ないでよ!しょうがないわね…」

 

「本当か!?サンキュー真姫!」ニカー

 

「ッ?!……別に…あんまりにもかわいそうだから///」プイ

 

隼人は相当嬉しかったのか満面の笑みでお礼を言う

頬を赤らめそっぽを向いて自分の髪をクルクル回す

 

(なんで照れるんだ?素直じゃ無いのは知ってるけど…。う〜む、女の子は難しい)

 

(久しぶりに隼人の笑う顔見たら咄嗟にそっぽ向いちゃった…。変に思われて無いわよね?多分自覚無いわね、この天然ジゴロ…。そ、そんな事より)

 

「取り敢えず私たちの部活見てみる?」

 

「ん?真姫ってなんか部活入ってんのか?」

 

「アイドル研究部よ」

 

 

 

 

 

 

真姫に連れてこられてとある部室の前に来た

ドアには『アイドル研究部』とだけ紙に書かれてテープで止められただけのあまりパッとしない感じ

 

「ここよ」

 

(そういや真姫、スクールアイドルしてたよな。今日色んな事あり過ぎて頭からすっ飛んでた…)

 

「何してるの?入るわよ」

 

「お、おう」

 

ガチャとドアノブを捻り中に入ると部屋はアイドルグッズで埋め尽くされており、主にスクールアイドルのCDが多い

 

「西木野、入部希望者か?」

 

「新先輩、いえ見学ですよ」

 

「そうか…。サポート役がもう一人欲しかったが」

 

一番奥の席で小説を読んでいる銀髪ショートで薄緑色の瞳をした先輩が真姫と話していた

 

「まぁゆっくりして行ってくれ。もう少ししたら他の部員も来る」

 

「は、はい!」

 

「ハハッ、そんなにかしこまらなくてもいいさ。そう言えば自己紹介してなかったな。俺は進藤 新(しんどう あらた)二年生だ。よろしく」

 

「そっか、じゃあ…。俺は一之条 隼人だ。新先輩よろしく!」

 

「あぁよろしく」

 

自己紹介も終わった事で談笑していると誰かが部室に入ってきた

 

「あれ…真姫ちゃん、新くんと……誰かなぁ?」

 

「どうしましたの穂乃果?」

 

「どうしたの?」

 

茶髪をサイドテールで結んだ人と青い髪をロングヘアーにしてる人にベェージュの髪を変わった留め方をしてる人が部室にきた

 

「穂乃果、海未、ことり。こいつは一之条 隼人。西木野の幼馴染みだ。隼人、右から高坂 穂乃果、園田海未、南 ことりだ。三人とも9人組のユニットμ'sとして活動してる。μ'sを作ったのもこの三人なんだ」

 

「本当っすか?!先輩凄いっす!」

 

「え?そ、そうかなぁ〜///凄いかなぁ///えへへ」

 

「穂乃果ちゃん頑張ったもんね」

 

「そうね、μ'sは穂乃果から生まれたと言っておかしく無いわね」

 

「それに真姫も仲間に入れてもらって嬉しいです!真姫は歌も上手いし、この前見たらダンスも出来るようになってたし、俺すっげぇ嬉しかったっす!」

 

「そっかぁ!じゃあ隼人くんもアイドル研究部に入ろうよ!」

 

突然穂乃果から入部の誘いが来た

 

「おいおい、穂乃果。隼人は見学だって「やります!!」え?」

 

「俺が真姫や皆さんの手助けになるなら喜んで!!一之条 隼人、アイドル研究部入ります!!」

 

「本当!?新くん!サポート役の子これで揃ったよね?」

 

「あ、あぁ…。隼人は本当にいいのか?」

 

「新先輩、隼人は一度決めたら絶対曲げないから言うだけ無駄よ」

 

真姫が新の質問を代わりに答える

 

「そ、そうか。なら隼人、今日は練習はないから動くのは明日からでいいぞ」

 

「はいっす!」

 

最終下校が近づき、部活で残っていた生徒が続々と帰っていく

 

「隼人、ちょっと残ってくれないか?」

 

「?いいっすよ?真姫、昇降口で待っててくれないか?」

 

「いいけど…、早くしてよ」

 

「OKOK」

 

真姫が部室を出てシン、と静寂が訪れる

聞こえるのは下校中の生徒の会話と鴉の鳴き声

 

「なんか用ですか?」

 

「あぁ、隼人。お前、転生者だろ?」

 


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