東方 崩廻録 (完結)   作:ちゃるもん

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投稿です!!

なんとか間に合ったけど……展開が早すぎる……
特に最初のほう……

では、どうぞ!!


解放

それは唐突な出来事だった。

何故こんな事になったのか全然分からない。

それでも起こってしまった。その事実は変えることが出来ないのだ。

 

「妹紅……どうして……」

 

俺の腕の中には虫の息状態の藤原妹紅の姿があった。

腕はへし折られ、右足は潰され、左足があるハズの場所には何も無く、胴体には小さな拳の痕が何十と残っている。

 

不老不死だから死にはしないものの痛いものは痛い。

それに、妹紅はまだ実戦をしたことも無い。

それ故か、一撃一撃が急所を突いていた。

今は俺の能力で回復速度を上げているが直りが遅い。内蔵も確実にやられているのだろう。

 

胸の内をドス黒いものが噴出した。

頭がより鮮明に動く。

その時、声が聞こえた。ぬえのものではない聞いたことの無い女の声。

 

『それをやったのは私だよ』

「貴様は誰だ」

『私は……だ。場所はアンタん所の華扇に教えてるから。待ってるよ』

 

そう言ったきり声は聞こえなくなった。

 

「待ってるよ?ああ。今すぐに行ってやるよ」

 

~side out~

 

~side ???~

 

私はよしッとガッツポーズを取っていた。

久しく強い奴と戦えるのだからしないほうがおかしいと言う物だ。

 

『鶴来彰人』

 

陰陽師の間では伝説にでもするのかと言うほどに恐れられている。

だが、鶴来彰人は戦いはするものの基本的に本気を出さないらしい。

妖怪でもないのに恐れられる程の存在……そんな奴と全力で戦い……

 

そこで考えたのが、鶴来彰人は親しい存在を傷つけられるのが許せないらしい。

なら、手ごろな奴を痛めつければ……ああ……今からとっても楽しみだ。

 

~side out~

 

~side 彰人~

 

妹紅を家に連れて行き玉藻とぬえに看護を任せる。華扇の姿は無かった。

 

気配を辿り声の主を追う。

 

着いた場所は一つの洞穴。門番には角が一本。

鬼の集落のようだ。門番は二人とも男だ。

 

『人間が何のようだ』

 

俺に気づいた一人の鬼が声を掛けてくる。

 

「ちょっとな。通らせてもらうぞ」

 

素っ気無い俺の対応にイラついたのかもう一人が俺の肩を掴んできた。

 

『テメェ……殺されてぇのか……』

「……ここで耐久度を簡単に測っておくか」

 

鬼の顔を蹴り飛ばす。

音すらしなかった 洞穴の壁に突き刺さってしまったが死んではいないようだ。

 

「わりと頑丈で助かった」

 

刺さった鬼と何か呟いている鬼を無視して更に奥に進む。

奥に進むと、そこでは鬼達が宴をしていた。酒の臭いが鼻につく。

鬼たちは人間が入ってきたことに騒いでいるが、そんな事は放っておいて目的の鬼を探す。

 

女の鬼は予想以上に多く、密集しているため気配も追えない。

俺は驚いている鬼達を尻目に一番目立つ場所、闘技場のような物に上りその名前を呼んだ。

 

「伊吹翠香は何処だ!!」

 

ざわざわと鬼達が騒ぎ出す。

そのとき、パァアン!!と大きな音が響いた。

その先には低身長で、大きな鹿のような角を生やした鬼。

 

「私が『伊吹 翠香(いぶき すいか)』だよ。待ってたよ鶴来彰人」

「五月蝿い。喋るな。反吐が出る」

「おー。こりゃ凄い嫌われようだね。まあ、しょうがないか。さあ、始めようじゃない―――」

 

「―――へ?」

 

「喋るなって言っただろうが」

 

俺の放った蹴りがクソ女の顔面を捉えた。

それをモロに喰らったクソ女は音を置き去りにしながら吹っ飛び壁に埋め込まれた。

 

追い討ちで這い出てこようとしている所に飛び膝蹴りをお見舞いした。

グチャ と嫌な音が耳に届く。

まあ、鬼だから大丈夫だろう。

 

「アイタタタ……いきなりなんて酷いじゃないか。次はこっちの番だよ」

 

