東方 崩廻録 (完結)   作:ちゃるもん

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異端者

俺はもうすぐ死ぬ。

俺の対面に座る女によって殺されるだろう。

走って逃げようにも扉は女の後ろにあり速さは分からないが力は圧倒的に女の方が上。もう、逃げることは出来ないのだ。

 

そんな絶望に浸っていると女が口を開いた。

 

『とりあえず誤解を解こうか』

 

誤解?俺が一体何を誤解しているのだろうか?

 

いきなり目が覚めたら知らない部屋にいて俺のことが事細かく書かれている資料があった……考えられるとしたら殺すか保護の二択だろう。

 

でも、俺を保護してなんになる?俺は何かに狙われているわけでもない。

だったら殺すために誘拐したと考える方が普通ではないだろうか。

それとも誤解といっているから本当に保護するために拐ったのだろうか。

 

『あー、まあ何を考えているのかは何となく分かるよ。安心して、って言っても無理があると思うから実際に見てもらいながら説明するよ。付いてきて』

 

そう言いながら女はパソコンを持って和室に向かう。

俺はこの隙に逃げようかとも考えたが本当に保護する為だったら俺は何者かに狙われていることになる。

だったら現状を把握した方が良いだろうと思い彼女に付いていく事にした。

 

元々が死ぬ運命に在ったんだもう覚悟はできている。

 

「早かったね。てっきり逃げると思ってたよ」

「命が危ない状況ならアンタといた方が安全だからな。俺を殺すのなら家に入れた時にでも後ろから刺せば終わりの筈だ、なのにアンタはそれをしなかった。そんなに時間が有ったんだ。覚悟くらい出来たよ。良い意味でも、悪い意味でもな。」

「そう。なら始めようか」

 

こんな何もない部屋で一体何をしようと言うの………か?!

 

何の変哲ない部屋は一瞬にして高校生の住んでいるような部屋、少し大きめの本棚が有り小さい冷蔵庫に料理の後だろうか食器と調理器具が台所に置きっぱなしになっている。

 

何度も見た光景それもそうだろうだって此処は俺の部屋なのだから。

瞬きをした訳でもなく一瞬にして変わったのだ。

 

「何で俺の部屋に?一体どうなってやがる……」

「これは、君の記録だよ。あの日のね」

「あの日?」

「そう、あの日―――」

 

「―――君が死ぬはずっだった、ね。まあ視てれば分かるよ」

 

俺は大人しく視ていることにした、悪魔で表面上だけだが。

 

死ぬはずだった?でも俺は今現在生きている。いや、合っているのかそれで。

なら何で俺は生きているんだ?今日は事故に遭うようなことも……

 

そこで俺は気付いてた。気付いて……しまった……

 

もしあの夢が本当に現実として発生していたとしたら……?

 

額から汗が滴る。頭では否定して忘れようとしても次から次にあの悪夢の用な光景が蘇ってくる。

 

「もうすぐだよ」

 

何がもうすぐなのだろうか?否、もう分かっている。

 

映像の中の俺は窓の外、グラウンドを視ていたそして、始まった。あの闇が発生した。

 

それから、学校から逃げ出し俺が落ちていくまでの一部始終が流れていった。

 

「……少し整理させてくれ……頼む」

「……分かった」

 

女は部屋から出ていく。女が完全に出ていったのを確認してから俺はその場に座り込んだ。胃の奥から戻ってくる物を何とか飲み込む。

 

俺はどうすれば良いのだろうか?夢だと思って疑がっていなかった分余計にショックが大きかった。

 

目から水滴が滴り落ちる。となりの部屋にいるであろう女に聴こえないように声を殺しながら泣いた。

 

 

……一体どれ位の時間が経ったのだろうか?数分?数十分?それとも数時間?なんにせよ、もう涙は渇いている。

胸がスッキリとすることは無かったが、話を聞く分には問題ないだろう。

 

部屋を出ると女は襖の前に立っていた。

 

「?どうかし……?!」

 

女は俺が言い終わる前に抱きついてきた。

 

「私しかいないから無理しなくていいんだよ。全部吐き出していいんだよ」

 

そんな優しい言葉を言った

くそっ……あんたに聴かれたくないから……がまんしてた……のに……!

