ホビーカツラギで練習を繰り返す日々。各々のガンプラの慣熟から連携プレイの練習と、あらゆるメニューをこなしていく。また、カツラギのはからいによりイベント以外の日にもバトルシステムを一般開放し、そこに集まった面々と野良試合を行うことで対人戦のスキルも着実に上がっている。しかし、相手はあくまでその場で居合わせた見知らぬ同士、到底連携など望めるはずも無く対戦相手としてはいささか物足りなさも感じていた。
そんなある日、顧問であるサカキより呼び出しがあった。
「失礼します。サカキ先生はいらっしゃいますか?」
「来たか、ヒイラギ。実はな私の方で練習試合に応じてくれる学校を探していたのだが、この間ようやく見つかってな。」
「ほんとですか!どこの学校なんですか?」
「聖鳳学園だ。」
「せいほう学園?
「いや、東京の学校だ。」
「東京ですか?随分遠くの学校ですね。」
「今度東京で教師向けの講習会があってな。それに出席することになったんだが、せっかくなので合わせて遠征試合を組めないかと思ってな。そこで向こうの知り合いに同じように練習相手を探しているところが無いか確認してもらったところ、聖鳳学園が見つかったと言う訳だ。勿論東京までの旅費は遠征費として部費から落ちることになる。」
「ありがとうございます!せいほう学園か。ん?聖鳳学園・・・どこかで聞いたことがあるような。」
「知人の言うところではあの学園はガンプラバトルに関しては有名だそうだが。」
「あ!イオリ・セイさんの出身校じゃないか!すごい、すごいよこれは!」
「こら、あまり職員室で大声を出すな。とまぁそういうわけなのでこの日程表を二人にも渡しておいてくれ。」
サカキより当日の日程が書かれたプリントを受け取り職員室を出る。しかし、まさか初めての練習試合の相手がセイさんの出身校だとは思いもしなかった。期待に胸を膨らませ、大急ぎで部室に向かうケイであった。
「二人とも、練習相手が決まったよ!」
「どうしたのよ、そんなに慌てて。」
「そりゃ慌てもするよ!聖鳳学園だよ、聖鳳学園!」
「せいほう学園?聞いたこと無い学校ね。」
「なるほど、それでそんなに慌てていたのか。」
「アキはガンプラバトルやってないから知らないよね。でもコウタが知ってたのは意外だな。」
「あの学校は三代目名人・カワグチの出身校でもあるからな。俺はガンプラバトルこそやっていないが、ビルダーとしてはそれなりに活動している。それで知っていただけだ。」
「ふーん、有名な学校なのね。」
「西東京地区はそれでなくても強豪揃いの激戦区だからね。僕たちは他校のチームと対戦するのは初めてだし、胸を借りるつもりで頑張ろう!」
「そうね、やるからには悔いの無いよう思いっきりやりましょ。」
「そうだな。」
遠征当日、ケイ達一行は新幹線で一路東京を目指す。三人の手にはそれぞれ色違いのキャリーケースが収まっている。ケイ、コウタ、アキの順に灰、黒、ピンクの物で、今回の遠征が決まった後三人で相談して購入した物だ。
「東京かぁ。向こうについたら何買おうかしら。かわいい服とかいっぱいあるんだろうなぁ。」
「はしゃぐのもいいが、あまり羽目をはずし過ぎないようにな。今回の目的はあくまで部活動の一環としての遠征試合であって旅行では無いということを忘れないように。」
「そうだよアキ。今回の試合で相手から学ぶ点、自分たちの見直すべき点を探したりやることはいっぱいあるんだから。」
「ぶー、わかってるわよぉ。ほんっと女心がわかってないんだから、ケイは。」
「それで、向こうのメンバーとかは分かっているんですか、先生。」
「三年生の部長が一人に二年生の部員が二人だと聞いている。」
「全員上級生かぁ。緊張するなぁ。」
「なに、向こうも二年生の二人は最近入部したばかりだそうだ。気楽にやるといい。」
「そうよ。今から緊張しても仕方ないでしょ。練習でそんなに緊張してたら本番なんてとてもじゃないわよ。」
「うん、そうだね。当たって砕けるつもりでいくよ!」
「・・・砕けちゃ駄目でしょ。」
「ふっ。」
新幹線を降り、サカキの引率の元ついに聖鳳学園に到着する。宿直の職員に用件を伝えると、ほどなくして聖鳳学園の担当者と思しき自分物が姿を現した。
「いやぁ、お待たせしました。西湘中学校のサカキ先生とガンプラバトル部の方ですかな。私は聖鳳学園ガンプラバトル部のコーチをしておりますランバといいます。」
「これはご丁寧に。西湘のサカキです。本日はよろしくお願いします。」
どうやら相手は学園の教師ではなく外部から雇われたコーチのようだった。しかしその名前にはどこか聞き覚えがある。
「あ、あの!もしかして『青い巨星』のランバ・ラル大尉ですか!?」
「おや、わしの事を知っているのかね?」
