東方 崩廻録 (完結)   作:ちゃるもん

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第壱章 月の住人に成りえる者たち
新たなる世界に


……ッん…着いたのかな?

 

目を開き周りを確認する。

 

洞窟の中なのか薄暗く、唯一の明かりになっているのは天井に開いている穴だけである。

その穴からは月が見えており今が夜だとわかる。光が差し込んでいる先には大きな湖があり月の光を反射している。

さらに、嬉しいことに湖の周りには植物が生えており果物もちらほらと見て取れる。

 

「とりあえず水と食料は大丈夫そうだな」

 

水はそのまま飲むと危険なので植物を切って出てきた水で何とかしよう。能力が使えるようになれば水をろ過できると思うけど。

 

ちなみに今一番使え慣れているのは、『術』である。この能力はその名のとおり『術』が使える能力だ。武術に加え、魔術に陰陽術から呪術さらには妖術と何でもござれだ。故に『霊力』『魔力』『妖力』(神力・奇跡は違うらしい)の三つだ。

 

次に『変化』だ。これが一番強力な能力だと思う。この能力は全て無機物から有機物、形有るものから無いものまで何でも操ることが出来る。例えば鉄を金に変化させたりとか…ただ強すぎるのであまり使いたいとは思わない。(戦闘以外では使うけど)

 

そして最後に『み・ち』である。意味が解らない。この能力は変化と同等かそれ以上の力を持っている。ただ使い勝手が悪い。この能力は『み』と『ち』が付くものならば何でも操れるのだが(身や血、道や未知など)変化の能力があれば基本的に事足りるのだ。

ただ『変化』と『み・ち』の二つを一緒に使えばいろいろなことが出来るだろう。まだ試してないから解らないのが。

 

そんなことを考えながら湖畔へと近づく。

 

「改めて近づくとほんとにでかいなこの湖」

 

湖を覗き込むとそこには魚や海藻類が綺麗に見えるほど透き通っている。

周りの木に実っている果実は見たことのあるものも有れば、形をしているものも有る。とりあえず今は夜なのだ、どこか寝床を探さなければ。

 

俺は妖力で炎を出して湖畔を中心に探索をする。探索をしていると大きな飛行機が入れそうなぐらいの穴を発見した。さっきは暗くて見えなかったのだろう。とりあえず中に入ってみる。こちらも天井に穴が空いており月明かりが差し込んでいる。そして、

 

大きな体をもつ『何か』がいた。

 

体の表面は赤い鱗に包まれており、背中には一対の翼、長く太い尻尾、頭には巨大な角が二本。

 

そう、そこにいたのは伝説上の生物、ときには神として、ときには悪の化身として描かれる……ドラゴンがそこにはいた。

 

いまは寝ているようだが、このドラゴンがもし敵対してきたらと思うと……背中をじっとりとした汗が流れる。

とりあえず早く此処から出てしまおう。俺は急いで此処から出ようとしたときにくぼみに躓きこけてしまった。

 

「うわッ!(クソッ!今ので起きてないよな?!)」

 

ドラゴンはそれに気づかなかったらしく起きる様子は無い。ホッ、助かった。次は注意して進もう。そう思い踏み出した……そんな時だった

 

『貴様は何だ?』

 

なんだ?!今なにかが聞こえた気がしたのだが……あたりを見回しても首を此方に向けている一匹のドラゴンくらいしかいない。

そういえばドラゴンってどうやって数えるんだろう?一匹なのかな?それとも一頭?どうなんだろ?

 

 

…………分かっているさ!!今話しかけてきたのはこのドラゴンなんだってくらい!!テレパシーかなんかねで話しかけてきたんだろ!!

