説教な平塚君に気分を害してしまうかもしれません。
ちょっとやっちまった感があるので、それでもいいよという方はお楽しみ下さい。
ディースから逃げ出した後、予定通りオレは元の世界に帰還した。
装備も回復アイテムも充実しており、何時襲われても準備は万端だ。
英霊だろうが邪神だろうが魔王だろうが、どっからでも掛かってきやがれ!
聖杯戦争を叩き潰す。
決意を新たに今日も学校に向かう。
悲しいけどオレ学生。
しかしどうしたものか…。聖杯戦争を潰すにしろ具体案がない。
聖杯戦争に参加しているマスターと英霊全てを潰せば良いことだが、知人である遠坂と衛宮を敵に回すのも気が進まない。
それに遠坂は歴史ある魔術師の一族の娘だ。
聖杯戦争を潰すと知れば間違いなく敵に回るだろう。
遠坂といえば今朝、校門で何やら男子生徒と言い争いをしていた様だ…。
あのワカメ頭は遠坂とは真逆の意味で有名人。
間桐慎二だ。ルックスも成績も良く、要領も良いため女子にだけは人気がある。
反比例して大多数の男子には蛇蝎の如く嫌われているが。オレもその一人。
今思えばその時の行動が悪かったのか…。
「ごめんなさい間桐君、はっきり言わせてもらうけど、私、貴方には何の興味もないの。だからお断りさせていただくわ」
「な、なんだって…、おまえ何様だよ……遠坂…っ」
ブチ切れ寸前のワカメこと間桐慎二と冷めて目でワカメを見る遠坂。
一触即発である。
正確にはワカメが一方的に遠坂に詰め寄ろうとしているだけだが…。
ここは今後の関係のためにも一つ手助けを。女子には嫌われそうだが…。
そんなわけでオレは、
「ワカメ、撃沈…。流石の間桐も遠坂という壁を超えることは出来なんだか」
聞こえるように言い放つ。
ワカメの意識がコチラへと向く。
物凄い目で此方を睨みつけてくる。
「なんだって……おいお前っ!平塚!いまなんて言った!?」
オレは態とらしく左右の生徒を見てから自分の事かと自身を指さした。
「他に誰が居るんだよお前、そんな事も分かんないわけ!?」
オレは馬鹿にしたように口元を曲げると、
「取り敢えず、そのワカメみたいな前髪を切りそろえてみよう。そうすれば良い返事がもらえるかも」
「ありえませんから。髪型を変えようと何しようと、私が間桐くんとお付き合いすることはありません」
遠坂は、始業のベルが鳴りますよと一言。そのまま優雅に歩き出した。
取り残されたワカメは取り巻きを見回すように睨みする。
ヒステリックな性格をしているワカメに絡まれては敵わないと、生徒たちは目が合う前に退散する。
オレも便乗するように教室へ向かう。
「待てよ平塚」
「なんだよワカメ」
「おまえ、さっきからこの僕を馬鹿にしてるわけ?いつも赤点ギリギリの馬鹿の分際で…」
以前コイツには期末の点数を皆の前で暴露され笑いものにされた事が有った。
両脇に女子を侍らせて意地悪そうに嘲笑うワカメと女子達。
それは今でも苦い思い出としてオレの脳裏に刻まれている。
ずっと異世界にいて勉強できなかったから成績が悪いのは仕方がないだろう…。
賢さ補正のお陰で物覚えは良いが、それでもまだまだ詰め込んでいる最中だ。
冒険者家業もあるし…。
「今その話は関係ないだろ…フラれた腹いせに過去の事を掘り返すなんて、相変わらず陰険だな」
「ふ、フラれた?この僕が?言っとくが僕はフラれた訳じゃないからな!?」
「いや告って断られたんだろ?世間一般でそういうのをフラれたって言うんだが…」
「お、おまえ…【-キーン、コーン、カーン-】 チっ、もう予鈴か…おい平塚!…あれ?」
ここで始業のベルが鳴り、オレはワカメを放おって教室へと奔った。
遅刻するとタイガーが怖いからな…。
走れば予鈴が鳴り終わる前に教室の席に座ることが出来る。
オレは皆に気付かれないように気配を殺して風景に溶け込むように自然に流れるように教室へ入った。
ワカメは嘸かし怒り狂ったことだろう。
オレは教室の窓から地団駄踏んでるワカメを見下ろしながら、弁当箱を取り出すのだった。
「あれ?平塚、早弁か?」
