死にたがりの果実   作:calamity

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第4話 「疑問」

 紘汰が学校に来なくなって2年の月日が経っていた、学校では紘汰のことを話題に出すのもはいない。そんな中二人の少女の会話に久しぶりに紘汰の名前が出てくる。

 

「すずか、あいつのことを覚えてる?」

「あいつ?」

「紘汰よ」

 

 アリサとすずかの間に沈黙が走る、その名前を出した瞬間にすずかの顔がこわばる。

 

「どうして今になってそんな話をするの」

「私はずっと思ってたの、なんであいつはあんなことをやったのかってね」

「そんなの決まってるじゃない、紘汰君は裏では私たちのことを嫌ってたんだよ」

「仮にそうだったとしても人目を避けて人の物を捨ててたのに、なんであんなことをあいつが、紘汰がやったような決定的な写真が取れていたのかってのがずっと引っかかってしょうがないのよ」

「写真を持ってた人から聞いたけど瑠衣君からあの写真を貰ったって言ってたよ」

「そう、そこよ」

「え?」

「なんで自分からその写真を紘汰に見せつけなかったのか、そもそもあの写真の持ち主が瑠衣ならあの写真を撮ったのは瑠衣でしょ、しかも、なんで瑠衣はあの日に限ってカメラを持ってきてたのよ、タイミングが良すぎじゃあないかしら、だからこそなおのことそこが引っかかって仕方ないのよね」

「そういわれてみればそんな気もするけど、でも瑠衣君が取ったなら間違いはないと思うけど」

「あの事件はホントわからないことだらけだわ」

「けど私も不思議に思うのはあの日の前日のことがどうしても良く思い出せないんだよね」

「それはわかるわ、なんか靄がかかってるかのように曖昧にしか思い出せないのよね」

 

アリサはため息をついた、アリサ自身はホントは紘汰がやったなんか信じたくはなかった、しかしあんな決定的な写真が撮られてしまっていては嫌でも信じるしかなかったのだ。

あの事件があって数か月ぐらいしてからアリサは少しづつ冷静に事件の状況を確認していくとどうも疑問に思う点が数か所見つかった。

アリサはこんな推理が頭に浮かんだ、あれはホントは紘汰ではなく他の誰がやったことだったのではないかと、しかしなぜあの日の前日に紘汰は一人で帰ったのか、アリサはそこも疑問に思ってしまう。

アリサは急に椅子から立ち上がる。

 

「どうしたのアリサちゃん」

「嫌なんでもないわ、そろそろ授業が始まるわ行きましょう」

 

アリサとすずかは教室に向かって歩き始める、アリサの顔は何かを決意したような顔だった。

 

 

 

 

 

「完成!」

 

俺は相変わらず家に籠ってミラージュの新たな武器の製作にいそしんでいた、家のチャイムが鳴り玄関に向かう。新たな武器が完成し少しノリノリの状態で玄関に行く。いつもなら来客の顔を確認をするのだがそれも忘れてドアを開ける。

 

「はい!………」

 

ガシャン、物凄い速さでドアを閉めたが、しかしカバンがドアに挟まっておりドアが閉めれなかった。そしてそのままドアを開けられる、閉めようと抵抗するが生身の俺にはそんな筋力はなかった。

 

「ちょっと!、あんたねいきなりドア閉めるなんてバカじゃないの!」

「なんで入ってくるのさ!?、てゆうか何でここにいるの!?」

「今日はあんたに話があるのよ!」

「はぁ~、ここまで来たら帰る気はないよね」

「あたりまえじゃない!」

「ああもう!、はぁ~、いいよ上がって」

 

俺は渋々バニングスを家に上げた、しかしこいつは今更一体何をしにきたんだ?、俺は疑問に思いながらリビングに案内しソファーに座らせる。武器製作で散らかっていた机をある程度片づける。

 

「何か飲む?」

「いや大丈夫よ、それより、おじさんとおばさんはどうしたの?」

「死んだよ、2年前に」

「っ!?、ごめん」

「別に謝らなくてもいいよ、それより何をしにうちに来たの?」

「あの事件のことを話に来たのよ」

「ああ、あれね俺が犯人ってことで納得したんじゃないの」

「あの時の私はあの写真を見せられてすぐに信じちゃったけど、よく考えてみたらあの写真には矛盾が多いのよ」

「ふん~、いいよバニングスの推理を聞いてあげる」

「紘汰は昔みたいにアリサって呼んでくれないのね」

「そりゃあね、親しくない人のことを下の名前で呼んだら失礼でしょ」

 

俺はそう言い切る、バニングスの顔は悲しそうな顔をしていた。昔はアリサと呼んでいたが今はそう呼ぶのは失礼だろう。彼女はもう俺の友達ではないのだから。

 

