高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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どうも、第二話でございます、なんなりとご覧ください。


第弐戦目「二隻のイージス艦」

「えっ!?」

 

友成は全くもって予想外なことを言われて驚き、戸惑っていた。

よもやダ他の一般人である自分が艦長になるなど予想すらしていなかった。

 

「僕でいいんですか?海自のことはかじった程度の知識かありませんけど・・・」

「はい、元は私は護衛艦なので艦長が居ないと不安というか・・・も、もちろん自衛官ではないのはわかっています!・・・ですが、どうやってもあの時の癖が抜けなくて・・・」

「・・・・・・・・・分かりました、やってみます」

 

あの時というのは、おそらく艦艇だったころだと推測した友成はみらいの頼みを承諾した。

本当はこんな役職が務まるわけないと思っていた彼だが、今現在の状況では仕方あるまいと思い、自分にできることを最大限しようと考えていた。

 

「じゃあ、この服をお渡ししておきます」

 

友成は、みらいから海上自衛隊の紺色の幹部用作業服を渡された。

普通の作業服だが、多少知識のある友成にはその幹部用作業服がそれが重く感じた。

 

「・・・『あの人』の後任かもしれないのかぁ」

 

幸先不安な友成は溜息を交えつつそう呟いた。

 

「そう言えば、今はいつですか?」

 

ふと思い出した友成は、今現在の時を知るためにみらいに聞いた。

彼の持つ知識では、みらいがいる時点で最悪、この海が過去ということもあり得るからだ。

 

「その・・・1962年6月15日です」

「間違い・・・ないですか?」

「はい、時計がそうなっているんです・・・・」

 

最悪の結果である過去の日付を聞くことになった友成は、頭を抱えつつも続けて燃料と現在位置について聞いた。

燃料ついては残量は問題なく、位置は大体ミッドウェーから東に離れた付近ということが判明しており、燃料の残量を聞いた友成はすぐに目的地を決め、みらいに告げた。

 

「じゃあ横須賀入港を目指し、現在の日本の体制を確認しましょう。あとのことは・・・国内の情勢を知ってからですね」

「了解、進路を270度とします」

 

1962年現在、正しい歴史であるなら日本には自衛隊は存在しているはずであり、ことはすんなり進むであろう。

もし違うのなら日本への入国を諦めなければならない。それほど重要なことになってくるため、日本の体制を確認するのは最優先事項であった。

友成の指示を聞いたみらいは艦の機関を始動させ、横須賀へと進路を取った。

 

 

 

 

 

「みらい」が横須賀へ向けて進路を取り始めて1時間後。

友成は今、海自の幹部用作業服に救命胴衣を身に着け、臨時艦長としてみらいに指示を出していた。

 

「ん?霧が出始めましたね」

「そうですね」

 

先程みらいからこの辺りが丁度ミッドウェー海域と聞いていた友成は、体にじめじめと張り付くような嫌な予感がした。

だが、それが起こるかわからない以上は下手に行動することも出来ないため、みらいに注意しておくことにした。

 

「僕はこの海域のことは知らないですし、何が起こるのかわからないので警戒を厳にしてください」

「了解」

「それと、非常時に備えて甲板に居る蒼龍さんを連れてきて下さい」

「はい、では少し環境から離れますね」

 

みらいは蒼龍さんを連れてくるために艦橋から出て行った。

嫌な予感が消えない友成は、艦橋の窓から見える海を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

2004年6月4日のミッドウェー沖合、そこには日米合同演習のために一路、ハワイの真珠湾へと向かう海上自衛隊の護衛艦隊が航海を続けていた。

旗艦に「ゆきなみ」、僚艦に「はるか」「みらい」といった最新鋭イージス艦と補給艦「あまぎ」を加えた実弾を持った自衛艦隊。その護衛艦隊に所属し、訓練を終えた直後の「みらい」艦橋では、艦長の梅津三郎一等海佐が天候を怪しんでいた。

