エンドロールのその先で   作:藤吉郎

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1-08 優しい彼女について

 

「さつきちゃん」

 

 声を掛けられて、ふっと我に返った。久しぶりに訪れた雪乃の部屋、雪乃のお母さんは心配そうにこちらを見ている。

 雪乃のお母さんは年齢を感じさせない美人だ。雪乃の艶やかな黒髪や白い肌、落ち着いた美貌はこのお母さんの遺伝なんだろうと思う。特に涼やかな目元が雪乃によく似ている。

 

「どうかした?」

「いえ……、雪乃の部屋は久しぶりだなって」

「高校生になって、三人とも忙しそうだったものね」

 

 おばさんが無理矢理、私に笑顔を作った。おばさんの様子はまだ辛そうで、一週間かそこらで傷は癒えないと実感する。

 私は雪乃がいなくなったなんて未だに信じられなかった。どこかに雪乃がいる気がする。今にも、そこの扉から「さつき、来てたの?」なんて笑いながら帰ってきそうだ。

 

 ――先週、雪乃の葬式が行われた。

 

 不慮の事故、だったらしい。学校帰りに、居眠り運転の車に轢かれたそうだ。私も青峰くんも雪乃が死んだなんて信じられなくて、それでも静かに眠る彼女を見た瞬間、私は涙が止まらなくなった。嘘だったら良かったのに。

 

 雪乃の葬式には沢山の人が来ていた。真っ青な空の下、秀徳高校の子も帝光中だった子も皆、雪乃の死を悼んでいた。それだけ彼女は沢山の人に好かれていたのだ。

 当然、キセキの世代の皆も来ていた。まさかこんな形で揃うとは誰も思わなかったと思う。その場にいる皆が、彼女の死を悲しんでいた。葬式が終わっても全員、口数が少なかったのを覚えている。

 

 青峰くんはただただ、しめやかに行われる葬式風景を眺めていた。

 

 青峰くんは雪乃が昔から好きだったんだろうと思う。昔からずっと一緒だったから、なんとなく分かった。

 いつだって笑顔を絶やさなかった、優しい雪乃。青峰くんも私も二人して年上ぶってたけれど、本当は雪乃の方がずっと大人だった。

 

 先を見透かしたような目をした子だった。

 

 片付けを手伝いに来た雪乃の部屋も、まるでこうなることが最初から分かっていたみたいに何もない。必要最低限、片付け易いように配慮された何もない部屋だった。初めてこの部屋を見た人は女の子の部屋だなんて思わないかもしれない。

 ウサギのぬいぐるみがちょこんと置かれたベッドに、きっちり整頓された机と本棚。部屋にはまだ雪乃の優しい匂いが残っている。

 

 どこか寂しげな、不思議な雰囲気をした雪乃。そんな彼女が何かを隠していたのを、私達は知っている。それが何なのか、最後まで聞く事が出来なかったけれど。

 

 ――もう一度、雪乃に会いたい。

 

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