「勿論です!セイさんの出身校にあのラル大尉までいるなんて、まるで夢みたいだ。」
「ハハハ、そういってもらえると光栄だね。今日はよろしく頼むよ。」
「こちらこそ!」
「私はこれから講習に出席するため、あとはランバさんに頼んである。くれぐれも失礼の無いようにな。」
サカキが辞した後、ランバに案内され聖鳳学園ガンプラバトル部の部室に向かう。部室に入るとそこには三人の生徒が待っていた。ポニーテールの少女ホシノ・フミナ、燃えるような赤髪の少年カミキ・セカイ、青髪に眼鏡を掛けたクールな少年コウサカ・ユウマがそれぞれ挨拶をしてくる。
「あなた達が西湘中学のメンバーね?私はホシノ・フミナ。三年でこの部の部長よ、よろしくね。」
「俺はカミキ・セカイ、二年だ。よろしくな!」
「同じく二年、コウサカ・ユウマだ。よろしく。」
聖鳳学園のメンバーの挨拶に、こちらも挨拶を返す。
「し、西湘中学一年、ヒイラギ・ケイです!よろしくお願いします!」
「同じく一年のユズキ・アキです。よろしくお願いします。」
「カシワギ・コウタだ・・・です。一年。よろしくお願いします。」
お互いの挨拶が済み、バトルシステムの設置されている体育館へと向かう。そこには7ユニットから構成される大規模なバトルシステムが設置されていた。ホビーカツラギにある1ユニットのシステムとは比べ物にならない大きさだ。
「本日のバトル、不肖、このラルがジャッジを務めさせてもらう。制限時間は15分、ランダムフィールド、ダメージレベルはC。先に相手を全滅させたチームの勝利とする。双方、よろしいかな?」
『はい!』
ランバによるルールの説明が終わり、お互いに配置につく。
『Field to Desert. Please set your Gunpla.』
システムの流暢な英語が流れる。その指示に従い自分のガンプラとGPベースをセットする。
『Battle start.』
「チーム・イグルー。ヒイラギ・ケイ、ゲルググ・キャノン、でます!」
「ユズキ・アキ、ドム・チェリーブロッサム、いきます!」
「カシワギ・コウタ、ブラック・バレト、でる。」
三機のガンプラがカタパルトより射出されフィールドへ出る。ランダムで選ばれたバトルフィールドは砂漠。広大な砂漠に所々風化した大岩が横たわる。
「アキ、障害物が少ないからなるべく左右に動きながら先行して。僕とコウタは後方から援護する。」
「了ー解!」
アキのドムが滑るように先行していく。その後姿を視界に納めつつケイとコウタはフィールドが見渡せる大岩の上にブースターを噴かせ移動する。大岩の上に出るとケイは自機を腹這いにしスナイパーライフルを構える。その右後方にコウタのブラック・バレトが方膝をつき待機する。その左側のコンテナからはケイのスナイパーライフルへとケーブルが伸びていた。
「アキ、こっちは配置についたよ。そのままその辺りで派手に動き回って。」
了解。アキがそう返事を返そうとした刹那、右前方より閃光が殺到する。
「アキ、避けて!」
「っ!!」
ケイの注意が早いか、アキは咄嗟にドムを右にスライドさせる。次の瞬間には、先ほどまでドムがあった場所を寸分違わずに一条のビームが通過する。
「すごい正確な狙撃だ・・・。でも今ので!」
お返しとばかりにケイはスナイパーライフルのトリガーを引き、先ほどビームが飛んできた場所を狙撃する。しかし、ビームが撃ち込まれた場所では爆発も何も起きない。
「避けられた!速い!」
相手が移動した事を察すると、すぐさまケイとコウタも移動する。こちらがビームの軌道から相手の位置を把握したように今ので相手にもこちらの位置が知られてしまったため、大岩を盾に地面へと降りる。
「コウタ、次は。」
ケイが次のポイントを指示しようとしたその時、二人の足元にビームマシンガンが撃ち込まれる。二人が陣取っていた大岩の裏には、先回りしていたフミナのパワードジム・カーディガンが待ち構えていた。
「ケイ、ここは俺に任せてお前は次のポイントへ行け。」
「コウタ、お願い!」
「任せておけ。それとこいつも持っていけ。」
コウタのブラック・バレトは牽制のミサイルランチャーを放ちながら、左のウェポンコンテナをケイに渡す。
一方先行していたアキは、セカイの操るビルドバーニングガンダムと会敵していた。
「んもう!二人とも援護はどうしたのよ!っとぉ!」
距離を取ろうとするアキに対して、しっかりと距離を詰め格闘攻撃を繰り出してくるセカイのビルドバーニング。近接戦闘型のビルドバーニングを近づかせまいと、MMP-80とギガランチャーを乱射し弾幕を形成するも、セカイは左右にステップを踏み巧みにかわしていく。
「くっ!こうなったら、行って!ビット達!」
