東方 崩廻録 (完結)   作:ちゃるもん

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悪戯のち死者

あれから半年が過ぎた今日。かぐや姫の所に貴族共がそれぞれ言われていた物を持ってくる日だ。

準備は完璧。藤原娘に話したら苦笑いされたけど。

 

前と同じ木の上でかぐや姫の屋敷を監視中です。お、早速一人目が渡しに行った。男の手に持たれているのは美しい布。多分『火鼠の羽衣』だろう。その布を兵に渡し、

そのまま炎の中にシュゥゥゥーッ!!超!エキサイティン!!とっても上手に焼けましたー!!

布の持ち主は炎の前でOrz状態となった。

 

そして、それを嘲笑うかのように次の男が爬虫類の顎のような形をした一つの宝石を取り出した。『龍の首の玉』だろう。あれは翡翠かな?ただ残念なことに一発で見破られてしまった。

でも、これはほんとに凄い作品ではないだろか。あれを作った職人さんは歴史に名を刻む事だろう。

 

そんな奴は放っておけと言うかのように押しのけ小さな鉢植えを持った男が前に出てきた。『仏の御石の鉢』かな?中には一輪の花が植えられている。なんか口説いてるようだけど放心状態になったて事は振られたのだろう。

 

次に出てきた男が取り出したのは貝殻で作られたネックレス。子安貝って巻貝なんだけど……ほら皆放心しちゃってるじゃないか。前の男に肩叩かれてるぞ。本人は分かってないようだけど。

 

そして最後に藤原父が……なんかあの人土下座してるんだけど!?見つからなかったから謝ってるのかな?思ったより良いやつじゃないか。まあマイナスがゼロになっただけだけど。

 

さて、これで全員がかぐや姫に振られたわけだ。さあ、行くとするかね。

木から降り堂々と真正面から屋敷へと入っていく。

 

「どもども~こんにちはー」

『誰だ!貴様!』

「仙人様ですよ~っと」

 

兵士どもを無視してかぐや姫の前に出る。

 

「かぐや姫様でいいのか?」

『そうですが。何用ですか?』

「いやなに、ただ悪戯しに来ただけさ」

『悪戯?』

「そ。じゃあ早速……これなーんだ」

 

俺が取り出したのは毛皮のような布。

 

『布……ですか?』

「ただの布と思うなかれ!さあ!レッツ、ファイヤァァァ!!」

 

毛皮のような布を炎の中に投げ込む。布は燃えている……が、燃え尽きることはなかった。後、このテンション凄い疲れる……

 

『まさか……本物の火鼠の羽衣?』

「大正解。大体動物の毛皮なんだからそんな綺麗な布なわけないだろ。お次はこれだ」

 

取り出したのはお皿のような鉢植え。その中に水を入れる。すると……

 

『……綺麗』

 

天井には不思議に、そして美しく揺らめいている蝶の姿が。どこが底が光るだけのものなのだろうか?きちんと確認せずに蔵の中へと押しやったな神奈子のやつ。

 

「これは仏の御石の鉢。知り合いの神様から借りてきたものだ。作り主は遊びで作ったらしいんだが、これで遊びレベルって……いや、遊びで作ったから心を惹きつけるような作品が出来たのかもな」

 

俺は仏の御石の鉢の中に貝殻をそっと入れる。諏訪ちゃん曰く燕の子安貝は安産の力が有るわけではない。では、なぜ安産できると言われるのか。

水の中からコーンコーンと落ち着いた音が部屋中を響き渡った。

この音が安産のお守りとして扱われているというと、この音は赤ちゃん、子供の安心する音の高さが出る作りになっているからだ。だから、どちらかと言えば安産より子守りのお守りだ。

単純に珍しいもので神社や神聖な場所を時期を間違えずに探せば見つけれたかもしれなかったのに。初めからまともに探す気がなかったんだろうな。このクズめ!

