エンドロールのその先で   作:藤吉郎

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1-06 進路に迷う私

 

 進路希望調査表、と紙にはそう書いてあった。第一希望から第三希望まで、希望する高校の名前を書かなければならないらしい。

 今日の放課後までに提出しなければならないそうだ。しかし私はシャーペンを握ったまま、動かない。正直に言うと悩んでいる。

 

 どの高校に進もうが結局、死の運命は避けられなかった。ならば、どこへ行ったって同じだ。

 どうせ変わらないのだから、適当に決めた学校へ行けばいい。それが私の胸中だった。

 

 無難に東京の学校に進むべきか。もしくは、京都の父の許へ行くのも良い。悩んでいると隣の席の緑間君が話し掛けてきた。

 

「迷っているのか?」

「うん、ちょっとね。学力的にはどこでも行けるって先生は言ってくれたけど、肝心の行きたい学校がないの」

 

 学力的には問題はない。それはそうだ。何度も何度も同じテストを受け続けているのだから、余裕で満点だって取れてしまう。自嘲気味に笑うと緑間君は少し考えて、口を開いた。

 

「なら、秀徳はどうだ?」

「秀徳かー……」

「俺は秀徳に行く。だから村瀬も良かったら……いや、別に一緒の学校がいいとかそういう訳じゃないからな!」

「分かってるよ」

 

 やけに必死で否定する緑間君が可笑しくて笑ってしまう。クスクスと笑う私に緑間君は罰の悪そうな顔をした。長身の男子なのに、可愛いと思ってしまう。

 

「秀徳かー……」

 

 いいかもね、と私はシャーペンを持ち直した。第一希望の欄に、秀徳高校と――。

 

 

「秀徳にするの!?」

 

 帰宅中、志望校を告げると、さつきは驚いて目を丸くした。

 どうやら私も一緒に桐皇に行くものだと思っていたらしい。「ショックー!」と私に泣きついたかと思うと急に、さつきはピンときた顔をした。どうしたんだろうか、一体。

 

「秀徳ってことは……雪乃! ま、まさかミドリンを追いかけて!?」

「緑間君を?」

「はあ!? 雪乃、お前……!」

 

 先を歩いていた大輝君まで何故か食い付いてきた。予想外に狼狽えている。

 

「二人共、落ち着きなよ」

「だ、だって、雪乃が恋したとか聞いた事ないし……赤飯炊くべき!?」

「つーか、何で緑間なんだよ」

 

 確かに二人の前で色恋沙汰の話をした事はないが、驚き過ぎだ。そもそも誤解である。

 

「違うってば。緑間君は普通に友達だよ」

 

 否定すると、さつきはあからさまに残念な顔をした。大輝君は何故か機嫌良さそうに私の頭をポンポンと叩く。

 

「何だ、残念~」

「ま、雪乃にはまだ惚れた腫れたは早ぇよな」

 

 君らは私の両親か。

 

「良かったね、青峰君!」

「は、何がだよ?」

「またまた~。私、分かってるんだからね!」

「うっせーよ、バカ」

 

 じゃれる二人を眺めながら、笑う。

 

「どこにいても、二人を想ってるのは変わらないよ」

 

 本当だよ、と告げると二人は顔を見合わせた。それから私の両脇に陣取ると、さつきが私の腕に抱きついた。

 

「私も、雪乃のこと、ずーっと大好きだよ!」

「お前はトロいしドジだし、一人にしとくと危ねえかんな。仕方ねえから、一緒にいてやるよ」

「ありがとう……」

 

 私は幸福だ。二人の幼馴染みになれて良かったと思う。

 

 出来るだけ長く、二人と一緒に生きていたい。だから私は、最後まで足掻こうと決めたのだ。

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