「それで、なんであの時の写真が矛盾点が多いのか聞こうか」

「そうね、まず一つにあの写真が撮られた状況よ」

「状況?」

「そうね、仮にあんたが犯人だったとして人目につかないように犯行に及んでたなら、写真を撮られていることぐらい気づきそうじゃない」

「まあね、周りを気にしながら犯行を行うよね」

「それが瑠衣がたまたまカメラを持ってきていた日に撮られるなんてありえないでしょ」

「確かに、運がいいと言うか現実的にはタイミングが良すぎるよね」

「そうなのよ、しかもそれが撮られたのってあの事件の前日よ!」

「不自然極まりないね、あの時にあの写真を出されたら誰でもそこまで疑わないと思うよ」

「しかも、なんで瑠衣が撮った写真なのに瑠衣があんたに見せないのかも引っかかってるのよね」

 

俺はアリサの話を聞いて考える、あの写真は瑠衣が撮ったってことは加工でもしたってことか。ってことは自分でやってそれを写真に撮ったってところか。

 

「その点を踏まえるとあんたがやった証拠は写真だけだった、けどあの写真は矛盾点が多すぎる、私は本当のことをが知りたいのだから教えて、紘汰が本当にやったの?」

 

バニングスは俺に真剣な顔で聞いてくる、

 

「そうだね、真実か………俺はやってないけどそれをバニングスに証明する証拠はない」

「やっぱり紘汰がやったわけじゃなかったのね」

「あの日は皆で一緒に帰ったはずだけどその記憶はバニングスにはない」

「あの日の前日紘汰は一人で帰るって言ってたわよ」

「そこが一番の問題なんだ、俺とバニングスの中で食い違いがある」

「食い違い?、そうねあの日のことはなんだかよく思い出せないの、霞がかかったような感じで曖昧にしか思い出せないの」

 

俺はそれを聞いて神の言っていたことを思い出す。『彼は特典で人を操る能力を持っている』けど人を操る力があるならこんなまどろっこしいことしなくても、みんなを洗脳して俺のことを追いつめればよかったんじゃないか。

でもそれができなかったってことは人全員を操ることは不可能、バニングスに記憶の改ざん的なことしかできないってことは主要な原作メンバーは記憶の改ざんが限界ってことか。

 

「やっぱり紘汰がやったんじゃなかったのね」

「証拠もないのに俺のことを信じてくれるんだね」

「紘汰がやったって証拠も不十分よ、あの時はあんなこと言ってしまってごめんなさい、今こんなこと言っても無駄かもしれないけどね」

 

バニングスは本当に申し訳なかったと言う顔しており、俺はなんでこんな顔をしているのかが不思議だった。俺に謝る必要なんかないし、実際にバニングスに謝る理由はない。

 

「何で謝るのさ」

「だって本当のことかもわからない物を信用して紘汰を裏切ってしまった。そんな自分が許せないのよ」

「………そういう所は昔と変わらないね」

「紘汰は変わったわね、それも私たちのせいなのだろけど」

「バニングスはこのことを聞くためだけにうちに来たの?」

 

俺は心のから思っていたことを聞いた。

 

「そうよあんな矛盾点だらけの物を信用できるわけないじゃない、それに私の中であれは終わってなかったのよ。どうして真実が知りたかった」

「その知りたかった真実を知ってどうだった」

「やっぱり私の犯した罪は大きかった、紘汰の人生を狂わしてしまった。謝るだけじゃ紘汰の気はすまないだろうけど」

「バニングスだけのせいではないさ、それに人生を狂わしたって学校行かなくなっただけだから」

「そうかもしれないけど。優しい所は変わってないわね紘汰わ」

「昔から優しかったけな俺?」

「優しかったわよ、誰にでも」

 

久しぶりにバニングスとの会話に笑みがこぼれた。二人とも自然に笑っていた。

 

「紘汰一つだけ疑問あるんだけど、瑠衣は何で紘汰にこんなことをする必要があったのかが分からないわ」

「それはバニングスが知らなくてもいいことさ」

 

俺は諭すようにバニングスに言うバニングスは不思議そうな顔をしていた。

 

「これは知らない方が幸せさ」

「話してもらえないようなら聞かないわ、聞くことも聞いたし私はそろそろ帰るわ」

「そう」

「また来てもいい紘汰?」

 

俺はため息をつきながら答える。

 

「いいよ、でも来る前は連絡ぐらいして。これが俺の連絡先だから」

「ありがと、それじゃあまたね」

 

バニングスは笑顔でうちを出ていく、ああもう!、俺甘すぎだろ!。何であそこでダメって言えないんだよ!、死にたいとか言ってるだけで結局死ねてないし、どこかで死にたくないとか思ってる俺がいるのか。どちらにしろ未練があるのは俺も変わらないのかな。

俺はソファに寝転ぶ、バニングスがこのタイミングで来るのは何かあるからかと思ったけど、それは考えすぎだったな。 ああ!、今日は疲れた!、もう寝てやる!。

 

そのまま俺はソファで眠りについた。

 

 

 

 

 

 

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