高校生艦長と自衛艦の航海日誌   作:みたらし饅頭

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第伍戦目「戦闘と救出」

菊池「本当にいいのだろうか・・・。」

 

菊池はヘッドホンを外し艦内電話を手にとった。

 

菊池「艦橋、CIC、そちらに出向いてもよろしいですか?」

角松『了解、許可する。』

菊池「青梅一尉、ここを頼む。」

青梅「了解。」

 

艦内には菊池の足音が響いている。

 

菊池「(もし我々が手を出せば・・・・この世界が・・・。)」

 

菊池「失礼します。」

 

菊池が艦橋に入ると艦橋内は少し重々しい空気になっていた。

 

角松「砲雷長、どうした。」

菊池「艦長、お話が。」

梅津「なんだね?」

菊池「本当によろしいのですか?攻撃をしても・・・。」

梅津「・・・・・。」

尾栗「菊池、どういうことだ?」

菊池「尾栗、ここは俺達がいた時代じゃない!ここは過去・・・しかも別の世界なんだぞ!」

 

菊池の声に艦橋内にいた全員が反応する。

 

尾栗「じゃあ!お前は戦うなって言うのか?戦っているのは人かもしれないんだぞ!少し攻撃して止めれば6人が助かるんだ!」

菊池「それを・・・バタフライ効果と言うんだ。」

尾栗「蝶が・・・どうした?」

菊池「北京で蝶が一匹羽ばたけば、その小さな気流が一ヶ月後ニューヨークに嵐を起こすことになる・・・ミクロな現象でもマクロに大きな影響を与えることになる。」

 

菊池は淡々と話す。

 

菊池「見る限りではアレは第二次大戦の装備だ、この艦は1940年代の米機動部隊とも互角に渡り合える・・・蝶々どころの話じゃない40年後の兵器だぞ。」

菊池「我々の行為一つで未来が大きく変わってしまう、違う世界だからといって歴史に関わってはいけない・・・我々は歴史にとって危険なんだ・・・。」

尾栗「じゃあ・・・俺達は何でここにいるんだ?」

 

尾栗が言い返す。

 

尾栗「見ろ菊池!アレは戦争だぞ!この新鋭艦でどれだけ戦えるか、試してみろってことじゃないのか!?」

菊池「冷静になれ、コレは偶然だ、偶然に意味など・・・無い。」

 

菊池は尾栗を落ち着かせて説得しようとする。

 

尾栗「偶然・・お前はコレがただの偶然だと・・・副長!副長はどうお考えですか?」

 

尾栗は角松に意見を求める。

 

角松「俺は・・・さっき、あの「みらい」に乗る女性に聞かれた、俺は何なのかと・・・。」

尾栗「は?」

角松「俺は「イージス艦「みらい」の副長で一自衛官だ」と答えた。」

角松「すると相手は「自衛官なら目の前の命を救うべき」と言ってきた。」

 

尾栗も菊池も黙って角松の話を聞いた。

 

角松「今の俺達の任務は例え歴史に介入することになっても、目の前の命を救い、乗員241名とこの「みらい」を無事、横須賀帰港することだ。」

角松「砲雷長、航海長、以下総員、そのことを第一義に考えて行動してほしい。」

 

梅津「(この先相手がどう出るか・・・。)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

友成「みらいさん、敵は?」

みらい「まだ攻撃してきません、艦隊との距離10000ヤード。」

友成「戦闘用意!」

みらい「了解!」

みらい「!敵艦砲撃してきました!」

友成「衝撃に備え!」

 

ドォオオォォォン

 

友成「艦内各部の被害状況を報告!」

みらい「艦内各部異常見られません!敵弾右舷800ヤードに着水した模様!」

友成「出し惜しみをするとまずい・・・数は少ないが・・・トマホーク発射用意!」

みらい「了解!トマホーク発射よーい!」

友成「みらいさん、蒼龍さんの仲間にトマホーク発射の警告文を。」

みらい「了解。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

長門「そろそろ終わりだな。」

比叡「敵は空母ヲ級、小破、戦艦レ級、中破のみです!」

電「!また謎の重巡洋艦より連絡です!」

長門「今度は何だ!」

電「えっと、これから我が艦は貴殿と交戦中の者に対艦ミサイルを発射する、相当な爆風を予想するため撤退を願う。宛、日本国海軍 駆逐艦 電、発、日本国海上自衛隊、「みらい」艦長 霧先友成一等海佐。」

長門「またカイジョウジエイタイの奴か、どうするべきか・・・。」

電「えっと離れてみたほうがいいと思います。」

長門「だが・・・。」

赤城「でもあのヲ級の艦載機を3分で全て撃墜していました、試す価値はあります!」

長門「仕方ない・・・電文を送れ!内容は・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

みらい「電より電文です。」

友成「読んでくれますか?」

みらい「はい、『これから我が艦隊は貴艦に従い敵艦隊と距離を置く。宛、日本国海上自衛隊、「みらい」艦長 霧先友成一等海佐、発、日本国海軍 駆逐艦 電。』以上です。」

