高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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筆の進みが悪いので番外編を・・・・。
来週までテストなので次は遅いです。
留年は避けねばならんので・・・・。


第五遊撃部隊結成編
第弐休戦目「添い寝と思い」


敵艦隊が横須賀鎮守府を強襲し、友成らがこれを撃退してから9日が経った。

夜も深まり始めた2100、午後九時。

「おい、パイ食わねぇか?」と黒で書かれた白地のTシャツにスウェットパンツ姿の友成は一人、工廠長室で書類をまとめていた。

本日の秘書艦は綾波だったが2000、午後八時に既に上がらせていた。

友成がまとめている書類、それはW島攻略作戦での戦況を記録したものと敵が現れた位置を記録したもの、使用した兵器、艦隊への損害、補給と修復に要した資材を算出したもの、そして友成達がどういう航路で帰還したか等を記入した報告書がまとめられていた。

 

「これでよしっと。やっぱり学校の授業ノートを自己流に纏めるより疲れる・・・・・。」

 

友成は纏めた書類をトントンと机で叩いて整えて、黒い表紙を前後に挟み、事前に開けた穴に紐を通して縛り、ファイリングしてから机に置く。

これは後に提督へ提出した後に資料室へ保管することになっている。

 

「・・・・・・昇進ねぇ・・・。」

 

友成はまとめた書類と別に置かれた書類を手に取って見る。

その書類には大本営の印が押されており重要書類であることは明らかだった。

そこには辞令と書かれており友成の名と彼が「W島攻略作戦」及び「横須賀鎮守府強襲」で戦果をあげ、戦死者を出さずに帰還した功績が認められ中佐へと昇進したことが書かれていた。

 

「あっという間に中佐かぁ・・・・・角松二佐でも防衛大学校をいい成績で卒業してかなり掛かるのにこんなポンポン階級が上がっていいものか・・・・。」

 

海上自衛隊は日本国海軍と違い訓練の成績や勤務態度云々が反映され昇進が決まる。

だが日本国海軍は成果をあげれば反映され早期昇進につながる。

だからおかしいことは無いのだが・・・・。

友成も完全には軍人になっていないということだろう。

友成が書類を眺めているとドアがノックされた。

時計を見ると2108、午後九時八分だ。

この時間に来るのは彼女しかいないと考えた友成は返事をする。

 

「開いているよ。」

 

ドアがゆっくりと開く。

入って来たのは寝間着姿の深雪だった。

少し顔を赤らめていて俯く彼女はかなり外見年齢相応に見えるだろう。

 

「この時間に来たってことはあの約束だね?」

「あ、あぁ。白雪姉たちには秘密でコッソリ来た。」

「そうなんだ。じゃあ隣の部屋に行こうか。」

 

友成は工廠長室に新しく取り付けられたドアを開けた。

そこは元々使われていない物置だったのだが、とある日の「謎の爆発」により工廠長室が吹き飛んだ際に友成が仮眠を取るための部屋としてリフォームされた。

中はシンプルな内装でベットと部屋の隅に畳が敷かれているだけだ。

二人は早速ベットに腰掛ける。

 

「僕も添い寝なんて久し振りだからうまくできないかもしれないよ?」

「久し振り?前に誰かにやったのか?」

「妹にね。父さんを亡くしてすぐの時だったよ。」

「あっ、ごめん・・・・。」

「別にいいよ。もう過ぎたことだからね。」

 

友成はベットに寝ころび一人分のスペースを開けた。

 

「おいで深雪。」

「・・・・うん。」

 

小さく頷いた深雪は顔を真っ赤にしながら友成の横に寝ころぶ。

友成の右腕を枕にして友成に抱きつくと友成が布団をかぶせた。

 

「電気消すね。」

 

友成はべットの近くに設置した棚に置いたリモコンを手に取り電気を消した。

もちろんこれは妖精さん製だ。

電気を出した後、深雪が友成に頼んだ。

 

「・・・頭撫でて。」

「お安い御用。」

 

友成は深雪の頭を撫でた。

頭を洗ったためかふんわりとした髪の毛を撫でる度にシャンプーのいい香りが漂った。

 

「・・・・・工廠長は、怖くないのか?」

「何が?」

「死ぬこと。」

 

深雪の頭を撫でながら友成は少し思案する。

だが回答はすぐ出たようで深雪に答えた。

 

「ここに来た当初は怖かったよ。だけど何度か戦ううちに慣れたかな?」

「本当に?」

「本当に。明日も今も存在することが決定づけられていない戦時だからかは分からないけど・・・・・多分、死ぬことを恐れることに麻痺し始めているんだと思う。」

「麻痺?」

「うん。W攻略作戦で負傷したときに目を潰されたんだけど・・・・・目の一つぐらいどうってことは無いって瞬時に考えた。その時に僕は思ったんだ。僕はあの平和な時代の・・・・21世紀の人間から大きくはみ出し始めたんだってね。」

「・・・・・・・。」

 

友成の言葉を深雪は静かに聞いていた。

そして友成は逆に深雪に聞いた

 

「なんでそんなことを急に聞いたの?」

「・・・・・私、前世で沈んだ後ここに来たんだけど・・・今でも怖い。いつ自分があの時みたいに沈むんじゃないかって思うと体が震えて・・・・!」

 

目に涙を浮かべ、友成の服を力強く掴む深雪を友成は優しく抱きしめた。

 

「ならこう思えばいいんじゃないかな?『自分は沈まない、必ず鎮守府に帰る。』ってね。」

「え?」

「気休めでしかないけど・・・僕は待つよ?深雪の事。」

「・・・・うぅ・・・・。」

「泣きたいなら泣いていいよ。吐き出したいだけ吐き出せばいいんだ。」

「うぁぁぁぁ・・・・・・工廠長・・・・・・・・。」

 

泣き出した深雪を友成は抱きしめながら撫でる。

友成の出す母性に余計安心したのか深雪は泣き続けた。

そして泣き終わるころには疲れて寝てしまった。

 

「・・・・・・深雪だけじゃなくでトラウマを抱えている艦娘はいるかもしれない。表に出さないだけでみんな捌け口を探しているかもしれない・・・・・・・・・。今回は大丈夫だったが・・・もし僕が見つけたときに力になれるのだろうか?21世紀の彼女たちの経験を写真や伝記でしか知らない僕が・・・・。」

 

友成はそのことを考えつつ横で安心した顔で眠る深雪を見た。

だが書類整理の疲れからか眠気に負けた彼は考えている途中に重い瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、色々脚色された青葉新聞が発行。

友成は軽蔑の眼差しを向けられた上に白雪を筆頭に、彼に好意を抱いている艦娘から事情聴取を受けることとなった上に誤解が解けるまで1日かかった。

因みに青葉は先代神通によってボロ雑巾にされてドックに放り込まれた。

一方深雪だが次の日の出撃でル級を撃沈するという輝かしい成果をあげた。

僚艦だった艦娘は「何故かキラキラしているように見えた。」と話している。

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