高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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第拾肆戦目「大鳳撃沈」

 

菊池「艦長、トマホークでの・・・「大鳳」撃沈を具申します。」

 

 

 

 

 

 

尾栗「撃沈だと?」

 

菊池が具申すると同時にCICにやってきた尾栗が話し出した。

CICにいる自衛官は一斉に二人を見る。

 

尾栗「菊池、沈めなくてもECMで通信機器を使用不能にすれば・・・。」

菊池「いや駄目だ、艦娘の数は100を超える・・・それにたとえ大破したとしても高速修復剤を使用すれば瞬時に修復され攻撃を仕掛けられる。」

尾栗「だが行き来するのには時間がある!その時間を使えば戦闘は回避できる!撃沈してしまえばその艦娘の命を奪うことになる。いくら自衛のためでも女の子の命を奪うことにためらいはないのか!菊池!お前らしくもない、冷静さを欠いているぞ!」

菊池「冷静なればこその結論だ、我々は霧先の言う通り既に手負いの状態、弾薬の補給も無く、これからの戦闘を防戦だけでしのぎ切れる可能性は全くない。今回はっきりとわかったことがある。彼女たちに生半可な威嚇は通用しない、ここCICに籠って我々は日本海軍じゃない自衛隊なんだと唱え続けても、この世界は理解してくれない。第二艦隊と接触した時、いやそもそもこの世界に現れた時から日本軍にとって明確な味方でない我々は明らかに敵だった!そのことを認めなければ我々は自らを守れない!あの時俺が引き留めていればこのような事態にはならなかった。このままいけば俺達も被害を受ける。砲雷長としてこれ以上の人命と艦の安全が脅かされる状況を、放っておくわけにはいかない・・・。」

 

自分の認識が甘かった、菊池は思い知ったのだ、本物の軍人相手には威嚇では無く攻撃しか効かないと。

 

菊池「艦長、124マイル先の洋上にいる大鳳までトマホークが到達するまで15分かかります、一刻も猶予は・・・。」

梅津「どんな状況に置いても思考停止・・・いや、敵味方の二元論で行動する事だけは避けたい。まず日本海軍艦隊の状況把握のため海鳥を飛ばし、撤退確認後、トマホークを自爆し作戦実行に移る。」

尾栗「了解しました。」

 

尾栗はそう言ってCICを出ていった。

 

梅津「船務士、通信機器は使えるな?」

船務士「はい!」

梅津「大鳳に警告を打つ。砲雷長、第二次攻撃を中止した時点でトマホークは自爆だ。」

菊池「了解しました。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

古鷹「(大鳳さんの航空機がそれだけ落されるなんて・・・敵の防空火力は想像以上・・・まさかその艦が武蔵さん達が見つけた・・・。)」

大鳳「あと15分で発艦可能ね。」

 

 

 

菊池は一点を見ていた、レーダー上に捕えた大鳳と書かれその上に敵と表示されている点を。

静かに、不気味にVLSが開く、その中に収納されているのは対艦ミサイル“トマホーク”発射されれば艦娘では迎撃不可能な兵器。

しかも航空母艦相手なら一撃で仕留められるものだ。

 

菊池は梅津指示を受けレーダーに向き直ってから言った。

 

菊池「トマホーク、攻撃はじめ!」

 

菊池の声と共にVLSから噴煙が上がりトマホークが飛翔する。

 

 

 

みらい「艦長!梅津艦長座乗のみらいからトマホークが!」

友成「!」

 

それは友成達からでもかすかに見えた。

豆粒サイズの艦から噴煙が上がる姿を。

 

 

 

 

サジタリウスの矢は放たれた。

 

 

 

 

大鳳「後少しで発艦可能ね。」

古鷹「大鳳さん、第二次攻撃は延期した方が・・・。」

潮「そ、そうですよ・・・もっと情報を集めた方が・・・。」

加古「相手は未知の艦だしなぁ~。」

 

