高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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大演習編
第拾陸戦目「世界線を越えた繋がり」


撃たれた後、目が覚めたと思ったらある場所にいた。

そしてその光景を見た後に今僕が体験しているのは過去の記憶だとわかった。

・・・・・最悪の記憶だが。

 

今見ているのは父さんが殺された時の記憶だ。

あの日僕は喜菜と父さんと一緒に近くのテーマパークに行っていた。

今、目の前に広がるのは切りつけられた人々と不気味に笑う男とその男を押さえようとする父さん。

次の瞬間一気に視界に赤い色が飛び散る。

父さんが刺された。

僕が父さんに近づくと父さんは一言言って動かなくなる。

喜菜が動かなくなった父さんをゆする。

父さんが冷たくなっていく。

父さんは二度と目を覚まさなかった。

父さんを刺した男は笑い続け警察官に取り押さえられたが男は警察官の拘束から逃げ出し喜菜に手をかけた。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そこまで見た後目が覚めた。

身体中が脂汗で濡れている。

 

「大丈夫?」

 

声が聞こえた方を見るとある人が居た。

 

「瑞鶴さん・・・。」

 

瑞鶴さんだ。

 

「ここは・・・?」

「鎮守府の医療棟よ。」

「僕は・・・撃たれて・・・。」

「えぇ、心臓を撃たれたわ。」

「・・・・そうだ、母さんは?みらいは?」

「落ち着いて、順に話していくわ。」

 

深呼吸をして落ち着いた僕は瑞鶴さんの話を聞いた。

 

 

 

 

 

あっという間だった。

私は友成に押されたかと思うと

 

ダダダダァァァン

 

銃声が鳴り友成が血を流しながら海に落ちた。

 

「友成!!」

 

そして後を追うように神通さんが海に飛び込んだ。

桟橋に上がった私は事情が分からなかったけど綾波を見て理解した。

 

「あぁ・・・わ、私・・・・無抵抗の人を・・・・・・殺した・・・・・・。」

 

綾波がブツブツ言いながら頭を抱えていた。

そのすぐ横には私が友成に向けたことのある銃と金色の筒が落ちていた。

綾波が撃ってしまったのだ。

 

「瑞鶴さん!友成を!」

 

神通さんの声が聞こえて振り向くと血を流して海を赤く染めている友成と支えている神通さんが目に入った。

それを確認した瞬間に身体が動いていた。

 

「ど、どうしよう・・・心臓に当たってる・・・。」

 

友成を持ち上げたまでは良いが当の本人は心臓を撃たれて血が流れていた。

普通なら死に一直線で手の施しようがない。

 

「落ち着いてください瑞鶴さん、提督、高速修復剤はありますか?」

「あ、あぁ、備蓄してある。」

「ではひとつ分けて下さい。姉さん、那珂ちゃん、友成をドックへ運んでください!」

「「りょ、了解!」」

 

神通さんの指示で川内と那珂が友成を持ち上げてドックへと運んだ。

 

 

 

 

「そしてギリギリ間に合って怪我は治ったけど流れた血が多すぎて丸二日寝てたわ。」

「丸二日!?他の人は?」

「安心して、一応燃料と食料を「みらい」に運んだから大丈夫よ。」

「そうですか・・・母さんは?」

「神通さんは提督に貴方のことを話しているわ。」

 

よかった・・・ほか人は大丈夫で・・・・・そうだ!

 

「そうだ、交渉しに行かないと・・・。」

「ちょっと!動くのは早いわよ、もう少し休みなさい。」

「でも、入港しないと・・・。」

「・・・・・分かったわ、提督に話してくるから待ってなさい。」

 

そう言って瑞鶴さんは部屋から出ていった。

そのすぐ後にドアがノックされた。

 

「誰だろう・・・どうぞ。」

 

僕が言った後にドアを開けて入ってきたのは

 

「友成・・・。」

「母さん・・・?」

 

母さんだった。

 

「友成、大きくなったわね。」

「本当に母さんなの?」

「えぇ、あの時以来だけど。」

「母さん・・・。」

「友成ごめんなさいね。」

「いいよ、母さんだって仕方がなかったわけだし・・・。」

 

母さんにも事情があったんだ、それをどうこう言う気はない。

 

「お父さんは元気?」

「・・・・・・父さんは・・・僕が8歳の時・・・9年前に死んだ。」

「えっ・・・。」

「僕と義理の妹の喜菜と遊園地に行ったとき、通り魔に襲われて・・・僕たちを守ろうとして死んだんだ。」

「・・・・・・そう、最後までお父さんはお父さんだったのね。」

「ごめん母さん、父さんを守れなくて・・・・。」

「あなたは8歳だったんでしょ?だったら仕方ないわ・・・。」

「母さんは大丈夫なの?」

「大丈夫よ。あの人が死んだのは悲しいけど、いつまでも悲しんでいたらあの人に説教をされるわ。いつまでも泣くなって。」

「父さんなら言いそうだね。」

 

