高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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怒涛の連続投稿!
今回からゆっくりと大規模作戦編に向かっていきます。


第弐拾捌戦目「初めまして!工廠長!」

草加少佐が視察に訪れてから2週間後の横須賀鎮守府。

 

「綺麗・・・・。」

 

そこで一人の少女が海を見て呟いた。

その少女はセーラー服に身を包み、傍から見れば中学生にも見える。

 

「・・・・よしっ!」

 

少女は後ろに振り返る。

そこには横須賀鎮守府の建物があった。

彼女こそ艦娘の「吹雪」であった。

 

 

 

 

 

「初めまして司令官!吹雪です、よろしくお願いします!」

「初めまして、俺はここの司令官の高屋治二大将だ。いきなりで悪いが生憎、俺も秘書艦の長門も執務で手が離せないんだ。ここの案内は適当な艦娘に聞いてくれ。皆良い奴らだ。」

「了解しました!」

「張り切りすぎるのも考え物だぞ?所属は第三水雷戦隊だ。退出しても良いぞ。」

「失礼しました!」

 

 

「はぁ・・・・どうしよう・・・。」

 

吹雪は溜息をついた。

彼女自身、新天地へ来たばかりで知らない顔の人物に堂々と声をかけるのをためらっていた。

そんな時に独りの艦娘が声をかけた。

 

「あの~・・・。」

「はっ、はい!」

 

いきなり声をかけられた吹雪は少し退きながら声をかけてきた相手の方を見る。

 

「吹雪さん・・・ですか?」

「あっ、はい!吹雪であります!本日付で第三水雷戦隊に配属になりました。」

 

吹雪は敬礼をしつつ自己紹介をした。

 

「同じ第三水雷戦隊に所属する睦月です。よろしくお願いします。」

「あっ、此方こそよろしく。」

 

敬礼をして自己紹介をする睦月に吹雪は礼をする。

しかし、肩に下げていた手提げが落っこちた為、中身のおにぎりや貯金箱、お守りが廊下に散乱する。

 

「あぁっ!!」

 

吹雪はせっせと落ちたものを拾い手提げに入れていく。

 

「あっ、可愛い~。」

「あははっ・・・。」

 

貯金箱を眺めて可愛いと発言する睦月に吹雪は笑いながら頭を掻いた。

 

「良かった~。」

「?」

「特型駆逐艦って聞いたので、もしかしたら怖い人なのかなって思っていたから・・・。」

「私も怖い人と同じ艦隊になったらどうしようって思ってたから・・・。」

 

「「うふふふ。」」

 

どうやら二人とも相性が良かったのか仲良くなれたようだ。

 

「この鎮守府はやっぱり大きいんだねぇ~。」

「大抵のことはこの中で済んじゃうの。任務や出撃に関する事だけじゃなく、休日雄過ごすための施設もあるから。睦月もほとんど外に出ることが無くて。」

「へぇ~すごいんだね・・・。」

 

吹雪が感嘆を漏らす。

彼女が前にいた鎮守府ではさほど設備は充実していなかったようだ。

 

「でも、休日に外に出る人は多くなったよ。」

「そうなの?」

「うん、ここにある娯楽施設も工廠長が提督に頼んで作ったものが多いし、明石さんの酒保に雑誌なんかを置いてくれるように頼んだのも工廠長なんだ。」

「凄いんだねぇ・・・工廠長さんって。」

「後であいさつに行こうよ。」

「うん!」

 

吹雪が言った後にチーンと音が鳴りエレベーターのドアが開く。

そして廊下を少し進んだところの部屋に第三水雷戦隊と筆で書かれた木札がかけられていた。

 

「ここ?」

「うん!」

 

睦月がドアを開ける。

 

「夕立ちゃん!吹雪ちゃん連れてきたよ!」

「ぼい?」

 

睦月の言葉に部屋で雑誌を読んでいた夕立が反応する。

 

