ソードアート・オンライン《かさなる手、つながる想い》   作:ほしな まつり

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【いつもの二人】シリーズです。
既に互いを知り尽くしているかのような二人に翻弄されるリズベット視点の
お話です。


【いつもの二人】その関係

学校の昼休み、私「篠崎里香」は友人達と昼食を摂ろうとカフェテリアの一角にいた。

私の隣にはシリカこと「綾野珪子」。向かいの窓側にはアスナこと「結城明日奈」が、そして

アスナの隣にはキリトこと「桐ヶ谷和人」が今まさに隣の彼女から渡させた弁当の包みを

期待充分の笑みで解こうとしている。

《あの世界》に囚われていた時に夫婦としての関係を築いた目の前の二人は《現実世界》に復帰

しても、その気持ちを違えることなく普通の高校生カップルとは思えない位の親密なオーラを

入学当初から迷惑なほど放ち続けていた。

昼食の弁当にしてもそうだ。

入学してから半月ほどが経った頃だろうか、ある程度アスナの体調が戻ると二人は当然のように

校内の中庭で彼女手製の弁当を広げるようになった。

……彼氏の為に頑張って作ったお弁当を恥ずかしそうに差し出す彼女、それを照れながらも嬉し

そうに受け取る彼氏……

 

ってゆーのが普通の高校生カップルのあるまじき姿でしょーがよっ!

 

なのに目の前の二人は清く正しい男女交際の基本を完全にすっとばしているのだ。

早起きして作ってきたんだけど、美味しいって言ってくれるかな?、といった乙女のドキドキ感や

友人達がいる学校で食べるのは照れるけど、彼女がオレの為に作ってきてくれたんだから……

といった純朴な青年の気恥ずかしさはないのかっ、と、このカフェテリアの窓から何度中庭に

向けてパックジュースを投げつけたいと思ったことだろう。

 

まあ、既にこの二人はカップルと言うより夫婦なのよねぇ……。

 

もちろんアスナ一人なら、クラスの友達とお喋りしている時や教室で授業を受けている時は

高校生らしく年相応の姿なのだが、いざキリトが同じ空間にいると途端にまとう雰囲気が

変わってしまうのだ。

それは多分キリトも同じなのだろう。

現にキリトは当たり前のようにアスナから昼食を受け取り、アスナも当然のように持参したお茶を

カップに注いでキリトに手渡している。

 

「はぁーっ……」

 

目の前の展開に思わず溜め息も出るというものだ。

そんな私の憂いを見とがめたアスナが小首を傾げて視線をこちらに向ける。

 

「どうしたの?、リズ」

「カレーが足りないのか?」

「!!??」

 

キリトのあまりの言いように手にしていたスプーンを落っことすところだった。

 

女子高生の溜め息の原因が昼ご飯のカレーの量かもと思うってどういうことっ!

 

けれどここで冷静さを欠いたら負けだ……何に対しての負けかはよくわからないけれど、

自分の中の自分がそう告げている。私はスプーンを握りなおし、キリトの言葉に対して

引きつる頬を力業で抑え込んで涼しげな笑顔で応えた。声が多少震えているのは

愛嬌と思って欲しい。

 

「カレーの量で溜め息つくわけないでしょ」

「……なら、味とか?」

 

こいつは……私にケンカを売っているのかっ。

 

笑顔をキープしつつも二、三カ所、頭の血管の破裂音が聞こえた気がした。

 

「いつもと変わらず美味しいですよ、ねえリズさん」

 

そんな私の内情に気づいているのか、いないのか、同じメニューを選んだ隣のシリカが

モグモグと小動物を思わせる仕草で口を動かしながら、同意を求めてくる。

 

「オレもアスナと食べられない時はここのカレーを食べる事が多いけど、ここの、結構

美味(うま)いよな」

 

それを聞いたアスナがすぐにキリトへと視線を移した。

「そうなの?」の問いに、笑って「ああ」と答えている。

 

「キリトくんの好みなら、辛めなんだね」

「アスナにはちょっと無理かもな」

「ひどいっ」

 

