高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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新艦娘登場でございますよ。
というより題名でもうバレバレですね・・・・。


第肆拾参戦目「艦隊の疫病神」

鎮守府カレー大会が終了して3日経った日。

工廠長の霧先は工廠で一大イベントを行っていた。

 

「よし・・・・戦艦レシピで何が来るか・・・・。」

「友成の運が試される・・・・・!」

「いざ!!」

 

秘書艦の蒼龍と共に意気込んだ霧先は制御盤にある大型建造の建造開始ボタンを押す。

そしてブザー音が鳴り資材がどんどん運び込まれる。

やがてすべての資材が入り出てきた建造時間はなんと「99:59:59」だった。

 

「99時間59分59秒・・・・・・また書類が増えていく・・・・。」

「あー駄目だこりゃ。戻って来てよ友成!」

 

表示された異常な建造時間に霧先は頭を抱えつつ放心する。

隣にいた蒼龍はヤレヤレといった様子で首を振りつつ放心した霧先を現実へ引き戻すために肩を持ってガクガクと揺らした。

 

「はっ!そうだ!早く高速建造材を使わないと!」

 

現実に引き戻された霧先はすぐ妖精に指示を下した。

 

「高速建造材を使うことを許可する!!」

「ヒャッホー!高速建造だー!」

「最初からクライマックスだぜ!!」

 

毎度のことながら何か変なのが混ざっている気がするが霧先は放っておく。

パタパタと残り建造時間が減っていき残り時間は0となった。

そして霧先と蒼龍が建造ドック前に立つとブザー音が鳴りドックの重厚な扉が開かれる。

そして現れたのは肩ほどの長さの茶髪で頭の上の方で結って服装は上は赤のTシャツ下はジーンズパンツで右脚に黒でUSS South Dakota BB-57と書かれていて推進器を模したハイヒールをはいていた。

腰と肩に軍艦の装備を小さくしたものを身につけている。

 

「戦艦『サウスダコタ』、たった今着任した!砲撃戦なら右に出る奴は居ない!」

 

霧先はその女性の名前を聴いたとたん頭を抱えた。

また仕事が増えるであろう。

ふらつく霧先に蒼龍は声を掛けた。

 

「大丈夫?」

「まぁね・・・初めまして、日本国海軍横須賀鎮守府工廠長の霧先友成中佐です。」

「航空母艦の蒼龍です。」

 

敬礼する二人にサウスダコタも敬礼した。

 

「さっきも言ったがアメリカ海軍のサウスダコタ級戦艦「サウスダコタ」だ。昔色々あったけどまぁ過去は過去ということでよろしく頼むぞコマンダー。」

「よろしくお願いします。」

 

サウスダコタに握手を求められた霧先は快く応じて二人はがっしりと互いの手を掴み握手した。

 

「では、案内しますのでついてきてください。」

 

霧先は早速サウスダコタを案内することにした。

但しこれから起こるであろう事を考えて嫌そうな顔をして。

 

「友成、大丈夫?」

「はい・・・但し戦艦サウスダコタは戦艦霧島と砲撃戦を繰り広げた戦艦の一隻なんですよね・・・・・。」

「霧島?それがどうかしたの・・・?」

「それが原因なんですよ・・・・もしここで霧島さんとであったりしたら。」

「工廠長?どうかしましたか?」

 

サウスダコタに聞こえないように蒼龍に話す霧先は声を掛けられた。

霧先は錆びた古い機械のようにギギギと声のした方を向く。

そこには何と霧島がいた。

 

「どうしたコマンダー?」

 

サウスダコタが固まった霧先に声を掛ける。

しかしタイミングがまずかった。

 

「あら、新しい艦娘ですか?私は・・・・・。」

 

霧島は聞きなれない声に反応して挨拶をしようとしたがその艦娘を見て霧島は石のように固まった。

そこに霧先が声を掛けた。

 

「あ、あのぉ・・・・霧島さん?」

 

しかし霧島は気にする素振りも見せずにサウスダコタに話しかけた。

 

「あなた・・・・・サウスダコタね?」

「そう言うお前は霧島か?明らかにそれらしいしな!」

 

ハハハと笑うサウスダコタに霧島はカチンと来た。

 

「へぇ・・・・あの時と今の私は違うのよ?」

 

そう言う霧島は艤装を装備してサウスダコタに砲を向けていた。

実は艦娘達は出撃の際に機械によって艤装を身に着ける事が多いが瞬時に妖精の力で着脱したり自分で着脱が可能となっている。

その為、瞬時に現れた砲を見た蒼龍と霧先は冷や汗を滝のように流した。

 

「き、霧島!今撃ったら私たちも消し炭だよ!」

「ミンチだけはご勘弁ですよ!!」

 

霧島はしばらく砲を構えていたがやがて艤装を解除した。

 

「・・・・・半分冗談よ。」

「半分は冗談じゃないのか。来て早々に血の海は勘弁だぞ・・・・。」

 

