ガンダムビルドファイターズ IL   作:アンスリューム

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製作!自分だけのガンプラ

 翌日の放課後、ガンプラバトル部の部室にはケイが自宅より持ち寄った製作ツールが運び込まれていた。小学生の頃から小遣いを貯めて買い集めてきたものの為、決して高価な道具ではないが一通りは揃っている。

 

 「予算の事サカキ先生に相談して良かったわね。三人分のガンプラと塗料代を予算として出してもらえて。」

 

 「そうだね。ガンプラを作ることもこの部の活動内容だけど正直おもちゃに学校の予算を出してもらえるか不安だったんだ。でもサカキ先生が説得してくれたみたいでほんと感謝しなきゃだね。」

 

 予算の件でかなり尽力してくれたサカキに感謝しつつ、三人は購入してきたガンプラを机の上に並べる。前日話し合って決めたケイのゲルググ・キャノン、アキのドムトルーパー、しかしコウタのガンプラはGキャノンではなくシルヴァ・バレトになっている。

 

 「でもコウタが急にシルヴァ・バレトを手にとって無言で差し出してきたときはびっくりしちゃった。確かにあのガンプラなら僕のコンセプトにも一致するし、さらにGキャノンに加えようと思ってた改造の手間も省けて一石二鳥だったけどね。」

 

 「ああ、これは良い物だ。」

 

 「あれだけこだわりは無いとか言ってたくせに現金なやつねぇ。ま、あたしはイチゴショートが食べられたから満足だけど。」

 

 「あはは・・・はぁ今月お小遣いきついなぁ。気を取り直して製作に取り掛かろうか。ガンプラの作り方は人それぞれだからこれは飽くまでも僕のやり方だから、他の人とは違う部分もあると思う。」

 

 「はーい。」

 

 「コウタは何度も作ってるから自分のやり方で作ってくれていいよ。むしろ塗装とかはコウタの方が断然上手なんじゃないかなぁ。」

 

 「・・・意外ね。」

 

 「ああ、俺は俺のやり方でやらせてもらおう。」

 

 「じゃあアキ、製作の流れを説明するね。まずはパーツを取り出して洗浄。次にパーツの切り離しとゲート処理。ゲートっていうのはパーツとランナー・・外枠みたいなやつね、を繋いでる部分の事。そして最後に仮組み。ほんとはまだ作業があるんだけどとりあえずここまでやってみようか。細かいやり方は一緒に作りながら説明していくね。」

 

 「よろしくお願いします、ケイ先生。なんてね。」

 

 「ふっ、では俺はケイ師匠とでも呼ばせてもらおうか。」

 

 「もう!二人共からかわないでよ!」

 

 和気藹々としながらも着実に組み立てていく。自分だけの、世界に一つだけのガンプラを。

 

 

 数週間後、ガンプラバトル部の部室では三人のガンプラのお披露目が行われている。

 

 「・・・ガンプラを作るのがこんなに大変だと思わなかったわ。」

 

 「人によってはもっと時間をかけて作りこむ人もいたりするけどね。アキはガンプラ作るの初めてだったし、いきなりここまで出来たのはすごいと思うよ。手先が器用で細かい作業とかも難なくこなしてたし、やっぱり女の子なんだね。」

 

 「な!何言ってんのよ!べ、別にこれくらい普通よ、普通!」

 

 「?アキ、顔が赤いけど熱でもあるの?体調が悪いなら今日は早めに切り上げても・・・。」

 

 「・・・鈍感なやつめ。」

 

 「・・・はぁ。」

 

 「???」

 

 「まぁケイが鈍いのは今更だからいいとして、どうよあたしの自信作は!」

 

 アキの目の前に置かれているのは、本来紫色である部分をローズピンクに、黒色部分をルビーレッドに、胸部装甲と頭部の赤い部分をカーマインに、そして胸部中央に大きくベアッガイⅢの顔がマーキングされたドムトルーパーであった。

 

 「・・・すごく、女の子っぽいです。」

 

 「ノーコメント。」

 

 「なによ!二人して微妙な反応して!すごく頑張ったんだからね。」

 

 「いや、ありだと思うよ、うん。ガンプラに決まりごとなんてないし、可能性は無限大だしね!十人十色、人の数だけガンプラの形もあるんだと思うよ。」

 

 「まぁいいわ。じゃあコウタはどんなの作ったのよ。」

 

 「これだ。」

 

