東方 崩廻録 (完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

では、どうぞ!!


世界を廻そう

地を蹴り一瞬にして風見幽香の目に前に迫る。それに反応した風見幽香は俺の胴を狙い回し蹴りを放ってくる。それをしゃがむことで避ける。風見幽香の回し蹴りをした足と反対の足をしゃがんだ状態で払う。

風見幽香は前のめりとなり体制を崩す。そこを狙い顔を鷲掴みしようとするが、傘を地面に突き刺し飛び上がることで避けられてしまった。

そのまま、俺の後ろに着地し後ろ蹴りを放ってきた。なんとか回避しようとしたが間に合わずにモロに喰らってしまい、二十メートルほど吹き飛ばされてしまった。骨が折れたようだがすぐに元に戻る。口の中を血の味が広がっていった。

宙で一回転し着地する。

 

「クソがッ!!」

 

プっと口の中の血を吐き出す。馬鹿力の上に戦い方も上手い。唯一の救いは妖力の使い方が荒いことか。

風見幽香はさらに畳み掛けようとして接近してきた。傘を横薙ぎに振ってきた。ここで回避してカウンターを、それとも幻覚でも見せるか?いやでも……

 

……よくよく考えれば、小細工しなくて良くないか俺?華扇みたいに武術に長けているワケでも、ぬえみたいに幻術を掛けてくるわけでもない。ましてやアイツ級のタフさを持った奴でとも思えない。

 

霊力で腕を強化し傘を受け止める。

 

ドギャアァァンッ!!

 

俺達を中心に巨大なクレーターが出来上がる。

傘を引っ張り風見幽香を引き寄せ、腹部を蹴る。回避もせず自分の攻撃を真正面から受け止められたのが意外だったのか動きが止まり直撃する。

 

ズガガガガッ!!ドガァァアンッ!!

 

壁に風見幽香が埋め込まれた。

 

「……まあ、こんぐらいで終らないよな」

 

壁に埋め込まれた風見幽香の腕が動き壁を掴み這い出てくる。

口の端から血がツゥーと流れ出ており、蹴られた腹部の服が破れ、腹が見えている。

それ以外にこれといった外傷はみえない。

 

「手加減状態+強化なしだとこんなモンか。もう少し本気出しても大丈夫そうだな」

 

まだ立ち上がっている途中である風見幽香に近づき、蹴り上げる。

風見幽香の口から出た血が俺の顔に降りかかった。

口の中に入ったようで、またも、口の中が血の味で包まれた。突然のことでそのまま飲み込んでしまい風見幽香に追撃することが出来なかった。

 

ゴクンッ

 

「……ゲホッ!ゴホッ!だークソ喉がイガイガする」

 

ドサッ

 

風見幽香が落ちてきた。だが、まだ戦うつもりなのか傘を此方に向けている。

傘の先端に妖力が集まっていく。リミッターが外れたのか先程とは比べ物にならないほどの妖力が集まっている。

まあ、俺とて黙って見ている訳ではない。風見幽香に近づき触媒となっている傘を蹴り飛ばす。

 

「いい加減に諦めろって、ありゃ?」

 

最後の力を振り絞ったのか俺の腹を一本の腕が貫いていた。

はあ……油断大敵って覚えていたはずなんだけどな……

貫いていた腕から力が抜けた。どうやら気絶したようだ。

腹から腕を抜き風見幽香の体を持ち上げる。クレーターから出て辺りに休める場所は無いか探す。

 

「にしても……暴れたなぁー」

 

巨大なクレーターが二つに、大きく抉れた森。

 

「むしろ、これだけで済んで良かった……のか?」

 

能力で元に戻す。試しに向日葵も戻そうと思ったのだが、なにかそれは違う気がしたので止めて置いた。

近くにあった家の残骸らしき物を元に戻し中に入る。何故かベットがあったのでそこに横たわらせた。

外に出て何故こうなったのかを考える。

 

