ソードアート・オンライン《かさなる手、つながる想い》 作:ほしな まつり
《現実世界》の生活と互いの関係に慣れ始めた、とある週末のお話です。
国際線の空港からそのままタクシーに乗り二時間弱、週末の夕刻ということもあって何度か軽い渋滞に巻き込まれながら約五ヶ月ぶりに辿り着いた我が家の玄関は真っ赤な夕陽の照り返しを受けていて、眩しさに思わず片手で目を覆ってしまう。
アメリカでも日本でも夕陽は同じはずなのに、木造の家屋や和風然とした庭の植木や草花、その先にある古びた道場が朱の陽光を浴びた姿はどこか懐かしく自分を落ち着かせてくれた。
海外での赴任生活にはすっかり慣れたつもりだったが、知らずに郷愁を覚えていたのだろうか?、と自分に疑問を投げかけつつもスーツケースを足下に置いて手にしていた鞄から玄関の鍵を取り出す。
週末とは言えこの時間、多分妻は不在だと予想してあとの家族二人の姿を思い浮かべるが、娘は部活動に心血を注いでおり夜にならないと帰ってこない事が常だと知っている。息子の方は体調がどれほど回復したのかこの目で確かめるまでは気遣ってやるべきだろうと判断して二階の自室で横になっている可能性も考え、インターフォンの音を鳴らさず自ら差し込んだ鍵を四分の一、回転させた。
もしかしたら全員留守かもしれないな、と思いながら知らずにふぅっ、と息を吐き出す。
アメリカの気候に慣れた身体で現地を出発し、空調の整っている機内で数時間を過ごした。日本の空港から全く外気に触れずここまでやって来たところでタクシーを下りた途端、六月の日本という梅雨特有の蒸し蒸しとした湿り気の先例を受けた身としてはとりあえず風呂に入りたい。
しかし家族が誰も居なかったら長距離移動で疲れ切っている身体のまま風呂の準備をしなくてはいけないのか、と考えると、つい、シャワーでいいか、と妥協に傾いてしまうのは長期に渡る単身赴任の弊害だ。
しかし玄関の扉を横開きにした途端、そんな想像の範囲をはるかに超えた事態が正面の廊下奥からやってきて、桐ヶ谷峰高氏は玄関に片足さえ踏み込められない状態のまま固まった。
解錠の音が聞こえたのだろう、キッチンから廊下に顔だけを覗かせた少女が一瞬キョトンとした表情を浮かべたものの、すぐにパタパタと廊下を小走りでこちらに向かってくる。
上がり口までやってくると、スッと膝を落としてスカートの後ろのプリーツを手で整えながら流れるような動作で正座をし、伺うような視線で「あの、どちら様でしょうか?」と尋ねてきた。
「どちら様?」と尋ねたいのは私の方だが……と口にしそうになった峰高氏は、彼女のあまりにもこの家に馴染んでいる様子に一瞬だけ自宅を間違えたのでは?、と内で狼狽する。
しかし、すぐに自分が持っている鍵で玄関を開けたのだから、と気持ちを落ち着かせ、次なる可能性として娘の友人なのか?、と彼女を観察した。
しかしすぐに違和感を感じる。
娘……直葉の友人とは直接会った事はないが、妻の翠から伝え聞いた話では中学に上がってから今現在も土日はほぼ部活で学校に出掛けているらしく、家に友達を連れて来る事は滅多にないらしい。たまの休みでも部活の仲間達と買い物に出たり遊びに行ったりと家に全く居着かないとこぼしていたが……だいたい翠も仕事でほとんど家に居ないのだから直葉に文句は言えないだろう、と峰高氏は妻と娘のバイタリティーに富んだ共通点を認めてから改めて目の前の少女を眺めた。
直葉と同い年というなら随分と大人びていると言うか、落ち着きがあり、尚且つ初対面の人間に対しても礼節をわきまえた態度だ。
突然の見知らぬ少女の登場に驚くばかりだったが、こちらも気を静めてみれば先程キッチンからこちらに向かって来た姿は、昨今、欧米並みのスタイルを有した若者が珍しくなくなってきたとは言えスラリと伸びた手足に色白の肌、十代後半の危うい均整さを保つ魅力的な身体の線に加えてこちらを見つめているその瞳の美しさは彼女全体を象徴していると言ってもいい。
