発砲音の後に黒煙が広がる。
その攻撃を受けたのは敵駆逐艦で吹雪を救ったのは赤城所属であることを示す識別帯を機体に描いている零式艦上戦闘機だ。
零戦は機銃を掃射して攻撃を行った後別の敵を攻撃する。
吹雪が空を見上げるとそこには無数の灰色の機体が飛び交っていた。
「第三水雷戦隊、ご苦労様でした!下がってくださいここからは第一機動部隊が参ります!」
「ここは譲れません。」
赤城と加賀は言葉の後に矢を放つ。
その矢は輝く九九式艦爆に変化し攻撃を開始する。
十分な数の九九式艦爆が一定の高度から急降下を始める。
目標は敵艦隊、目標をとらえると次々爆弾を投下して当てていく。
「凄い・・・。」
吹雪、睦月、夕立はその光景を棒立ちで見ていた。
そこに敵艦が忍び寄る。
「敵艦接近!回避!」
夕立が叫ぶが敵は既に補足している。
よけるのは不可能・・・・だったが。
ドガァアン!
敵艦がいきなり爆発、轟沈した。
「いったい誰が・・・・。」
攻撃したのは零戦ではない。
なら誰なのか?
吹雪が周囲を見るとあるものを発見した。
「あれは!」
それはライトグレーの船体で艦首に「182」と書かれた7700トン級の艦。
海上自衛隊 ゆきなみ型護衛艦3番艦「みらい」だった。
「艦長、主砲命中!敵駆逐艦轟沈!」
「よし、対水上戦闘継続!ハープーン発射用意!」
「ハープーン発射管、一番から三番に諸元入力完了!」
「指示があれば発射!それまでは第一機動部隊、第二支援艦隊、第三水雷戦隊の援護を徹底しろ!」
「了解!」
みらいでは着実に準備を進めていた。
今回の敵の親玉は「泊地棲姫」。
「艦これ」でもかなりの強さだがなぜこんな海域にいるのかが不明だ。
それを知っている友成は早めにケリをつける為に補給が確実化していないハープーンの発射を許可した。
本来ならトマホークでの一斉攻撃が確実だがトマホークはこの世界に来た時、長門達を救助する際に2発使用、残りの一発は妖精たちの複製の研究用に置いてきたのだ。
よって残っている対艦兵器はハープーンのみになる。
しかしそのハープーンも一発は研究用に置いていて先程2発使用した為、5発だけとなっている。
無駄撃ちはできないのだ。
「(ハープーンをうまく誘導できなければ被害が・・・タイミングが重要だ・・・。)」
一方、泊地棲姫に九九艦爆隊が爆撃を仕掛けるが謎のバリアーで保護されていて中々攻撃が通らない。
泊地棲姫は高角砲で九七式艦攻隊に砲撃、いくつかが命中して九七式艦攻が粉々になる。
「主砲、斉射!」
「全砲門ファイアァー!」
比叡と金剛の砲撃がいくつか命中するが有効打にはならない。
「うそっぽい・・・。」
「障壁が・・・はっ!」
夕立が驚いている横で神通が異変に気付く。
泊地棲姫のバリアー「障壁」にヒビが入った。
そして艤装と思しきたこ焼きのような何かが縫いつけられた口を開き機銃攻撃を始めた。
それを見た赤城は魚雷を装備した九七式艦攻を発艦。
雷撃を行いいくつかが命中、泊地棲姫の障壁を完全に破壊した。
「友成君!攻撃が通ります!」
赤城が妖精さん特製「みらい」専用無線で連絡する。
「ハープーン攻撃始め!」
「ハープーン発射!」
友成が指示を出しみらいが叫ぶとハープーン発射管から噴煙が上がり九九式艦爆から爆弾が投擲される。
「・・・。」
泊地棲姫が最後に見た光景は自分に降り注ぐ爆弾とハープーンだった。
巨大な爆発が起こり泊地棲姫は消滅。
同時に敵の残存艦は殲滅されて海域には青空が広がった。
「艦長、ハープーン全弾命中。泊地棲姫の反応消滅しました。更に残存艦の反応も消滅。」
「対水上戦闘用具収め!第一機動部隊、第二支援艦隊、第三水雷戦隊を収容後、当
海域を離脱し帰還する。」
「了解、収容作業を急ぎます!」
一連の戦闘を見ていた吹雪の目は輝いていた。
「(凄い・・・なんて・・・カッコいいんだろう!)」
鎮守府にも敵撃破の情報が伝わった。
「『みらい』より入電。『敵、『泊地棲姫』は本艦のハープーン対艦ミサイル及び赤城所属の九九式艦爆隊の爆撃により撃破・・・本海域における安全の確保完了。作戦は成功なり。』やりました!」
大淀は喜びながら提督に報告する。
「ひとまずは安心か・・・。」
「だが提督、この後も・・・。」
「あぁ、奴らは何かしかけてくるだろう・・・。」
安堵する提督だが長門は真剣な顔でいた。
作戦海域では全艦娘の収容作業が終わって帰還しているところだった。
「凄かったなぁ・・・。」
「みらい」のヘリ甲板で吹雪は一人、海を眺めていた。
「あら?あなたは・・・。」
「へっ?」
声を掛けられて吹雪は振り返る。
そこに立っていたのは艦娘のみらいだった。
「初めまして。ゆきなみ型護衛艦3番艦「みらい」よ。」
「は、初めまして!特型駆逐艦「吹雪」です!」
吹雪はサッと立ち上がり、みらいに敬礼をする。
みらいも敬礼をした。
「よろしくね、吹雪ちゃん。ところでヘリ甲板で何をしていたの?みんなは食堂よ?」