子供扱いをされたと感じたのかアスナは拗ねたように少し口を尖らせている。そんな表情も

たまらなく愛らしい。そう感じたのは私だけではないようで、キリトはそんなアスナの態度に

対して慌てるそぶりすら見せずに、目を細めて「じゃあ今度一緒に食べるか?」と更に

アスナをからかいたいのか片頬を僅かに上げて言う。

放っておいたらこの二人のいちゃつきは止まらないだろう。

目の前で解き放たれているピンク色のオーラにあてられ、私の怒りが空中分解を始めた。

 

なんか、もう……いちいちがどうでもよくなってくるわ……。

 

半強制的に自分を仕切り直すと、ぷんぷんっ、と絵に描いたように可愛らしい拗ね顔で

キリトを睨み付けている明日奈へカフェテリアの裏情報を提供する。

 

「大丈夫よアスナ。女子にだけ辛さ控えめの裏メニューが用意されてるの」

 

それから……その表情はやめなさい。キリトを余計に喜ばせるだけだから。

 

私の発言を聞いて一瞬キョトンとしたアスナだったが、すぐに納得したようで私のカレーを

覗き込んできた。

一方キリトは「そうなのかっ?!」と初めて知ったらしい裏メニューの存在に驚いている。

だいたい少し考えれば、私はともかくお子様味覚のシリカが辛口カレーを美味しいと言って

食べるはずがないと気づくだろうに。

まったく、どうしてこうもこいつは私達への関心が薄いのか……自然と二回目の溜め息が

出そうになる。目の前の男は……基本、周囲には気を遣うし、優しい言葉もかけてくれる。

一般の男子高校生と比べればそのフェミニストぶりは平均以上だ。でも彼も同様、アスナが

近くにいると途端にその視野は狭まってしまう。

結局ほとんどアスナしか見てないし、アスナにしか注意を払っていない。

 

「はぁーっ……やっぱりアンタ達とお昼ごはん食べるのって……」

 

結局、我慢できず、大きく息を吐き出してしまった。

それを見たアスナが再び「んっ?」と小首をかしげてくる。

その視線から目を逸らして、一口カレーを味わってから大げさに頷いた。

 

「うん……みんなで食べると楽しいなって」

「……それで溜め息?」

「そう、それで溜め息」

 

アスナは納得できないと言うように眉をハの字に曲げているが、私は無視してカレーを

口に運び続けた。

この二人が中庭で食べるのを監視するかのようにカフェテリアの窓際を陣取って昼食を

とる時はとる時でモヤモヤするが、寒くなってきて一緒の席で昼食をとるようになった

最近では目の前で繰り広げられるバカップルぶりに、それはそれでげんなりする。

要は遠くで見ていても、近くで見ていてもやりきれないのだ。

溜め息くらいつかせて欲しい。

はす向かいに座っているキリトはそんな私の溜め息の原因など深く追求する気もないのか、

手を合わせて「いただきます」と軽く頭を下げてから、さっそく箸を動かしている。

 

「アスナ、この味噌炒め、いつもと味が違う気がする……」

「美味しくない?」

 

少し不安気な表情でアスナが問うと

 

「これはこれで美味い」

 

ちゃんとアスナに顔を向けて笑顔を浮かべた。その返事に安心したように顔を綻ばせてから

彼女も同じ味噌炒めを口に運んでいる。

 

「少し刻みショウガを入れてみたの」

 

多分、寒くなってきたから身体を温める効果のあるものを、と思ったのだろう。アスナの

料理の腕は確かだが、だからと言ってただ「美味い、美味い」と食べるだけではなく

キリトは色々と感想を言ってくれるそうで、それが嬉しい、と前にアスナが話していた。

今のやりとりを見ていると、作ってきてくれるアスナに気を遣って無理に言っているわけ

でもなさそうだ。

キリト自身、家のキッチンに立つことが多いらしいから、自然と色々思うのだろう。

味付けからはじまって、食材の話など今日のお弁当の中身で会話がはずんでいる。

私も隣のシリカとクラス内で起こった出来事などを話題にしながらカレーを堪能した。

 

