「艦長・・・少し疲れました・・・。」
「まぁ、あれだけ質問攻めにされればね・・・。」
疲れますな。
「とりあえずもう昼時だし食堂を使おう。高屋提督にも許可は貰ってるから。」
「はい、お腹すきました。」
というわけで工廠から食堂へ。
「人一杯だな・・・。」
「そうですね・・・。」
食堂は昼時というのもあってか沢山の人でごった返していた。
「とりあえずどうやって食べるのかな?」
まずはそれが分からんと意味が無い。
「む?お主どうかしたのか?」
声をかけられて振り向くとそこにいたのは利根型重巡洋艦一番艦「利根」と二番艦「筑摩」だった。
「あっどうも。実はどうやって食事をしたらいいかわからなくて・・・。」
「何じゃそういう事なら吾輩が教えてやろう。」
「ありがとうございます。あっ、僕は霧先友成です。」
「私はゆきなみ型護衛艦三番艦「みらい」です。」
「おぉ、お主が友成か!確かに似ておるのぉ・・・ということはあの川の字・・・夜戦バカの甥か・・・。」
「ハハハ・・・・・。」
思わず空笑いがでた。
確実に川内伯母さんのことだよね・・・。(汗)
「自己紹介をしておらぬな。吾輩は利根じゃ!」
「私は筑摩です。よろしくお願いします。」
「さて、ここでの食事だがここに書いてあるメニューに載っているものを間宮に頼むのじゃ。」
「成程・・・・結構一杯載っていますね。」
「間宮さんはお料理が上手なので。」
そう言えばそんな話を読んだことがあるな・・・・。
「みらいはどうする?」
「えっと・・・このオムライスセットが良いです。」
「じゃあ僕は日替わり定食にしようかな。」
「決まったようじゃな、筑摩はいつもので良いか?」
「はい、お願いします。」
「では吾輩が頼んでくるぞ。」
「少し待っておれ。」といって利根さんは注文しに行った。
それと見た後に筑摩さんが僕に声をかけてきた。
「あの、霧先さん・・・・少し御伺いしたいことがあるのですが。」
「何でしょう?あっ、別にさん付けでなくても良いですよ。」
「分かりました。実はみらいさんの力についてお伺いしたいのですが・・・。」
・・・・そういう質問か。
「具体的にはどういうことを聞きたいのですか?」
「・・・・みらいさんに勝てる艦娘は居るのですか?」
「うーん・・・ケースバイケースですね。例えば戦艦で固めた資材吹き飛び覚悟の艦隊なら、みらいとて無事では済まないでしょう、逆にこちら側の艦・・・・他の護衛艦がこの世界に来てみらいと艦隊を成せばそちらの勝率も下がる。」
「では、状況次第では勝てると・・・?」
「そうですね、ただみらいは500㎞先から敵を迎撃できます。この世界でその距離を反撃できる艦娘はいますか?」
「・・・・・。」
約500㎞攻撃できるのはトマホークの数だけ、後は対艦で攻撃できるのはハープーンのみ、90式艦対艦誘導弾なら200㎞が限度と言われている。
結局のところ、その時その時の戦況で勝てるかどうかが変わるのだ。
「ありがとうございました、現状は私たちが勝てる確率はあるということが分かりました。」
「目的は達成できたみたいですね、ところで何故こんなことを聞いたんですか?」
「実は青葉さんが私達では勝てない艦娘がいると話してまして・・・・気になったんです。」
・・・・・アオバワレエ!!