 

だが、これは好機でもある。俺の言葉は伝わるかは解らないが少なくとも敵対はしていないこれなら何とか出切るかもしれない。俺は冷静を装いドラゴンと対話してみることにした。

 

「俺は鶴来 彰人、一応人間だ。で、アンタ名前はあるのか?」

『呼び名は無い好きに呼ぶといい。それにしても……人間か……聞いたことが無いな』

 

聞いたことが無い……か。

 

「少し待ってもらえるか?」

 

ドラゴンは首を縦に振った。それを確認した俺はポケットに入っているスマホを取り出す。連絡先や名前などは削除されてしまったが。唯一の連絡先に電話をかける。

 

PrrrrPrrrrPrr…

『もしもし。ちゃんと繋がっているようね』

「そのようだな。でアイひとつ質問なんだが、『世界』の事をこっちの奴に教えてもいのか?」

『別に構わないよ。知ったとしても干渉できないしね。でも、だからと言ってあんまり言いふらすようなマネはしないでね。用件はそれだけ?』

「ああ、それだけだ。ありがとうこんな夜遅くに」

『まったくよ。世界の時間の流れはほとんど同じなんだから。じゃあねおやすみ』

「ああ、おやすみ」

 

アイに了承も取ったことだし説明するとしよう

 

 

~少年説明中~

 

 

「……というわけで、俺はこの世界の存在じゃないんだ」

『そうか……これから彰人はどうするのだ?今の話を聞く限り行く宛ても無いようだが』

「一時は此処に住むつもりだ、もちろんアンタの了承を得られればだけどな。にしても結構簡単に信じるんだな」

『世の中面白いほうが得だろう?条件付でも良いのならば住まわしてやろう』

「アッハッイ……で、条件ってのは?」

 

俺はゴクリと唾を飲み込む。

 

『条件として……彰人の世界を教えて欲しい……いいだろうか?』

「……ああ、もちろんだ」

 

本当に良かった今の俺にそれ以外に出切る事なんてない。

これで、水、食料、寝床と生活して行く上で必要最低限の物はどうにかなったわけだ。これからはこのドラゴンと共に生活していくことになる。

ただこのドラゴンは俺と似てるような気がする。なにがとは言え無いのだが。とりあえず今日はもう遅いんだ、もう寝よう。

 

「おやすみ」

『あぁおやすみ』

 

俺はドラゴンの少し離れた場所に陣取り眠ることにした。

………もう朝か……

顔に朝日が差し込む。俺はゆっくりと目を開いた。天井の穴のほかに昨夜ドラゴンが寝ていた先にも穴が空いていたようでそこから朝日が差し込んでいる。

俺は顔を洗うために湖畔へと向かう。そこにはあのドラゴンが水を飲んでいる。俺はドラゴンの隣に座り顔を洗う。ドラゴンがこちらに気づきテレパシーを飛ばしてきた。

 

『おはよう彰人、朝に誰かにあいさつするというものは気持ちの良いものだな』

「おはよう。そうだな」

 

俺は短くドラゴンに返事をする。元々朝は弱いほうなのだ。

顔を洗い終わり

 

「……朝飯……どうするか」

 

食べるものは沢山あるがもしかしたら毒が入っているかもしれない。死なないのだから手当たり次第に食べてみるのも良いが出切る事なら死にたくない。かと言って毒の有無が分かるわけでもない……

 

「逝くしか……ないか」

 

最初に手に取ったものは、オレンジ色の果実、皮は堅く見た目は苺に似ているしかしその大きさはメロンくらいの大きさがある。俺は、オレンジ苺を魔力で半分に切る。

中身は外側と違い赤い色をしている。

俺は片方をもう半分に切り食べやすくして、恐る恐る赤い中身を齧る。

 

「……うまい」

 

その甘さは苺でもなくメロンでもなく近いものとしては葡萄に近い。何よりも良かったこととしてはこの果実が他の果実の比べ多く繁殖していることだ。これで一時の間はもつだろう。

辺りを見回すと小さな動物達がドラゴンの目を盗みいろんな種類の果実を盗んでいるのが見て取れる。あっ残り全部リスっぽいのに持っていかれた!!

