愛縁航路   作:TTP

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7-2 あなたとわたしのシェイクハンド

 大星淡が初めて須賀京太郎と出会った場は、高校一年生のインターハイだった。

 

 団体戦から個人戦までの全日程を終えた後、淡の所属する白糸台は、長野代表清澄高校の面々と顔を合わせることとなった。お互い団体戦決勝で相見えた仇敵たちではあったが、宮永姉妹という因縁が、二つの学校を結びつかせた。

 

 それぞれが顔を合わせたのは、清澄高校が宿泊するホテルの一室だった。

 

 宮永姉妹は二人きりでどこかに消え、部長同士が挨拶をし、他の部員も談笑に興じる。競い合った仲ではあるが、一皮剥けば女子高生。同好の士ということもあり、打ち解けるのは早かった。

 

 しかし、淡は出遅れた。

 正直言って、団体戦で上をいかれた清澄にはわだかまりがあった。大将として決着の場に居合わせたのだから、なおさらである。淡には、いきなり何もかも水に流すのは無理だった。

 

 テーブルを囲む面々から離れた場所に淡は独りでちょこんと座り、あまり使わないスマートフォンの画面を弄る。笑い声が随分遠くに聞こえた。

 

 苛立ちばかりが募る。胸の奥がむかむかする。

 ――そんな彼女の目の前に、

 

「ほら、どーぞ」

 

 お茶が注がれたコップが、置かれた。

 顔を上げると、見知らぬ男子がそこに立っていた。すらりと背が高く、立っていても見上げなければならないだろう。彼はお盆に載せたコップを、次々と部員たちに配っていく。

 

 当然、女子校である白糸台の生徒ではない。制服姿から、ホテルの従業員でないことも確かだ。大体、年のころも同じくらいだろう。

 

「ねぇ」

「ん?」

 

 手持ち無沙汰になっていた淡は、お盆を下げようとする彼に声をかけた。特に深い理由はなかった。

 

「あんた、清澄のマネージャー?」

「マネージャー……いやいや、歴とした部員だよ」

「ふぅーん、男子のインハイには出てないの?」

「……予選落ちだよ」

 

 彼は、不本意な結果だったのだろう、口を尖らせてそう言った。

 

「なんだ。清澄ってみんな強いんだとばかり思ってた」

「俺はこれからなんだよ。練習積んで、来年は俺もインハイに出る」

「これから?」

 

 淡は挑発するような笑みを浮かべる。溜まっていた鬱憤を、机の向こう側に立つ少年が、むっとするのが分かった。

 

「なんだよ、何か文句でもあるのかよ」

「これからだなんて言って、ずっと負け続けたりして」

「ふん、自分は咲に負けたくせに」

「むっ」

 

 思わぬ反撃に、淡は一度言葉を詰まらせた。今一番突かれたくない点である。ちょっとからかってやろう、なんてぬるい考えは即座に頭から抜け落ちた。

 

「もう一回やったら絶対に私が勝つからっ」

「はいはい、大星さんは強いですねー」

「なにその言い方! ぜんっぜんいけてない!」

「いけてなくても大いに結構だっての。……おい、お茶入ったコップ振り回すな」

「あ、ごめん。……とにかく、あんまり舐めてると痛い目に合わせるんだからっ」

「やれるもんならやってみろよ、派手頭」

「派手頭なのはあんたもでしょ、ばーかばーか!」

「お前小学生かよ」

「違う、高校百年生なんだからっ」

 

 冷めた視線を向けてくる彼を、淡は思いきり睨み付ける。麻雀で負けたときと同じくらいに、腹立たしい。この男を見ていると、無性に胸の奥がざわめいて仕方がないのだ。

 

「……あんた、名前は?」

「須賀京太郎だよ」

 

 その答えに、淡は拳を振り上げる。

 

「麻雀で勝負しろスガー! あんたなんかこてんぱんにのしてやるんだから!」

「なにをやってるんだ淡」

「むぎゅ」

 