「まぁな…」
そしてその日の放課後、
紫銀の長髪が美しいムッチリなボディコンミニスカ美女に襲われました。
なんでやねん。
この世界にドラクエはない
今日の全ての授業が終わった。
その間オレは聖杯戦争対策を夢の中でまで真剣に考えていたが、これといって良い方法は思いつかなかった。
仕方がないので遠坂と衛宮から何か情報を得られないかと話しかけようとしたのだが、何か妙に仲良くなっていたようで二人の間に入っていけなかった。
しかし痴話喧嘩で攻撃魔術を使うのは、やり過ぎだと思うんだ。
痴話喧嘩ではないが今度ディースにも言ってやりたい。
聖杯戦争中だというのにセイバーを連れてきていない事で揉めていたようだ。
夫婦喧嘩は犬も食わないと言う事でその場を後にした。
下駄箱で靴を回収、帰ろうとした矢先、
「待てよ平塚」
ワカメこと間桐慎二に声を掛けられた。
はて、コイツから声をかけてくるのは初めてのような気がする。
「珍しいな。お前から話しかけてくるなんて」
「そうか?それよりも話があるんだ。ちょっと付き合えよ」
間桐は人懐っこい笑みを浮かべて気軽な態度で言った。
まるで付き合いの長い友人を誘うように。
しかし、その笑みの裏に確かな敵意が滲み出ている。
オレは少し考える素振りをした後、この誘いに乗ることにした。
間桐の後を歩くこと数分。
段々と人気のない場所へと向かい、校舎裏の雑木林の前まできた。
間桐はそのまま雑木林へと足を踏み入れて、一度オレが着いて来ているのを確認して進む。
まるで罠にかかった獲物を嘲笑う顔だった。
かくいうオレもワカメが背を向けた時、似たような顔をしているが…。
校舎から十分に離れ、立ち並ぶ木々によって視界が完全に外界と遮断された頃、間桐の足が止まった。
「さあ、この辺でいいだろう」
振り向いた間桐の眼には狂気じみた光が宿っており、まるで犯罪者そのものだった。
「おい平塚、おまえ今朝は随分とこの僕に対して巫山戯た態度を取ってくれたよな」
間桐は大仰な仕草で両手を広げてオレに詰め寄る。
気持ち悪いから寄らないで欲しい。
ていうか今朝?何か有ったっけ?
「はて?何か有ったか?」
まるで覚えていないので聞いてみると、間桐は米神をぴくぴくと痙攣させて肩を震わせた。
「お前ッ!巫山戯るなよっ!この僕に恥をかかせておいてっ!とぼけやがってぇっ!」
「……あ!いや間桐、恥をかかせたのはオレじゃなくてお前をフッた遠坂だろ?オレ関係ないじゃん」
「こ、この僕がフラれたっ?何を寝ぼけたことを!今朝も言ったが勘違いするなよっ!?僕は振られたわけじゃないっ!あんなヤツ、コッチからお断りだねっ!」
間桐はワカメのような前髪を振り乱して捲し立てる。
やれ、そもそも僕とは所詮、釣り合わない女だったのさ。
やれ、僕が優しく接したら、遠坂が勘違いして告白されたと思い込んだ。
やれ、僕はあんな女の事なんて何とも思っていない。
「……いや、どう見てもフラレてたよね」
話が延々と続きそうなので、面倒くさくなってツッコミを入れる。
「ふ、ふん!この僕がここまで丁寧に説明してやってるのに……これだから万年赤点の馬鹿は困るんだ」
「赤点じゃない。ギリギリはキープしてる。自慢じゃないけど補習は受けたこと無いぞ」
「ふん、どっちでもいいさ。底辺の奴らの成績なんて」
「いや、成績の話をしたのそっちじゃ」
「もういい!この際だから単刀直入に言うぞ!」
「なんだよ」
間桐は真っ赤になった顔から一変、人を見下した顔で言った。
コイツの百面相面白いな。
「土下座しろ」
「はぁ?」
間桐はニヤニヤと笑いながら制服の下から一冊の分厚い本を取り出した。
それを指で撫でながら言葉を続ける。
「お前、やっぱり馬鹿だな?今朝のことを誠心誠意謝れって言ってんだよ」
「その誠心誠意ってやつが土下座?」
間桐の取り出した一冊の本。
どうやら唯の本じゃないようだ。
強い魔力を感じる。
「お前ね、本当に馬鹿なの?そんな事は自分で考える事だろう?そんな事も分かんないわけ?」
「少なくとも、お前に謝らなきゃイカン理由は分からんね。これっぽっちも」
