魔法のあくせられーた   作:sfilo

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優等生キャラ出ます。よくわかんないという人は説明するので新規キャラと考えてもいいです。


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新人戦モノリス・コード優勝という大層なことをやってのけた一方通行、彼はある場所へと向かっていた。真由美からの拘束から抜け出してやってきた場所はある医療室。彼は目的の部屋番号を探す。するとその番号が近くなるにつれ何やら騒がしくなっていた。病院内では静かにするのが当たり前だという彼でも守れる常識を頭に思い浮かべるが、別に嫌な思いはしない。

部屋番号304、その扉を開くと大勢の女生徒に囲まれた2人の男を発見する。その中で1人一方通行に気がついた女生徒がいた。彼女は彼に恐怖を抱かず普通に話しかけてくる。

 

 

「初めまして、貴方が一方通行ですか。私一色愛梨と申しますの、以後よろし」

 

 

「黙ってろ、聞いてねェのにゴチャゴチャと話すんじゃねェ」

 

 

愛梨の顔が真っ青になり棒立ち状態のところを無視し彼は餌に群がる蟻のような塊に腕を突っ込む。そしてチョーカーのスイッチを入れると彼の腕の周りに広い空間ができる。その反動に押し寄せていた女子生徒らはあちらこちらへよろめき、倒れる生徒もいた。

 

 

「お前は...一方通行...」

 

 

周りの彼らも気づいたのか白い髪赤い瞳、異様に白いその姿に尊敬の眼差しを向ける人間もいた。そんな視線を無視し彼は将輝に対し命令する。

 

 

「オイ、テメェが信頼できる人間以外部屋から出せ。さっさとしろ」

 

 

半規管に未だ影響が残っている将輝だったが一方通行の言う通りにする。そしてこの病室に残ったのは一条将輝、吉祥寺真紅郎、一色愛梨、十七夜栞、四十九院沓子の5人だった。

一方通行は残った人間に次の命令をする。

 

 

「オマエらが持つ情報端末を全部病室から出せ」

 

 

「一体何なんですの!?突然上がり込んできて......」

 

 

ヘビに睨まれたとはこの事だろうか、一方通行の鋭い視線が愛梨の言葉を遮る。そこへ将輝は大人しく一方通行に従うように促し全員の端末が室内から消え去る。

それを確認した一方通行は驚くべき行動をとる。室内にある医療機器を全て破壊していった。周りから見れば異様な光景であったのは間違いない。何故なら彼は素手で機械を壊しているからである。それも電気的に壊しているわけではなく物理的に粉々に潰している。室内に機材の破片が散らばり病室とは思えなくなったような雰囲気を醸し出す。

全機材を破壊し一方通行は空いているベッドに腰を掛けて将輝に初めに注意する。

 

 

「俺が今から話すことは絶対に他人に話すな、わかったか」

 

 

将輝らが頷く前に一方通行はポケットから取り出したある物体を将輝の方へ放り投げる。それを見事キャッチした彼は手の中で光る宝石をじっと見つめる。単純な宝石だと思った将輝だが一方通行の言葉でその価値は跳ね上がる。

 

 

「賢者の石、俺が判断した訳じゃねェがそう言われている代物だ」

 

 

その一言を聞いて吉祥寺は自らのベッドからいきなり飛び出し将輝の手にある宝石を眺める。それに続いて女生徒らも将輝の元へと駆け寄る。

すると疑問に思ったのだろうか、吉祥寺は一方通行にあることを尋ねた。

 

 

「一方通行、この賢者の石は何処で手に入れたんだ。僕の見た限り聖遺物に間違いない、こんなものは一介の高校生が手に入れられるようなものじゃない!」

 

 

聖遺物を見た興奮と先程まで敵同士だった感情が混ざり合い激しく憤る吉祥寺だったが、一方通行の落ち着いた態度とハッキリとした説明で次第に落ち着きを取り戻す。

 

 