僕と母さんは笑いあった。

僕は17年会う事のなかった母さんに会えた。

だけど母さんに父さんを会わせられなかったことが少し悔しい。

でも父さんの言葉を思い出して気を取り直した。

 

「これからどうしよう。」

「大丈夫よ、提督は優しい人だから。」

「でも不安だよ・・・そう言えば、綾波は?」

「綾波ちゃんは部屋に籠りっぱなしよ。」

「自分の手で人を殺しかけたんだからね・・・。」

「・・・・私たちは前世で戦争をしていた、けど自分で殺したという実感は無かった。」

「綾波はそれをモロに受けた・・・。」

「そういう事よ。」

「後で会わないと・・・。」

 

瑞鶴さんの話から考えてかなり精神にダメージを負っている筈だ。

 

「入るわよー。」

 

母さんとそこまで話したところで瑞鶴さんが入ってきた。

 

「あれ?神通さん居たんだ。」

「どうも瑞鶴さん。」

 

入ってきた瑞鶴さんと神通さんが挨拶を交わした。

 

「友成、提督さんはこの後交渉をやるって、後で迎えが来るからその子に付いて行って。」

「瑞鶴さんは?」

「私は修復が終わったから「みらい」に行ってきて伝達よ。」

「そうなんですか。」

 

瑞鶴さんは、じゃあね。と言って出ていった。

その数十分後に撃たれた時の服に着替えた後、母さんと話しているとドアがノックされた。

 

「どうぞ。」

「失礼します。」

 

僕が言った後に声がするとドアが開いた。

 

「時雨です、霧先艦長をお迎えに上がりました。」

「どうもありがとう、あと堅苦しく話さなくてもいいよ。」

「そうかい?じゃあ遠慮無く話すよ。」

「時雨ちゃん、友成を迎えに来たのね?」

「うん、提督に頼まれてね。じゃあ案内するよ。」

「わかったよ・・・ととっ。」

「大丈夫?」

「うん、ありがとう母さん。」

 

倒れそうになったところを母さんに支えて貰った。

貧血みたいだな・・・。

 

「僕について来て。」

 

時雨に言われて母さんに支えられつつ僕は時雨の後ろを歩いた。

 

 

 

 

「ここだよ。」

 

時雨に案内されたのは「会議室」と書かれた部屋だった。

 

「時雨、入るよ。」

『いいぞ。』

 

中から返事があった後に時雨が扉を開ける。

 

「し、失礼します。」

「失礼します、提督。」

 

部屋に入って挨拶。

挨拶は基本中の基本。

 

「霧先艦長、気分は?」

「大丈夫です。」

 

寝覚めは最悪だったけど・・・。

 

「そうか・・・さっき瑞鶴から連絡があってな、「みらい」から四人ほどやってくるようだ。」

「四人ですか・・・。」

 

梅津艦長達が来るのか・・・・。

 

「まぁ、私自身君たちに危害を加えるつもりはない。そんなことをすれば神通が・・・「て い と く ?」・・・・ナンデモアリマセン・・・・。」

 

恐いよ母さん・・・・。

僕ちびってないよね?

 

その後、提督と母さんは色々話している隣で僕はジュースを飲んでいた。

そして10分は経っただろうか、ドアがノックされた。

 

『提督、「みらい」乗組員をお連れしました。』

「入ってくれ。」

 

高屋提督が言うと艦娘の陸奥さんが入ってきた。

・・・・・ナイスバディ。

 

「失礼します。海上自衛隊、護衛艦「みらい」艦長梅津三郎一等海佐です。」

「同じく「みらい」副長、角松洋介二等海佐です。」

「同じく「みらい」航海長、尾栗康平三等海佐です。」

「同じく「みらい」砲雷長、菊池雅行三等海佐です。」

 

全員が自己紹介を終えると高屋提督が座るように進めた。

 

「私は日本国海軍、横須賀鎮守府最高司令官、高屋浩二大将です。では交渉を始めましょう。」

 

その言葉を皮切りに交渉が始まった。

 

「まず霧先艦長はどんな要求を?」

「はっ、まずは自分たちの安全の保障とみらいの入港、修復の手伝いを許可して頂きたい。」

「分かりました、梅津艦長は?」

「はい、我々も安全保障、みらいの入港を許可して頂きたい。」

「分かりました、では此方から条件を言います。」

 

始まった、ここからが重要となる。

 

「今この世界は深海棲艦と戦争をしています。」

「それは存じ上げています。」

「瑞鶴からの情報を元に考えればあなた方は強大な、深海棲艦に対抗できる力を持っている。」

「つまり、入港や安全を保障する代わりに我々に協力せよという事ですか?」

「その通りです梅津艦長。」

 

