転校生の鈴さんが一夏お兄ちゃんと関わりが判明してドタドタと騒がしかった学校も、
放課後の5時頃になればその騒がしさも薄れ、朝に比べると静かになっていた。
それでも、あの三人がいる場所はどこでも騒がしくなっちゃうわけで……
今日は美香お姉さんと一緒に第三アリーナでISの訓練をする予定だった、
けれどもそこには一夏お兄ちゃん、篠ノ之さん、セシリアお姉さんの姿があった。
「あ、貴方達、どうしてここにいるんですの!?」
セシリアお姉さんはボク達と篠ノ之さんがいる事に驚いている。
ボク達は偶然だけれども、篠ノ之さんは多分一夏お兄ちゃんを待っていたんだろう。
「私は元々、一夏に頼まれていたからだ」
と、篠ノ之さんは答える。たしかセシリアお姉さんと戦うとき、
一夏お兄ちゃんは篠ノ之さんと剣道の練習ばっかりやってたんだっけ。
「私たちは偶然、ここで訓練をしようと思ってたからですよ」
と、美香お姉さんはセシリアお姉さんと一夏お兄ちゃんに言う。
「折角ですから、明も呼んで三対三でやってみませんか?」
美香お姉さんは篠ノ之さんとセシリアお姉さんと一夏お兄ちゃんに提案をした。
「あら、チームでわたくしに挑もうというのですか? よろしいですわよ」
「まぁ、どちらにせよ訓練には違いないな。問題は無い」
「じゃあ、ちょっと待ってくださいね。明を呼んで来ますから」
美香お姉さんは携帯電話を持ち、明お姉ちゃんに電話した。
「もしもし、明? 今からISのチーム戦やるんだけど、明も来てくれる?」
『唐突だなぁ、美香。私今ネトゲやってて忙しいんだよね……
久しぶりの経験値二倍イベントだし、逃したくないんだよねぇ』
「あら、ならいいわ。折角翔くんと私と明で織斑さん達と戦おうと……」
『あ、ゴメン。やっぱパソコンぶっ壊してでも今すぐ行くわ』
「はい、それじゃあね」
ピッ、と通話を切る美香お姉さん。
「私、登場!」
颯爽と明お姉ちゃんがアリーナへ到着した。一分も経ってない気がするんだけど…
ともかく、明お姉ちゃんが来たからこれでチーム戦が始められることになった。
ボク達は専用機を展開してアリーナ内へと移動した。
敵はセシリアお姉さんと篠ノ之さんと一夏お兄ちゃん。
味方は美香お姉さんと明お姉ちゃん。
ちなみに、二人の専用機は対なる存在で、お互いを支援する為に作られた機体だと言ってた。
お互いにISを展開してアリーナの中への中心へと移動し、いつでも勝負できる状況になる。
「じゃあやろう、一夏お兄ちゃんっ!」
「おう! 望むところだ!」
ボクと一夏お兄ちゃんとの掛け合いでこの試合は始まりを告げた。
「うおおおおっ!!」
雪片弐型を持ち、こっちに突撃してくる一夏お兄ちゃん。
「馬鹿者! いきなり突っ込んでどうする!」
「そうですわ! この場合ですと、もっと様子を見て……」
突撃する一夏お兄ちゃんの行動を間違っているという二人。
もう後に引けないのか、一夏お兄ちゃんはそのまま突撃してくる。
『待って、翔くん。ここは私に任せてみて。
今の武装は接近武器だけなんでしょう? しばらくは後方に下がってて』
ここは美香お姉さんに任せてみて、ボクは少し後退をする。
「敵に向かって突撃するだけじゃ駄目だよ、織斑くん!
もっと相手の行動を予測して、回避行動をいつでもとれるようにしないと!」
美香お姉さんのIS、戦女・弐型の装甲からミサイルの発射口がカパッと開く。
そしてそこから現れる実態の無い、エネルギーだけのミサイル。
これは戦女・弐型に搭載された第三世代型の兵器で、その名もエネルギーミサイル。
その武装の名前は『
戦女・弐型の全身にある発射口からワイヤーフレームで形成されたミサイルが発射される。
一度、一夏お兄ちゃんが落下して美香お姉さんの胸を触ったときに発射したことがあった。
三人はミサイルの射線上から回避し、そのまま攻撃する態勢に戻ろうとしたけども、
ミサイルはロックオンされた三人の後を追うように旋回し、追尾してきた。
「まさか…エネルギーで形成された攻撃に誘導性能があるんですの!?」
まさかエネルギーの塊が誘導するとは思わなかったらしく、
三人は慌てながらミサイルから逃れようと移動していた。
「なっ―――」
「ほ、箒さん! どいてくださ―――」
セシリアお姉さんと篠ノ之さんが逃げ回っていると、
二人の移動する場所が偶然にもぶつかってしまった。
けれども、あのミサイルの弱点は威力が低いこと。
量産型でも多少食らっても大丈夫なくらい威力が低かった。
「……くっ、セシリア! 何をしている!」
「それはこっちのセリフですわ! 箒さんこそ私の逃げ道に―――」
篠ノ之さんとセシリアお姉さんは喧嘩をし始めた。
それを好機と思ったのか、明お姉ちゃんが二丁の銃を二人に向けて撃つ。
「いいのか? 仲間割れしちゃって。私は喧嘩に横槍を入れちゃう人間だぜ?」
明お姉ちゃんは二丁の銃を持って主に篠ノ之さんを狙い撃つ。
喧嘩をしていたからなのか、かなり大雑把に狙ったはずの弾丸は全て当たっていた。
ちなみに、明お姉ちゃんの持っている銃器系のほとんどは美香お姉さんの手作りで、
大体明お姉ちゃんが無茶振りで頼んで、美香お姉さんが実用も兼ねて作ってるらしい。
