この世界にドラクエはない   作:トッシー

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強くてニューゲームって良いですよね。
私はクロノトリガーが初でした。


Level:1

-なぁ、ドラクエって知ってるか?

 

 

なにそれ?何の略?

 

 

ねぇねぇ、ドラゴンクエストって知ってる?

 

 

はぁ?聞いたこと無いけど…。

 

 

ゲームだよ。ロープレ。RPG。

 

 

……知らん、もしかしてドラゴン・ストーリーと勘違いしてる?

 

 

……へ?ドラゴンストーリー?

 

 

ばっか、知らねぇの?ドラストだって。

 

 

エニ○クス?

 

 

いや『えにくす』。おまえ間違えて覚えてんの?だっせえ…。

 

 

四文字デフォルトネーム?

 

 

なんだそれ?

 

 

 

 

 

 

この世界にはドラゴンクエストは無い。

スク○アもエニッ○スもスク○ニも存在しなかった…。

 

嗚呼、ドラクエがしたい…。

 

俺は目の前の画面に映るTVゲーム。

ドラゴンストーリー、略して『ドラスト』の戦闘画面を見て溜息を付いた。

どうしてこの世界にはドラゴンクエストが無いんだ。

こんなのパチモノだ。

 

 

 

友人とゲームの話で盛り上がれない。

ドラストは良いゲームだとは思う。

ドラクエさえ知ってなければ俺もパチモノ扱いせずに楽しめただろう。

しかし、どうしてもドラクエと被ってしまい萎えるのだ。

もうお分かりと思うがオレ、転生者っす。

因みに神様には会いませんでした。

新たな世界は現代日本。勿論リリカルマジカルも奇妙な冒険も学園都市も有りません。

内心ホッとしてます。

神様特典のチートもないのに殺伐とした世界には行きたくないです。

平和そうな普通な世界で良かった。

前世と同じ両親や環境に喜びを感じ、人生をやり直せる喜びと期待に胸を膨らませる。

 

「けど、どうしてこの世界にはドラゴンクエストが存在しないんだぁぁぁっ!!!!」

 

「ケンちゃん五月蝿い」

 

オレの叫びは、今世のオカンの一撃によって止められてしまう。

嗚呼、神様特典くれないなら、せめてドラクエがしたかった。

オレは友人から借りていた『ドラスト』をカバンに入れる。

今日は返す約束をしていた日だ。

 

思えばこれが分岐点だったのだろう。

こういうのをテンプレというのだろうか?

交差点に差し掛かった所で暴走した大型トラックが物凄い勢いで迫ってくる。

トラックの動きはスローモーションのように感じられノロノロとしたものだが、不思議と足が動かない。

その所為か、酔っ払った運転手の間抜けな顔がはっきりと認識できた。

そして凄まじい衝撃とともに視界が真っ白になった…。

その日オレは、再び短い人生を終える事になったのであった。

嗚呼、最後にもう一度ドラクエがやりたかった。

 

 

 

 

 

遅ればせながら、その願い叶えてやろう…。

 

 

 

 

 

最後にそんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

ピキーッ

 

そうそう、こんな感じでスライムがあらわれたって感じで!

やっぱり初戦闘はスライムが……え?

 

スライム?本物?

目の前の水色のプルプルしたのは紛れもないドラクエの皆勤賞。

「いじめないで、ぼく悪いスライムじゃないよ」とつぶらな瞳が訴えているように感じられる。

 

ピキーッ

 

「いでっ!!?」

 

体当りされた。

めちゃ痛い。普通にぶん殴られるより痛い。

こいつ、悪いスライムだった。

 

 

 

神様特典、有りました。

でも神様、オレがやりたいのはテレビ画面の前でゲームがやりたいのであって、

 

「実際に冒険したいわけじゃねぇえぇぇっ!!!」

 

オレはあまりの痛みに混乱しながらスライムから背を向けて全力で走りだした。

 

平塚剣、アダ名は『ケンちゃん』。

リアル中二真っ盛り。

神様特典はドラゴンクエストの世界にトリップだった。

 

 

 

この世界にドラクエはない

 

 

 

 

ぷろろーぐ

 

 

 

 

-大丈夫?怪我はない?