女のその優しい言葉で俺の中の楔は弾け、

 

「うああぁぁぁー!!!」

 

女の胸の中で子供の様に泣いた。

 

 

 

 

「落ち着いた?大丈夫?」

「悪かったな。おかげで少し楽になった」

「そう。それならよかった。少し酷かも知れないけど早めに現状を理解ほしいの。良いかしら?」

「分かった。よろしく頼む」

「……ねぇ、なんでこっち見ないの?」

 

………見れるはずがないだろ!さっきまでその胸の中で号泣したんだぞ!しかも胸でかいし美人だし!あぁ絶対俺いま顔真っ赤だよ……

 

「良いから早く始めてくれ」

「そう?まぁ良いけど。それじゃあ説明していくね」

 

ノートパソコンに先程の映像が流れ、グラウンドに黒い球体が発生したところで一時停止。

 

「この黒いのが黒化(こくか)君も体験したと思うけど周りに在るもの全てを抉りとっていく現象だね。そして次に全ての物体が止まる白化(しろか)

 

画面には徐々に白くなっていく世界が写っていた。人も自然も太陽でさえも。

 

「そして、最後に『崩壊』が始まる」

 

白くなった世界はその形を無くしていく。自分たちが知らない所で全てが終わっている。何も感じる事も出来ずに。

そして俺が連れてこられた理由

 

実験動物(モルモット)にしたいわけか。あの黒い闇、黒化に耐性を持っている俺を。そうだろ?」

「察しが良くて助かるわ」

 

女は肯定する。

 

「……俺はこれからどうなる」

「別に貴方を解剖したりはしないから安心して。で、質問の答えなんだけどその前に私達の目的について話しておくわ。私達の目的は『私達はどうして存在するのか』それを知ること。私達はそこに突如として発生した。今は違うけどね。最初は十人だったらしいわ。彼らは知識を持っていた。世界を見る事が出来た。そして、自殺した。その時に彼らはこう言ったそうよ『私達は受け入れられなかった、私達の存在を。我らより強い者がその意味を知り受け入れられる事を望んでいる。』だから世界の外の者として貴方を研究対象として呼び寄せた。貴方は黒化に耐性を持つ言わば『異端者』そんな貴方の行動が私達に何か成すものがあると信じて、貴方には転生してもらいます」

「転生……どこにだ?問題児か?インデックスか?それともデートか?」

 

女に聞いてみると女は三本指をたてて1、2、3どれが良い?と聞いてきたので俺の誕生日でもある3月の3を選ぶことにした。

 

「東方projectか、じゃあ次にこの中から3つまで選んでね♪」

 

何処から出したわからない箱を差し出される。今さらっと大事なこと言ったよな?

とりあえず箱の中に手を入れ中身を一つ取り出す。続けて二つ目と3つ目も取り出す。

中に入っていたのは白いボール。何か文字が書いてあるが読む前にち取られてしまった。

 

「うわ~これはまた酷いことになってるね」

 

一体何が酷いと言うのか、女は苦笑いを浮かべながら「これが君に送る私からの能力(プレゼント)だよ」と言い三つのボールを見せてくる。

 

ボールには文字が書いてあり右から順に

 『変化』

 『み・ち』

 『術』を操る能力 

 

と書かれている。完全なチートである。コレハヒドイ

 

「ま、なちゃったものは仕方ないし明後日には向こうに行く準備しとくから、その間までに能力の使えるように頑張ってね」

「それは分かった(無茶ぶりヤベェ…)。ただ二日間ここに住むのか?俺は」

「そうだけど?」

 

俺はため息を付きながら掃除を開始するのだった。

 

 

 

 

それから二日間の間は能力が使えるように練習した、さすがに二日では全てを完璧に――とまではいかなったが取り敢えず感覚を掴むことには成功した。

 

そして今日、俺は転生する。

 

最初は異物がその世界に行っても大丈夫なのかとも思ったのだが、女が言うには

 

『世界は沢山あってね歴史も少しから殆ど違ったりもするんだよ。其所に歯車が1つ増えるだけ、それがよい結果を出すか悪い結果を出すかは分からないけどね。だから事前知識が有ったとしても意味は無い!せいぜい名前が分かるくらいなのです。まあ今回の所は基本的に同じみたいだけどね、貴方の世界の原作と。まぁ大丈夫だとおもうわ』

 

とのこと。大丈夫なのか?それ。と思っていたがどちらにせよ行かなくてはならない。

 

そして、その時は来た。

 

今いる所はあの和室、何かしらと縁がある部屋である。

 

「それじゃあ今から転送するから部屋の真ん中に立ってね。送ると同時に貴方を不老不死にするけどいいかしら?」

「……分かった」

 

不老不死の話は聞いていた、なので特に気にすることもなく……人間をやめられる。

ただ、傷は残るそうだ。あくまでも死なないようにする応急処置なのだろう。

 

指示通りに部屋の中心に立つ。

すると、身体が光り始めた。

 

「物凄く今さらだけど、名前教えてくれる?」

「確かに今さらだな」

 

今まで俺は『アンタ』女は『貴方』で生活出来てたからな。

今思うと何で生活できていたのかが不思議だ。

 

「ちなみに私は『アイ』よ異端者、貴方の名前は?」

「俺の名前は彰人『鶴来 彰人(つるぎ あきと)》』だ。」

 

光は強くなり俺は名前を言ったと同時にそこから消えていた。

 

 

こうして、俺の、人間をやめた『鶴来 彰人』の新たな生が始まる。

 

 

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