「……そうなのよねっ、クラスで女子が少ないと、そういう時に、」

 

カチャンッ

 

いつの間にかシリカとの会話に夢中になっていた時、前にいるアスナがお箸を落としたらしく

弁当箱に当たった音で会話が止まった。見れば少し俯いて両方の目をギュッと瞑っている。

すぐ異変に気づいたキリトが覗き込むように声をかけた。

 

「アスナ?」

「……ん、大丈夫。ちょっと目の前がチカチカして……」

「貧血か?」

「う、ん……」

「大丈夫ですか?、アスナさん」

 

隣のシリカも心配そうに声をかけているが……そこまでの会話を聞いて私は「そう言えば」と

思い出す。朝からアスナの様子が少しおかしかったから、どうしたのかと聞けば困ったように

笑って「今日はちょっと辛いんだー」と言われて全てを納得したんだっけ。

 

まあ、このしんどさは男のアンタにはわかるまい……。

 

なのでアスナも曖昧な返事を返したのだろう。これ以上は追求しないでやって欲しい。

 

「ありがとう、シリカちゃん。大丈夫だよ。食事、続けて」

 

アスナは力なく微笑んでシリカを促した。その言葉を素直に受け取って再びスプーンを

動かし始めた様子をアスナは安心したように眺めているが、その表情に横から不安げな視線を

送り続けている男がひとり。そして私はその男の一挙手一投足を見張っている。

いくら彼氏でも高校生の男子に女子特有の身体の状態を告げるのは抵抗のある女生徒が

ほとんどだ。更にアスナに問うようなら間に割って入ろうと見守っていた時、キリトが

しばし考え込んでから、アスナの耳元に顔を寄せた。

 

「薬は?」

「……うん、今朝飲んできたけど……食べ終わったらまた飲む」

「ならもう少し箸をつけろよ。痛み止めは胃が荒れるから」

 

小さい声だったが確かに聞こえて、アスナのお弁当箱を見れば半分以上残っている。

かたやキリトの方は大きめサイズの弁当箱にもかかわらず、完食目前だ。最後に食べるつもり

だったと思われる一口サイズに切ったリンゴをポンポンと口に放り込むと、キリトは食べ

始めと同じように両手を合わせて「ご馳走様」と言うやいなや、ガタンとイスから立ち上がり

「水、とってくるよ」と告げて席を離れていった。

あっけにとられている私の横で、シリカがカチャカチャと食べ終えた食器をまとめながら

首を回してキリトの後ろ姿を目で追っている。

 

「あれ?、キリトさん、お水取りにいったんですか?……私、次が体育なのでお先に失礼

しようと……」

 

多分、私と会話を楽しんでいた頃から時間を気にしていたのだろう、目の前の二人の

やりとりには気づかなかったふうで普通に水を取りに行ったと思っているのか、キリトから

視線を外すと「ご馳走様でした」と言い、すぐにイスから立ち上がった。

そんなシリカを見上げながらフォローをいれる。

 

「あ、うん。キリトには私から伝えておくわ」

 

その様子にアスナも慌てたように軽く微笑んだ。

 

「またね、シリカちゃん」

 

私とアスナからの言葉に笑顔で頷くと、空の食器を乗せたトレイを持って急ぎ足でテーブルを

離れて行く。二人きりになったところで、再び冴えない表情に戻ったアスナに向かい、首を

伸ばして小声で話しかけた。

 

「ねえ、アスナ……もしかして、キリトってアンタの生理周期まで把握してるの?」

「ふぇっ!」

 

何を言い出すのかと驚声を上げたアスナはすぐさま顔を赤くして勢いよく首を横に振る。その

せいで更に目が回ったらしく、いつもは意志の強さが籠もっているヘイゼルの瞳は焦点が合わずに

宙を彷徨い、それに引きずられるようにフラフラと頭をふらつかせた。

 

「ごっ、ごめんっ、ちょっと、大丈夫!」

「う……ん、ちょっと……横になる」

 