 

 

あ、ありがとう…、助かったよ…。

 

 

キミ、こんな所で武器も持たずに一人旅なんて自殺志願者なの?

 

 

い、いや…オ、オレは…。

 

 

混乱してる?メダパニでも喰らったのかな?自己紹介できる?

 

 

お、オレは平塚剣…。助けてくれて本当に有難う。

 

 

 

うん、どういたしまして、私の名前は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレの視界には傷だらけの情けない姿のオレと鎧を纏った凛々しい美少女が映っていた。

これは間違いなく夢だ。

懐かしい過去の夢、オレが冒険を始めたばかりの頃の…。

懐かしむように目を細めると視界が暗転し、別の光景が映った。

まるで映画を次のチャプターに飛ばしたように。

 

 

 

そこは、とある街の酒場だった。

異世界の生活にも冒険にも慣れ、仲間も出来て順風満帆。毎日に充実を感じていた。

 

 

 

-はぁ?新しいギルドを作りたい?

 

ああ、こういうのってやっぱり形からって言うだろ?

 

もしかして以前言ってた異世界?アンタまだ諦めてなかったの?

 

い、いや…まぁ、やっぱり家族には会いたいし…、それに…。

 

自分が今でも夢見てるおかしな奴じゃないって証明したい?

 

けど俺らってもう世界中を周って行っていない場所のほうが少なくないか?

 

そんな事ないだろ?魔界や天界は未だだろう?

 

アホか!?俺ら人間がそんな場所行けるわけ無いだろ!天使や魔族じゃねぇだ。

 

だからさ誰も成し得てないからこそ燃えてこない?

 

具体的にプランはあるのか?

 

神龍に会おうと思ってる…。

 

はぁ?神龍ッ!!?あれは唯のお伽話じゃ?

 

俺らが今まで経験してきた出来事も伝説扱いが多かったじゃん?

 

その為にギルドを?

 

うん、神龍を追うには情報も人手も居るだろ?

 

それで?新しいギルドの名前は考えてるの?

 

勿論!俺達はこれから神龍、ドラゴンを追う冒険を始める。

その冒険に相応しい名前を考えておいた!

 

へぇ?聞かせろよ!

 

おう、今日から俺達は、

 

 

 

ギルド・ドラゴンクエストだ!!

 

 

 

 

懐かしいな。

初めは異世界に放り出されて一人ぼっちだったのに、こんなにも仲間が出来るなんて…。

視界は再び流れ始める。

出会いと別れを繰り返し、激しい戦いを乗り越えていくギルド『ドラゴンクエスト』。

命を落としかけた事は一度や二度じゃない。

実際に死んだ仲間に涙を流したこともある。

それでも諦めずに世界中を旅し、遂には天界や魔界にまで足を踏み入れ、

 

-さぁ、願いをいえ!どんな願いも三つだけ叶えてやろう!!

 

仲間達と相談して決めていた。

一つはオレの願い。残り二つはギルド全体の為に。

ここまで導いてくれた皆には感謝に絶えない。

 

-さぁ、願いを!

 

オレの願いを聞いてくれ!オレは、オレの願いは……、

 

 

 

 

 

 

……い、おいっ!

 

ユサユサと身体を揺すられる。

誰だよ。人が気持ちよく夢を見ていたのに…。

 

「おい、起きろ!平塚!平塚剣ッ!!」

 

打てば響くような男子の声で意識が覚醒する。

眼を開くと赤銅の様な髪が視界に映った。

 

「……衛宮?」

 

「平塚、もう放課後だぞ?何時まで寝てんだよ」

 

衛宮士郎。

俺達が通う穂村原学園の二年。

人の頼みを断らない雑用パシリのお人好し。

付いたアダ名は『ブラウニー』

一瞬オレの脳裏に痛恨の一撃を繰り出してくる奴が浮ぶが振り払う。

頭に巻いた『疾風のバンダナ』を締め直しながら身体を起こす。

 

「衛宮、また居残りか…?今度は何を頼まれたんだ?」

 

「いや、いつもオレが無条件に頼み事を引き受ける様に言うな。用事がある時くらい断る事だってあるぞ」

 

「それって用事があっても引き受けることもあるんだろ?」

「ケースバイケースだ」

 

ああそうですか、オレは背筋を伸ばすとカバンを取った。

 

「ちょっと待て平塚…、藤ね、いや藤村先生が呼んでたぞ」

 

「……ヤバッ、タイガー、怒ってた?」

「烈火のごとく」

 

帰っちゃ不味いかな?