 後ろから、頭を抑え付けられる。先輩の弘世菫だった。彼女は淡をひとまず無視して、京太郎へと声をかけた。

 

「すまないな、君。うちの大星が迷惑をかけて」

「ああいえ、こちらこそ喧嘩に乗っちゃってすみません」

「そうよー、須賀くん。インハイ終わったからって他校とトラブル起こされちゃ困るのよ?」

「その割には部長、楽しそうに見てませんでした?」

「ちょっと和、そういうこと言わないでよ」

 

 部屋の中が笑い声で満たされ、空気は明るいものとなる。

 しかし、淡の心は晴れない。菫に頭を抑え付けられたまま、上目遣いに笑顔の京太郎を睨み続けていた。

 

 ――ほんっと、むかつく!

 

 いけ好かない。生意気。のっぽ。

 須賀京太郎に対する淡の初印象は、およそ考えられる限り最低の部類であった。

 

 

 しばらく顔も見たくない。

 淡はそう思っていたものの、それからたびたび京太郎と顔を合わせることとなった。

 

 まずコクマに向けての白糸台、清澄、阿知賀の合同合宿。一部受験勉強などで不参加者がいたものの、もちろん出場選手である淡は合宿に参加した。東京で行われたこの合宿に、京太郎も帯同していたのだ。

 

 旅館の廊下でばったり出会った瞬間、淡は顔をしかめた。

 一方の京太郎は気まずそうに顔を背ける。

 

「なんであんたがここにいるのっ」

「清澄が参加してるんだ、俺が来ちゃ悪いのかよっ」

「悪いでーす、弱い人は足手まといでーす」

「お前マジでむかつくな……!」

「文句があるならコクマに出てから言ってよねっ。というかスガ、人と話すときはちゃんと目を見て話なさいよーっ!」

 

 びしりと指差して淡は注意する。だが、京太郎は依然淡と目を合わそうとしない。

 

「いやお前、だから、その、自分の格好よく見ろっ」

「かっこう?」

 

 指摘され、淡は俯いて服装を確認する。

 旅館についてすぐ、汗を流したくなり大浴場に入った。今は、そこから出てきたばかり。居室に用意されていた浴衣に着替えていた――のだが。ちゃんと帯を締めなかったせいか、はだけでしまっている。おかげで火照った肌があちこち露わになっていた。

 

 かあっと、淡の頭が一気に沸騰する。

 

「スガのばかー! ヘンタイヘンタイヘンタイ! すけべっ!」

「俺のせいじゃないだろ! むしろ教えてやったのに!」

「うるさい、ばーかばーか!」

 

 その合宿では、淡から京太郎に話しかけることは二度となかった。近寄るだけで顔から火が出るほど恥ずかしかった。

 

 

 次は三年が完全に抜け新体制に移行し、企画された練習試合。相も変わらず京太郎がやっていることはマネージャーの仕事。迷子になった咲を連れてきたり、優希のためにタコスを用意したり。見ているだけで、苛立たしい。

 

「あんた、ほんとに強くなる気あるの?」

「あ、当たり前だろ」

「だったら雑用ばっかりやってないで打たなきゃだめでしょ! 折角みんな集まってるんだから!」

 

 遠慮する京太郎を引っ張り、半ば無理矢理卓につかせる。その瞬間、淡の目は怪しく輝いた。

 

 ――当然、ようやく初心者レベルから脱したばかりの京太郎が淡に敵うはずもなく。淡は思う存分、京太郎をなぶった。

 

「この、やりたい放題やりやがって……! お前俺を叩きのめしたいだけだろっ」

「ふふーん、悔しかったら強くなってみたらー?」

 

 実に大人げなかった。しかし、当時の淡は気にもしなかった。

 

 

 その次の大会会場でも。

「あ、ばかスガじゃん!」

「ばかは余計だうにょうにょ頭!」

「なにをぅ! この髪型にはこだわりがあるんだから!」

 

 