 

そうか!あの動物達が持っていったという事はその果物は食べても大丈夫という事ではないのか?だったら今度からはそれを確認して食べるものを選ぶとしよう。

 

シャァァァ!……ぁ……

ズシィィン

 

「うお!?なんだなんだ!?」

 

一瞬だけ動物の悲鳴の様なものが聞こえた。

それは、どうやらドラゴンがしとめた大蛇の悲鳴のようだった。そういえば果物だけではたんぱく質や脂質といったものが得られないではないか。

魚でも良いのだが…蛇の味にちょっと興味がある。にしてもでかいなこの蛇ドラゴンほどではないけど、それでも電車ぐらいの大きさだぞ。

 

『欲しいのか?』

「えっ」

『肉が欲しいのか?』

「えっと。頂きます」

 

どうやら顔に出ていたようだ。俺はありがたく蛇の肉を貰うことにした。

 

蛇の肉を妖力で出した炎で炙り程よく焼いていく。

肉からは脂が滴り落ち香ばしい匂いを発している。モンハン風に言うなれば上手に焼けました~だな。

俺は蛇の肉にかぶりつくあっさりとしながらもウマミがあって美味しい、鶏に近い味だ。何よりもこの皮のぷにゅぷにゅしている食感が面白い。

 

腹ごしらえも終わったところでこれから生きていく為に力の制御の訓練をしていかなければならない。

 

ここの生物は俺の世界よりも大きいようだせめて自分の身くらい自分で守らなければ。

 

俺の力の中で一番強く使い慣れている『魔力』(一番想像がしやすかったため)を制御できるようになれば『術』の魔術は使えるようになると思う。そしたら感覚的に『霊力』『妖力』も使えるようになるはずだ……そう信じよう。

 

俺は木に寄りかかり手に魔力の塊を出す。魔力は青白く炎の様な見た目をして妖しく揺らめいている。でも、その炎を見ているとどこか安心してくる。

 

俺は霊力の炎を消し魔力の特訓を始めた。

とりあえず魔力で水を球体にしてそれを反対側まで持っていく。漫画なんかで主人公が一番最初にやるよくある特訓だ。

 

でも、やってみるとこれが意外と難しい。力が強すぎたら破裂してしまうし、弱すぎては崩れてしまう。まだ炎のようにそのまま力として出すことしか出来ないからこの特訓は本当にきつかった。

これからしばらくはこのこの繰り返しだな。

それから数ヶ月が過ぎた。

力は『魔力』『霊力』『妖力』共に一通り使えるようになった。

相変わらず一番強く使い慣れているのは魔力である。

 

今の特訓方としては水をどれかの力で何かしらの形を作り、右足と左足に別々の力で包み水の上を最初はゆっくりと歩いて向こう岸まで行き徐々にスピードを上げて行く。この特訓のおかげで大分制御することが出来るようになった。

 

これからは能力の特訓も始めなければ。『術』はそれなりに使えるから『変化』と『み・ち』だな。でもどうしたものか……

変化は石なんかを『変化』して別の物にしたりなどなんとなく解るが、『み・ち』はどうしよう…身体能力を未知にしてみるか?

 

思い立ったが吉日。俺は身体能力を未知にしてみた。

……感覚でわかる身体能力が上がったり下がったりしているのが。

確かに未知とはまだ発見されていない数字などを指す。

だったらこの世界に存在する誰よりも身体能力が『高い』か『低い』のどちらかになる。

 

「だったら…」

 

俺は『変化』の能力を使い身体能力の未知を『高い』状態でその変化を無くした。

するとさっきまであった身体能力の変動が無くなった。試しに軽くジャンプしてみると簡単に天井に空いた穴わ飛び抜け外に出てしまう。

外にあったのは美しい自然たち。地平線の果てにまで続く広大な森に所々に顔を出し日の光を

 

反射している。

 

綺麗だ……ただそう思った。

 

 

 

 

 

 

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