 

「この空・・・・妙だな・・・」

 

そこに、副長兼船務長の角松洋介二等海佐が報告にやって来た。

 

「訓練終了しました、艦長」

「了解」

 

報告した角松は腕時計を確認する。

 

「未だ、5分遅れです」

「まぁ、良かろう、一ヶ月前の10分から見れば、練度は上がっとるよ」

「はっ」

「張り切り過ぎちゃあ、先が持たんよ。緊張も程々にな」

 

梅津は張りつめ過ぎないように角松に注意を促す。

それと同時に気になっていた天候を気象庁に問い合わせるべく、航海長である尾栗康平三等海佐に声を掛けた。

 

「ところで航海長、気象情報について問い合わせてくれんか?」

「はっ」

 

そして十数分後、気象庁からの報告を待っている間に荒れてしまった海を「みらい」は航海している。

雲はむせるような禍々しい赤色となっており、遠くでは時折落雷が発生している。

大きな波に7700トン級の護衛艦は揺さぶられながらも航海を続ける。

 

「艦長、気象庁から報告です。」

 

その中でようやく気象庁から連絡が届き、角松がそれを持ってきた。

そして彼は早速、気象庁からの報告を読み上げた。

 

「ミッドウェー島北西に低気圧あり、気圧965ヘクトパスカル、風速40メートル、なお勢いを増しているとのことです」

「予報には無かったな、シケに備えよう、荒天準備となせ」

「了解」

「追艦距離4000ヤード、連絡を密にせよ」

 

梅津は今後、更に海が荒れると考えて事前に準備するように指示を出した。

いくら最新鋭のイージスシステムを搭載した護衛艦とはいえ、大自然の前では意味をなさない。

梅津が命令を下すと同時に「みらい」の艦内放送が流れる。

 

『荒天準備、移動物の固縛を厳となせ』

 

放送を聞いた自衛官達は装備を整え、持ち場に向かった。

 

「こりゃあ演習じゃねぇえぞ、本物だぜ!」

「海に出て30年と三ヶ月、こんな雲は見たことがないな・・・」

 

嵐に尾栗は興奮し、梅津は初めて見る現象を不思議そうに見る。

その時、突如として「みらい」に雷が落ちた。

 

「うおおお!」

「な、なんだ?落雷か!?」

 

自衛官たちが動揺する中、日々の訓練で培った経験に基づき、身体が反応した角松が即座に艦内電話を手にとった。

 

「応急指揮所!艦内各部の損傷を報告せよ!」

『電気系統、機能正常、艦内各部、異常なし』

 

角松が応急指揮所に損害状況を聞いていると、艦橋にCICから連絡が入った。

 

『艦橋、CIC、水上レーダー、僚艦を捉えられません、僚艦をロスト!』

「レーダーが効かないって事があるか!通信は!」

『二番艦「はるか」との交信不能、「あおば」、「あまぎ」、共に返信ありません!全交信周波数、完全に沈黙!』

「5分前まで4000先の『はるか』を確認している!衛星はどうなんだ!」

「JSAT、捕捉できません!」

「衛星追尾アンテナ、チェックせよ」

「故障ではありません、全艦から応答ありません!」

 

海上自衛隊の中でも最新鋭の護衛艦、それが「みらい」だ。

そんな「みらい」の機器に異常が出るという異変が起こり、自衛官達は戸惑う。

勿論、日々多くの訓練に耐えた幹部である角松もだった。

 

「一体・・・何が・・・。」

「ロストした僚艦を全力で探せ、まさか沈んだ訳じゃなかろう」

「はっ!」

 

角松が梅津に応えた時、外にある物が現れた。

 

「航海長・・・これは・・・。」

「ヒュー、まさか・・・ここはハワイ沖だぞ・・・!」

「でもこれは、紛れも無くオーロラに雪です!」

 

