高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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頑張って二分割にしようとしたけど無理でした。\(^o^)/
今回は三分割になります。(予定)
アニメ3話以降基準は二分割にしたい。(願望)


第参拾弐戦目「悖らず、恥じず、憾まず! 上」

深海棲艦の駐屯地を破壊して数日後。

 

朝早い鎮守府。

現在0530、午前5時半だ。

総員起こしまで30分あるが第三水雷戦隊の吹雪、睦月、夕立の部屋ではすでに一人起床していた。

 

「如月、弥生、望月、長月・・・・・・。」

 

静かに眠る夕立と姉妹の名前を寝言で言う睦月ではなく起床していたのは吹雪だった。

 

「・・・・よし。」

 

吹雪は青い短パンと黄色のパーカーを着ると立ち上がって部屋を静かに出た。

すると丁度一人の艦娘と出会った。

 

「ふぁぁ~・・・。」

「ん?あぁ、川内さん。早起きですねぇ。」

「んえ?まさか、これから寝るところ。何?トレーニング?」

 

どうやらこの夜戦馬鹿今の今まで起きていたようだ。

 

「はい!少しでも早く皆に追いついて迷惑掛けないようにしないと行けませんから。」

 

ほっほっほっ、と呼吸のリズムを一定にしながら吹雪は駆け足で宿舎を出ていった。

 

「元気だねー・・・ふぁぁ・・・。」

 

川内はさっさと部屋に戻っていった。

 

 

吹雪が走り込みをしていると丁度山の方から日が昇った。

 

「わぁあ・・・・。」

 

吹雪は埠頭の端まで来るとそこで足踏みをして意気込んだ。

 

「よーし、頑張るぞぉ!目指せMVP!うわっととととっ!」

 

何もないはずのところで吹雪は躓いて台無しである。

もしかするとそういう特性でも持っているのだろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

総員起こしが終わって2時間後の0800、教室に何人かの駆逐艦娘が集まっていた。

 

「電、リボン曲がっているわ。」

「はわわ!ありがとうなのです。」

 

面倒見のいい雷は電のリボンを直す。

丁度その後に吹雪、睦月、夕立の三水戦トリオがやって来た。

 

「わぁあん!吹雪ちゃぁん!見せてっぽいぃ・・・・。」

「また・・・・?」

「ダメだよ!昨日一緒にやろうって言ったのにやらなかったの夕立ちゃんだよ?」

 

どうやら夕立は今日提出予定の宿題をやっていなかったようだ。

自業自得とはいえ学生時代に経験した者なら誰しも夕立の心境が分かると思う。

しかし睦月は吹雪にすがる夕立をピシャリと叱る。

 

「睦月ちゃんケチっぽい!」

 

夕立の自業自得であるというのに反省の色も見せない。

根本的な改善は見込めないだろう。

 

「夕立、また宿題やって来なかったの?」

「うぅ~ぽいぃ~・・・。」

「おはようなのですぅ。」

「おはよう。」

 

涙目な夕立を完全スルーした電と吹雪は挨拶をする。

そこにもう一人艦娘が入ってくる。

 

「おはよう。」

「あぁ、如月ちゃん!」

 

それは睦月型二番艦「如月」だった。

 

「聞いて如月ちゃん。夕立ちゃんまた宿題やって来なかったんだよ?」

「そうなんだぁ・・・。」

 

「睦月ちゃん、如月ちゃんの事好きだよねぇ・・・。」

「姉妹艦だからっぽいしねぇ・・・。」

 

仲良く話す二人を見ている吹雪と夕立。

そこに更に一人教室に入って来た。

 

「おっはよー!」

 

元気よく挨拶をしたのは島風型駆逐艦「島風」この鎮守府で速度なら最速の部類に入る艦娘だ。

足元の連装砲ちゃんと呼ばれる謎の子たちも泣き声を上げながら手をあげる。

 

「んもう!大声出さないで!レディにはレディの振る舞いがあるんだからぁ!」

 

大声を出す島風に怒ったのは特三型駆逐艦「暁」だ。

彼女は一応吹雪の妹にあたる艦娘で、立派なレディにあこがれている。

だがレディでもきちんと挨拶をすべきだ。

アイサツは大事。古事記にもそう書いてある。

 

