あの日から俺の人生は狂ってしまった。 (完結) 作:ちゃるもん
ただいま(生存報告)
ではどうぞ!!
紫色の空間を通り、目の前に広がる光景。
何時ぶりだろうか……我が家を目にするのは。
自然と溜まった涙を擦り、誤魔化す。
まあ、最低でも一年は過ぎているだろう。
家のドアの取手を握り、開こうとしたところでふと思った。
このまま家に入っても良いのだろうか?
自分の家ではあるが、一年以上もの間家に帰ってきていないのだ。
躊躇うのも当然である。
仕方なく取手から手を離し、チャイムの前まで移動する。
額に汗がにじみ、チャイムのボタンを押そうとする指が小刻みに震える。
心臓がバクバクと音を刻み、鼓膜を揺るがす。
だが、何時までもこのままでいるわけには行かないのだ。
八雲紫との契約で、三時間しかこの世界に留まることが出来ないのだ。
小刻みに震える指を握り、手を開く。
そして、その手のひらでチャイムのボタンを押した。
ピーンポーン
と、懐かしい響きが響く。
だが、チャイムからの応答はなかった。
代わりに、バンッ! と言う音と、少し窶れた女性……俺の母親が息を切らしながら姿を現した。
『軽!!軽なのね!!』
「うん。そうだよ。ただいま母さん。心配かけてゴメン」
『本当に……心配かけて……!!』
・
泣き崩れる母さんを宥め、家の中へと入る。
父さんに電話を掛けたら直ぐに帰ってくるそうだ。
その間に自分の部屋へと向かう。
部屋の中は綺麗に掃除され埃も溜まってはいなかった。
「掃除……してくれてたんだ…………」
兎に角、父さんの職場と家は近いから財布だけ持ってリビングに戻ろう。
机の上に置いてあった財布を手に取り、リビングへと向かう。
リビングに入ると同時に、車のエンジン音が聞こえる。
「父さん……スピード違反してないだろうな……」
自然と笑みがこぼれた。
そして、勢い良く玄関の扉が開かれる。
息を切らし、額には汗が。どれだけ急いで帰ってきたのかが分かる。
父さんが俺の姿を見て、その顔に怒りのような、笑顔のような良く分からない表情を浮かべた。
そして……
「このバカ息子が!!」
「イッテェ!!…………アハハ!!ただいま父さん!!」
と、拳骨を貰った。
・
「ゴメン。俺がどこに居たのか、何をしていたのかは話せないんだ」
「そう……でも、これからはまた一緒に暮らせるんでしょう?」
「ゴメン……三時間後には戻らないといけない。一応一年に一回は帰ってくるよ」
「そうか……よし!!飯でも食うか!!」
「相変わらず適当だね……父さん」
でも、母さんの手料理か……三年もいなかったんだよなぁ
「そうだ―――ってどこにあるか知ってる?」
「ああ、それなら車で三十分の所に有るぞ。それがどうかしたのか?」
「いや、キチンとお別れの言葉言えてなかったなって」
「そうか……飯を食べ終わったら連れていってやる。時間も余り残されていないんだろう?」
「……ありがとう」
久し振りに食べた、母さんの手料理は幻想郷で食べたどの料理よりも美味しくて暖かいものだった。
お読みいただき有難うございます!!
なんか事あるごとに飯を食べている気が……
母親の料理に勝るものは存在しない。
今は分からなくても……何時か分かるときが来る。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
これからも
『東方 崩廻録』 と 『あの日から俺の人生は狂ってしまった。』
を、よろしくお願いします。
軽くんの年齢……18~20の間くらい?
では、また次回~