ポリポリと頭を掻くサウスダコタの横で霧先と蒼龍はホッと胸をなでおろした。

さすが戦艦の気迫と言ったところだろう、霧先のシャツは汗でかなり濡れている。

 

「えっと・・・霧島さん。これからサウスダコタさんも立派な鎮守府の一員となるので仲良くして下さいね?」

「そういうことだ、仲良くしようか霧島?ハハハ!!」

 

霧島に肩を組んで豪快に笑うサウスダコタ。

当の霧島は青筋を浮かべながら声を振り絞った。

 

「えぇ・・・・出来るだけ善処するわ。」

「はぁ・・・・。」

 

溜息をつく霧先。

何故こうも彼は不幸な目にあうのであろうか。

彼の胃が胃潰瘍になる日も近いだろう。

霧先は霧島に別れを告げた後、執務室に向かった。

途中、何人かの艦娘に出会ったが全員そろってサウスダコタを珍しいものを見る目で見ていた。

 

「コマンダー、何だか会う奴に変な物を見る目で見られてる気がするんだが・・・・。」

「そりゃアメリカの艦娘なんていないですし、珍しいものを見る目で見られても仕方がないですよ・・・っと、着きました。ここが横須賀鎮守府最高指揮官、高屋提督の執務室です。僕が旨を伝えてから紹介しますので廊下で待機していてください。」

「分かった。」

 

霧先はサウスダコタの返事を聞いた後、姿勢を正して扉に向いてノックした。

 

『誰だ?』

「工廠長の霧先です!」

『入ってくれ。』

 

中から提督の返答が聞こえた後、霧先はノブを回して扉を開けてから執務室に入室した。

提督の執務机の上には書類が多数あり執務の最中であることがうかがえる。

秘書艦の長門は静かに書類を片していた。

霧先は扉を閉めた後に敬礼した。

提督も答えるように敬礼をし、提督が腕を下してから霧先も敬礼を解く。

 

「それで?どんな様で来たんだ?」

「はっ、本日の大型建造で新艦娘が建造されたため報告に参りました。」

「ふむ・・・・・それで結果は?」

 

提督も察したのだろう。

既に嫌な汗をかいている。

霧先もその姿を見て同情するが現実は非情である。

 

「米海軍戦艦『サウスダコタ』でした。」

「・・・・・は?サウスダコタ?色々と不味いんじゃないか?」

「既に問題は浮彫ですよ。霧島さんとの関係で。」

 

霧先の言葉に提督は項垂れた。

まぁ無理もないだろう。

 

「呼びましょうか?」

「頼む・・・・。」

「分かりました。サウスダコタさん、入ってきてください!」

 

力なく言う提督の心情を察しつつ霧先はサウスダコタを呼び込む。

それを聞いたサウスダコタは扉を開けて中に入って来てからきっちりとした敬礼をした。

 

「戦艦サウスダコタ、着任した。よろしく頼むぞ提督。」

「あぁ、俺は横須賀鎮守府提督の高屋浩二だ。早速だが今現在大規模作戦の真っ最中でな、騒がしい時期なだけあって今は少しでも戦力が欲しい。基本的に演習をして貰うが実戦が急遽起きる可能性も考えておいてくれ。」

「了解だ。生憎スクラップにされた後すぐに来たもんで事情はあんまり知らないが戦力になってやるよ!」

「そういってもらえると助かる。丁度、霧先中佐が指揮を執る『特殊第二艦隊』に空きがあるからそこに入ってもらう。戦艦娘もいるから彼らに指導してもらうように、以上だ。あと霧先、サウスダコタの面倒を見てやれ。」

 

突然言われた霧先は目を見開いて驚いた表情をした。

 

「えぇ!?自分がですか!?」

「そうだ、しっかり面倒を見るんだぞ。なにほんの数日生活を指導してやるだけだ。」

「・・・・分かりました。」

「よろしく頼むぞコマンダー!」

 

ほんの数日ならと思った霧先は提督の案を承諾した。

その横でサウスダコタは満面の笑みで霧先の背中を叩いた。

 

「それでは詳細書を本日中に提出します。」

「あぁ、用件はそれだけか?」

「はい。」

「じゃあ退出しても構わん。」

「「失礼しました!」」

 

告げるべきことを伝えた霧先とサウスダコタは執務室を退室した。

彼らの出ていった扉を見つめた提督は深いため息をついた。

 

「はぁ・・・・果ては米戦艦までもが艦娘としてやって来たか・・・。」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だ長門。」

 

溜息をついた提督の心配をする長門に提督はそう言い深く椅子に座り込んだ。

だがその後に「ただ・・・」と言葉を付け加えて話を続けた。

 

「今後の事を考えると不味いな。とにかく輸送任務の増強と演習の強化を最優先にする。MO作戦まで日にちが少ない。」

「了解です。」

「イレギュラーは深海棲艦にとっても脅威になる。だがそれを過信し慢心すれば我々が敗退することになる。それだけは避けねばならん。」

 