「つまり、僕に謝るつもりはないと?」
「だったら?」
「へぇ…、いい度胸じゃないか…だったら僕にも考えがあるぞ…」
間桐は本を脇に抱えると叫んだ。
「やれ!ライダー!コイツを傷めつけてやれ!」
それはいきなりの事だった。
オレの背後に気配が現れる。
まるで瞬間移動したかのように。急に現れたのだ。
これが霊体化というやつか。
予測はしていた為、オレは敵、英霊の攻撃を紙一重が躱すことに成功する。
シュンシュンと鋭い風切り音と共に頬の横を鋼の刺が通り過ぎる。
そして間髪入れずに追撃が来た。狙いは左の脇腹、
「…ッ!」
それは間違いなく女性の声。
殺気を感じて躱すと、性別を示すような白く細い五本の指が見えた。
長い髪が揺れる。美しい紫色が雑木林の隙間から射す夕日に照らされる。
オレの視界に入らないように立ちまわる様な動きは、まるで獲物を追い詰める蜘蛛。
どうやらオレを捉えようとしているらしい。
その細腕からは想像もつかない程の怪力。
オレは敵の腕を掴み、一瞬でその力を感じ取った。
しかしオレの力のほうが更に上だった様で、オレは敵の身体を中へと放り投げた。
敵は軽やかに宙を舞うと樹の枝へと降り立つ。
「驚きました」
瞳を隠す様に真横に巻いた眼帯。
腰より下に伸びる美しい髪。
そして成熟した肢体を包む際どい衣装。
見たところ乗り物には乗っていない。つまり本領は発揮していないと云う事だ。
オレは油断なく相手を見据える。
しかしそれにしても、ええ乳や…。
なぁ姉ちゃん、オレとパフパフしねぇ?そう言いかけて口を紡ぐ。
こういう時の女は冗談が通じん。ディースで経験済だろう?
危うく同じ過ちを犯すところだった。
「貴方は本当に人間ですか?」
やはり
間桐も先程の余裕の表情は見る影もなく呆然とした表情で此方を見ている。
バトル漫画のキャラが、そのまま現実に飛び出してきた様なものだろう。
我に返った間桐は悔しそうに地団駄を踏んで叫ぶ。
「何やってんだよライダー!速くソイツを殺しちゃえよっ!!」
「殺せってお前、軽々しく言うなぁ…意味分かって言ってんのか?」
「う、五月蝿いっ!どうなってんだよっ!どうして平塚が、こんな…」
平塚が強いんだ。
そう言おうとして口を閉じた。
今まで見下していた人間が自分など歯牙にもかけない程、強かったなど間桐は認められにのだろう。
オレはため息を付いて、武器を取り出した。
隼の剣・改
羽のように軽く鋭い金属で鍛えられた名剣であり、オレが好んでよく使う一振りだ。
オレが剣を装備したのを見て
そして間桐はワナワナと肩を震わせると、鬼のような形相で叫んだ。
「お、お前ぇえええっ!!!お前がっ!お前如きが!平塚の癖に魔術だとっ!!!」
どうやら俺のことを魔術師と勘違いしたらしい。
光が集まるように現れた剣を装備したオレは魔法使いの様に映ったのだろう。
だったらここは煽ってあげましょう。
コイツ見るからに煽り耐性ゼロみたいだからな。
「なんだ?もしかして羨ましいのか?ぼく魔法に憧れてるのってか?中二全開だなぁ」
「こ、殺せっ!ライダアアアアッ!!!アイツをぶっ殺せぇっ!!!」
間桐は喉が枯れんばかりの声を振り絞って叫んだ。
間桐が抱えた本が、怒りの感情に感応するように光を放つ。
「上等だ。お前らの聖杯戦争はここで終わらせてやる」
オレは自身にバイキルトとピオラを掛けると
一瞬で間合いを詰めて目の前まで迫ったオレの姿に
隼の剣・改に
「遅いっ!」
迎撃しようと釘を構えるが既に遅い。
オレの攻撃の中で最速を誇る“疾風突き”が
「ラ、ライダーッ!?」
「悪いがここで消えてもらうぞ!聖杯戦争なんざ糞食らえってなっ!!」
好都合なことにコイツは乗り物に騎乗していない。
つまり
冒険者として気にならないわけではないが、今は聖杯戦争を潰す目的で戦っている。
つまり
実力を発揮する前に潰しておく。
幸いワカメはオレの後ろから喚いているし、巻き込まずに済むだろう。
オレは続けざまに
ゴオオオオオオオオオッ!!!!!