「あれ?暁ちゃんまた背縮んだ?」

「縮まないわよ!もぉお!!」

「(そりゃ縮むだけの身長が無ければ縮むわけがないさ。)」

 

響が声に出さずに突っ込む。

すぐに怒る様では暁が立派なレディになるのはだいぶ先だろう。

 

 

 

さて、そんなことをしている内に座学が始まった。

今日の講師は妙高型三番艦「足柄」だ。

 

「はぁい、じゃあ昨日やったところから続きをやるわよぉ~・・・夕立!」

「は、はい!」

 

当てられた夕立はさっと返事をして起立する。

 

「問題よ。我が水雷戦隊の主兵装、酸素魚雷の優位性は?出来たら、さっき罰として出した追加の宿題・・・半分にしてあげるわよ?」

 

足柄がいる教卓の横には国語辞典がおおよそ2冊から3冊ほど積みあがったのと同じ位の量の宿題と書かれたファイルが積みあがっていた。

夕立の自業自得なのだが流石に可愛そうに思えてくる。

 

「ほ、本当?えっとぉ・・・えっとぉ・・・。」

「昨日の授業、飢えた狼の様に聞いていれば、ちゃんとできるはずだけどなぁ・・・。」

「そう思うっぽいのですが・・・・ぽいぃ・・・・。」

 

夕立はかなり焦っているのか滝のように汗を流し震えている。

 

「ぽいぽい五月蠅いと・・・20㎝砲でポイしちゃうわよ?」

「ぽいいいいい!」

 

ある意味足柄の本領発揮といったところか黒いオーラを感じた夕立は絶叫する。

その横で睦月と如月がヒソヒソと話し始める。

 

「足柄さん、機嫌悪いねぇ。」

「この前の合コン、また失敗したって、うぅぉあ!」

 

如月に突然飛んできたチョークが見事額に命中し如月が盛大に転ぶ。

かなりの威力だ。

 

「私語は厳禁よ。」

「ぽいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!」

 

緊張が吹っ切れて夕立は絶叫する。

その後ろから吹雪が助け舟を出す。

 

「圧倒的長射程・・・・。」

「えぇ?圧倒的・・・長射程。」

「そして雷速・・・・。」

「そして雷速。」

「炸薬量でも優位・・・・。」

「炸薬量でも優位・・・ぽい?」

「ふぅん、正解よ。じゃあ吹雪。」

「あっ、はい!」

 

吹雪の言葉をそのまま繰り返す夕立。

何とか正解して次は吹雪があてられる。

 

「酸素魚雷にはもう一つ大きな優位性があるわね?何かしら?」

「えっと、普通の魚雷と違って、圧縮空気じゃなくて酸素を使っています。なので発射後、排出されるのは二酸化炭素になりますね。これは海水で溶け易いので敵に雷跡が発見されにくい。つまり攻撃の隠密性が高くて・・・。

『『『おぉー!』』』

 

吹雪の完璧な回答に全員が声をあげて拍手をする。

吹雪は照れて顔を赤く染めた。

 

「よく勉強しているわねぇ・・・知識は十分なのにどうして・・・。」

 

 

 

 

 

 

足柄による座学が終わった後、利根と筑摩による演習場での実戦訓練が行われている・・・・が。

 

「うぅわぁぁ!あっっ!わっ!あぁ!うぅぅぅぅあっ!わぁぁぁぁ!」

「どうしてこうなってしまうのじゃぁ・・・・。」

 

実践訓練の講師である利根は頭を押さえる。

無理もない、吹雪は後ろにこけると器用に3回海に叩きつけられながら海面を進み更には転がる。

そして何故か飛び上がり顔面から海面にまた突っ込み数メートルほど進んで動摩擦力によって止まった。

知識だけは人一倍なのにこの様では利根が頭を抱えるのも無理はない。

 

「ぷはっ!はあぁぁぁぁ・・・。」

「重心を落とせと言っておるだろー!」

「姉さん、あの子はトップヘビーなんだから。大目に見てあげないと。」

「それはできませんよ筑摩さん。」

 