「あっ、初めまして。吹雪です。」

「夕立だよ。あなたが特型駆逐艦の一番艦?なんだか地味っぽーい。」

 

夕立は吹雪に近づくなり品定めをするような目で見て地味という言葉を言い放った。

恐らく特型駆逐艦の一番艦というイメージが大きく思えたせいで想像していたためそんな言葉が出たのだろう。

 

「もー失礼だよー。」

 

睦月は夕立に注意をした後、吹雪の荷物を机に置いた。

 

「机はここを使ってね。それで荷物はこっちに・・・。」

 

睦月が手を掛けた引き出しを引くとそこには大きなぬいぐるみのクマが収納されていた。

ひとつで引き出し一杯になるとはかなりのサイズである。

 

「もう!夕立ちゃん!吹雪ちゃん来るまでに片づけて置いてっていったのにー!」

「だってー私の引き出しにもう入らないっぽいー。」

「あぁ、大丈夫。私そんなに荷物ないし・・・。」

「ううん、そういうのは駄目だよ。共同生活しているんだから!」

「また始まった~睦月ちゃん細かすぎるっぽい~。」

「夕立ちゃんが大雑把すぎるんだよ~。みらいさんにまた説教されるよ?」

 

「(何だかみんないい人そうだなぁ・・・。)」

 

そんな吹雪の顔を背後からまさぐるものがいた。

 

「ん?えっ?」

「ほうほう、これが特型駆逐艦の一番艦かぁ~。」

「ふぇえ!?」

 

吹雪が後ろに振り替えるとそこにいたのはオレンジを基調とした服を着た川内と神通だった。

 

「ちょっと垢抜けないけど可愛いじゃん。友成には劣るけど。」

「姉さん、また友成君に言われますよ。」

「あ、あなたは・・・。」

 

どうやら突然のことに吹雪の脳は付いていけていないようである。

とりあえず相手の名前を聞こうと尋ねた。

 

「あっ、川内さん。同じ第三水雷戦隊のメンバーで妹の神通さんと那珂ちゃんと一緒に隣の部屋にいるんだよ。」

「えっ!?川内さん!?お、お久しぶりです!吹雪です!」

「あぁ、あの時の。名前は聞いていたからどんな姿になったかと思えばこれまた地味な格好に・・・。」

「姉さん、友成君に怒られますよ。・・・姉がご迷惑をおかけします・・・。」

 

「あははは・・・・。」

 

吹雪は笑うしかなかった・・・。

 

「およ?那珂ちゃんは?」

「あれ?さっきまでいたんだけどなぁ・・・。」

 

そんな時に外から声が聞こえてきた。

 

「第三水雷戦隊の那珂ちゃんでーす!」

 

全員が窓からのぞくとそこでは那珂がビラ配りをしていた。

どうやら近々ライブをするようで宣伝をしているようだ。

・・・・・・来る人数は限られそうだが。

 

「あれが・・・那珂ちゃん・・・。」

「妹もご迷惑をおかけします・・・。」

 

吹雪は実に不思議なものを見る眼で眺めていた。

神通の胃は持つのであろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

「後一周!吾輩に続けぇ!」

「おっそい!おそーい!」

「頑張って電!あと少し!」

「うん・・・!」

「やだぁ~髪の毛が痛んじゃぅ~!」

 

利根筆頭の元、島風、雷、電、如月が走り込みをしていた。

そこに睦月が声を掛ける。

「如月ちゃーん、頑張っていきましょー!」

「!ふふっ。」

 

睦月に気付いた如月は手を振り、睦月が手を振り返す。

その後、施設案内を続けることになった。

 

「ここが教室っぽい。」

 

教室と言われた場所の入口には駆逐級と書かれた札が掛けられていた。

 

「今日は日曜日で誰もいないから・・・明日みんなに紹介するね。」

「うん、ありがとう。」

 