今、大鳳と行動している艦娘は5人、古鷹、加古、潮、敷波、曙だ。

その中でも三人は第二次攻撃は中止すべきだといっている。

 

曙「そんなんで敵が横須賀に攻撃したらどうなるか分かる!?」

敷波「島風も主砲3発だけで大破させられてるんだよ!?」

 

残りの2人は第二次攻撃は決行すべきだと言っている。

 

大鳳「実は苦し紛れにこんなものを打電してきたのよ。」

古鷹「?」

 

古鷹は大鳳から紙を受け取った。

 

古鷹「『本艦は貴艦隊及び日本海軍に敵対する者では無く攻撃の意思も無い。本艦に対する第二次攻撃を中止を要請する。攻撃を断行するなら自衛手段としてやむを得ず貴艦隊を撃沈する。』軍艦にしては不可解な電文ですね。」

大鳳「距離は約200㎞、この距離で攻撃できる兵器なんてないわ。」

加古「だけどもし攻撃されたら?」

大鳳「対空が強いだけの艦がこの距離を撃つなんて出来ないわ。」

 

 

一方100㎞離れた洋上では航空機が帰還していた。

そしてのその下をトマホークが時速800㎞の亜音速で追い越す。

 

佐竹「フォーチュンインスペクター、シーフォール、トマホークは高度200ヤードで巡航中、目標まで62マイル、帰還する日本軍機を今追い越しました。目標到達まで7分。」

林原「佐竹一尉、大鳳が警告を受け入れるとはとても思えません。我々が納得するためのお題目、いやアリバイに過ぎないんじゃないですか?」

佐竹「林原、そいつを無くしたら俺達は如何なる?」

林原「我々は何の為、何を守るためにここにいるのでしょう・・・。」

 

佐竹は黙り込んで考えるだが答えは出て来ず大鳳が攻撃を中止することを願った。

だが現実は残酷だった。

 

林原「佐竹一尉!レーダーに反応が!」

佐竹「!・・・馬鹿野郎!!」

 

 

佐竹『日本艦隊探知、大鳳と思われる目標から航空機発艦中!』

 

菊池「!・・・・トマホーク目標到達まで4分30秒。」

 

 

 

みらい「先程のトマホーク発射、目標は明らかに大鳳です。第二次攻撃に対して先手を打ったものと思われます。」

友成「海図は?」

みらい「ここに。」

 

僕は艦橋の作業机に海図を広げる。

 

友成「この距離だと・・・残り時間は・・・。」

長門「トマホークとは?」

みらい「対艦用巡航ミサイル、有効射程500㎞。」

長門「500!?一発でどのくらいの威力だ!?」

みらい「あなた方を救助するときに発射したものがそうなのでそれと同じと考えて頂ければ。」

長門「あんなものを食らえば戦艦でも危ない・・・何とかできないのか!?」

みらい「もう・・・無理です、私がトマホークの発射方向にいるのなら迎撃できますが・・・。」

友成「出た!大鳳に着弾まで残り3分!」

赤城「3分!?」

 

余りにも短すぎる時間、もうどうすることも出来なかった。

 

みらい「艦長・・・。」

友成「推進器に異常はない・・・みらい、進路、横須賀鎮守府!」

みらい「・・・了解しました!」

蒼龍「大鳳は!?見捨てるの!?」

友成「後3分では迎撃できない、それに被害を少なくするには一刻も早く横須賀を目指す必要がある。」

蒼龍「・・・・。」

 

仕方のないことなんだ・・・。

 

 

 

 

菊池はCICでレーダーを眺め続けていた。

 

菊池「(着弾まで一分・・・俺は歴史改変、そしてこの世界のグランドラインを積極的に変えることに反対の立場だった・・・だが、この手はもう引き金を引いてしまった。・・・・ボタン一つ押すだけで歴史は変わってしまう、そして人の命が消えていく・・・これが俺の選んだ射撃の道・・・・・あと40秒で俺は・・・・。)」

梅津「ぐぬぅ・・・。」

 

尾栗「(雅行・・・・・。)」

 

もう全員は分かっていた。

大鳳にトマホークは命中すると。

 

 

 

 

古鷹「?あれは・・・・。」

大鳳「?・・・あぁ!!!」

 

古鷹と大鳳は時速800㎞で飛んでくるトマホークを目視した、そして

 

ゴォーーッ!