全てを焼きつくす豪炎が津波のように
間髪入れずに更に呪文を唱える。
いつのまにか上空に現れた雷雲から紫電が奔り、
ゴゴゴゴゴゴゴッ!ピカッ!ガガガガガガガガガッ!!!!
天空より無数の稲妻が豪雨の様に降り注いだ。
腕を、足を頭を容赦なく紫電を纏った光線が貫いてく。
「ヒッ!?ヒィィィィッ!!?」
間桐は腰を抜かしながら後ずさり、這いながらも何とか立ち上がると悲鳴を上げながら逃げていった。
ただ一冊の魔導の本を残して…。
オレがその本を回収しアイテムボックスに仕舞った時だった。
「お、おい慎二!?…こ、これは一体…っ?」
そこに入れ替わるようにやって来たのは正義の味方、衛宮士郎。
走り去っていくワカメとオレを交互に見ると、雑木林(元)があった更地を見て唸る。
「ちょっとだけ、はしゃぎすぎた」
「何処がだ」
「いや、襲ってきたのは向こうだし」
「どういう事だ」
「あー、簡単に説明すると、あのワカメは
「いや簡単すぎるだろう…って慎二がマスター!?」
衛宮は驚いたように間桐が逃げ去った方を見る。
もう既に間桐の姿はない。
「ていうか、ここに居るのは不味い。そろそろ撤収しない?人が集まってくるぞ」
「分かった。電話でセイバーも呼んであるから、校門で合流しよう」
「令呪使えよ」
「令呪は貴重だからな…、じゃあ話は俺の家でいいか?」
「おう全然OK」
「私も詳しい話が聞きたいわね」
声の方を向くと遠坂と
また厄介なことになりそうだ。
聖杯戦争を潰そうと決めた以上、遅かれ早かれということか…。
オレは敵意がない事を証明する為に剣を仕舞った。
それからオレたちはセイバーと合流すると衛宮の家へとやって来た。
その時既に学園は大騒ぎとなっており
「という訳だ」
衛宮邸の客間の一室にオレたちは集まっていた。
オレは校舎裏の雑木林で起こった事件を包み隠さずに話した。
間桐が
オレの態度が気に食わなかったという子供っぽい理由で
そして襲ってきた
「やっぱり不味かったか?けど悪いのは襲ってきた
「ちょっと黙って」
遠坂は頭痛を抑えるように米神を抑えた。
他の者達も呆れたようにオレを見て溜息を付いている。
けどこれは切実な問題だ。
損害賠償と言われても実際に困るのだ。
冒険者としての蓄えを使えば何とかなるが、コッチの世界で使うと色々と問題が出てくる。
その出処とか普通に突っ込まれるだろう。
脱税してるのバレるじゃん。
「とまぁ、オレの話はここまでだ」
「でも妙ね」
「何がだ?」
遠坂は得心がいかなように感じた疑問を答えた。
「あの家は、間桐家はもう廃れていて魔術師としての力は無いはずなのに…」
「いやでもアイツは現に…あ、そうだ遠坂、これ分かるか?ワカメが置いていったんだけど」
オレは間桐が落としていった本を取り出して遠坂に見せた。
途端に遠坂の顔色が変わった。
「まさか…いやでも…」
遠坂は本をまじまじと観察すると、溜息を付いた。
「まぁ分からないことを考えても仕方がないわ。それよりも……、ねぇ平塚君」
「何だよ」
「君の強さは充分すぎるほど分かったわ。けどこれは私達魔術師達の戦いよ。これ以上の深入りは命の保証ができないわ」
遠坂は裏の顔、魔術師としての顔でオレをじっと見つめた。
彼女はオレの真意を探ろうとしているのだ。
「オレからも聞いていいか?遠坂と衛宮は聖杯に掛ける願いが有るのか?」
此処が一番重要だ。
聖杯戦争に参加するという事は聖杯が欲しいということだ。
つまり聖杯を使って何をしようというのか?オレが知りたいのはソコだ。
「無いわ。私が聖杯戦争に参加する理由はそこに戦いがあるからよ」
「オレも聖杯なんて欲しくない。前にも言ったけど聖杯戦争の所為で犠牲になる人を救いたいだけだ」
ブレないな衛宮は。
そして遠坂はまるで登山家のようだな。
オレが視線をやると赤い弓兵は肩をすくめて言った。