 その次の合宿でも。

「弱っ! そんなんで予選抜けられるのっ?」

「くそ、調子に乗りやがって……!」

「気に入らないんなら勝って見せてよっ」

「次は絶対勝ってやるよ!」

 

 

 その次も。

「出たなスガっ!」

「人をお化けみたいに言うな……あーお前リボンタイ曲がってんぞ」

「えっ、うそっ」

「ほら、じっとしてろ」

「あ、ありがと…………じゃなーい!」

 

 

 さらにその次も。

「最近ほんとよく会うな」

「もしかしてあんた私のストーカー?」

「そんなわけあるかバカ!」

「あ、こないだユーキに作ってたタコス私も食べたいんだけど」

「おい、会話を成り立たせろ」

 

 

 会う度に喧嘩。先輩に窘められようとも、淡は態度を改めなかった。気にくわないのだから仕方ない。どうしようもなく、仕方がないのだ。

 そして、季節は一巡りし。

 大星淡は、二度目のインターハイを迎えた。

 

 

 ◇

 

 

 最近の調子なら、大会開始前にでも清澄の面子と顔を合わせるだろう。淡はそう予想しながら、インハイの開会式に臨んだ。だが、思うとおりにいかなかった。

 

 シード権を持つ白糸台と清澄は、しかし大会序盤とは言え暇ではない。マスコミ対応、二回戦に上がってくるであろう対戦校の研究、その他諸々。昨年までは先輩かつ注目選手である照や菫が役割の大半を担っていたが、淡も二年。来年も見据えて、彼女が中核を務めていた。

 

 清澄も似たような事情らしく、咲たちとは中々ゆっくり喋る時間をとれなかった。元々馴れ合うつもりもないし外野からの邪推も鬱陶しいので、あるべき姿と言えばあるべき姿。

 

 けれども淡は不満だった。いつもの調子が出ない。大事なねじが緩んでいる感覚。昨年の準決勝、屈辱的な負けを味わったときと似ていた。このままでは、また下らないつまずきをやりかねない。

 

「あまり好き勝手出歩かないでくれよ」

「分かってるって」

 

 強者の空気を直で味わえば引き締まるかも知れない。

 半ば強引に、淡は一回戦の熱気に包まれるインハイ会場を訪れた。お目付役は、部長の亦野誠子。

 

 去年面白い力を感じた永水女子を筆頭に、一回戦でも中々の猛者たちが集まっている。新道寺の鶴田姫子も健在だ。

 

 ――これで咲や穏乃とたまたまでも良いから会えれば面白いのに。

 などと思っていたら。

 

「げっ」

「あっ」

 

 会場入口付近で出くわしたのは――天敵、須賀京太郎だった。

 

「なんであんたがここに! というか『げっ』てどういう意味っ?」

「俺がどこにいたってお前には関係ないだろ」

「むっ」

 

 正論ではあるが、突き放した物言いに淡は眉をひそめた。らしくない、と言えるほど付き合いは長くも深くもないが、違和感だけが強く残る。

 

「何かあったの?」

「別に」

 

 やはり愛想が悪い。呼応するように、淡の機嫌は悪くなる。

 

「あんた、もしかしてまた応援だけ? 自分の試合はないの?」

「……ねーよ」

 

 ふふん、と淡は笑った。

 

「あれだけ大口叩いといて、また予選で落ちたんだ。かっこわるっ」

 

 言ってから――すぐに淡は後悔した。

 僅かな時間、京太郎の唇が真一文字に引き締まった。今まで見たことのない表情だった。何だかんだ言って、これまでの喧嘩はじゃれ合いの域を出ていなかった。――それを、思い知らされた顔だった。

 

 しかし京太郎は一転、微笑んだ。明らかに作り笑いと分かるそれは、見ている淡の胸を強く締め付ける。

 