「いえ、少し考え事を・・・。」
「考え事?」
「はい!みらい先輩の戦い方がカッコよくて!」
「フフッありがとう。」
吹雪は目を輝かせながらみらいと話した。
「あの・・・みらい先輩は戦うことは怖くないんですか?」
「戦うことが怖い・・・か。私は前世である戦艦と米艦隊を相手に戦ったの。三式弾で目を焼かれたり有効打が撃てない状況でも。未来の日本のために戦ったの。」
「戦艦と米艦隊相手に!?」
「えぇ、私の艦長。霧先艦長の前任者と共に戦い、私は200余名の乗員と共に沈んだ。でも怖くても手を下さなければならないの。本当に守りたいものがあるならば・・・例え怖くなろうとも決断しなければならないの。」
「守りたいならば・・・・。」
「えぇ、それが護衛艦というものだと考えているわ。まぁ、実際は慣れなんだけどね。」
今の今までいい話をしていたのに最後の最後でぶち壊しである。
おかげで吹雪もずっこける。
「ともかく、睦月ちゃんと夕立ちゃんが探していたわよ?早く会いに行くといいわ。」
「えぇ!?あ、ありがとうございます、みらい先輩!失礼します!」
走って食堂に向かう吹雪の背中をみらいは見つめていた。
「(みらい先輩・・・か。まさか帝国海軍の艦艇だった子に言われるとはね。・・・・・・・ゆきなみ姉さん、あすか姉さん、角松二佐。私はここで精一杯生きていきます。あの日本に帰れなくても・・・私には守るものがある。)」
みらいは海を眺めて遠い場所にいる自分の元艦長と姉妹に心の声を言い艦内に戻った。
本土の横須賀鎮守府に戻った後、入渠と報告を行う艦娘達とは別に吹雪は鎮守府内の海が見える崖で夕焼けの海を眺めていた。
「(赤城先輩とみらい先輩・・・・私もあんな風に戦えたら・・・・。)」
吹雪は赤城とみらいを思い浮かべる。
『いつか一緒の艦隊で働きましょう。』
『例え怖くなろうとも決断しなければならないの。』
「無理だよね?・・・私なんかじゃ・・・。」
弱音を吐く吹雪に一人の人物が言った。
「やる前に諦めて・・・投げ出すのかい?」
「えっ?あぁ!工廠長!」
そこに立っていたのは友成だった。
「吹雪、何事もチャレンジする前に諦めたら損だ。損するならチャレンジしてから損をしろ。その方がいい経験にもなるじゃないか。」
「でも・・・・。」
「良いかい?何もしなければ得るものは無い。だけど何かすれば少なからず何か見つかるはずだ。だから何事にも全力で挑め。僕は応援する。」
吹雪は少し考えた後にこういった
「はい!工廠長!私、一生懸命頑張って赤城先輩やみらい先輩の護衛艦になります!」
「うん、頑張ってくれ。」
「失礼します!」
吹雪は元気よく敬礼をして走り去った。
「(磨かぬ石は唯の石ころ、磨いた石は宝玉となる・・・。その通りかもね、父さん。)」
今は亡き父の言葉の意味を改めて理解した友成は報告書作成とドック掃除のために崖を去った。
「ますます魅力的になっちゃった~キャハ☆」
「あれ?川内さんは?」
那珂の言葉を完全スルーした寝間着姿の睦月はどら焼きを食べながら那珂に聞いた。
「まだ入渠してたよ?大破だったからね~。ふぁあ!」
那珂が説明していると勢いよく扉が開かれた。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
「吹雪ちゃんどうしたの?」
肩で息をしながら入ってきた吹雪を心配した睦月は声を掛ける。
「事件ぽい?」
夕立が聞くと吹雪は言った。
「はぁ・・・はぁ・・・私決めた!はぁ・・・。」
「え?決めた?」
吹雪の言葉に睦月が聞き返す。
「うん!私頑張る!強くなっていつか・・・いつか赤城先輩とみらい先輩の護衛艦になる!一緒に戦う!」
吹雪は一世一代の宣言を高らかにした。
因みにこのころ入渠ドックでは・・・。
「お掃除お掃除~♪」
モップとブラシ、使用済みの修復バケツを持った友成は躊躇なく戸を開く。
何故なら札が使用中になっていなかった為誰もいないと思ったからだ。
「「えっ?」」
「ファッ!?」
しかし予想は大はずれ。
そこには全裸の川内と最上がいたっ!
「「出ていけこの変態!」」
「洗面器は危ないってb・・・グボァ!!」
二人の投げた洗面器が顔面にヒット!友成は大破した。
因みにこれは流石の先代神通も擁護出来なかったそうだ・・・。
「作戦成功ピョン!」
「その作戦、詳しく聞かせてくれるかしら?卯月ちゃん?」
「へっ?」
卯月が振り返るとそこには笑顔だが黒いオーラがバリバリ出ている先代神通がいた。
「ドーモ、卯月=サン、センダイジンツウです。ハイクを詠め、カイシャクしてやる。」
「アイエエエエ! センダイジンツウ=サン!?センダイジンツウ=サンナンデ!?」
その後1時間正座で説教を受けていた卯月が目撃されていたそうだ。
友成にはオチのために犠牲になっておらいました。
蛇足でしたらカットします。
次回「悖らず、恥じず、憾まず!」
皆さんは元ネタ、知っていますよね?