 コウタの目の前に置かれたのは、全体をメタリックブラックに塗装されたシルヴァ・バレトだった。

 

 「ウェポンコンテナは陸戦型ガンダムのような背負式では背部バインダーに干渉するためバインダーの両サイドに一つずつ取り付ける事にした。」

 

 「ふーん、黒光りしててなんだかゴキ「あ?」・・・ナンデモナイデス。」

 

 「え、えっとじゃあ最後に僕のガンプラだね。」

 

 ケイのガンプラ、ゲルググ・キャノン(ジャコビアス・ノード専用機仕様)を机の上に取り出す。頭部に三連式多目的カメラモジュールを装備し、バックパックは高機動型ゲルググの物に換装されている。

 

 「塗装は原作どおりにしてみたんだ。渋くてかっこいいよね。」

 

 「ねぇ、ちょっと思ったんだけどさ。」

 

 「どうしたのアキ?」

 

 「二人のガンプラはなんか色々部品とか継ぎ足してるけど、あたしのは普通に組み立てて色塗っただけなの?」

 

 「いや、実はまだアキのドムトルーパーは完成じゃないんだ。最後の仕上げにこれを取り付けようと思ってね。」

 

 そう言ってケイがパーツを取り出し皆の前に置く。

 

 「なにこれ、羽?」

 

 「キュベレイの物に酷似しているようだが。」

 

 「これはトゥッシェ・シュヴァルツのバックパックを再現したものなんだ。12基のSビットを搭載できるサイコミュ兵器だね。」

 

 「またマニアックなものを。」

 

 「アキのピアノの技能が役に立つって言ったのはこれの為だったんだよ。」

 

 「ビットってあれよね、小さいのがたくさん飛んでビーム撃つやつ。それが何でピアノ?」

 

 「本来のサイコミュ兵器は感応波による遠隔操作だけど、ガンプラバトルではコンピュータによる自動制御なんだよね。ある程度のランダム性のある動きはするけどあくまでもプログラムによる動きだから自分の思い通り自由自在とはいかないんだ。そこでアキにはSビット一基一基にマニュアルでの操作をしてもらおうと思う。」

 

 「それってさ、ガンプラの操作をしながらさらにその12基のビットをそれぞれ動かせっていうこと?無茶苦茶ハードル高いじゃないの!」

 

 「無理なお願いをしてるのは分かってる。12基全部じゃなくて8基を常用、4基を予備としてもそれでも尚相当な難易度だと思う。でも全国大会で使おうと思っているアレの為にはこのビットの操作技術はどうしても必要なんだ。」

 

 「アレってなによ?」

 

 「ほう、何か腹案でもあるのか。」

 

 「その説明も兼ねて今から商店街にあるホビーカツラギに行こうと思うんだけど。二人とも時間は大丈夫?」

 

 「それって前にガンプラと塗料を買った店よね?時間は別に大丈夫だけど。」

 

 「俺も問題は無い。」

 

 「この前行ったときは店長が居なかったから紹介出来なかったけど、あの店って僕の叔父さんがやってる店なんだ。バトルシステムの当てっていうのも店に置いてあるイベント用の物を使わせてもらおうって魂胆なんだよね。」

 

 「ケイの叔父さんの店だったのね。知らなかったわ。」

 

 「今日なら叔父さんもいるはずだから行ってみよう。」

 

 

 駅前の商店街に店を構えるホビーカツラギ。最近では商店街も人が減り客足が悪くなっていたが、幸いにも駅に近いこととガンプラバトル熱による収益で個人商店としてはかなり繁盛している。そして近所では唯一バトルシステムを置いてある店であり、毎月開催されるホビーカツラギ主催のガンプラバトル大会もかなりの集客効果を発揮している。

 

 「こんばんわ、叔父さん!」

 

 「やぁケイくん、こんばんわ。今日はお友達も一緒かい?」

 

 「初めまして、ユズキ・アキです。」

 

 「カシワギ・コウタ・・・です。」

 

 「初めまして。ケイくんの叔父のカツラギ・リュウジです。今日は何か買いに来てくれたのかな?」

 

 「実は叔父さんに相談したい事があって。」

 

 「ふむ、立ち話もなんだ。奥の事務所においで。オコノギ君、店番宜しくね。」

 

 「分かりました、店長。」

 

 カツラギに案内され三人は奥の事務所へ通された。カツラギが淹れてくれた紅茶を手にケイが用件を伝える。

 