「考えるまでも無いか。大方、あの陰陽師たちが逃げる最中に炎の術を使ってそれが太陽の畑に飛び火した。そして、風見幽香は火を止めるべく頑張ったが、消化しきることが出来ずに火はどんどん広がっていった。結果、この現状って所か」

 

地面に手を付ける。すると、手を伝い温かく優しくも力強い力が流れ込んでくる。龍脈だ。

意識を強く持ち深く深く潜り込む。なんども繰り返して来たことなので簡単に潜り込む事が出来た。

龍脈を辿っていく……龍脈はある一点で終わる。

龍脈から意識を引き上げる。

 

「……やっぱり……じゃあ、あそこが……でも気配は……なにかしらのきっかけが必要なのか?」

 

日本を、世界を練り歩いて龍脈を見つけたときは毎回やっているが、必ずある一点(・・・)に行き着くのだ。だが、不思議なことに気配は三つ(・・・)あるのだ。

だが、その場所に居ても龍脈を辿った時に感じた気配は全く感じられない。

それが、俺の探し物なのかは分からないが、可能性は高いだろう。

 

そして、立とうとした瞬間……

 

 ズガシュ

 

俺の首が飛んだ。

能力で再生能力を高めていたためすぐに再生できた。

俺を殺したのは風見幽香だった。

 

「おいおい……ここは冷静になって話しを聞いてくれる所じゃないのか?」

「そんな妄想は存在しないのよ」

「あっそ。で?どうするんだ?殺りあうんなら歓迎するが?」

 

そう言うと目を逸らし、ギリッと口を噛み締めた後、その重々しい口を開いた。

 

「ええ、殺りあいましょう。って言いたいんだけどね。私じゃ貴方を殺すのは無理そうだから遠慮するわ。でも……」

 

逸らしていた目を此方に向け、睨み付けた。

 

「貴方の事は……絶対に許さない……!私の向日葵をよくも……!!」

 

無意識に手を額に当てていた。

 

「……誤解を解くか。ってか解けるのか?これ」

「なにをブツブツ言っているのかしら?」

「やるだけ、やってみるか。俺はこの太陽の畑に手を出していません。大体お前も言ってただろ?貴様も私の花達を殺しに来たのか、って」

「じゃあ、貴方の目的はなにかしら?」

「いやなに、俺が住んでいる村にコレをやったであろう陰陽師が逃げてきてな。すでに死んでしまったが、大妖怪相手に逃げれたから少し気になってな」

「……信じられないわね」

 

風見幽香は傘の先端を俺に向ける。

 

「正直に話しなさい」

「本当なんだけどな。後、俺にさっきの光線を当てても意味無いぞ?良く分かってるだろ?」

 

そう言ってみても風見幽香は傘を降ろそうとはしなかった。

 

「……じゃあ、俺がこの場所に生命を芽吹かせることが出来たら信じてくれるか?」

「……私でも出来ないのに貴方が出来るのかしら?」

「アンタが手を貸してくれたら、な。まあ、元通りにする事は出来ないけど。どうする?」

「……出来るのね?」

「まかせろ。じゃあ準備するから、花の種を貰えるか?」

「分かった。少し待ってなさい。あと、私は『風見 幽香(かざみ ゆうか)』よ」

「俺は鶴来彰人だ」

「お願いするわね。彰人」

「お願いされた。まかせとけ幽香」

 

幽香から花の種を受け取り花畑を囲むように間隔を開けながら置いていき、幽香の家の周りも同じように花の種を置いていく。

そして、花の種と種を木の枝で線をを書き繋いでいき、術式の完成だ。地面に手を付き詠唱を始める。

 

『まわれ、回れ、廻れ』

 