 

「さあ、次は龍の首の玉だ。ご存知の通り龍とは水神。嵐を引き起すとか言われているな。ここまで言えばもう分かっていると思うが、この玉は小規模から大規模まで好きな規模の嵐を降らせることが出来る」

 

仏の御石の鉢の中央に龍の首の玉を置き、小さな嵐を引き起こす。

 

「そして最後に」

 

俺は七つの蕾がついた枝を取り出し、火鼠の羽衣を枝に巻きつけ仏の御石の鉢の中に立てる。

するとどうだろう。枝の蕾が花開き七色に光り始めた。これは火鼠の羽衣の妖力を吸ったからだ。別にそんなまどろっこしい事をしなくても穢れを吸わせれば花開き、七色の実を実らせるのだが、そっちのほうが魅力的だと思ったのと、七色の花を咲かせるには妖力を吸わせるしかないからだ。こんな大勢の前であからさまに妖力を出すわけにはいかないからな。

そして嵐が晴れ、火鼠の羽衣から出ている熱気が虹色に揺らめき幻想的な光景となった。

 

「蓬莱の玉の枝」

『『・・・・・・』』

 

誰一人として口を開くものはいなく、その小さな世界に目を奪われていた。

 

「これが、俺の悪戯だ。どうだった?」

『驚いた……ただこの一言に尽きますわ。これほど美しいものを見せてもらったのにこんな事しかいえない私が憎いです』

「そりゃ良かった。準備した甲斐があった」

『存在するかも分からない物を集めたのも確かですが、本来特別な力を持つものを合わせたとしても自己を主張し反発しあうもの。ですが、反発しあうものは無く自己の良いところを主張はしているものの反発しあうものは無く、むしろ他を強調している。本当に驚きました』

 

そこまで褒められても、一つ一つの性質を強調するように積み木感覚で置いていただけなので実感が沸かない。

 

『それで、貴方は私になにを望むのですか?』

「え?」

『え?』

「え?」

『いやいやいや。なにか分けあってこれだけの物を集めてきたのではないのですか?』

 

あれ?そうだたっけ?単純に貴族共に悪戯しに来ただけだ。うん。

 

「やっぱ悪戯しに来ただけだわ。それじゃあ悪戯も成功したんで帰ります。それじゃ!っとと藤原娘の依頼をこなさないとな。おい!帰るぞ藤原父!アンタの娘さんからの伝言だ」

『娘、妹紅から?』

「早く帰ってこいバカ親父。飯作って待ってるから。だとよ」

『!……そうか……私は一体なにをしていたのだろうな。大切な家族を放っておいて』

「そう思うんなら早く帰って自分の思いをきちんと話して来い。俺がこれ以上愚痴を聞かなくていいようにしといてくれよ」

『ああ。そうさせてもらうよ。ありがとう』

 

藤原父はかぐや姫に頭を下げ、服が乱れるのも気にせず走って屋敷を後にした。

 

「それじゃあ今度こそお暇するとしますかね。あ!一つだけお願いがあった!それじゃあ……万屋鶴来をどうかよろしく!!」

 

荷物を回収した後、縁側から飛んで屋敷を後にした。

諏訪に飛んで行き燕の子安貝と仏の御石の鉢を返し帰って来た。

帰ってきたのだが……

 

「だれ?その人」

「お客様ですよ。依頼が有るとの事です」

「おお!そうだったか。俺は鶴来彰人この万屋の店長だ。お嬢さんのお名前は?」

蓬莱山 輝夜(ほうらいさん かぐや)』。貴方にはかぐや姫の方が馴染み深いかもね』

 

……カグヤヒメ?

 

「なんでこんな所に?後口調が……」

「貴方が言ったんじゃない。『万屋鶴来をどうかよろしく』って。あと、口調はこれが素よ」

「まあ、良いや。それで?依頼内容は?」

「さらっと仕事の話に戻すのね。まあ良いわ。それで依頼内容は私を守って欲しいのよ」

「守って欲しいって、何から」

「月の使者達からよ。次の満月の日、月から私を連れ戻しに月から使者が来るはず、それから守って欲しいの」

「今、月からの使者って……」

「確かに……そう言いましたね……どう言う事でしょうか」

 

永琳関係……だよな。聞いてみるか。

 

「永琳って名前知ってるか?」

「!どうして永琳の名前を知ってるの!?まさか……永琳が言ってた男って……今思えば名前も一緒だし……」

「やっぱりか。姫様が考えている事は正しいと思う。永琳がなんて言ってたのか知らないけどさ」

「霊力の量が異常な人の形をした化け物」

「あいつ……!」

 

だが、全くもってその通りだから反論できないッ!!