と、言いたい台詞を心の中でぶちまけたところで。
「はぁー・・・みらい、拳銃の携行を許可する。もし「みらい」周辺で青葉さんを発見した場合は危害射撃を許可する。」
「りょ、了解です・・・。」
警備強化も視野に入れるか・・・・。
「おい、でめぇちょっと聞きたいことがある。」
頭を抱えた時に声をかけてきたのは眼帯で左目を隠した女性とアンテナのようなものが頭に付いている女性。
「摩耶さん、天龍さん?」
筑摩さんの言った通り天龍型軽巡洋艦一番艦「天龍」と高雄型重巡洋艦四番艦「摩耶」だった。
「えっと・・・僕ですか?」
「お前以外に誰がいるんだよ。」
「あのー・・・艦長はお昼ご飯を待っているので。」
「お前は黙ってろ。」
「すみませんでした・・・。」( ´;ω;`)
天龍さんの一蹴でみらいは涙目になった。
・・・・・これはいかんよなぁ?
「その言い方はないんじゃないですか?」
「うるせぇ、俺はお前に話があるんだよ。」
これは話を聞かない奴ですな。
「要件は何ですか?」
「てめぇはあの艦の艦長だってな。」
あの艦・・・「みらい」のことか・・・。
「そうですね、ただし、臨時艦長ですが。」
「細かいことはいい、あたしたちはお前の艦と戦いたいんだ。」
「演習ということですか・・・。」
「分かっている様だな。俺より強いなんて噂らしいが、あんな艦はすぐに勝てるぜ。」
噂っていうのは広がるのが早いな。
「良いでしょう、高屋提督からの許可がおりたらですが。」
「すぐに許可なんてもらってきてやるぜ!あたし達に勝てるわけないさ!」
摩耶さんがそういって二人は食堂を出ていった。
「・・・・みらい、昼食の後にドックに集合。」
「了解です。」
・・・・・力量試しか。
昼食を食べた後に僕はある場所に案内してもらっていた。
案内してくれているのは「朧」
・・・・向かっているのは綾波の部屋だ。
「ここです。」
「ありがとう・・・。」
僕はドアの前に立ちノックした。
「入りますよ。」
返事が無いのでドアを開ける。
中はカーテンが閉じられて真っ暗だったが部屋の真ん中に布団でくるまった「何か」がいた。
「綾波?」
「何か」ピクリと動いて此方を向いた。
「ヒッ!」
綾波の顔は酷かった。
眼には隈が出来ていてやつれていた。
そして僕の顔を見ると幽霊でも見たかのような目で小さな悲鳴を上げた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・。」
綾波は譫言のように言い続けていた。
その目は完全にハイライトさんがoffになっていた。
「落ち着いて!大丈夫だから!」
僕は気が付いたら綾波を抱き締めていた。
よく考えれば父さんが死んだときも妹を抱き締めていた。それを思い出して無意識にやったんだろう。
「え?」
「僕は生きている、謝ることはないよ。あれは不慮の事故だったんだから。」
正確には僕の不注意が原因だけどどちらにしろ綾波が悪いわけでは無い。
「でも、私・・・。」
「僕はこれでも「神通」の息子。そう簡単に死ねないよ。」
母さんは過去に真っ二つになっても戦った。
息子の僕が颯爽と死んだら駄目だ。
「ごめんなさい・・・。」
「野郎の胸で良ければ貸すよ?」
綾波は目に涙を浮かべて僕に抱きついた。
その眼には光が戻っていて早期治療が良かったことが証明されていた。
その後少しの間は綾波は子供の様に泣き続けてて僕は彼女の頭を撫でていた。
「落ち着いた?」
「はい・・・あのお見苦しい所を・・・。」
そう言う綾波は顔を赤くして伏せた。
「ま、まぁ誰でも甘えたい時はあるから・・・。」
僕は頬掻きながらフォローしたつもりだったが・・・。
「あうううう・・・やっぱり忘れて下さい!」
逆効果だったようだ。
「ごめん、そうだ!用事を思い出した、僕はもう戻るよ。」
「あっはい、あの・・・・ありがとうございました。」
僕が立ち上がって帰ろうとすると綾波も立ち上がってお辞儀をした。
「原因は僕にあったから、責任はちゃんととらないとね。それじゃあ。」
僕はそう言って工廠へと足を進めた。