詠唱には二段階ありここまでは割と誰でも出来る。あとは、この術式に幽香の思いと能力を乗せ第二段階の詠唱を終らせ、あとは力が枯渇するまで耐え忍ぶだけだ。

背中に幽香の手が乗るのが分かる。俺の中を通り術式に幽香の思いが流れていく。

種と種を繋ぐ線を緑色の液体のような物が流れていき、全体へと行き渡たり、俺の所へと戻ってきた。

この術は世界の一部を作り変える術だ。たとえ大妖怪といえど数十秒と経たない内に妖力が枯渇するのは目に見えている。

なので、幽香の妖力に俺の霊力、魔力、妖力を練り合わせ幽香の妖力の消費を極限まで減らす。

 

さあ、準備は整った。

 

世界を廻そうか。

 

 

『戻り、加速し、まわれ回れ廻れ。世界を切り離し、世界を新たに作り直せ』

 

 

詠唱と共に緑色の液体が淡く発光し始め、光がドーム状になり太陽の畑を包み込と共に―――

 

―――世界が、廻った。

 

とてつもない速度で世界が廻る。植物が育ち、枯れ、子孫を残し育つ。そしてまた枯れ、子孫を残す。

まだ、経って数分しか経っていないというのに、息が上がり、汗が噴出す。

 

五分が経つという所で二十五億年前に見た植物が顔を見せ始めた。

 

さらに十分、耳が聞こえない、だんだんと世界の廻る速度が遅くなり始めている。幽香も俺が消費を抑えているとはいえそろそろ限界が来そうだ。

もう少し……持ってくれよ……!

 

さらに五分が経ち、一輪の花が咲いた。

 

そして、爆発を起こしたように色んな種類の花が世界を埋め尽くした。

赤、白、黄色、紫、桃、青。色とりどりの花が咲き誇る。

そこで、俺の力が枯渇し、視界が暗転した。

 

 

目が覚める。

知らない天井。知らない部屋。

 

「俺は一体なにを…………外はどうなった!?」

 

俺は飛び上がり外へと出る。

外に出ると色とりどりの花が俺を出迎えた。どうやら今は夜のようだが花畑だけは淡く光っている。

 

「良かった……成功してたんだな。そういえば幽香は?」

 

辺りを見回す。幽香は花畑の中にいた。

幽香に近づくために花畑の中を移動する。歩を進めるたびにフワリと甘いいい香りが鼻孔をくすぶった。

幽香に近づくと、幽香が気づいたのか振り返った。

 

「あら、もう起きたのね」

「おかげさまでな。どうだ?」

「……あの子達はいないけど……でも、なんででしょうかね。この子達、私達にありがとうって言ってくれてるのよ」

 

幽香の花たちを見る目は優しく温かい物だった。

幽香が花から目線を逸らし俺の目をじっと見つめる。

そして、頭を下げた。

 

「……ありがとう」

「結局、あの向日葵たちは取り戻せなかったけどな。まあ、どういたしまして」

「さっき、ありがとうって言っているって言ったわよね。それは、この子達もだけど、生き残っていた向日葵からも言われたの。『僕達の仲間を救ってくれてありがとうって』。この場所を捨てずにもう一度沢山の花達を咲かせてくれたから、なんでしょうね」

「信じられないが……まあ、どういたしまして……なのかな?さて、そろそろ帰るか」

「あら?もう帰っちゃうの?少しぐらいゆっくりして行きなさいな」

「すまんが、帰る場所があるんでな。まあ、暇なときにでもよってみるよ」

「そう。それじゃあ、また今度ね」

「ああ、また」

 

そう言って幽香の元を後にする。

チラッと後ろを振り返ると……

花が連なり文字となっていた。

 

 

『ありがとう』

 

 

心の中でどういたしましてと言い帰路につく。心配しているだろうから早く帰るとしよう。

 

 

「ただいまー。はぁ疲れた」

 

本当に疲れた……力を使いすぎたな。明日の昼には元に戻るか?

にしても、返事が無い……なにかあったのだろうか?