今持っている拳銃は右手に持っているオートマチック式の緑色の銃『風神』、
左手にもっている黄色いリボルバー式の銃が『雷神』という名前をしている。
『私はこのまま篠ノ之さんを抑えてるから、二人は任せる!』
『わ、分かったよ、明お姉ちゃん』
『オッケー、翔くんの援護は任せて!』
「皆さん、わたくしのことを忘れているのではなくって!?」
セシリアお姉さんの背後にあるビット『ブルー・ティアーズ』全機をボクたちに向けてくる。
ビットの一部がボクの周りに飛んできて、ビームを放ってくる。
そこから一夏お兄ちゃんが雪片弐型を握り締め、ボクに突撃してくる。
「だあああああっ!!」
「翔くんッ!」
一番近くにいた美香お姉さんが大きな斧のようなものを使って斬撃を防ぐ、
それと同時に脚部の装甲が一部開き、至近距離でミサイルを放った。
「はああっ!!」
美香お姉さんは持っていた大きな斧を振りかぶり、一夏お兄ちゃんに向けて攻撃した。
続けて肩の装甲からミサイルをもの凄い速さで発射する。
威力は低くてもその連携攻撃は白式のエネルギーを一気に削り、
ついに白式のエネルギーはゼロになった。
「一夏! 何をやっている!」
篠ノ之さんは一夏お兄ちゃんを心配するどころか、
逆に罵った。確かに倒れるのは早いけれども……
『私はセシリアさんを攻撃するわ。翔くん、援護としてビットの破壊をお願いできる?』
『う、うん…! やってみるよ』
美香お姉さんからビットを破壊するように頼まれる。
やれる自信は無いけれども、お願いされたからやれるだけやってみる。
「これはどうですっ!」
戦女・弐型の腰部の装甲の一部が外れ、そこから二つの大きなガトリング砲が姿を現した。
その大きなガトリング砲をセシリアさんに向けてそれを発射する。
「くっ……!」
セシリアお姉さんもその攻撃をくらい続けるとまずいと思ったのか、
ビットの攻撃をやめ、手に持っていた『スターライトMkⅢ』を使い、狙撃する。
……だが、別方向からセシリアさんに向けて弾丸が放たれた。
弾丸を放ったのは、さっきまで篠ノ之さんと戦っていた明お姉ちゃんだった。
篠ノ之さんは既にシールドエネルギーが無くなり、地上で動かなくなっていた。
右腕に持っている銃、風神を使ってセシリアさんに向けて発射し、
続けて左手にもった雷神を発射して次に風神と交互に使って発射する。
「さぁ、クライマックスだぜ!」
明お姉ちゃんは二丁の銃をISに収納し、新しくミサイルランチャーを取り出した。
「チェックメイトだ!」
明お姉ちゃんが叫び、そのミサイルランチャーの引き金を引いた。
その先端からミサイルが二つ飛び出し、セシリアお姉さんに誘導していく。
美香お姉さんが出したエネルギーミサイルとは違い、実体を持ったミサイルであった。
「くっ…!」
セシリアお姉さんはそのミサイルを回避しようとするが、
中々振り切れず、最終的にはミサイルに当たり、エネルギー切れとなった。
この勝負はボクと明お姉ちゃんと美香お姉さんの勝ちで決まった。
◇
付近に存在するIS分析中・・・・・・・完了。
機体名『打鉄』解析中・・・完了。
機体名『音時雨』解析中・・・・・・・完了。
機体名『戦女・弐型』解析中・・・・・・・エラー、解析できません。
機体の武装を確認中・・・・・完了。
音時雨より風神、雷神、ミサイルランチャーをコピー・・・・・・完了。
戦女・弐型より雨霰、M134、ハルバードをコピー・・・・・・完了。
一定の条件を満たす武装の情報を入手しました。
新たに武装を生成しています・・・・・・完了。
新装備、
◇
「お前のせいだ!」
「あなたのせいですわ!」
「またか……」
なぜか篠ノ之さんとセシリアお姉さんはさっきの戦闘で負けたのは一夏お兄ちゃんが原因だと言う。
一夏お兄ちゃんはこの光景を見るのは今日で二度目らしいけれども……
「こんな様子だとクラス代表戦で勝てないぞ! 来い! 鍛えなおしてやる!」
「このままでは無様にも負けてしまいますわ!
わたくしが勝てるように指導してさしあげます!」
一夏お兄ちゃんはセシリアお姉さんと篠ノ之さんにズルズルと引きずられていった。
多分、まだまだ訓練を続けるつもりなんだろう。
「か、翔ぅ~…助けてくれ~……」
「ごめん一夏お兄ちゃん、ボクまだ死にたくない」
今の二人を止めるとなると、必死にならなければ止められないだろう。
「翔くん、お疲れ様。これで天翔も強くなったはずよ。
もしかしたら新しい装備も出来てるかもしれないから、確認してみてくれる?」
ボクは天翔の武装一覧表を開く。
すると、白雪だけだったハズなのに、一つの武装が追加されていた。
さっき明お姉ちゃんが使っていたようなハンドガン。
多使用型拳銃っていうのがよく分からないけれども……
ともかく、射撃武器を使えるようになったのはとても嬉しい。
「天翔はね、色々な人と戦ったり、協力したりすると成長していくの。
だから、できるだけ色々な人と沢山戦った方が強くなるのよ。分かった?」
「うん!」
ボクの天翔は戦えば戦うほど強くなる…
それは、なんだかボクが強くなるようでとても嬉しかった。
怖いけれども、もっと戦えるように頑張ろう…
そして、天翔と一緒に強くなっていこう――――