クソ女の姿が見えなくなる。

俺の半径五メートル以内に起こった変化を『無くす』

目の前にあのクソ女の姿が現れた。

 

「……あれ?」

 

理解の追いついていないクソ女の顔を踏みつける。

 

クソ女の顔が潰れる。

再生する。

潰す。

再生する。

潰す。

 

ガシッと足を掴まれた。

 

「クソッ!やってくれるじゃないか!!」

 

クソ女は俺を持ち上げブオン!と投げ飛ばす。

空中で一回転し反対側の壁に着地する。

 

クソ女はまだまだやる気らしく舌なめずりした。

 

「いやぁ……強い!ここまで強いやつは久しぶりだねぇ!!」

 

そう言って近くにいた別の鬼の飲んでいる酒を奪い一気に飲み干した。

 

「プハァ……まだまだ本気じゃないんだろ?さあ、アンタの本気をみして欲しいねぇ。じゃなきゃあの童を殺した意味がない」

「……そのためだけに、妹紅にあんなことをしたのか」

「そのため……人間にから見たらその程度なんだろうさ。まあ、さすがにあの童を殺るのは気が引けたけどね。でも、鬼にとっては死活問題なんだよ。最近の人間共は毒だ闇討ちだってまともに戦ってくれないんだ」

 

クソ女は自分達、鬼側には非がないように言い放つ。

 

「でも、アンタは予想通り真正面から突っ込んでくれた、いやぁ嬉しいね。本当に嬉しい。性根の腐った人間共とは大違いだ!!」

 

そうか……

 

「だったら、その性根の腐った人間達がなんでそんな行動をしたのか教えてやるよ」

 

霊力・解放

 

「……いいねぇ。最ッ高だよ!鶴来彰人!!」

 

クソ女の音速で飛んできた拳が俺の顔面を捉える。が、

 

「がああああぁぁ!!」

 

潰れたのはクソ女の拳だった。

 

「てめぇの身体能力、再生速度を『未知数』に。人間の成人男性と同じ数値で『固定』。妖力の量を『未知数』に低級妖怪と同じ数値で『固定』」

 

クソ女は必死に妖力を流し治療しようとするが治る気配は一向にない。

 

「この空間の死という変化を『無くす』」

 

さあ、絶望しろよ……

クソ女の髪を掴み上へ放り投げる。

腕を大きく振りかぶり、落ちてくるクソ女めがけて―――

 

「クソおんなぁぁあああ!!」

 

全力で振りかぶった。

第三宇宙速度で飛んでいったクソ女が壁に激突する寸前で腹を蹴り上げる。

今度は一緒に飛び上がりクソ女の顔面を掴み地面に叩き付けた。

 

ダガァァン!!

 

隕石が落ちてきたかのようなクレーターが一瞬にして出来あがった。

衝撃に耐え切れなかったのか洞窟にヒビが入る。

鬼達が慌てて外に逃げていく中、クソ女とは別に最後まで残っていた鬼がいた。

もちろん俺ではない。

 

「アンタは逃げなくてもいいのか?」

 

クソ女とは正反対で胸が大きく俺と同じくらいの身長だ。筋肉が目立つが無駄な筋肉が一切付いていない。

手にもっている盃を口に運びそこに入っている酒を一気に飲み干した。

 

『このぐらいじゃ鬼は死にはしないさ。ただ、そっちの奴を帰して欲しくてね』

 

そう言ってすでに満身創痍にとなっているクソ女の事を見た。

 

「ああ、外に逃がすんなら俺がやっておくから気にしなくてもいいぞ」

『お!良いのかい?なんだか怨んでいるようだったが』

「良いって良いって。気にすんな」

 

クソ女の頭を掴み出口に向かって投げ飛ばす。

 

『ありゃあ……また随分と派手にしたもんだ』

「方法はどうあれきちんと逃がしただろ?お前こそ良いのか?それなりに近しい関係なんだろ?」

『あいつ自身がまいた種だ。私が口出しする権利なんてないよ。だから、私は一切口を出さない』

「そうかい」

 

長々と話していた為か洞窟全体が崩れ始めた。

こりゃあ急がないとな。

とか思いながら出口に向かって歩く。

 

俺達二人が外に出ると同時に洞窟が ゴゴゴゴゴゴ と崩れた。

 