 

「あの……話についていけないのですが……」

「右に同じく」

「あー悪い悪い。大分昔の話になるんだけどな…………」

 

 

~少年説明中~

 

 

「なるほど……本当に月の方だったのですね」

「信じてもらえてなによりよ」

「にしても、分からないことが有るんだが、どうして月に帰る機会をどうして無碍にするんだ?」

「ああ、そのこと?簡単な事よ、私は地上に来るために月で罪を犯したのよ。わざわざ罪を犯してまで地上に来たのに帰りたいわけ無いじゃない?」

「永琳は迎えには来ないのか?」

「来るんじゃないかしら?多分だけど」

「依頼両は?」

「蓬莱の薬……で、どうかしら?」

 

蓬莱の薬……って、あれだよな不老不死になれるって言う不思議な薬。

 

「蓬莱の薬ってのは一体なんなんだ?」

「不老不死になれる薬よ。私が月を追放されることになった理由の薬ね」

 

不老不死……ねぇ。俺と華扇が不老不死だし、ぬえは寿命がないしあまり意味が無いんだが。

それに、姫様のさっきの言い方……不老不死になったのか。

 

「良し分かった。その依頼受けようじゃないか。詳しい日時を頼む」

「良かったわ。次の満月、今日を合わせて三日後の酉四刻までには屋敷に来ていて頂戴」

「助手も連れてきていいよな?」

「全然構わないわよ。むしろ戦力が増えて嬉しい限りだわ」

「ぬえ。ふざけないで下さいね」

「そんなこと言われたら邪魔したくなちゃうなー」

 

『『ガルルルッ!!』』

 

まーた始まった。二日でここまで喧嘩してるんだからむしろ仲が良いのか?

 

「あー、後ろは気にしないでくれ。何時ものことだ」

「いいじゃない。仲が良くて。それじゃあよろしく頼むわね」

「頼まれた。まかせろ姫様」

 

そう言って姫様は帰っていった。

……月の技術は今どうなっているかは分からない。ただ、昔の時点であそこまでの科学技術を持っていたんだ。後たったの三日。それまでに華扇とぬえが連携できるようにしないとな。

 

『『ガルルルルッ!!』』

 

前途多難だなこりゃ……

月からの使者が来るまでの後二日

 

今、華扇&ぬえVS俺(彰人)しているのだが……

 

なんでこの二人こんなに連携取れてるんですかね?まともに当たってないもののかすり傷だらけですよ!?

ぬえが撹乱し華扇が前に出る。一般的な陣形だが、前衛が見方を見えない分難しい陣形でもある。まだ会って間もないのならなおさらだ。

しかも、華扇の影に隠れぬえ接近してきていたり、華扇も後ろを見てもいないのにバッチリのタイミングで引きぬえと交代する。

なんなのお前ら……今確信した。絶対仲良いわコイツら。けんかするほど仲が良い。まさにこのこと!

と、馬鹿なこと考えてないでトドメと行きますか。

後ろに下がろうとした華扇と前に出てこようとしたぬえとの隙間をすり抜け、そのまま華扇へとタックルを決め体勢を崩させ掌底を打ち出す。

そして、後ろから迫っていたぬえの攻撃を霊力を流し肉体強化することで防ぎ、ぬえにも同じく掌底を食らわせる。

 

「ガァッ!!」

「グフ!!」

 

ふう……危なかった。

ぬえと華扇が起き上がりこっちに来た。不適な笑みを浮かべながら……

 

「彰人……霊力……使ったよね?」

「それに、後頭部に一発入れましたよね?」

 

まあ、あれですよ……試合に勝って勝負に負けた、的な?