突然の事に、尾栗と部下の柳一等海曹は驚愕する。

何故なら本来、赤道より下のハワイ沖に現れるはずのないオーロラが「みらい」上空に現れ、雪が降り始めたのだ。

 

「各種計器に以上発生、制御不能です!」

「強力な磁気嵐に入ったのかもしれん、CICはどうなっとる?」

「CIC、艦橋、状況を報告せよ」

 

自衛官からの報告を聞いた梅津は磁気嵐に入ったと考え、確認を急いだ。

指示を受けた角松は艦内電話を使ってCICに確認する。

 

「全ての探知システム、管制システムが障害を起こし、機能しません、艦内電話もノイズが酷く聞き取れません!」

「この艦は最新鋭艦だぞ!こんなことがあってたまるか!」

 

CICで砲雷長の菊池雅行三等海佐は机にヘッドホンを叩きつけた。

しかし、そんなことをしたところで症状は治らず、悪化するだけだった。

 

「な、何だ?どうなってんだ?大丈夫なんだろうなぁ、この船・・・うわぁ!」

 

部屋で休んでいたジャーナリストの片桐が驚くのも無理は無い。

彼はジャーナリスト、いや一人の人間として初めて腕時計の針が猛スピードで逆時計回りに回転しているのを見たからだ。

だが「みらい」は何とかオーロラと雪が発生している所から脱出した。

 

『各種計器、通信機器回復しました!』

 

計器や通信機器が正常になった事を聞き、梅津は安堵のため息をついた。

 

「抜けたようだな。ダメージがないかチェックを急げ」

「はっ!」

 

異常気象地帯を抜けた影響からか、CICではモニターや対水上レーダーが正常に作動し始める。

だが映し出された画面は先程とは違う状態だった。

 

「うぉ!」

 

突然、レーダーを確認していた青梅が声を上げる。

 

「なっ何だ?前方に目標一隻、こちらに接近してきます!」

「もしかするとロストした艦かもしれん、確認しろ」

「海自バンドで確認しろ」

「目標からのSIF応答なし、目標接近!」

 

霧が少しずつ晴れて、ウィングから対行艦の姿が見えてくる。

 

「ニューポート・ニューズかロアノークか!?」

「ニューポート・ニューズは1978年6月27日に退役、ロアノークも1958年10月31日に退役しています、ここには居ません」

「じゃあ・・・一体・・・」

 

尾栗と柳は、遠くに見える艦影からアメリカ海軍の軍艦だと考えるが、そもそも該当艦が存在しない。

そうしてる間に対行艦はどんどんと近づいてくる。

 

「面舵いっぱい」

「面舵いっぱーい」

 

梅津の指示を受け、舵担当員が復唱しながら面舵を取る。

「みらい」はゆっくりと進路を変えて回避行動を取った。

波を切る音が不気味にこだまする海の中で、多くの自衛艦は目の前の光景を忘れることはないだろう

 

「艦長・・・コイツは・・・」

「私の目がおかしくなっているのか?」

 

角松と梅津も目の前の光景を疑った。疑うしかないだろう。

彼らが乗る「みらい」は正体不明・・・いや正体が判明した艦を回避した。

 

「イージス艦「みらい」・・・!」

 

角松は対行艦「みらい」を見ながら現実を、自身の目を疑った。




どうも、今回で第二話目です。
今回海上自衛隊に関する用語が出て来ましたが、所詮ジパングを見たぐらいしか知識が無いですので間違いがあればご指摘下さい。
さぁ、今回からジパングのキャラが出ました。
皆さん大好き「あの人」もでますよ~。
今回はここまで、次回予告です。

角松二佐達と出会った友成たちは横須賀を目指すことになる。だが・・・・・・その先に待ち受けるものは紛れもない、戦場だった・・・。

次回「第参戦目 「敵艦隊見ゆ!」」
それでは次回に向けて、撃ちぃ方ぁ始めぇ~!
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