「危なかったな」

『歩いていた奴がなにを言っているんだ』

「確かに」

 

さて、最後の仕上げの時間だ。

 

手を自分の胸の前に持っていき、突き刺し、引きずり出す。

 

握られているのはまだ動いている心臓。

 

繋がっている欠陥を一本一本切り離していく。

切る度に声を上げそうになるが口を噛み締め我慢する。

 

口の端から血が流れる。

 

血が ピチャン と落ちたと同時に詠唱を開始した。

 

『禁忌ノ槍。ソノ槍デ傷付ケラレタモノニ癒シハナイ!救イハナイ!』

 

血反吐を吐きながら詠唱する。

 

『全テヲ消シ去ル槍!消セ消セ消セ!!』

 

憎しみを、悲しみを、怒りを込めて、

 

『今此処ニ全テヲ消シ去ルタメニ顕現セヨ!!』

 

その名を

 

呼べ!!

 

『ゲイ・ボルグゥゥゥ!!』

 

俺の手に握られているのは一本の禍々しい槍。

先端は三又に分かれ真ん中の一本は外の二本に比べ圧倒的に長く、外側の二本は剣のようになっている。

 

俺が封印している数少ない武具の一つだ。

その理由はこの槍の能力にある。この槍で傷を付けられたら俺でも危ないほどで、変化の能力でも対応することが出来ない。

 

狙いをクソ女の大きな角に狙いを定めゲイ・ボルグを振り上げ、

 

「それじゃあ、永遠にもがき苦しめよクソ女」

 

―――ビュオン!!と風を切る音がした。

 

ゲイ・ボルグを振り下ろす。

肉を断った後、一瞬硬い物の感触。そしてまた肉の感触がした。

 

そこにあのクソ女の姿はない。

 

なら、誰の、なにを切ったのか?

 

地面に ベチャリ と落ちたのは一本の腕。

 

「ぎゃあぁああああ!!!」

 

俺の前にいたのは、俺が腕を切った相手は、俺の良く知った存在だった。

 

桃色の髪、浴衣を改造したようなチャイナ服、そして頭にはぼんぼんが二つ。

 

鬼であり、仙人であり、俺の大切な家族。

 

茨木 華扇だった。

 

「ば……っかやろうが!!」

 

急いで華扇に駆け寄る。

切られた右腕からは溢れる赤い血は留まる事を知らない。

 

血を固め止血する。

そして、切り飛ばされた右腕を拾い上げる。

コレがまだゲイ・ボルグの効果を完全に受けてなければ……!!

 

だが、そんな淡い希望も黒い塵と貸してしまった右腕を前に淡く崩れ去ってしまった。

呆然としている俺の頬に温かい物が添えられた。

 

華扇の左手だった。

華扇は顔を上げ俺の顔を真っ直ぐに見つめ

 

「帰りましょう?」

 

まるで何事もなかったかのようにそう言ったのだ。

それに対し、鬼共がざわめき立てる。

 

まだ、試合は終ってない

サシの勝負に横槍をいれるな

 

そんな言葉を容赦なく浴びせてくる。

 

「帰るのはもう少し待っててな」

 

華扇を眠らせ結界で守る。

鬼共に向き直る。

 

「いい加減……黙ってくれないか?」

 

半径十キロ内までにしか俺の力が及ばないように『変化する』

半径十キロ内の生物に対する死の概念を『無くす』

 

これで、好きにできる。

 

「さあ!」

 

霊力、魔力、妖力……全解放。

 

力を束ね、廻す。

魔力が霊力を妖力を吸収し何十倍にも力が増大する。

俺の手の中には手のひらサイズの白色の塊、魔力の塊があった。

 

「天変地異の始まりだ!!」

 

魔力の塊を地面に叩き付けた、瞬間

 

地面が抉れ、陥没し、ひび割れる。

水が溢れ、植物達が歪な形に生長し、魔力が溢れる。

 

鬼は衝撃によって吹き飛ばされたのか、その場には俺と華扇の姿しかなかった。

 

「さあ、帰ろう」

 

寝ている華扇を抱き上げ自宅を目指す。

 

 

 

 

後、この森が魔法の森と呼ばれるようになる。

 




御読みいただき有難うございます!!

いやぁ、ね?ネタが出てこないですよ……

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

次は……いつになるのかな~(遠い目)

では、また次回~
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