「そうなんだよ。ほんと、格好悪いよな。あれだけお前も打ってくれたのに。……俺は足踏みして、ばっかりだ」

「えっ、あっ、そのっ」

「それじゃあな。言っとくけど、今年の清澄も強いぜ。お前も頑張れよ」

 

 そさくさと、彼は立ち去ってしまう。その背中にかけるべき言葉を見つけられず、淡は見送るしか出来なかった。

 

「……言い過ぎたんじゃないか」

 

 後ろから、誠子がやんわりと注意してくる。

 

「ちょ、ちょっとくらい強めに言ったほうが良いでしょっ」

「それを本気で言っているなら私はもう何も言わないよ」

「うぐ」

 

 何も言い返せず、淡は俯く。誠子は苦笑交じりに言った。

 

「謝るなら早いほうが良い」

「……はぁい」

 

 その場では素直に頷いたものの。

 実際に謝る機会は、中々生まれなかった。昨年に引き続き清澄とはブロックが違うため日程が被っていない。

 

 そうこうしているうちにインハイは進行し。

 

 再び、白糸台は団体戦優勝を逃した。歓喜する阿知賀の面々を前に、淡は肩を震わせるしかなかった。

 

 味わう屈辱は、例えようもなく。

 続けて行われた個人戦でも、宮永咲にタイトルを持って行かれた。宮永照の妹である彼女こそが後継者に相応しい、とあちこちで囁かれるのを淡は聞いた。

 

 二年目のインハイは、そうして幕を閉じた。京太郎と会ったのは、一度きりだった。団体戦が終わってからずっと、淡は清澄の影からずっと逃げていた。

 

 何だかんだと言って、大事なところで勝ちきれない。

 大口を叩いておいて、自分も結果を出せていないではないか。

 

 情けなくて、何もかも放り投げたくなった。だが、今更それが許されるわけがない。先輩たちの夢を摘んでしまった責任、逃げ出してはならない義務感。いつの間にか胸の内に溜まっていた感情は、とても重かった。

 

 だから、昨年に続いて行われた合同合宿にも欠かさず参加した。

 ただ、京太郎と会うのは気が重かった。前回のことを謝ってすらいないのだ。何を言われるのか気が重かった。

 

 練習中はずっと卓に座り続けることで、ひたすら彼を避け続けた。

 一日目の予定を全て消化した後、淡は独り宿を出た。夜風に当たりたい気分だった。それが、失策だった。

 

「おっ」

「げっ」

 

 買い出し帰りなのだろうか、右手に荷物を抱えた京太郎と出くわした。気まずくて、思わず淡は目を逸らしてしまう。

 

「なんだよ、今日は元気がないな。というか『げっ』とはご挨拶だな」

「う、うるさいっ。あんたこそ何、また雑用っ?」

「今日は清澄の中で成績最下位だったからな。明日は咲にやらせてやるぜ」

 

 余裕を感じさせる笑みに、淡はどきりとする。以前とは、纏う空気が明らかに違った。それがまた、淡を狼狽えさせる。どうしても、発してしまうのは憎まれ口。

 

「あんたなんかがサキに勝てるわけがないでしょ」

「こないだ半荘一回だけだけど勝ったっての」

「う、うそっ」

「かなり不意打ち気味だったけどな」

 

 殊更自慢するわけでもなく、京太郎は淡々と言った。少なくとも、嘘を言っているわけではないようだ。

 淡が呆然としているのを気付いたのだろう、京太郎は続けて言った。

 

「俺にはお前や咲みたいな麻雀の才能はないけどさ。人間、その気になりゃあやってやれないことはないだろ」

「……うん」

 

 こっくりと、淡は頷く。そうするしか、できなかった。

 それから胸元で手を組み、視線をさまよわせ、意を決して次の言葉を口にした。

 

「あの、この前のインハイでは、ゴメン」

「なにがだよ」

「予選落ちしたこと、詰ったりしたでしょ。そのこと」

「ああ」

 

 けれども京太郎は、あっさりと鼻で笑い飛ばす。

 