 「実は僕ガンプラバトル部を作ったんだ。だけどうちの学校ではバトルシステムを買うだけの予算が出せなくて、それで叔父さんのところで練習させてもらえないかと思って。」

 

 「そうだったのかい。三人で部を立ち上げたという事は全日本ガンプラバトル選手権大会に出場するつもりなのかい?」

 

 「うん。それでただ使わせてもらうだけじゃ叔父さんに迷惑がかかると思って考えてきたんだけど、やるからには全国大会優勝を目指したい。そして全国大会ともなればかなりの注目を集めると思うんだ。そこでホビーカツラギの宣伝の入った服を着て出場すれば宣伝が出来ると思ったんだ。お父さんが見てたF1を見て思いついたんだけど。」

 

 「そんな事まで考えてたのかい。しっかり者だなぁ。なるほど、僕にスポンサーになって欲しいと言うんだね?」

 

 「うん、勿論看板を背負って出場するからには恥ずかしい戦いはしないつもりです。だからお願いします、叔父さん!」

 

 「あたしからもお願いします!」

 

 「お願い・・・します。」

 

 「ふふふ、そこまで頼まれちゃしょうがないね。分かった、全面的に協力させてもらうよ。バトルシステムはイベントの時意外は好きに使ってもらっていいし、パーツやツールも出来る限りサービスしようじゃないか。」

 

 「ほんと!?ありがとう、叔父さん!」

 

 「ありがとうございます!」

 

 「・・・ありがとうございます。」

 

 「いやぁ青春だねぇ。宣伝用の衣装だけどうちのバイト用のTシャツを着てもらおうかな。まぁまずは地区大会を突破しなくちゃいけないけどね。頑張ってね、応援してるよ。」

 

 「はい!絶対に全国大会に行こう!」

 

 「ええ、勿論!」

 「ああ、そうだな。」

 

 「早速システムを使っていくかい?」

 

 「いえ、今日は相談にきたのと二人にアレを見せようと思って。」

 

 「そうだった、アレって一体何なのよ。」

 

 「俺も気になってる。」

 

 「ああ、アレかい。じゃあ持ってくるからちょっと待っててくれるかな。」

 

 そう言いカツラギは事務所の奥に下がっていった。その間三人で他愛ない会話をしていると程なくしてカツラギが戻ってきた。大きな箱を抱えて。

 

 「やぁ、おまたせ。ちょっと大きいから運ぶのに時間がかかっちゃったね。」

 

 「ありがとう、叔父さん。二人に見せたかったのはコレさ!」

 

 ケイが箱を取り払うと一つのガンプラが姿を現す。

 

 「な、なにこれ。なんだかわかんないけどとにかくすごいってのは分かるわ。」

 

 「ほう、こいつは・・・。」

 

 「全国大会に行けたらこれを使おうと思うんだ。地区大会で使わないのは情報を極力相手に知らせないため。まぁそのせいで地区大会で敗退なんてしたら目も当てられないけど、そこはこれからの練習で力を付けていこうと思う。そして三人の役割を決めたのも全てはコレの為だったんだ。」

 

 「なぁ、ケイ。こいつはもう完成しているのか?」

 

 「今の時点で八割方ってところかな。まだ細かい調整とかが終わってないんだ。」

 

 「こいつの塗装は俺にやらせてもらえないか?」

 

 「コウタの塗装技術は僕より上だからね。是非お願いするよ。」

 

 「ああ、任せておけ。最高の仕上がりにしてやるさ。」

 

 「じゃあ叔父さん、明日から早速練習に寄らせてもらいたいと思うんだけど、大丈夫?」

 

 「ああ、構わないよ。いつでもおいで。僕が居ない時でもオコノギ君に声をかけてもらえれば使えるようにしておくよ。」

 

 カツラギにお礼を言い三人は自宅への帰路へとつく。明日からはいよいよガンプラバトルの練習だ。まだ見ぬ強敵の事を考えながら三人は期待と不安を胸にそれぞれの未来の姿を思い描く。




ビットのマニュアル操作はアドウさんのパクr、インスパイアです。ビットやファンネルの仕様については筆者の独自解釈の為、独自解釈のタグを追加しておきます。不遇だったアレ、IGLOOという言葉からだいたいアレが何かは分かってしまうと思います。ド素人に伏線とか無理なんや・・・。
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