随分と可愛いと言うか、美しいお嬢さんだな……峰高氏がうっかり見惚れてしまいそうになった時だ、背後から急速に足音が近づいてきたのに気づき、振り返ろうとするよりも早く、耳元で「アスナっ」と息子の焦り声が飛び込んできた。
玄関の扉が開いていて、そこに男性の後ろ姿を目にした和人は両手を塞いでいるスーパーの袋の重さなど物ともせず玄関に向かって走り出した。
なぜ玄関の鍵を開けたのか、男に何かされてないか、疑問と不安と焦燥感で足をもつれさせるように彼女の無事な姿を確認すべく入り口を塞いでいる男の横に身体を滑り込ませる。
片や峰高氏は自分の耳元で女性の名を呼び衝突する勢いでやって来た和人の姿に唖然とした。これほど息子が感情を露わにするのを見るのは本当に久しぶりだったからだ。
「……和人」
「と……父さん!?」
互いに見つめ合い、互いに驚きの表情で互いの呼称を口にする。
そして一拍遅れて明日奈が「えっ?」とはしばみ色を大きくした。
唖然としたまま静止状態の父子に代わり明日奈がパチパチと瞬きをした後、峰高氏に向かって「キリ……いえ、和人くんのお父様、ですか?」と確認するように問いかければ、仰天したままの顔をぎこちなく動かして視線を戻した氏が「ああ」と肯定の言葉と共にひとつ頷く。
途端に恐縮したように細い肩を縮混ませた明日奈は両手を床に着いて「ごめんなさいっ」と頭を下げながら謝罪の言葉を口にした。
「和人くんのお父様とは知らずに、どちら様ですか、なんて……本当に失礼な事を……」
そこですかさず和人が父の横をすり抜けて玄関に入り、荷物を置いて明日奈の肩に手をおいた。
「いいってアスナ。アスナは留守番をしてくれてただけなんだから」
息子の言葉に父の目つきが険しくなる。
「和人……他所様のお嬢さんに留守番をさせていたのか」
少し低めの声で咎める視線を送られた和人は怯むことなく父を見返して気負いも見せずにさらりと言葉を吐いた。
「まだあまり無理をさせたくないんだ。買い物に連れ回すより家にいてくれた方が安心する」
息子の確固とした言い様に、おや?、と内心、少し意外に思った峰高氏だったが、すぐに寸刻前とは打ってかわった歯切れの悪い息子の声が思考を遮る。
「で、……あー……ええっと……その……彼女はさ……」
言葉を探しているのか明日奈とも峰高氏とも視線を合わせず自分に向け小声で「父さんに紹介するのはもっと先だと思ってたんだよなぁ」とブツブツ言い訳じみた呟きをこぼしていた和人が、ふと正座をしたままの明日奈に気づき急いで土間を上がった。
まずは先に、と彼女の足を気遣って立ち上がらせる為に隣に移動し、腰をかがめて両手を差し出すがそれを栗色の髪を揺らすことで拒んだ明日奈は改めて背筋を伸ばし正面から峰高氏を見上げる。
「初めまして、結城、明日奈と申します。お留守中、勝手にお邪魔して申し訳ありません。」
少し高めの澄んだ声と柔らかな笑顔の次に見せた恐縮しきった表情、どれもが彼女の清廉さを示しているようで、もともと彼女に対して負の感情など抱いていなかった氏は丁寧な謝辞に対し、慌てて己の手を振った。
「いやいや、こちらこそ留守居などさせて。和人の父の峰高です。私の留守中とおっしゃられても、私は海外赴任中でほとんど家を空けていますので……」
「そうだよ。突然帰国する父さんが悪いんだろ」
どこか開き直ったように全ての原因は父親だと言いたげな和人が横柄な口をききながら今度こそと少々強引に明日奈の手を掴む。異変がないかを確かめる為にほんの束の間、華奢な手を包み込んだまま彼女に顔を近づけた。
「……アスナもびっくりしただろ、突然知らない男が玄関開けて入って来たんだから」