しかも、二人の気合を入れるために俺が自信満々に言った言葉。

 

『俺に力を使わせるか、一撃まともに食らわせれたらなんでも一つ言うこと聞いてやる』

 

そりゃぁもうドヤ顔で言いましたとも。連携も取れないし楽勝楽勝と思ってました。

それが結果はどうだい!まだであって二日とは思えないほどの連係プレー。最後には霊力を使って肉体強化。肉体強化したものの後頭部に食らうと言う始末。

 

「約束……」

「覚えてますよ……」

「「ね?」」

 

かわいい二人の笑顔が今はとても怖く見えます。

だが、負けは負け甘んじて受け入れようじゃないか。

 

「じゃあ私のお願いは……遠出したい……かな。三人で」

「良いですね。私もそれでお願いします。久しぶりに妖怪の山に帰ってもいいですし、諏訪の国の所に挨拶しに行くのも良いですね」

「確かに!私は妖怪の山に行ってみたいな~」

 

話し込んでしまっているぬえと華扇。正直そんなことで良いのかと思うけど……二人がいいなら良いか。

この様子なら月人も圧倒できるな。変な科学兵器を持ってこない限りは……

依頼当日 酉の刻

 

俺たちは姫様の屋敷へと来ていた。そこには帝や執念深い貴族たちの姿と、藤原父、娘の姿もあった。

華扇とぬえには姫様のすぐ側に居て貰っている。さらわれる可能性もゼロとも限らないからな。

屋敷内を確認するためにブラブラしていると藤原娘が小走でやって来た。

 

「こんばんは、彰人さん」

「おう。こんばんは、藤原娘」

 

挨拶を返すと藤原娘からジト目で見られた。

 

「この前妹紅と呼んでくださいと言った筈ですが?」

 

この前……依頼両を貰いに行った時に言われた気がする……正直覚えていないが。

 

「こんばんは、妹紅。これで良いか?」

「はいっ!!」

 

その時だった。月に不思議な影が掛かったのは。

 

「来たか……割と早かったじゃないか。さあ、殺し合いを始めようじゃないか」

 

姫様のところに戻ると、そこには兵士達の死体が転がっていた。帝や貴族たちは既に逃げてしまったのか姿が無い。

 

『妹紅!何処にいたんだ!!早くにげるぞ!!』

 

妹紅は藤原父の所へと走って行った。

彰人と呼ばれたので振り向くとそこには肩で息をしている華扇の姿があった。

 

「彰人!!こんな所にいましたか」

「どうした!何かあったのか!!」

 

俺の想像以上に月の科学が進歩していたのか。とも思ったのだが、よく見ると華扇の体には傷一つ付いてはいない。

 

「あったといえばあったのですが……兎に角はやく来て下さい!」

「お、おう?」

 

俺は華扇に腕を引っ張られながら姫様の所へと行くことになったのだった。

一体なにがあったのだろうか……だって

 

「ほらほら!豚のように鳴きなさい!!」(恍惚)

 

敵側のハズの永琳が恍惚とした顔で月の使者の一人のお尻をグリグリしているんだから。

月の使者の男性は既に泡を吹いて白目を剥いている。南無

声を掛けたくはないが、事情を聞かねばなるまい。掛けたくないし聞きたくないがな!!

 

「あ、あのー永琳、さん?なにをなさっているのでせう?」

 

口調がおかしくなってしまっているが、それだけ怖いのだ。分かってください。

永琳が「あっ!?」と言いながら振り向いた。顔凄いことになってますよ?怖いです。

 

「あら、彰人じゃない。久しぶりね」

 

声を掛けたのが俺だと気づき、やっとその顔が元に戻った。

 

「で?なんであんな事してたんだ?」

「ちょっとこの屑が姫様に無礼を働いたからお仕置きしてたのよ」

 

明らかに押しお気のレベルではないのですが?部屋の隅見てくださいよ。月の使者が三人固まって震えてるじゃないですか。

 

「いいのよ。どうせ後で殺すんだし」

「さり気無く心を読まないでくれないですかね?それはそうと、他の使者達は何処にいるんだ?まさか四人な分けないし」

「いえ、この四人で全員よ。私を入れたら五人だけど」

「少ないんだな」

「私が行くから大丈夫って言ったら(物理)この人数になったのよ」

 

なんでだろう……言ったらの後ろに物理の二文字が見えた気が……キノセイだな!うん!

