高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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第弐拾壱戦目「新たな出会い」

「あぁ・・・眠い。」

 

眠い目を擦りながら周囲を見渡す。

どうやら個室のようでパーティー会場で寝てしまった後に運ばれたのだろう。

 

「病み上がりだからかなぁ?体が重いなぁ・・・。」

 

少し体が重いけどとりあえず起き上がる。

部屋は簡単な作りで畳と窓、箪笥にテレビ、時計、三段ベッド、姿鏡といった必要なものが置かれていた。

 

「よっこいしょ・・・今は0532・・・5時32分か。」

 

時計の針は小さな音を立てながら動いていく。

僕は姿鏡の前に立つ。

 

「うーん・・・服はそのままだよね。」

 

服装は「みらい」の中に置きっぱなしだったリュックに入っていた着替えを着用しているため何も問題は無い。

ただ白地のTシャツには「飯より宿」と黒い字で大きく描かれていた。

 

「うーむ、他に服は・・・あっ、リュックがある。」

 

服が無いかと周囲を見てみると僕のリュックが置かれていた。

 

「?手紙がある・・・・『艦長へ、着替えなどをお持ちしましたのでここに置いておきます。 みらい』後でお礼を言わないと・・・。」

 

みらいの手紙を読んでからリュック内を漁る。

 

「・・・・これでいいかな。」

 

適当なものをピックアップして着替える。

 

「にしても、結構ボロボロになったなぁ・・・。」

 

着替えのついでに体を見てみた。

一週間前まで特に傷のなかった体は四発の7.62㎜弾の当たった痕と頭の切り傷が出来上がっていた。

 

「流石に怪我を跡なしににはできないか・・・。」

 

どうやら僕の体に高速修復材は効くようだけど傷なしにまでにはできないか・・・。

 

「よし!着替え完了!」

 

服装は黒地に「夜戦魂」と白い字で大きく描かれたTシャツに白に近いグレーの短パンというラフさを追求したものになった。

 

「さーて、朝食を食べに行こうかな?」

 

着替えを終えた僕は部屋を出て食堂へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!おはようございます!」

「あぁ、おはよう綾波。」

 

食堂に向かう途中で出会ったのは綾波だった。

かなりの笑顔で見ている側としては癒される。

 

「友成さんはこれから朝ごはんですか?」

「うん、その後にみらいと合流して鎮守府を見て回ろうかなと。」

「あの、良かったら私が案内しましょうか?」

「お願いしようかな、僕は詳しくないし。」

「分かりました!」

 

そう言って返事をした綾波が幼いころの喜菜に見えた。

 

「・・・・・帰らないとな。」

「何か言いましたか?」

「いや、何でもないよ。それじゃ行こうか。」

「はい!」

 

僕たちは食堂へと足を進めた。

 

「ところでその服装は・・・。」

「・・・・僕にもわからないけど見た瞬間この服が欲しくなったんだ。」

 

血は争えないね。

 

 

 

 

 

 

「さーてどこに座ろうかな?」

 

食堂についた僕たちは席を探した。

すでに総員起こしがかかった為、食堂には人が増えつつあった。

 

「あっ!艦長、こっちです!」

 

席を探しているとみらいが手を振って僕を呼んでいたのでそこに向かった。

みらいは既にある人物と同席していた。

 

「おはようみらい、大和さん。」

 

その人物は大和さんだった。

 

「おはようございます霧先艦長。」

「別に艦長とつけなくても・・・・なんせ唯の高校生ですから。」

「ですが、あれほどの指揮。既に軍人と同じ域だと思いました。流石、神通さんのお子さんです。」

「・・・・・そうですよね、軍人ですか。」

 

僕は丁度近くにあった窓を眺めた。

 

「艦長?どうかなさったんですか?」

 

みらい、綾波、大和が僕に視線を向ける。

 

「・・・・僕はもう戻れないかもしれませんね。」

「えっ?」

「あぁ、気にしないで。それより料理を頼みましょう。」

 

適当にごまかしたけど・・・僕も認めたくないんだろう。

この世界で普通の一般人として生きていけないことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

食事を終えて大和さんと別れた後、僕たちは鎮守府を案内してもらっていた。

 

「こちらが工廠です。ここで建造、開発などを行っています。」

「中を見学してもいいですか?」

「はい、どうぞ。」

 

綾波に案内されて入った工廠はある意味工場に近いものだった。

辺りで忙しく動いているのは妖精さんたちだ。小さいから踏んだり蹴ったりしないように注意しつつ歩く。

 

「これが建造用個室でこれは操作盤です。ここに書かれている資源のダイヤルを回して建造開始のボタンを押して建造を行います。」

 

綾波が見せてくれたのは大型の扉に数字が書かれた建造用個室だ。

どうやらこの操作盤のダイヤルを回して資材を投入して建造するようだ。

先にだれか建造したのかダイヤルは戦艦レシピに指定されていた。

 

「へー、こんな風になっているんだ・・・。」

 

よく見ようと近くに寄ったとき僕は足を滑らせてしまった。

 

「うわっとお!!」

 

うっかりこけた僕は操作盤の建造開始と書かれたボタンを押してしまった。

 

ビービー!!

 

警報のようなものが鳴り響き資材が壱と書かれた個室に運ばれていく。

そしてその扉の上に出た建造時間の数字は。

 

「「72時間!?」」

 

僕と綾波は声をそろえて驚いた。

最大は大和型戦艦の8時間なのに72時間なんて聞いたこともない。

 

「これどうしようか綾波・・・。」

「一応高速建造材を使ってみましょう・・・。」

 

そう言って綾波は操作盤にある高速建造材と書かれたボタンを押す。

すると妖精さんがバーナーで個室を炙る。

パタパタと0になっていく数字を見つめつつ3秒ほどして建造完了。

 

「いったい誰だろう・・・。」

 

僕は扉の前に立ってみる。

ゆっくりと扉が開かれ出てきたのは

 

「扶桑型超弩級戦艦、三番艦の伊勢です。よろしくお願いします!」

 

存在しないはずの扶桑型三番艦の伊勢だった。

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