短いのはご勘弁。
友成が先代神通と買い物に行っている時。
大本営の会議室では高屋提督と海軍上層部の人間が言葉上の戦闘を繰り広げていた。
「君は言っていることが分かっているのかね?異世界、未来の日本などと空想小説みたいな単語をつらつらと報告書に載せおって!」
「更にはそのうちの一人を技術者として海軍に編入し工廠長の任に就かせるだ?戯けたことをぬかすな!」
罵倒の嵐、もしくはバーゲンセールである。
余程戦果を挙げている提督の事が気にくわないのだろう否定ばかりする者が大多数だ。
「それに450㎞の電探に空母を彼方から沈める兵装を積んだ艦が二隻だと?そんなものが存在し得るのか?」
「お言葉ですか大将。自分ははっきりとこの目で確認しました。演習でとてつもない速さで飛び空母に撃沈判定を出すのを。」
ある大将の言葉に提督は普通に答える。
「そんなものがあれば我が海軍に敵なしではないか!深海棲艦の根絶やしにできるぞ!」
「早急に技術提供を要求すべきだ!力づくでも!」
提督の考えていた通り既に「そういう」考えが内部に出始めていた。
「彼らは我々の戦争に加わるのが目的で来たのではありません。そんな彼らに強要するのは如何なものかと。」
「君は事の重大さがわかっていないようですな。それだけの兵器があれば深海棲艦を根絶やしにでき、米軍と同等の戦力を保持できるのですよ?更には未確認の艦娘を出現させる力もある。ならば彼らを従わせて海軍に編入し、艦を奪うことも厭わないほどの価値がある。」
「ですが人事参謀長。彼らの能力と兵装から逆算すれば此方が大打撃をうけます。更に我が鎮守府に所属する艦娘と新しく存在を確認できた艦娘の反乱も考えられます。」
「それは・・・・。」
「反乱!?どういうことだ!?」
提督はいよいよカードを切った。
「実はその
「ぐぬぅ・・・。」
「ならば気づかれずに・・・。」
「もしばれた際に被る被害と特殊兵装艦の技術、この2つを天秤にかけてどちらが重いですかな?」
「・・・・。」
もはや誰も発言しなくなっていた。
提督と主任妖精の思惑通りとなったのだ。
「・・・・まぁ、彼らも多少は協力してくれるそうじゃないか。なら私たちが手を出すのは御法度。ある程度でラインを引くのが良いだろうね。」
そう言ったのは元帥の
上が言うのなら中々異論を言うのは難しいだろう。
「では元帥殿・・・。」
「うむ、高屋君。普段の君の頑張りから見てこの案を受けよう。霧先友成を海軍に編入し少佐の階級を与え、工廠長の任に就くことを海軍本部は了承する。」
「ご配慮、感謝します。」
「君たちも異論はないね?」
日比山元帥が聞くと全員が黙り込んだ。
「無言は肯定とみなそう。本日1400をもって霧先友成を正式に海軍少佐として編入する。高屋君、頼むぞ。」
「了解しました!」
こうして提督の闘いは思惑通りに終わった。
「お見事でした高屋大将閣下。」
提督が廊下を歩いて鎮守府に戻ろうとした時、会議室から出てきた一人の少佐が声をかけてきた。
「よしてくれ草加。同期に閣下と言われるのは未だに慣れん。」
「やはり変わっていないな高屋。」
「お前もだろう草加。」
声をかけてきたのは提督の同期の草加拓海だった。
「ところで一体どうした?お前が声をかけてくるなんて珍しい。」
「いや、実は来週あたりに視察に向かうことになっていてな。」
「視察?あぁ、あの視察にお前が来るのか?」
「そうだ、それと個人的に確認しておきたいことがあってな。」
「個人的に?お前が珍しいな草加。何を知りたいんだ?」
「さっきの会議で出た特殊兵装艦・・・艦首に『182』と書かれていたか?」
提督は「みらい」を頭の中に思い浮かべた。
「確かに書いてあったが・・・どうして知っているんだ?」
「噂に聞いたんだ。そんな艦がいるとな。」
「ほう流石は通信参謀だな・・・まぁ、来週あたりに視察に来た際に確認したらいいだろう。俺は鎮守府に戻る。」
「それではまた。」
草加は敬礼してその場を去って行った。
「(草加・・・同期の俺でもたまにわからん時があるが・・・お前は何を知っているんだ?)」
提督は考えながら鎮守府へと歩を進めた。
「運命というものは奇妙で摩訶不思議なものだな・・・角松二佐、みらい。」
そういいながら歩く草加の手にはこの世界に存在するはずの無い100円硬貨があり『平成12年』と刻印されていた。
さて、草加を出したはいいけどどうしよう・・・。
まぁ、ある程度立場は決まっていますがね。