 

「毎度毎度HRでグースカ寝てるおまえが悪い」

「さいで」

「大体、寝てるのに竹刀やチョーク避けるってお前…」

「ちょっと環境のせいで」

「寝込みを襲われるってどんな環境だよ」

 

剣と魔法のファンタジーな環境です。

 

「念の為に聞くが、起きてなかったんだよな?」

「実は起きてたって言ったほうが良いか?」

「それ、冗談でも藤村先生には言うなよ」

 

「……ところで衛宮士郎くん」

「何かな平塚剣くん」

 

「どうしてオレの肩に手を置くんだていうか捕まえるんだ?」

「だから連れてきてくれって頼まれた」

「呼んでるの間違いじゃ…?」

「帰る気だったろ?」

「頼む、見逃して-」「-やれん」

 

「ですよねぇ」

 

そういうわけでオレは衛宮と一緒に廊下に出た。

 

「あら?衛宮君に平塚君」

 

「あ、遠坂」

 

そこには美少女がいた。

品行方正にして歩く姿は白百合、佇まいは常に優雅。

学園の誇るミス・穂村原。

良い意味でこの学園一の有名人、遠坂凜がそこにいた。

 

「衛宮君は兎も角、平塚君がこの時間まで残っているなんて珍しいですね?」

 

「いや…、オレは…」

 

鈴のような声と美貌に戸惑ってしまう。

美少女は見慣れているが、オレはどうにも目の前の美少女が苦手のようだ。

 

(やっぱりこの娘、魔力もってるよな…、俺は闘気も持ってるけど!)

 

遠坂凛の特異性に冷や汗を流しながらオレは思わず眼を晒してしまう。

その態度に凛はクスリと笑う。

凄く可愛らしい仕草だ。おそらく自分に対して照れているのだと勘違いしたのだろう。

確かに半分正解だが、その方向に勘違いしてくれたなら僥倖だ。

以前、自分の魔力が少し漏れた時、遠坂がすごい勢いですっ飛んで来た事があった。

その時は、レムオルと気配と魔力を消したおかげで難を逃れたが、それ以来この娘の前では何かと気を使い気が休まらないのだ。

バレたらバレたで碌な事になりそうにない。

せっかく帰ってきたと思ったら、この世界もファンタジーな世界だったのかと気落ちしたものだ。

 

「遠坂も今帰りか?」

 

「ええ、二人も早く帰った方がいいですよ」

 

「分かっている。最近物騒な事件が続いてるからな」

 

「物騒な事件?はて?」

 

そんな事あったっけ?

首を傾げて唸るオレに士郎と凛が目を丸くする。

 

「もしかしてニュース見ないのか?」

「ああ、新聞も見んぞ」

 

「何があっても平塚は大丈夫そうだな。殺しても死にそうにない」

 

念の為に命の石は常備してますが何か?

 

「じゃあ遠坂、俺達は職員室に用があるから…その…」

 

士郎は顔を赤くしながら凛から顔を背けた。

 

「ええ、衛宮君も平塚君も気をつけて下さい」

 

「あ、あぁ…またな」

 

「ええ、さようなら」

 

凛を見送った後、士郎は機嫌が良さそうな声でオレに言った。

 

「さて、観念して職員室に行くぞ」

 

「衛宮ってさ」

「何だよ」

「遠坂が好きなん?」

 

オレの言葉に衛宮が硬直する。

そしてみるみるうちに顔を赤くして、

 

「ば、馬鹿!そんなんじゃないって!」

 

分かりやすい青年。

しかしコイツって噂じゃ一年の可愛い後輩に通い妻されてるって聞いたけど…。

 

「もしかしてお前ってリア充?」

 