 

使者の一人が此方に銃を向けているが、腕が震えており当たることはまず無いだろう。

 

バンッ!!

 

使者の持つ銃から鉛球が放たれたが、予想通り俺たちに当たることはなく後ろの通路へと飛んでいった。

その後に来たのは、なんでと言う疑問と、後悔だった。

俺の目に映ったものは妹紅を庇い鉛球に額を撃ち抜かれた藤原父の姿だった。

 

 

「父様?父……さ、ま?」

 

 

気づいたとき、俺は銃を持った使者の顔を踏み潰していた。顔から飛び出した目玉がコロンと転がり俺の顔を見つめた。

その目に映るのは肩で息をしている自分の姿。

 

「はぁ……はぁ……クソッ!!ガァ!」

 

ブチャ!!目玉を踏み潰す。足には透明なドロリとした液体の感触が。

久しぶりだった……あの感じ……俺がまだ四歳の頃に感じたあの感じ……

そんなことはどうでもいい。今は妹紅だ……このままじゃ俺と同じになってしまうかもしれない、それだけは阻止しないと!!

 

唯の『殺人鬼』になる前にどうにかしなければ!!

 

「華扇、ぬえ、永琳、後頼んだ」

「え?あっはい」

「……うん。分かった」

「早く行ってあげなさい」

 

後の事は華扇達に頼み俺は妹紅の元に向った。

 

「父様……起きてよ……風邪、引いちゃうよ?」

 

父の身体を揺する妹紅の肩に手を置く。妹紅は揺するのを止めない。

 

「妹紅……お前のお父さんは……もう……」

「わかっていますっ!!わかって……います……でも……!」

 

肩に置いていた手を振りほどかれ押し倒された。妹紅の目からは涙があふれ胸ぐらを掴んでいる手からは血が流れ出している。

 

「私がもっと早く走っていればッ!私がこんな所に付いて来ていなければッ!!私が死んでいれば父様は生きていられたのにッ!!」

「……確かに、お前が死んでいれば妹紅のお父さんは生きていられただろうな」

 

妹紅はその言葉を肯定するかのように手に入れる力を強めた。

 

「本当に死んだ奴は身勝手だよな……残れる側の気持ちも考えろって話だよな……でもな、妹紅。お前のお父さんはお前に生きていて欲しいからお前を助けたんだ。それは分かってやらないといけないんだ。じゃないとお前のお父さんも悲しむぞ?」

「・・・・・・」

「悲しいよな、悔しいよな、寂しいよな。だから、今は泣きたいだけ泣け、叫びたいだけ叫べ。俺が全部受け止めてやるから」

 

妹紅の目から滝のように涙が零れ落ちる。

 

「うわあぁぁあぁん!!父様まぁぁ!!」

 

俺は泣き叫ぶ妹紅の頭をそっと、だが、力強く抱きしめた。

妹紅は泣き疲れたのか寝てしまった。

 

「終ったかしら?」

「永琳か。逃げなくて良かったのか?」

「もう逃げるわ。でも、その前に貴方に報酬を渡さないとって思ってね」

 

永琳の手に持たれているのは、手のひらサイズの壷。

 

「蓬莱の薬……だったか」

「ええ。どう使うかは貴方が考えて頂戴。もし、扱いに困ったなら貴方の所の子から教えてもらった竹林にいるからたずねて頂戴。姫様も待たせてるしそろそろ行くわね」

「じゃあな永琳。姫様にもよろしく伝えといてくれ」

「ええ。それじゃあね彰人」

 

蓬莱の薬……

妹紅……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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