靴を脱ぎい得の中へと入る。眠るにしては早い気もする。また華扇が無茶でもしているのだろうか。

 

「おーい。誰かいないのか?」

 

居間への扉を開ける。

そこには、三つの人影。

 

「いるんなら返事位してくれよ」

 

その、三人に声を掛け、顔を確認する。

 

「へ?」

 

間の抜けた声が響いた。

その声の発生源は俺、それもそうだろう。そこにいたのは、

 

「なんで……父さん達が……」

 

他ならぬ俺の父さん、母さんだったからだ。

そして、父さんと仲が良かったお姉さん。

 

あの時の記憶がフラッシュバックする。

喉の奥からすっぱい物が込みあがってくる。

そして、限界点を超え

 

「うげぇぇぇ」

 

殺したい……ころしたい……コロシタイ。コロス

父さんとお姉さんの首を掴む。母さんが俺を止めようとするが知ったことではない。

死んだ身でも、俺を苦しめるような奴なんて!家族を苦しめるような奴なんて……

 

「あ、れ?」

 

父さんとお姉さんの体がぶれた。二人の姿が見えなくなり、俺の手に残っていたのは……

 

華扇と玉藻だった。下を向くと俺を止めていた筈の母さんの姿も無く、妹紅がいた。

 

「あ、れ?あれ?あれあれあれれれ……え、?」

 

だんだんと意識が遠のいていった。

 

 

目の前で女性が倒れた。その人は俺の大切な人で、その人を倒す原因となった人も俺の大切な人だった。

 

もう……やめてくれ……

 

「やめてくれぇぇぇ!!…………はぁはぁ……夢か……クソッ!」

 

辺りを見回す。

どうやら俺の部屋らしい。

……そうだ!華扇達は!!

 

部屋から出て、一番近くの華扇の部屋の扉を開ける。中には誰も居ない。

玉藻の部屋の扉を開ける。中には誰も居ない。

妹紅、ぬえの部屋にも誰もいない。

居間へと走り、バンッと扉を開く。

 

「うわ!なんだ……彰人さんでしたか。びっくりさせないで下さい」

 

華扇の姿があった。玉藻の姿があった。妹紅の姿があった。ぬえの姿があった。皆の姿があった。

 

「ちょ!なに泣いてるんですか!?」

「あーあー。華扇なーかしたー」

「ぬえは黙っていてください!!ええっと。ど、どうすれば!?」

「華扇。少し落ち着かないか。妹紅の成長に悪影響を与えたらどうする」

「そんな子供あつか「そんなに焦っていません!!ゆえに妹紅にも悪影響なんて与えていません!!」被せないで下さい」

 

騒がしい話し声が聞こえる。それだけで嬉しさがこみ上げてきた。

 

「え……ちょっと?!なんで泣いてるんですか?!」

「え?」

 

目元に手を持っていく。無意識に泣いていたようだ。

 

「すまん……なんか、嬉しくて……な」

「いえ、謝られても……まあ、取り合えず。おかえりなさい。彰人さん」

「おかえり~。彰人」

「お帰りなさいです!彰人さん」

「お帰りなさい。彰人」

 

その言葉を聞くとよりいっそう涙がこみ上げてくる。

でも、言わないと。家族なんだから。

 

「グスッ……ただ、い、ま……!」

 

その言った瞬間、緊張が途切れ大泣きしてしまったのはとても恥ずかしかった。

 

 

「なあ、聞かなくていいのか?」

 

皆にそう聞くとキョトンとした顔を返された。

 

「いやいや。昨日のことで聞きたいこと無いの?」

「聞きたくない。と言えば嘘になるな」

「でも、私達からは聞くような真似はしませんよ」

「でも……いつか話してもらうからね」

「私達も心の準備をしておきますからね?」

 

さっき、あれほど泣いたと言うのに、また目頭が熱くなる。

 

「……ズッ。ありがとな。その内、出来るだけ早く話すから」

「約束ですよ?」

「ああ。約束だ」

 

いつか……俺が『消えてしまう』前には話そう。

 




御読みいただき有難うございます!

スランプから抜け出せません……

では、また次回~
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