ドゴォォォォォン!

 

トマホークは命中した。

 

大鳳「きゃあぁぁぁ!!」

古鷹「わぁぁ!!」

 

大鳳に命中したトマホークの爆風で古鷹は飛ばされた。

 

潮「大鳳さん!」

敷波「大鳳さん発見!!・・・意識が無い!!」

曙「これ誘爆してるわよ!」

 

もう艦隊は大混乱だった。

 

加古「落ち着け!三人で大鳳さんを曳行!古鷹は!?」

古鷹「大丈夫よ!」

加古「じゃあ私と対空、対水上警戒をして鎮守府に後退!相手は尋常じゃない!」

古鷹「分かったわ!」

 

普段寝ぼけてるような加古の姿は無く、しっかり指揮を執っていた。

 

 

 

加古『こちら加古!提督応答を!!』

提督「加古!?どうした!?」

加古『大鳳さん被弾!意識不明!!』

提督「被弾!?どういうことだ!?」

加古『艦載機が帰還する方角を見られた・・・。』

提督「発艦は許可していないぞ!!敵との距離は!?」

加古『200㎞・・・あいつは、その距離を寸分の狂いなく当ててきた・・・あいつは姫なんかかすんで見える正真正銘の悪魔だ!』

提督「・・・・直ちに帰投しろ。」

加古『了解!』

 

通信が終わった後提督は一言絞り出すように言った。

 

提督「・・・・悪魔か。」

陸奥「提督・・・どうするの?」

提督「・・・・大和たちの艦隊に連絡を入れて奴の動向を探る。」

 

提督は無線機の周波数を弄って大和に連絡を入れる。

 

提督「大和、聞こえるか!?現在の状況を報告しろ!」

大和『・・・提督、負傷者は?』

提督「大鳳が被弾、意識不明だ・・・。」

大和『提督、先程私はあの艦に砲撃をしました。』

提督「沈めたのか!?」

大和『いえ、全弾迎撃されました・・・。』

提督「何だと!?」

 

提督は信じられなかった。たかが重巡一隻が大和の主砲弾を迎撃したということを。

 

大和『提督、あの艦を私は知っています。あの艦に勝てる者はいません、撤退を!』

提督「相手に降伏するのか?」

大和『相手は対話を要求しています、それに此方から攻撃しなければ攻撃はしないとも言っています。提督、決断を!!』

提督「・・・・。」

 

提督は悩んだ、ここで相手の言葉を信じて撤退するか。攻撃して沈めるか・・・。

だが、結論は出ていた、相手は空母を彼方から沈める力を持つ。

そんな相手に戦いを挑んでも負けるのは目に見えている。

提督は周波数を弄った。

 

提督「・・・・全艦娘に告ぐ、ただちに撤退せよ、敵艦は此方から攻撃しない限り攻撃してこない。攻撃せず撤退せよ!」

 

提督が下した決断、それは敵を招き入れることだ。

 

 

 

みらい「本艦艦首30mに艦影。」

友成「あれが・・・戦艦大和・・・。」

 

流石、大和撫子と呼ばれるだけはある。

 

友成「機関停止、みらい、蒼龍、準備を。」

みらい「了解。」

蒼龍「わかった。」

 

 

一方外では艦娘達がみらいの損害状況を見ていた。

 

 

大和「酷い・・・。」

北上「おー、派手にやられてるねぇ・・・。」

大井「誰か出てきましたよ。」

 