友成「了解、距離は?」

みらい「爆風被害範囲から出ています。」

友成「トマホーク・・・攻撃はじめ!」

 

バシュュュウゥゥゥ

 

VLSから発射されたトマホークは真っ直ぐ深海棲艦に向かって飛んでいった。

 

レ級「ナ、ナンダ、ア・・・。」

レ級が全て言い終える前に。

 

ドゴオォォン

 

レ級にトマホークが直撃、爆発し、レ級は吹き飛ばされ、沈んでいった。

 

ヲ級「アレハ、イ・・・。」

 

ドゴオォォン

 

ヲ級にもトマホークが直撃、爆発し、ヲ級もレ級と同じく吹き飛ばされ、沈んでいった。

 

みらい「敵勢力壊滅、対潜、対空、対水上目標なし。」

友成「戦闘用具納めー!機関停止ー!これより救助を開始!もう一隻のみらいに連絡!」

みらい「了解!戦闘用具納めー!機関停止ー!」

蒼龍「あのヲ級とレ級が多少被害を受けているとはいえ・・・一撃で・・・。」

友成「蒼龍さんはここで待機していてください。」

蒼龍「え?あっ!はい!」

 

 

長門「なんだあれは・・・!」

 

長門は目の前で起こった事を信じられずにいた、その艦はいきなり暗くないのに照明弾を打ち上げたかと思うと、それが深海棲艦めがけて飛んでゆきあっという間に沈めてしまった、しかも戦闘終了とともに驚異の加速力でこちらに近づいてきた。

 

金剛「誰か出て来マシタヨ。」

 

金剛が指をさした先には藍色の服を着た者が居た。

 

 

友成「全員無事みたいですね、みらいさん、皆さんを艦に乗艦させて下さい。」

みらい「了解です、皆さん!こちらから上がってきて下さい!」

 

長門達はみらいに指示されたところから40年後の艦に乗りこんだ。

 

友成「皆さん、初めまして、現在この艦の艦長を務めています、霧先友成一等海佐です。」

みらい「海上自衛隊、第一護衛艦隊所属、ゆきなみ型3番艦「みらい」です。」

 

長門「私は長門型戦艦の長門だ、この艦隊の旗艦を務めている。」

金剛「英国で生まれた帰国子女の金剛デース。ヨロシクオネガイシマース!」

比叡「金剛お姉さまの妹分の比叡です。」

電「い、電なのです。」

赤城「一航戦正規空母の赤城です。」

翔鶴「初めまして、翔鶴です。」

 

挨拶が交わされ、友成が艦娘たちに言った。

 

友成「早速で悪いのですが、これから皆さんには手伝ってほしいことがあります、手伝って頂ければそちらが疑問に思っていることにお答えします。」

長門「別に構わないが、一ついいか?」

友成「何でしょう?」

長門「蒼龍という者を見なかったか?」

友成「現在、本艦の艦橋にいます。」

長門「本当か!?」

友成「本当です、後で連れてきます。」

電「良かったのです・・・。」

友成「みらいさん、皆さんはお疲れのようだからコーヒーか何か出してあげて下さい。」

みらい「了解しました、皆さんこちらへ。」

 

艦娘たちは、みらいに連れられて行った。

 

友成「ここは、・・・間違いなく『艦隊これくしょん』の世界だ・・・ということは戦争の真っ只中と言う事か・・・。」

 

友成は艦橋に戻った後、蒼龍に仲間に会うように言い、梅津と連絡を取り一時間後に作戦会議を行うこととなった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1時間後

イージス艦「みらい」付近、救命艇上

友成「緊張するなぁ・・・。」

みらい「リラックスして下さい。」

友成「そうですね、それでは皆さん、乗艦しますので付いてきて下さい。」

 

タラップを上がり一人の高校生自衛官と八人の艦娘たちが「みらい」に乗艦した。

 

梅津「どうも、艦長の梅津だ。」

角松「副長の角松二佐です。」

尾栗「航海長の尾栗三佐です。」

菊池「砲雷長の菊池三佐です。」

 

そこには角松らが友成たちを待っていた。

 

友成「みらい艦長、霧先友成一等海佐です。」

梅津「お若いようだが・・・いくつかね?」

友成「17歳です。」

角松「17歳!?自衛隊は18歳以上でないと入隊できないはずだ。」

友成「それはこれからお話します。」

梅津「そういうことだ、霧先艦長、こちらに。」

 

友成たちが案内されたブリーフィングルームには士官の自衛官が座っていた。

 