吹雪は壁に張られた時間割を見る。

授業は三時間あるようで、礼法、算術(弾道計算等)、水雷(教練対潜戦闘)、艦砲(教練対空対水上戦闘)、料理、信号(手旗、モールス)、武道(銃剣道、柔道)、演習が振り分けられていた。

 

「ねぇ、睦月ちゃんと夕立ちゃんは、実戦・・・どのくらい積んで来たの?」

「実戦?この艦隊に配属になってからまだ二回かな?」

「今まで遠征と演習ばっかりだったから・・・一回目は何もしないうちに先輩たちが

倒しちゃって終わっちゃったぽいしね~・・・。」

 

どうやら二人とも戦闘経験は少ないようである。

そんな時に睦月から吹雪に言葉の爆弾が投げつけられた。

 

「吹雪ちゃんは?」

「うぅ・・・えっと・・・・。」

 

実は吹雪自身はまだ一度も実戦に出ていない。

というのも彼女は艤装がうまく扱えず前の鎮守府では落ちこぼれとして出撃はおろか艤装を付けることもなかったのだ。

 

「このくらい・・・・?」

「20?」

「え?ううん・・・いや!」

「流石一番艦!」

「およよ・・・睦月も頑張らなくっちゃ!」

 

下手なジェスチャーのせいで大変な勘違いをされてしまった。

しかし二人の勢いに飲まれた吹雪はそれが間違いだということを言い出せなかった。

その時、エンジン音が聞こえてきた。

 

「なに?」

 

三人が教室の窓を開けるとそこには無数の艦載機が飛んでいた。

 

「一航戦の先輩たちの演習っぽーい!」

 

どうやら一航戦の赤城と加賀の艦載機のようだ。

 

「一航戦?聞いたことある!たった一艦隊で数十の深海棲艦に立ち向かい、完全勝利したと言われる伝説の艦娘達だよね~!・・・ここに配属されているんだぁ・・・。」

「工廠長に挨拶しに行った後に会いに行ってみようか?」

「うん!」

 

睦月の提案に吹雪は大いに賛成した。

 

 

 

「ここが工廠長の部屋?」

「うん、工廠の中にあるけど艦娘もたくさん来るんだよ。」

「そうなんだ~。」

 

吹雪が応答してから睦月が扉をノックした。

 

『誰ですか?』

「睦月、夕立と今日配属の吹雪です!」

『そういえば今日配属だったっけ・・・どうぞ。』

「失礼します!」

 

睦月がそういって扉を開けて中に入る。

続いて夕立、吹雪が入室していく。

 

「君が吹雪だね?僕は霧先友成。階級は少佐で工廠長を務めているからいろいろな面で君たちをサポートするからよろしく。」

「私は加賀型戦艦二番艦土佐よ。よろしくね吹雪ちゃん。」

 

霧先と土佐が敬礼をして吹雪を迎えると

 

「は、初めまして霧先少佐!土佐先輩!吹雪です!よろしくお願いします!」

「そんなに堅苦しくなくてもいいよ。そうだ、お菓子やジュースがあるけどどれがいい?」

「あっ私はファ○タグレープとおにぎりせ○べいがいいっぽい!」

「睦月はカ○ピスとかっぱえびせ○がいいです!」

「えっ?えっと・・・・。」

 

どうやら吹雪はこの状況についていけないようである。

それもそう、本来ここは軍事施設であり上官が冷蔵庫や棚からお菓子とジュースを出し、それを嬉しそうに受け取る同僚が見れることないはずなのだ。

そこにサッと土佐が耳打ちをする。

 

「吹雪ちゃん、ここの鎮守府は特殊だから今のうちに慣れておきなさい。」

「わ、分かりました土佐先輩・・・。」

 

吹雪は苦笑いをするしかなかった。

 

 

これが「みらい」艦長 霧先友成と特型駆逐艦一番艦 吹雪の出会いだった。




アニメ基準になるけど轟沈はさせん!
慢心、ダメ!ゼッタイ!
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