友成「」ジャカッ

 

僕は躊躇無く64式を構える・・・これは戦争だと自分に言い聞かせて。

 

飛龍「銃!?」

木曾「おっぱじめるつもりか!?」

 

友成「自分は「みらい」臨時艦長、霧先友成!貴艦の所属と艦種を報告せよ!」

 

大和「横須賀鎮守府所属、大和型戦艦一番艦大和!」

 

友成「」ジャカッ

 

僕は所属と艦種を聞いた後64式を下ろして敬礼をする。

 

友成「確かに確認しました、これから救命艇を下ろすのでそちらから乗り込んで下さい。」

 

 

そして数分後、収容は完了した。

 

 

友成「改めまして、「みらい」臨時艦長、霧先友成です。」

大和「大和型戦艦一番艦大和です・・・みらい、久しぶりね。」

みらい「大和・・・・。」

飛龍「え?知り合い?」

大和「かつて私と戦った艦よ。」

北上「わぁお・・・。」

 

さて、収容も完了したし作戦行動を・・・。

 

大和「霧先艦長。」

友成「何でしょう?」

大和「あれだけの損害、死傷者は?」

友成「・・・幸いにも負傷者は二名、内、軽傷者一名、重症者一名です。」

大和「霧先艦長が重症者でしょうか?」

友成「はい、軽症者は翔鶴さんです。」

飛龍「翔鶴さん!?」

友成「他にも本艦には金剛、比叡、長門、伊勢、日向、武蔵、赤城、加賀、瑞鶴、蒼龍、伊168、島風、電を保護しています。」

木曾「保護?捕虜じゃないのか?」

 

友成「自衛隊は戦争をするためにここにいるのではありません、それは理解していてください。」

 

友成「機関始動、最大戦速!」

みらい「了解、機関始動、最大戦速!よ~そろ~!」

 

みらいの声と共に機関が始動し艦が動き出す。

因みに急加速だったため何人かがこけかけた。

 

友成「大和さん、撤退は?」

大和「提督が実行に移しました、艦隊は全艦引き上げています。」

友成「よし、みらい、梅津艦長に打電、『0800より作戦最終段階を決行、注意して航行されたし。また今回の戦闘による殉職者は無し。』。」

みらい「了解しました。」

 

 

 

自衛官「梅津艦長、みらいαより電文です。」

梅津「何と書いてある?」

自衛官「はっ『0800より作戦最終段階を決行、注意して航行されたし。また今回の戦闘による殉職者は無し。』以上です。」

梅津「・・・・成功したようだな、死者がいないのも幸いだ・・・最大戦速、これより横須賀に入港する。」

 

角松らが乗る「みらい」も横須賀内に進みはじめた。

 

 

 

 

 

 

横須賀鎮守府まで距離8㎞となったところで僕は内火艇に乗り込んだ。

 

友成「よし、準備はOk、瑞鶴さんは?」

瑞鶴「大丈夫よ。」

友成「じゃあ、みらい、行ってくる。」

みらい「良いのですか?作業着では無くて。」

 

みらいの言う通り僕は今、私服に「みらい」の識別帽を被っている上に救命胴衣を着ているだけの服装。

傍から見たら艦の指揮官とは思えないような服装だもんね。

 

友成「大丈夫、いない間、艦を頼みます。」

みらい「了解。」

 

その言葉を交わした後、内火艇は下に降りて着水した。

 

瑞鶴「操縦は?」

友成「じいちゃんのを見てましたから大丈夫です。」

 

僕は内火艇を動かし、横須賀鎮守府に向かった。




次回予告

友成「銃を持つときはガク引きや引き金に指をかけっぱなしにしないその安全性を後から知っても遅い。
僕はそれを知った。
次回「第拾伍戦目「兵器と扱うもの」」
次回に向けて、撃ちぃ方ぁ始めぇ~!」
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