「は?え?り、リア充って…?」

 

面白いほど狼狽える衛宮にオレは、チャンスとばかりに背を向けて走りだした。

 

「っておいっ!またか!待て平塚っ!!俺が怒られるんだっ!!」

 

「知らん!さらばじゃ!」

 

「待てって速っ!!?」

 

後ろを見ると衛宮の姿は既に豆粒。

俺はまんまと衛宮から逃走に成功したのだった。

校庭を駆け抜け校門から校外へ、人通りの多い坂道を滑るように移動する。

視界の端に二つの赤いモノが映った。

 

「相変わらず高い場所が好きなんだな…ていうか今日は彼氏と一緒?」

 

遥か向こう。およそ常人には視認できない距離。

そこは冬木と隣町の堺にあるビルの屋上。

遠坂凜が真剣な表情で佇んでいた。

学園では決して見せない真の姿。そして直ぐ傍に控える赤い男。

ソイツは鷹のように鋭い眼光で街を見下ろしている。

 

「成る程、次々ウチの男子が玉砕する訳だ」

 

俺は一人納得しながらボケっと二人の姿を見ながら歩を進めた。

まるでゲームの一枚絵の様な光景に目が離せないのだ。

そして、赤い男と目が合う。

じっと互いの眼光を交差させる。

もしかして気づいてるのか?

 

「まさかな…」

 

俺は溜息を付くと目を逸らし、家路へと付いた。

帰ったら『ドラスト』でもやるかな…。

あの世界での経験があってか、漸くこの世界のゲームと向き合えるようになったのだ。

 

「その前に皆に会っておくか」

 

最近この世界の携帯ゲーム機に嵌っている仲間の姿に苦笑しつつ、俺は呪文を唱えた。

 

『ルーラ』

 

瞬間、俺の姿は光の矢と化し上空へと舞い上がった。

グングンと上昇し、光の矢は世界の境界に穴を穿った。

視界が目まぐるしく変化し、眼下には何処までも続く青い草原が広がっていた。

その先に見える巨大な大樹こそが目的地、『世界樹』だ。

青々とした若葉が力強く揺れる姿に俺は笑みを零す。

 

「さぁ、今日もドラクエするぜっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続かない?

 

 

ケン

レベル99

ゆうしゃ

☆ 8

うちゅうヒーロー

 

さいだいHP:820

さいだいMP:660

 

ちから:400

みのまもり:210

すばやさ:355

かしこさ:240

うんのよさ:44

 

もちもの

 

E:がくせいふく

E:しっぷうのバンダナ

E:キーホルダー

いのちのいし

 

攻撃力:400

防御力:236

 

特技・呪文

 

メラ メラミ 

ヒャド ヒャダルコ

ギラ ベギラマ ベギラゴン

イオ イオラ 

デイン ライデイン ギガデイン ミナデイン

ジゴスパーク メガンテ ニフラム

 

ホイミ ベホイミ ベホイム ベホマ ベホマラー ベホマズン

キアリー キアリク シャナク ザメハ

ザオラル ザオリク 

 

スカラ スクルト

バイキルト バイシオン

ピオラ ピオリム

マジックバリア バーハ フバーハ

マホステ アストロン

ルカニ ルカナン

ラリホー ラリホーマ

ボミオス マヌーサ メダパニ

モシャス パルプンテ

 

リレミト ルーラ トベルーラ トヘロス トラマナ

インパス レムオル 

 

火炎斬り マヒャド斬り 真空斬り 稲妻斬り 烈破斬り

はやぶさ斬り メタル斬り 魔神斬り 五月雨斬り 

疾風突き ドラゴン斬り ゾンビ斬り 剣の舞

ギガスラッシュ ギガブレイク アルテマソード

ムーンサルト 飛び膝蹴り 回し蹴り 足払い 

急所突き かまいたち 正拳突き 爆裂拳 

しんくうは  石つぶて じひびき 岩石落とし

すてみ

 

気合いため ちからため 

刃の防御 大防御 かばう 仁王立ち 

チーム呼び ダーマの悟り

 

Etc …

 

 

 

 

 

 

 




チラ裏で細々と…。

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