梅津「これより、作戦会議を行う、尚、今回はこの世界に詳しい者達に来てもらった。」

梅津「彼女たちに大まかな説明をしてもらう。」

長門「長門型戦艦の長門だ、これから現在の世界状況、艦娘について説明する、まずは・・・。」

 

 

それから30分間艦娘たち(みらい除く)によって説明がされた・

 

 

尾栗「えーっと、じゃあこの世界はいま深海棲艦って言う怨念みたいなものが制海権を奪って、それを取り返すために戦っているアンタ達は大戦中の艦の艦魂みたいなものだと・・・?」

電「そうなのです。」

角松「君達が大日本帝国海軍の軍艦の艦魂のようなものというのも本来なら信じがたいがこの状況では信じざるを得まい。」

菊池「洋介、まだ大切なことが残っている、何故もう一隻「みらい」が存在し、17歳の者が艦長を務めているかだ。」

角松「そうだな、聞かせてもらおう。」

友成「分かりました、実は・・・。」

 

 

そこから10分間、友成が何故、艦長を務めるかまでの経緯を説明した。

 

 

梅津「大体は理解した、しかし、みらいさん、貴方にそんな権限があるんですか?」

みらい「艦である私が艦長を決めたんです。」

尾栗「艦ってことはアンタも艦娘なのか?」

みらい「凄く珍しい艦娘ですかね・・・。」

菊池「珍しい?」

みらい「実は私は1940年代の太平洋戦争にタイムスリップして米艦隊との交戦中に被弾して撃沈されたんです、でも爆発した艦体ごと何故かこの世界に来てしまって・・・。」

尾栗「なんてこった、みらいは過去に行っていたのか!?」

みらい「詳しいお話はできませんが、そうです。」

 

ブリーフィングルームが騒がしくなっていく中、梅津が口を開いた。

 

梅津「ともかく我々が危険な状況にあることは違いない、霧先君、君は一等海佐だ、君はどう考える?」

友成「まずは横須賀入港を第一目標とし、向こうでの補給、港の確保を第二目標としたいと思います、戦闘は出来るだけ回避、仕方がない場合は戦闘という形を取りたいと思います。」

梅津「よし、その案で行く、霧先艦長、もう一隻のみらいは任せた。」

友成「了解!」

梅津「コレにて解散!各自持ち場にもどれ!」

友成「みらいさん、SH-60Jを飛ばせますか?」

みらい「直ぐに。」

友成「梅津艦長、SH-60Jを着艦させてもいいですか?」

梅津「許可しよう。」

 

数分後「みらい」から発艦されたSH-60Jがもう一隻の「みらい」に着艦した。

 

友成「梅津艦長、ありがとうございました。」

梅津「帰りも気をつけて。」

友成「はい、皆さん乗って下さい!」

長門「これは・・・。」

赤城「かなり大きなオートジャイロね。」

友成「とにかく乗って下さい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

5分後

イージス艦「みらい」艦橋

 

友成「みらいさん、皆さんは?」

みらい「甲板で海を見ながら談笑していますよ。」

友成「このまま無事に横須賀についてくれれば良いんですがね。」

みらい「不吉なこと言わないでくださいよ・・・。」

友成「嫌な予感がするんですよ・・・。」

みらい「そんなこと・・・!艦影確認、数5!本艦艦首、約30000ヤード!」

友成「何で当たるの・・・対潜、対水上戦闘よーい!」 ※対水上戦闘は対艦、対空をまとめたものです。(対艦)攻撃、(対ミサイル)防御のためですね。

みらい「了解!対潜、対水上戦闘よーい!」

友成「艦内マイクを。」

 

友成『達する、艦長の友成です、皆さんすぐに艦橋に集合して下さい!』

 

長門「何かあったのか?」

比叡「行ってみて聞いていましょうよ。」

 

友成「みらいさん、海鳥を発艦、艦隊を確認して下さい。」

みらい「了解です。」

友成「それと梅津艦長に連絡をお願いします。」

みらい「分かりました、私達、どうなるんですかね・・・。」

友成「ともかく今は目の前のことを乗り越えることが第一です。」

みらい「そうですね。」




どうも、今回は初の戦闘シーンでした。
次回も戦闘はありますけどね。
では次回予告

瑞鶴「わかりません、しかし機体に海上自衛隊という文字と日の丸があるそうです!」

武蔵「分からないが深海棲艦かも知れない、伊168、一発だけ撃て!」
伊168「りょうかーい!」

みらい「魚雷音聴知!左80度、計測44ノット、距離3200、高速接近!接触まで2分10秒!」
友成「梅津艦長に連絡!対潜戦闘よーい!」

米倉「そんなに・・・僕達の・・・力が・・・見たいのか・・・?」

米倉「やられる・・・前に!」

人は恐怖に駆られたとき思いがけない行動をする。
次回「第陸戦目「対第二艦隊」」
それでは次回に向けて、撃ちぃ方ぁ始めぇ~!
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