ため息をつく吹雪に利根が大声で注意をする。

それを筑摩が咎めるが異論を出すものがいた。

 

「友成!お主何をしに来たのじゃ?」

「いや、整備講習の休憩の散歩がてら吹雪の様子を見に・・・。」

 

異論を言ったのは友成だった。

彼は今、主任妖精と明石、夕張に艤装や兵装の整備、修理方法を学んでいる。

というのも本人が習いたいと言い始めたからなのだが。

そのため友成は今、三等海佐の階級章を付けた海上自衛隊の幹部用作業着に「みらい」の識別帽というスタイルでいる。

 

「筑摩さん、利根さんも分かってはいるはずです。ですが彼女の目標のためにはかなり厳しくないとダメなんです。なんせハードルが高いものですから。」

「友成君・・・。」

「『みらい』艦長としてはっきり言うと今の吹雪ではみらいや赤城さんの護衛艦は到底無理です。最悪衝突事故を起こしかねない。」

「お主も厳しくなるのぉ・・・。」

「これでも一艦の艦長ですし、『みらい』艦長としても彼女の上官としても期待しているので。」

 

友成と利根、筑摩が話していると吹雪が言った。

 

「もう一回!お願いします!」

「おぉう!」

 

陽気な声で筑摩が答えると吹雪は再び海上を滑り始めた。

 

「根性はあるんだがなぁ・・・。」

 

「大丈夫?このままだと吹雪ちゃん、逝っちゃうかも!」

「そうだよねぇ・・・。」

 

如月と睦月がそんなことを話しているとまた大変なことが起こった。

 

「うわぁあ!うわぁ!うわぁぁぁぁあ!」

 

バァアンという音が鳴り全員が目をつぶる。

ゆっくりと目を開けてみるとそこにはまたしても暴走した吹雪がさっきのバァアンといういい音と共に両手足を大の字にした状態で顔面と身体を海に刺さっている丸太に思いっきりぶつけていた。

 

「Oh・・・痛そう・・・。」

 

顔をしかめた友成の言葉の後、吹雪は丸太から剥がれ落ちて海に落下した。

遠くから川内型の3人が吹雪の訓練の様子を見ていた。

 

「あの特型駆逐艦、しばらく三水戦にいるんだよね?」

「提督はそう仰っていましたし、友成君も相当なことがない限りしばらく変更はないと言っていましたけど・・・。」

「アイドルのオーラがないなぁ・・・センターの座は安泰だね!キラリーン☆」

 

場違いな事を言う妹を完全スルーする姉たち。

案外ここの艦娘はスルースキルが高いのかもしれない。

すると川内が隣に誰かいることに気付く。

 

「な、長門さん!」

 

隣にいたのは提督の秘書艦を務める長門だった。

それに気づいた川内と神通は即座に敬礼をする。

 

「那珂ちゃんでぇーす!あいた!」

 

空気を読まない妹に敬礼を崩さず川内がチョップを入れた。

 

「どうだ?」

「大分、苦戦しているようです。」

「そうか。」

 

川内から状況を聞いた長門は訓練風景を見ていた。

その時叫び声が響き渡る。

 

「うぇえ!ふぁあああ!ふぇあぁぁ!わぁわぁぁぁぁぁ!わぁぁぁぁぁぁ!」

「スピードを落とせ!スピードを落とすんd・・・ぶわっぷ!」

 

またしても吹雪が暴走して海面を猛スピードで駆け抜けていた。

しかも足の艤装が先行しているため吹雪は後ろに斜め40度の状態で暴走している。

友成が助言するも吹雪には聞こえておらずさらには友成の顔面に暴走する吹雪から水がぶっかかった。

 

「提督は何をお考えなのでしょう・・・。」

 

神通は提督の考えが読めず困惑していた。

 

「特型駆逐艦はこれからの戦いに必ず必要となる艦隊型駆逐艦。提督が期待されるのもわかる。」

 

吹雪の訓練の様子をみて長門はそうつぶやいた。

 

 

 