「生憎と聖杯に掛けるような大層な望みは持ちあわせていない」
そして最後にセイバーに視線を向ける。
「貴方には関係ない」
切って捨てられた。
もうヤダこの娘。
オレこの娘さんと話す度に泣きそう…。
「それなんだけど遠坂、オレはオレなりに聖杯戦争に関わっていこうと思っている」
「つまり、聖杯を手に入れたいって訳?」
急激に空気が冷めていくのを感じる。
セイバーなんかは既に臨戦態勢に入っていた。
「いやいや逆だって。俺も聖杯なんか要らんよ」
オレの日常を守るため。
そしてもう一つ、気に喰わない事が有る。
オレ自身、存在自体が矛盾しているのは分かっているのだが我慢できない事が。
「つまり私達の同盟に入りたいと?」
「そうしたいけど無理だろうな…」
「どういう事だよ。俺達の目的は同じだろ?だったら」
「違うよ衛宮、オレの目的は、お前らとは違う」
オレは未だ敵意を向けているセイバーを見つめて口を開く。
「なぁセイバー、聞いてもいいか?いや聖杯に掛ける願いを聞きたい訳じゃない?」
「何ですか?」
「お前は、お前達はもう既に死んだ人間、過去の時代もしくは未来の時代に生きた人間だろう?」
「それが何だというのです?」
「過去にしろ未来にしろ、お前らはお前らの時代を生きて、んで死んで人生を終えた。つまりこの時代には存在しない筈の人間だ」
「つまり君は何が言いたいのかね?」
「じゃあ聖杯戦争で犠牲になった人は、本来なら死ななくても良かった人って事だろう?」
オレの話を皆は無言で耳を傾けている。
この世界は既に無数の死が溢れいている。
事故や病気、殺人に寿命。色々な死がある。
それは当たり前の世界の流れで生きている以上避ける事が出来ないものだ。
「けどさ、聖杯戦争は駄目だ。俺の価値観で悪いけど納得いかねぇ。だから」
-聖杯を破壊する-
オレの言葉にセイバーが弾かれたように立ち上がった。
今にも斬りかかってきそうな雰囲気だ。
しかし引く訳にはいかない。
第二の人生を歩んでいる俺の言葉じゃ説得力はないのかもしれない。
しかし少なくともオレは願いの為に他者の意思を無視して自分の事情に巻き込んだり犠牲にしたり、あまつさえ命を奪うなど絶対に納得できる事じゃ無かった。
オレ自身この世界に帰る為に戦ってきたが、一方的に巻き込んだり命を奪ったりはしなかったし出来なかった。
「お前ら英霊は確かに偉人だよ。すごい存在だ。伝説になる訳だ。けどさ、お前らの人生はもう終わってんだろう?そのお前らがこの時代の人達を巻き込んでまで戦争するって本当にそれでいいのか?お前らは…、少なくともセイバーは英雄なんだろう?」
雰囲気で分かる。
騎士としての風格と凛とした佇まい。
そして真直に正道な剣術。
この娘は誇り高い英雄だ。オレは初対面で分かったくらいだ。
「その英雄のお前が、無関係な一般人を巻き込むような、そんな聖杯戦争を良しとするのか?」
「黙りなさい!」
セイバーの怒声に呼応するように暴風が逆巻く。
セイバーの深淵なる怒りが逆巻くように剣から解き放たれた風が舞い上がる。
屋敷全体が台風の猛威に晒されたように揺れ動く。
「貴方に私の何が分かるっ!」
オレの言葉はどうやらセイバーには届かなかったらしい。
竜の尾を踏み、逆鱗に触れたらしい。
衛宮がセイバーを止めようと叫んでいるが、令呪でも使わない限りセイバーは止まらないだろう。
「私は必ず聖杯を獲るっ!その障害は排除するまでだ」
「セ、セイバー!?」
不可視の剣が黄金の光を放ち、刀身が姿を現してゆく。
今此処に、
続く?
オリ主のsekkyouに気分を害された方は申し訳ないです。
少し似合わないシリアスにしたかっただけでして…。
ライダー好きな方も申し訳ないです。
ライダーさん敗退です。
ライダーさんってもっと強かったっけ?
ワカメがマスターでしたしステータスダウンでこんなもんでよかったでしょうか?