「まず何故俺がオマエらにこれを渡したのか説明してやる、よく聞け。今の一高には俺を注視する人間が多い。ソイツを調べようと思っても必要な機材が揃えられねェ。もう一つアテがあるがそこには絶対に預ける事は出来ねェし、コイツらにバレたら全てが終わる。ンな訳で白羽の矢が立ったのがオマエ、吉祥寺だ」

 

 

一息ついて再び話し始める。

 

 

「少し調べたがオマエなら調べられる。そう判断した。出土先は詳しくは言えねェ、だがその石を調べるのに必要ってンなら教える。研究内容もオマエらにくれてやる。割といい条件だろ」

 

 

そう言って一方通行は端末を開きながらまた指示をする。彼の端末は特別仕様なのでこの場で使っても問題は無い。元々彼らの端末を外に出したのは学園都市や他の組織からこの話を聞かれたくないためである。今一方通行が使っているものは完全なオフライン仕様のもので傍受される心配はない。

一方通行が個人的な範囲で調べ上げた賢者の石に関する情報が入った端末。これを吉祥寺に手渡す。

 

 

「何かあったら俺に連絡しろ。可能な限り俺も手伝う。アドレスはその中に記されてる、巻き込ンだのは俺だが抜けてもいい。その時はここで話した記憶を消させてもらう」

 

 

軽い脅迫をする一方通行だったが三高の5人は退くつもりは無い。気迫だった様子を確認した一方通行、彼は振り向かずに部屋から出ようとする。途端、この中で最も背の小さい四十九院沓子、彼女が一方通行の手を取ろうと自身の手の先を伸ばすが不可解な現象が起きる。

触れられない。

腕が勝手に避けていくようにあらぬ方向へと突き進む。

 

 

「やはりお主、この部屋に入ってきてからずっと魔法を発動しておるの。それ程に危険な物なのかのぉ?その聖遺物とやらは。それともお主自身に危険が迫っているのか、はてさて......」

 

 

杖をつきながら一方通行は舌打ちをする。感づかれたくなかった。だが彼は言い訳も何も言わず、すぐに立ち去ってしまった。

彼が部屋から退出し無惨な機材が置き去りとなった病室、将輝と吉祥寺は既に賢者の石についての議論を交わしていた。

対する女子生徒側は沓子の先程の行動を疑問視する。

 

 

「沓子、さっきの一方通行とのやり取りはどういう事?サイオンの乱れも何も感じなかったわよ」

 

 

「あれはじゃな、ほとんどわしの直感じゃ。この部屋に入って来てからあやつは常に周りを監視するような目で見ていたのじゃ。そこで探りを入れてみたのじゃがまさか当たるとは思いもせんかった」

 

 

栞は沓子の言葉に納得する。古式魔法を操り神道を主とした彼女の思考のプロセスは不解明だが、彼女がそう言うのならそうなのだろう。

その後は一方通行に追い出された女生徒群が部屋の惨状に驚き丁寧に掃除するのを将輝は申し訳なさそうに見つめていた。その間も愛梨は棒立ちのままだったのはよほどショックが大きかったのだろうか。

 

 

***

 

 

翌日、一方通行は雫に起こされた。睡眠時間をデタラメにとっている彼にとって起床時間は定まっていない。部屋には入院している森崎がいないため1人である。覚醒していない頭を抱え入口のドアを開ける。

 

 

「おはよう、一方通行。今日は深雪の応援に行くから準備して」

 

 

寝起きのせいかいつもより覇気がない一方通行は軽く頷きベッドへと潜り込んでいく。それを阻止するかのように雫は彼の腕を引っ張る。

 

 

「わかったわかった、取り敢えず手ェ離せ。ったく人が寝てる時に起こしにきやがって、テメェにンな権利ねェつうの」

 

 

そう言って一方通行は雫が部屋の中にいるのにも関わらず着替え始める。慌てて部屋から出ようとした彼女だったがその必要はなかった。何故なら着替えはすぐに終わりいつもの一方通行に戻っていたからだ。

 

 

「行くか」

 

 