ドム・チェリーブロッサムに搭載された12基のSビットがアキの呼びかけと共にビルドバーニングへと襲い掛かる。マニュアル操作によるビットの制御技法はまだ完成していないため、コンピュータ制御による自動攻撃ではあったが、セカイを足止めする役割は十二分に果たしている。
「アキ、ごめん遅くなった!」
「まったくよ!で、これからどうするの。」
戦況はコウタがフミナを抑えてくれたことによりお互いにほぼ互角の状況である。しかし、ケイには先ほどから気になっている事があった。
「ねえ、アキ。僕が来るまでに最初の様な狙撃はあった?」
「そう言えば無かったわね。」
やはり、相手はどうも上手く連携が取れていないらしい。フミナは上手く他の二人の動きをサポートするように動いているようだが、セカイとユウマはお互いに連携して動いていないようだ。そうでなければフミナに足止めされていた間に、アキが狙撃されていたはずである。
「アキ、そこから左後方に大岩があるから、そこまで下がって。その際押されている様に下がって、上手くビルドバーニングを誘導してくれるかな。」
「この状況見てそれ言ってるならほんといい神経してるわ、ケイ。ま、やってやろうじゃないの!」
アキはビットを自機に戻し、MMP-80を投げ捨て後退する姿勢を見せる。弾幕が弱まったのを見計らってセカイのビルドバーニングが一気に距離を詰めてくる。
「ケイ、もうすぐポイントに着くわよ!カウント3、2、1、今!」
アキのカウントと共に予定ポイントの大岩の右側にドムの後姿が現れる。
「アキ、左にステップ!」
アキに指示を出すと同時にトリガーを引く。スナイパーライフルより射出されたビームがドムの背中目掛け襲い掛かり、今にもその光が背中に吸い込まれようとした刹那、ドムが流れるような動きで左方へ移動する。それと同時に先ほどまでドムがあった場所には後退するドムを追い、接近戦を仕掛けようと突進してきていたビルドバーニングの姿があった。そして、ビームの光が咄嗟の事で回避行動が出来なかったビルドバーニングの機体を貫いた。
「よし!」
「これで残り二人ね!」
これで状況はだいぶ有利になった。喜ぶのもつかの間、ライトニングガンダムから放たれた長距離攻撃がケイのゲルググの左肩を抉る。二人はすぐさま回避運動を行いつつ障害物の陰に身を隠す。そこにコウタからの通信が入った。
「ケイ、すまん。大口叩きながら相打ちに持ち込むのが精一杯だった。」
「コウタ、そんな事無いよ。こっちも一機落としたからこれで2対1。こっちが断然有利だよ。」
「そうか。そちらの位置より少し下がった場所にドム用のコンテナを置いておいた。余裕があるなら回収するといい。」
ライトニングの狙撃を警戒しつつ、コンテナを回収する。そこへ2対1での狙撃戦は不利とみたか、狙撃用ビームライフルをノーマルバレルに変更したライトニングがケイのゲルググに高速で突撃してくる。
「くっ、だめだ、近すぎる!」
完全に狙撃に特化したケイのゲルググの仕様が仇となる。本来は僚機であるコウタのブラック・バレトが近づいてくる相手を牽制することで近接を許さないというコンセプトの為、自衛用の火器が右腕の三連ミサイルランチャーとビームナギナタしか装備されていなかった。苦し紛れにミサイルランチャーを放つがライトニングはそれを余裕で回避し、距離を詰めてくる。
「やっぱり速い!」
ガンプラバトルでは原作での性能差は反映されない。その仕様上、ガンプラの性能はビルダーの腕によることろが大きい。ケイのゲルググとユウマのライトニングの性能差はそれだけビルダーとしての技量に開きがあるという証であろう。
「確かにビルダーとしての僕の腕なんて知れたものだろう。けど、僕たちには誰にも負けないチームワークがある!」
距離を取る事を諦め、スナイパーライフルを手放しビームナギナタでライトニングへ切りかかる。相手も即座にビームサーベルを構え、切り結ぶ。ビーム刃同士がぶつかり合い、激しくビームの火花を散らす。ケイのゲルググが徐々に押され今まさに切り裂かれようとしたところ、ライトニングを12条のビームが貫いた。
「あたしを忘れてもらっちゃ困るわよってね。」
『Battle ended.』
アキのビットが最後の一機であるライトニングを撃破したことにより、システムがバトル終了を知らせる。
こうして初の練習試合が幕を閉じた。
初のバトル描写。やっぱり難しい・・・。時系列的には原作で聖鳳学園が聖オデッサ学園と戦う前という設定です。トライファイターズが連携を取れるようになる前だったのでどうにか勝てただけで、個人の技量では到底及ばないというのがオリ主チームの現状です。見直したつもりなのにおかしな箇所がいっぱいある。おのれゴルゴム。