「気にしてないって。格好悪いのはお前の言うとおりだし。……周りのみんな頑張ってるって励ましてくれるけどさ。ほんとキツいこと言ってくれるのは、お前だけなんだよ。だから、自分の努力がまだまだ足りないって気付かされる」

 

 それにな、と彼は付け足す。

 

「あのとき思いっきりヘコまされてお前から逃げ出して……そうしたから、良かったこともある」

「え……?」

「ああ、こっちの話」

 

 快活に京太郎は笑う。また、彼から目を逸らしてしまう。けれども先ほどとは、理由が違う。そんな気がした。

 

「ま、あんまり気にするなよ。俺はどうも思ってやしないし」

「……でも、あれだけ言っておいて私も負けたのに」

「俺も、あれだけお前に偉そうな口叩いて何も結果出せてないけどな」

 

 お互い様だろ、と京太郎は言って。

 荷物を左手に持ち替え、右手を差し出してくる。

 

「ほら」

「え? な、なに?」

「仲直りの握手だよ。これで全部手打ちにしようぜ」

「……うん」

 

 しばらく淡は彼の手の平を見つめてから――おずおずと、淡はそれに応える。指先が触れ、指の腹がくっつき、そのまま握り取られた。

 彼の温もりが、肌を通して伝わってくる。

 

 気が付いたときには、瞼の奥から熱いものが溢れ出していた。

 

「お、おい大星っ? どうしたっ?」

「わ、わかんないっ……!」

 

 本当は分かっている。けれども色々な感情が入り交じって、それを上手く説明できる自信がなかった。

 

 敗北の苦み。言動への悔恨。言いしれぬ不安。突然与えられた安堵。

 

 その全てが、ひとまとめになって淡の中で暴れ回る。もうどうしようもなくなって、淡は涙を零すしかなかった。

 

「ああもう」

 

 京太郎がハンカチを取り出し、淡の目元を拭う。淡はされるがままになり、彼の服の袖をつまみ取る。

 

「ちょっと、どうしたんだよ」

「なんでも、ない」

「だったらそろそろ泣き止んでくれよ」

「もうちょっとだけ、待って。ここにいて」

 

 京太郎は大きな溜息を吐いて、言った。

 

「分かった分かった。お前の気の済むまで、ずっと傍にいてやるよ」

「……うん」

 

 きっと、それが始まりだった。

 大星淡が、本当の意味で初めて須賀京太郎と向かい合った瞬間だった。

 

「ねぇねぇ、キョータロー」

「今度はなんだよ」

「結婚、しよう?」

「……………………は?」

 

 目を輝かせる淡を前に、京太郎は首を傾げるしかできなかった。

 

 

 ◇

 

 

 次の練習試合では。

「おい大星あんまりくっつくな!」

「えーいいじゃん!」

「良くない……ってお前どこ触ってんだ、ヘンタイヘンタイヘンタイ!」

 

 

 次の大会では。

「ねぇねぇキョータロー、今日の私の前髪ばっちりでしょ!」

「……いつもと同じにしか見えないけど」

「嘘ばっかり、ちゃんと見てよ!」

 

 

 翌年のインハイでは。

「勝ったよキョータロー! 私勝った!」

「敵校の俺に笑顔で報告されても困るんだけどな……!」

「優勝したら結婚してくれるって言ったよねっ」

「言ってない!」

 

 

 個人戦では。

「キョータロー決勝進出おめでとーっ!」

「ありがとよ。そっちこそ、決勝進出おめでとう」

「私は初めからキョータローはやればできる子だって分かってたからっ! 流石未来の私の旦那様っ!」

「お前よくそういうこと言えるよなぁ……」

「ん? なんか言った?」

「……はぁ。なんでもないよ」

 

 

 

 

 それまでの全てがひっくり返った後。

 

「キョォォォータロォォォォーッ!」

「うおおおっ!?」

 

 淡に残った彼に対する想いは、情熱のみであった。

 

 

 




次回:7-3 闇に訊ねて

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