「はぁ・・・ダメだぁ・・・。」

「落ち込まないで。」

「そうさ、まだまだこれからだろ?」

「ミカンあげるっぽい。」

「あむっ。」

 

甘味処「間宮」の店内でうなだれる吹雪を励ます睦月と友成。

夕立は自分が食べている特盛あんみつのトッピングのミカンを差し出し吹雪はそれを食べてまたうなだれる。

 

「睦月もね?最初は失敗したり怖かったこともあったんだよ。だから吹雪ちゃんもきっと練習すればうまくなるはずだよ!」

「睦月の言う通りだ。僕だって最初、『みらい』の艦長をしていた時は艦に損傷を出す結果になったこともあったけど何度か艦に乗って指揮をすればそんなこともなくなったし。」

 

睦月と友成が励ますが一行に吹雪は元気にならない。

 

「そうかなぁ・・・でも、こんな艦娘初めてだって噂になってるって・・・。」

「誰がそんなことを・・・。」

「夕立ちゃんがー。」

「何言ってるんだ夕立!」

「夕立ちゃん!」

 

吹雪が夕立を指さすと同時に友成と睦月の突っ込みが入る。

 

「嘘言ってもしかないっぽい~。」

「やっぱり・・・そうなんだね・・・はぁ・・・。」

「よく抜けしゃあしゃあと僕のポケットマネーから出たあんみつを食べながら言いおってからに・・・・。」

「工廠長!キャラキャラ!」

 

友成のキャラが暴走しかけているのを注意する睦月の隣で何事もなかったかのようにあんみつを頬張る夕立。

これはキレても仕方がないっぽい。

 

「くそう!それが上官に対する態度なの?・・・・・仮にも僕、上官だよ?」

 

今度は友成の心が大破してしまった。

 

「利根さんはなんて?」

 

これは手に負えないと思った睦月は会話を続けることにした。

 

「吾輩を筆頭に鎮守府にはいいお手本が沢山いるからそれを見て学べって。」

「まぁ、それが確実だよねぇ・・・。」

「(復活早っ!)」

 

いまだに調子が戻らない吹雪に対して早々に復活した友成に睦月は驚いたが敢えて言わなかった。

 

「お手本かぁ・・・。」

 

誰が一番いいか睦月が考えようとした時に吹雪が起き上がった。

 

「はっ!赤城先輩かみらい先輩は!?」

「ふえ?」

「(早っ!)」

 

吹雪の提案がすぐに出たことに睦月は頭の上に「?」を浮かべて、友成は驚いた。

 

「お手本の為に、赤城先輩とみらい先輩を見に行くというのはどうだろうか!」

「「吹雪(ちゃん)、口調変わってる(ぽい)。」」

 

夕立と友成が口を合わせて指摘するが吹雪は気にしていないようだった。

 

「でも赤城先輩は空母だし・・・。」

「みらいはこの時代の艦じゃないし・・・・・。」

「でも、カッコいいよ!!」

「「(学習<カッコよさ って・・・。)」」

 

吹雪の暴論に友成と睦月が少しあきれながら同じことを考えた。

 

「とりあえず、赤城さんなら入渠ドックにいるはずだよ。一応加賀さんに聞いてみるといい。」

 

友成はそう言って席を立った。

 

「工廠長はこれからどちらへ?」

「主任妖精さんと明石さん、夕張さんの整備講習を受けてくるんだ。間宮さん、勘定お願いします!」

「ごちそうさまっぽい。」

 

友成はポケットから財布を取り出して勘定をしにレジに行った。

 

「じゃあ、これを食べ終わったら赤城さんに会いに行こう?」

「うん!」

 

睦月の提案に吹雪は快く答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・今度の給料日は再来週かぁ・・・。」

「別にツケでもいいのよ?友成君。」

「いえ、大丈夫です。それは本当にお金のない時にします・・・・。」

 

心配そうに言う間宮に友成は大丈夫と言って薄くなった彼の財布から少ない現金を悲しそうに取り出した。




どんどん友成の財布が薄くなるwwww
さて、この小説ではいまだ2014年夏イベント前ですが、皆さんは2015年秋イベントを楽しんでください。
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