・・・・つまり僕達に戦線に加われと言う事か。

なら条件付きでならどうだろう・・・。

 

「分かりました、但し、戦闘に伴う補給などはあなた方日本国海軍が負担することとそれに伴う技術を開示するのは工作艦「明石」と工廠にいる妖精と許可した者のみとします。またこの戦闘に参加するのは僕が指揮している「みらい」のみです。」

「霧先、正気か?お前は戦線に加わるつもりか?」

 

角松二佐が僕に問いかけてきた。

 

「角松二佐、深海棲艦は全世界から見てテロリストです、なら自衛隊が動くのは自衛隊法に違反しません。それに、ここは別世界でも日本・・・ならその日本を守るのも自衛隊の使命ではないですか?」

 

異世界でも日本・・・僕は自衛官では無いからどうとは言えないけどここの日本人を見捨てることはできない。

 

「分かりました、そちらにも事情があるのでしょう。此方もその条件で妥協します。」

「交渉成立ですね。」

「えぇ、海上自衛隊の方々の兵舎を建築するのでそれまでの間は我慢して頂きたい。」

「了解です。」

「それでは、これからよろしくお願いします。梅津艦長、角松二佐、菊池三佐、尾栗三佐、霧先艦長。」

「「「「「よろしくお願いします。」」」」」

 

こうして交渉は成功に終わった・・・・・かな?

ともかくこれで横須賀沖海戦は終結した。

 

 

 

 

 

 

 

その後横須賀鎮守府所属の艦娘の誘導で「みらい」二隻が入港し、僕が乗っていた「みらい」はドック入りとなった。

 

「あちゃ~結構ひどくやられていますね・・・。」

「サイズ差があるとはいえファランクスの弾幕を避けて機体を艦橋にぶつけてきましたからね・・・。」

 

今僕は修復作業が行われているドックにみらいと来ていた。

「みらい」甲板で被害をチェックしているのは工作艦の明石さんだ。

 

「明石さん、ミサイル関連の複製は?」

「今やってますけど妖精さんでも苦戦するほどですね・・・対空レーダーは解析開始済みで明日には修復開始可能です。」

「もう修復の目途が立っているんですか!?」

「はい、妖精さん達も楽しそうで。」

 

みらいも驚いてるけど妖精さんぱねぇ・・・・。

 

「主砲弾は使用可能か・・・・で、あの人は軽巡洋艦「夕張」で間違いないですよね?」

 

さっきから主砲を眺めて目をキラキラさせているのは艦これ知識が間違って無ければ夕張さんのはずだ。

 

「えぇ・・・少し熱中しているようですけど・・・。」

 

明石さんも呆れ顔で言う程に夕張さんは「みらい」の兵装を見ていた。

 

「艦長、流石にジロジロ見られるのは・・・。」

「・・・・ちょっと注意するか・・・。」

 

僕は夕張さんの所に歩み寄った。

 

「あの~すみません、危険なのであまり兵装に近づかないで下さい。」

「・・・・・?、えっと・・・どなたですか?」

「あっ、この艦の艦長、霧先友成です。」

「あぁ!神通さんの!できればこの兵装をよく見てみたいんだけど・・・・。」

 

話聞いてないのかい!

 

「で、出来ませんって。」

「お願い!実験艦として見ておきたいの!」

「で、ですが・・・。」

「お願いだから!!」

 

かなりしつこい人だな・・・。

 

「分かりました、もしご覧になりたいのなら梅津艦長、角松二佐、尾栗三佐、菊池三佐に許可をもらった上でみらいにも許可を貰って来て下さい。」

 

流石に諦めるだろう。

 

「その人たちは何処にいますか?」

「え?確か港で「みらい」の警備をしているはずですが・・・。」

「明石さんちょっといってきます!!」

 

夕張さんはまるで新幹線の如く超スピードで「みらい」から降りて走って行った。

・・・・遅いと思っていたけど、夕張さんって足速いんだ。

 

その後に満面の笑みで夕張さんが許可をもらったとのことでみらいに許可をもらい主砲の構造を観察した。

因みに尾栗三佐に聞いてみるとかなり必死に懇願していたため角松二佐と菊池三佐も最初は許可しなかったが結局折れたとのこと。

・・・・・・一番警戒するのは青葉さんだな・・・・。




今回はかなり書くのが難しかったです。

次回予告

みらい「何とか入港することが出来た私たち。
ですが艦長に喧嘩を吹っかけてきた人が・・・。
艦長は喧嘩をやめるべく行動にでる。
次回「第拾質戦目「艦娘と演習」」
次回に向けて、撃ちぃ方ぁ始めぇ~!」
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