消え入りそうな声でそう告げると、熱に浮かされたような表情のままキリトの座っていた場所に

パタンと上半身を倒す。そんなに辛いなら保健室に行って横になればいいのに、と思って

午前中も何度か勧めてはみたが、「病気じゃないんだから」と言って聞き入れてはくれなかった。

それにしても気になるのは、さっきのキリトの勘の良さだ。

アスナの体調を今の今まで知らなかったのなら、あれだけの会話で正確な答えを導き出すほど

あいつは女の子慣れしたヤツだったろうか?……否である。

だったらどうして?……と考えて、ふと、思いついてしまった自分を全力で否定しなくなる想像が

頭の中を占領した。

 

えぇ?……まさか……まさか……ねぇ……でも……アイツなら……ありうる……かも。

 

「キリトとどこまでいってるの?」……この問いを今まで何回アスナに向けただろうか。

その度に頬を真っ赤にそめて「ないないない、全然ないよう」と引きつった笑顔で

否定の態を崩さない親友に、それでも私は疑いの眼で見ずにはいられなかった。

そんな表情で発した言葉を素直に信じるほど付き合いの浅い仲ではないのだ。

だいたいキリトに同様の質問をすれば「ははは……」と乾いた苦笑いで誤魔化される。

そう、ヤツは否定をしない。

それに《あっちの世界》でも《こっちの世界》でも二人の様子を見れば何もないわけが

ないことなど一目瞭然だ。

ちょっと目を離せば寄り添っているし、ふと見れば手を繋いでいる。

キリトがアスナの頭をポンポンと撫でるように触れるのなんて日常茶飯事だ。騒がしい

場所ではいつの間にか顔を寄せ合って内緒話をしているし、うっかり人気のない場所で

二人を見つけて声をかければ、慌てたように二人揃って背筋を伸ばしている。

だいたいこの二人はお互いが傍にいることに緊張がない、なさすぎる。

どちらかと言うと自分達の周りに私達がいることで緊張しているように見えるくらいだ。

そんな様子から導き出した私の信じたくない想像は……キリトがアスナの生理周期を

計算ではじき出したのではないか?、ということだ。

アイツは乱数を利用したアルゴリズムでもモンスターのポップする間隔をほぼ正確に

はじき出す……そんなアイツならアスナのこれまでの不調時期を知っていれば、だいたいの

目安はつくのでは……。

そしてここからが拒否反応を示す核心的な想像部分だけれど、アスナがここまで不調を露わに

するのは珍しい、という点から普段は周囲に気づかれる程ではないのだ。

それでもキリトが彼女の体調不良を知るきっかけは何かと考えれば、それは……

 

キリトの……その、甘いお誘いをアスナが生理を理由に断ったから……かも……とか……

 

考えを順番に整理していって到達した結論に頭を抱えたくなった。

 

「何してるんだ?、リズ」

 

ふいにいつの間にか戻ってきたキリトの声が頭上から降ってきて、無意識に《現実世界》で

頭を抱えていたことに気づく。

 

「わっ……ああ、なんでもないわ」

「アスナ、寝ちゃったのか?」

「寝てないと思うけど……ごめん、私がつい精神的に揺さぶったら倒れちゃったの」

 