確かに戦力は揃っている。

だが実力を最大限に引き出さなければ豚に真珠だ。

それを考えた提督は珈琲を一口だけ口に含んだ後書類の処理を再開し始めた。

 

 

 

 

 

「コマンダー、『特殊第二艦隊』とはなんだ?」

 

霧先と蒼龍に連れられて施設紹介をおけていたサウスダコタは突然霧先に尋ねた。

説明していない事を思い出した霧先はサウスダコタに説明することにした。

 

「そういえば教えていませんでしたね。『特殊第二艦隊』は他鎮守府で建造が確認されていない艦娘で構成された艦隊で実質僕が最高指揮官を務めています。主に防衛と救援が任務になり如何なる場合においても専守防衛と自衛隊法を厳守します。」

 

特殊艦隊は現在第二艦隊まで存在している。

特殊第一艦隊は旗艦をみらいとし、ゆきなみ、伊152の艦艇時の姿を持つ艦娘で構成され第二艦隊は天城、土佐、伊勢、日向で構成されている。

かなりバランスが悪いように見えるが他の艦娘が別艦隊に所属しているため兼任できないのが原因である。

 

「ふーん・・・・分からない単語があるがそのうち分かるか。」

 

実に能天気な考えに霧先は苦笑いをするしかなかった。

そして施設紹介をしていくうちに霧先たち「みらい」「ゆきなみ」「伊152」の停泊している埠頭までやって来た。

始めてみる艦影にサウスダコタは尋ねた。

 

「コマンダー、この艦は?」

「潜水艦は伊152さんの艤装で水上艦艇の方はみらいとゆきなみさんの艤装です。三人は特殊第一艦隊に所属しています。」

「なんだか不思議な艦影だな。戦えるのか?」

 

サウスダコタは物珍しそうに「みらい」を凝視している。

霧先はその横できっぱり答えた。

 

「十分に戦えます。なんせ貴方の艦艇時代から60年後の兵器を満載していますからね。」

 

その言葉を聞いたサウスダコタはぎょっとした。

 

「60!?そんな未来から来たのか!?」

「えぇ、かくいう艦長である僕は約70年後からやって来ましたが。」

 

霧先は「みらい」を眺めつつサウスダコタに答える。

サウスダコタは頭を抱えた。

 

「驚きだな、スクラップとして売り渡されて気が付けば人の身体になって更には日本と共に戦うことになって・・・・その上、未来から来た艦を見ることになるとは・・・。」

「驚きなんてなれますよ。」

 

霧先はそう言った後に少し間を置いてからサウスダコタに話しだした。

 

「実は僕自身、貴方が現れた時に少し危惧していたんです。また日米艦艇間の争いが勃発するんじゃないかとね。でも、貴方のような性格なら大丈夫そうでしょう。」

「そんなことを危惧していたのか?コマンダーは心配性だな。」

「心配性に越したことはありません・・・ただ、戦後に生まれアメリカに養われた日本で育った僕やみらい、ゆきなみさんはともかく、この日本にいる艦娘の中には米国に対していい感情を持たない艦娘もいるかもしれません

。その時、サウスダコタさんによってアメリカへの印象が変わるかもしれないのでその点には注意してください。」

「ほ~、つまりはアメリカが嫌いな奴らにアメリカのいいところを教えればいいんだな?任せておけ!」

「あ~お願いします・・・・。」

「?・・・・・なるほど・・・・。」

 

胸を張るサウスダコタだったが霧先は少し目線をそらす。

推定G~Hはあるであろうたわわなものがいやでも目に入ってくるのだ。

それを見たサウスダコタは疑問符を浮かべるがすぐに気づいて悪い笑みを浮かべて霧先に近寄り彼の肩を掴んだ。

 

「サウスダコタさん?」

「そいよ!」

 

そして思いっきり霧先を引き寄せて彼の顔を自分の胸に埋めた。

突然の事で霧先も蒼龍も驚愕し少し石化した。

しかしすぐに我に返り霧先はジタバタと暴れ蒼龍は怒り出した。

 

「ムー!ムー!!」

「ハハハ!コマンダーも男ならこれがいいんだろ?」

「ちょっと!友成に何してるのよ!!」

「スキンシップだ。」

「何すました顔で言ってるの!!」

 

サウスダコタと蒼龍が言い争っている隙に霧先は何とかサウスダコタの拘束

から逃げ出し深呼吸をした。

サウスダコタの胸に埋まっていた間に酸欠に陥っていたのだ。

 

「し、死ぬかと思った・・・。」

 

深呼吸を霧先の横では未だ蒼龍とサウスダコタが言い合いをしている。

このとんでもない絵面が最早霧先の日常と化している。

彼の毛根と寿命が今後危ぶまれてくるだろう。




というわけでサウスダコタさん登場回でした。
アメリカの艦娘の性格は基本的に作者のイメージなので皆さんの想像とは違うと思われますがお許しください。
もう一話だけ休息編は続きます。

次回「工廠長の優しさ」

明石の気持ちとは?
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