高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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どうも、みたらし饅頭という者です。
今回は普段Pixivで上げている小説を出してみました。
私は自衛官ではないので可笑しな点があると思います。
ですのでそういった場合はお知らせいただけると幸いです。
それでは本小説をお楽しみ下さい。


始まりの航海編
第零話「出会い」


2014年7月23日の日本の瀬戸内海。

そこに面する愛媛県のある小さな港では壮年の男性、霧先勝成が漁船に乗り込んでせっせと準備をしていた。

手に持っている釣り具やその数から誰かと釣りに出かけるようであり、彼は笑みを零して準備をしていた。

 

「友成と釣りもええもんじゃ。警官人生が終わって一人でのんびり過ごすのもええが孫と釣りも良い人生の花じゃな。」

 

軽く笑って準備を行っていると、勝成の後ろに10代後半と見える少年が現れた。

迷彩柄の大きなリュックと黒のトートバックを手に持っていた少年は勝成の後ろ姿を見ると大きな声で呼び掛けた。

 

「じいちゃん!」

「おっ、友成か!まっとたぞ。さ、のれいのれい!」

 

勝成は少年、孫である霧先友成も観るや否や満面の笑みで漁船へと招き入れる。

友成は慣れた様子で船に乗り込むと、操舵室に荷物を置いてから救命胴衣を着用し、準備を終えた。

勝成も救命胴衣をして霧先が座ったのを確認すると漁船のエンジンをかけて、ゆっくりと港を出港した。

 

 

 

潮風が優しく流れるのどかな海、瀬戸内海には、勝成の漁船が止まっていた。

現在漁船が止まっている場所には多くの魚が集まる知る人ぞ知る穴場の釣りポイントであり、朝早いこともあってか周囲には漁船一隻すらいなかった。

 

「爺ちゃん、何か釣れた?」

「おかしいなぁ~、いつもはすぐ釣れるもんだがなぁ・・・。」

 

垂らした釣り竿が波に揺られて寂しそうに揺れている光景を眺めながら、友成は勝成に何か釣れたかを聞いた。

しかし勝成も何も釣れていなかった。

普段はどんどん釣れるという場所なのに釣れないということに違和感を感じながらも、勝成は釣りを続ける。

どうにか暇を紛らわせたい勝成は、友成に言葉を投げかける。

 

「そう言えば。友成、成績はどうだ?」

「う~ん、そこそこかな?」

「まったく、上を目指さんといかんぞ?」

 

しかし、いまいちな反応しかしない孫に返答に勝成は少し顔をしかめる。

 

「釣れないなぁ~、ん?」

 

何も釣れず、唯々呆けながら釣り竿をもっていた霧先は、ぼ~っと海を眺めていると、ある物が近くで浮かんでいるのに気づいた。

それは着物を着た人間だった。

ピクリとも動かないその人を見かけた霧先は、普通ではないと悟り勝成を大声で呼んだ。

 

「爺ちゃん!海に人が!」

「なに!?すぐに助けるぞ!」

 

友成の言葉を聞いた勝成は警官時代の癖か過ぎに身体を反応させ、老人とは思えない速さで救助の準備に取り掛かった。

そのかいあってか、海に浮かんでいた女性の漂流者は即座に無事救助され、一命をとりとめたようであった。

そしてその後、意識を取り戻した女性は特に後遺症もなく普通に二人と話していた。

 

「いや~、助かりました。」

 

海から助けた女性は紺色のツインテールに弓と甲板のようなものを身につけていた。

傍から見れば唯の痛いコスプレイヤーだ。

友成はそんな格好をしている女性にまず名前を尋ねることを考え、尋ねた。

 

「大丈夫そうで良かったです、お名前を聞いても?」

「あっ、分かりました。・・・・改めまして救助して頂き感謝します。二航戦の航空母艦、蒼龍です。」

 

霧先が名前を尋ねると、その女性は立ち上がって海軍式敬礼をしながら大きな声でハキハキと自己紹介をした。

ビシッと綺麗な姿勢でそういう女性に、勝成は頭を打ったのではないかと思い、友成は少し考え込んだ。

その結果、ある答えが出てきた。

 

「もしかして、蒼龍さんってミッドウェー海戦で沈んだ、あの蒼龍さんですよね?」

「ミッドウェー?何それ美味しいの?」

「正直に話すか、警察に異常者として突き出されるのとどっちがいいですか?」

「ごめんなさい・・・前者で・・・。」

 

イラッと来た友成は少し声を強めながら蒼龍に選択を迫る。

怒気が露わになった友成に蒼龍は深々と頭を下げて正直に話し始めた。

蒼龍曰く、深海棲艦と呼ばれる存在との戦闘中に落雷を受けて気を失い、気が付いたらこの漁船にいたという事。

友成がどこの所属であるかを聞くと、日本海軍だと言い海上自衛隊については知らないと話した。

 

「ちょっとすいません。」

 

友成は蒼龍に一言断ると、勝成と共に船首へと離れて蒼龍に聞こえないように会話を始めた。

 

「じいちゃん。あのひとどうやら軍人みたいだよ。」

「軍人?自衛官じゃなくてか?」

「うん。もしかしたら異世界の人間かも・・・。」

「そんなけったいなことがあるか?」

「これを見て。」

 

友成は自分の考えが間違っていないことを示す様にスマホを取り出して画像を見せる。

そこには蒼龍と瓜二つの人物の画像が載っていた、あまりの似すぎていて勝成は目を見開く。

 

「友成、こいつは・・・。」

「大日本帝国海軍蒼龍型正規空母一番艦『蒼龍』、その艦を擬人化したもので、ゲームのキャラクターなんだよ。」

「つまり・・・。」

「蒼龍さんの言動から推察するに・・・あの人はこの世界の人間じゃない。」

 

友成の仮説に勝成は頭を悩ませた。警察官であった勝成は法律にも精通している。

もし蒼龍異世界人であるのであれば、日本の外。つまり外国から来た不法入国者ということになる。

それに彼女のことを証明するものがない以上、最悪の場合は自衛隊や警察沙汰となってしまう。

 

「じいちゃん。このことを蒼龍さんに話して何とか対策を考えよう。」

「そうだな。とにかく今の状況を教える方がいいだろう。」

 

蒼龍に聞こえないように相談し合う二人は何とか内密に対処することにし、方針を固めた二人は、蒼龍に現状を話すことにした。

友成は蒼龍に近づくと、声をかけた。

 

「蒼龍さん。少し良いですか?」

「はい、なんですか?」

「少々言いにくいが・・・ここはあんたのいた世界じゃない。」

「えっ?」

 

勝成の言葉に、蒼龍の頭の中は疑問符で埋め尽くされることとなった。

続けて友成が訳を説明した。

 

「僕たちが知る限り、『日本海軍』や『深海棲艦』なんて存在は確認されていません。つまり、ここは蒼龍さんがいた世界とは別世界であると・・・。」

 

霧先の推測を聞いた蒼龍の思考回路が停止する。

数十秒の間、思考が停止してから、再起動した脳で理解した蒼龍は大声を上げた。

 

「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

蒼龍があり得ない事象に出くわしたことに驚いていると、友成たちの乗る漁船に自衛艦旗を掲げる護衛艦隊が近づいて来た。

物々しい雰囲気を漂わせながら近づいてきた護衛艦隊は、友成たちの乗る漁船の目の前で停止した。




さて、今回は蒼龍が救助されました。
次回から本格的に物語は動き出します。
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