「まったく、何やってくれてるんだよ」と言いながらも「アスナ」と優しく呼びかければ、

虚ろな瞳のままのろのろとアスナが両手をついて上半身を起こすのが見えた。

辛そうに俯いたまま、横に置いてあったカバンの中身をゴソゴソと探りポーチに入っていた

錠剤の薬を取り出す。

それを見ながら元の席に座ったキリトが手にしていた紙コップを渡すと、明日奈は小さく

「ありがとう」と言って薬と共にコップの水を口に流し込んだ。こくん、と音が聞こえ

そうなくらい白いのど元が上下する。

すぐにキリトがアスナの手から紙コップを受け取りテーブルに置くと、ほぼ同時にもう片方の

手で彼女の小さな頭を抱き寄せて自分の肩に乗せた。それから寄りかかったアスナに

向かって今度は聞き取れないくらいの声をかけたのか、彼女は小さく頷くとそのままさっきの

ようにパタンと横に倒れた……そう、キリトの膝の上にだ。

……驚きのあまり、声も出せなかった……。

けれど同時に湧き上がる感情はカフェテリア最奥の窓際席を選んでよかった、の安堵。

この席でなければキリトの膝枕で横たわるアスナの姿がカフェ内を移動する生徒達から

丸見えになる。この様な事態を想定したわけではなかったが、出来るだけ平穏に昼食を摂る為、

アスナを他の生徒の目から隠すという意味でこの二人と食事をする時は敢えてこの席に座る

ようにしていた。

多分、膝枕を言い出したのはキリトからだろうが、それをアスナが素直に聞き入れるのが少し

意外で、体調の辛さが推し量れた。

「もう食べる気はなさそうね」と言いながら、半分も手をつけていない彼女のお弁当のフタを

閉め、キリトのと重ねて一緒に包む。

 

「シリカは次が体育だからって、先に行ったわよ」

「ああ、水を取りに行った時、すれ違った」

「アンタは?、これから授業あるの?」

「ん、午後は一コマだけだ。予鈴が鳴るまでここにいるよ」

「そう、なら、このお弁当箱は私が先に教室へ持って帰るから、あとは頼んだわ」

「悪いな」

 

片手をあげて私に礼を言うと、そのままポケットから携帯端末を取り出して何やら覗き込んで

いる。

これならパッと見は授業が始まるまでネットでも眺めて時間を潰している一人の生徒にしか

見えないだろう。しかしよくよく観察すれば、もう片方の手の行方は……膝の上に乗っている

アスナの頭を撫でているらしく僅かに左右に動いている。

 

「薬、効きが遅いようなら無理せず保健室に行きなさいって言っておいて」

「りょーかい」

 

キリトは画面から視線を私に移すと、珍しく穏やかな笑顔を私に向けた。

 

「は〜っ、アンタってアスナがらみだと、そういう顔するのよねぇ」

「はっ?」

 

私の言った意味が理解できないのか、目を見開いている。

 

「無自覚だからよけいタチが悪いわ。誤解する子が続出するからホント大迷惑」

 

未だ訳がわからないといった風のキリトが何か言葉を発するより早く、私は荷物を持って

立ち上がり、すぐさまその場を後にした。

 

 

 

 

 

そして私がカフェテリアから去った約十分後……予鈴が鳴り終わった時だ……既に教室に

到着していた私の耳には入るはずのない会話が、いまだカフェテリアの最奥で予鈴を静かに

聞き終わった二人の間で密やかに交わされていた。

 

「アスナ……予鈴鳴ったけど……」

「うん、ちょっと楽になった。有り難う、キリトくん」

 

そう言いながらもキリトはアスナの髪を梳き続けている。

 

「教室、戻れるか?」

「大丈夫、今日はあと一コマだもん」

「そうだな……で、放課後、オレん家で課題を一緒にやる約束だけど……」

「予定どおり、お邪魔させて」

 

見上げるように顔の向きを回してキリトに微笑む。

 

「ああ」

 

優しく頷くその表情を見てからアスナは少し言いにくそうな口ぶりで「でも」と言葉を

紡ごうとすると、キリトの人差し指がそっと彼女の柔らかな唇に触れ声を遮った。

 

「わかってる……今日は……我慢するよ、キスだけで」

 

 




お読みいただき、有り難うございました。
女性は大変です。その辺はもう照れることなくキリトは労ってくれる
間柄だと思って書いてみました……でもキスはするんですね(笑)。
キリトは甘味も辛味もいける口だと思うのですが、アスナはキリトほど
辛い物は得意ではないかな?、の独自設定で進めました。
イメージで言うと辛いのが大丈夫なのはシノンでしょうか?
次がリズベットあたりかと……。
次回は《現実世界》のお話です……までは決まっていますが、内容は
どのエピソードを投稿するか未定です。

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