顔が赤くなっていないかどうか心配しつつも彼女は一方通行の隣を歩いていく。彼の白さに赤は美しく映えていた。

一方通行と雫が会場についたのは深雪の試合が始まるギリギリ前だった。その場には司波グループとでも言うだろうか、いつものメンバーが一同に固まっていた。一方通行はその集団の1番端に座ることにした。

試合はすぐに始まった。一方通行には良くわからないが深雪はリードされているらしい。しかし終盤飛行魔法を発動し試合会場を大いに沸かせた。

飛行魔法はココ最近公表された技術であり会場はあらゆるところで様々な感情が渦巻いている。

第二試合、深雪が出ている試合が終わり飛行魔法についての議論が会場を巡っているのに対し一方通行の隣に比較的大柄な男が立っていた。その男は無言のまま一方通行に対し拳を振り上げる。鳴り響く爆音は騒ぎに騒いでいた観客を一瞬で静かにさせるほどだった。

男は自らの腕に違和感を感じた。確実に殴っているのだが右腕は肩口から骨が飛び出て拳は使い物にならない程粉々になっている。それに対し全くの無傷で首元に指先を当てている白い悪魔は独り言のように呟く。

 

 

「そろそろ来ると思ってた、こうやって勝手に他人の生活に干渉しやがって。学園都市の暗部程じゃねェがテメェらもそこそこのクズ野郎だな......死ね」

 

 

杖越しに立ち上がる一方通行に対し危険信号を感じ取ったとのか残った左腕で拳を突き出すが先程同様、血液が噴き出し両腕から力が抜けていく。それを見計らったのかは知らないが彼は大男を蹴り上げる。すると常識では有り得ないくらい飛んでいった。蹴り上げる瞬間彼は男にかかる重力を小さくしている。

その光景を周囲の人間は唖然として見ていた。口出しする事は出来ない。今の一方通行の琴線に触れれば何が起こるかわからない。だが彼らも一方通行の能力に若干だが巻き込まれる。彼を中心に周囲から空気が流れ、風が発生する。だが自然発生する風とは全くの異質である。

一方通行の背中から二つの翼が生える。それは白とは違う半透明な竜巻、その竜巻は4本に倍増する。そして彼は自らの杖を収縮させ邪魔にならないようにし脚にかかっていた力のベクトルを操作し浮上する。

上空では両腕が使用不能となった男が漂っていた。焦っている様子は見られない。一方通行はその様子を不審に思ったが関係が無いと無視し男に近づく。その男は自らの足で一方通行に抵抗しようとしたが無駄だった。軽く掴まれ膝を逆方向に曲げられた。苦痛が脳内を駆け巡るが判断は冷静であった。掴まれ再起不能となった足を軸とし回し蹴りを繰り出す、だが一方通行の反射の格好の的となっている。両腕両足が使い物にならない状態となりながらも男の頭はとても冷静だった。自らの慣性を中和しつつ一方通行を地面側に押しやり潰そうと考えたのだ。異常なスピードで落下していく。

対する一方通行はそのような考えなど無視して男の上に乗り更に速度を加速させる。慌てたように抵抗してくるが既に地面は近い。

試合会場外でジェネレーターを確保していた独立魔装大隊の3人は上空の異質さを感じ取る事は出来なかった。彼らのすぐ傍に飛来物が落下しその衝撃が彼らにも伝わってくる。

 

 

「藤林、何が起こった!?」

 

 

土埃が舞い上がる状況では確認する事は出来ない。だがその埃は飛来物を中心に一気に晴れる。

独立魔装大隊の目には恐ろしい光景が映っていた。

コンクリートのガラクタに沈んだ捕まえた男に似た人間と、それを細い脚で踏み躙る全身真っ白で先程の土埃の中心に居るのが嘘のように白い。

だがその中の紅い瞳はこちらを見据えていた。

 

 

「雑魚が何人いたって無駄なンだよ、さっさと塵になれゴミ共」




少し更新速度が遅くなると思います。

ps.猿死ね、氏ねじゃなくて死ね。WRまで引退します。

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