和人が怯えや震えを確かめているのだとわかった明日奈は安心させるように軽く微笑んでから「大丈夫」と小さく頷く。
「雰囲気がとても優しくて穏やかだったから……少し和人くんと似てるなぁって……」
「似てるか?」
「うん」
肯定しがたい言葉なのか、僅かに渋る口調の和人へハッキリと言い切った明日奈は支えを借りて立ち上がると「有り難う」と告げてから峰高氏に向き直った。
「帰国されたばかりでお疲れですよね。お風呂の準備しましょうか?」
「それは有り難い」
「和人くんは買ってきた食材をキッチンに運んでおいてね」
「了解」
てきぱきとこの場を仕切ってから浴室に向かって去って行く明日奈の後ろ姿を見ながら置きっ放しになっていたスーパーの袋を持ち上げる和人の隣で、ようやく我が家の敷居をまたいだ高峯氏がこれまた自分のスーツケースと鞄を手にしたまま彼女を見送る。
少し急ぎ足の歩調に合わせて揺れる栗色の髪が廊下から消えると、父はゆっくりと顔を横に向けた。
既に身長差はないに等しい。
「私の帰国は一週間ほど前に翠に伝えておいたはずなんだがな……」
「あー……、母さんとはここ数日、まともに顔を合わせてないんだ」
「相変わらずか」
「うん、相変わらず……かな。母さんも、もちろんスグも」
唯一、息子だけは随分と変貌したように見えて、峰高氏はしげしげと息子の全身を眺めてから気になっていた体調を尋ねた。
「それで和人、お前、身体の方はどうなんだ?」
「もうすっかり元通りだよ。でもアスナは時々だけど足に痛みが出るらしくて……」
まるで自分の事のように表情を歪めた息子に高峯氏は瞠目した。息子が目で見て分かるほどに他者に心を砕く様を表すとは、あの二年の入院生活より以前には想像も出来ない姿だ。
しかし、言葉も忘れて自分を見つめている父の視線などまるで気にならないのか、和人は明日奈の指示通り食材と思われる荷物がたっぷり入った袋を左右に持ってキッチンへと歩き出す。しかしすぐに足を止め、思い出したように「そうだ」と呟いてこちらに振り返った。
「マウンテンバイクの資金、有り難う。バイトを始めたらちゃんと返すから」
妙に律儀な事を言う息子が可笑しくて峰高氏は頬を緩める。
「それは翠と私からの、お前の退院祝いと二年分の誕生日プレゼントだと言っただろう?」
「でも……」
「いいから、そんな事は気にしなくていい」
「なら……有り難う」
「ああ…………で、あのお嬢さんか、お前がその自転車で見舞いに通っていた相手は……」
「う゛…………そうだ……けど……なんでその話……」
「翠がな……嬉しそうに電話してきた」
「…………母さん…………」
素直に礼を言った時の穏やかな笑み、母によって自分の所行が筒抜けだったと知った時の気恥ずかしさと呆れが混じった口元、この短い会話の中でくるくると表情を豊かに変える息子を見るのは峰高氏にとって何年ぶりかのような気がした。和人が十歳の時、自分の本当の出生を知って以来、父親と思っていた男を見る彼の目が変わってしまったと感じていたからだ。
それでも自分にとっては息子である存在に変わりない和人があの《仮想世界》に囚われて約二年、無事に意識を取り戻したと連絡が入った時、峰高氏はすぐさま取れるだけの休暇を職場からもぎ取り、日本に帰国してクリスマス休暇と合わせて二ヶ月ほどを彼の傍で過ごした。
大人の自分が見ても、どうしてそこまで、と胸が苦しくなる程がむしゃらにリハビリに励む息子の姿はまるで何かに取り憑かれたようで、早く、早くとその先にあるはずの物を手に入れようとするがごとく前進を続ける必死さはかつての無気力に等しい瞳とは全くの別物になっていた。
松葉杖なしでも歩行が安定した頃、峰高氏の休暇も終わりを告げ、くれぐれも無理はしないようにと言い聞かせてアメリカへ戻ったのだが、ほどなくして妻から和人がマウンテンバイクを欲しがっているとの連絡が入り、その願いにも大いに目を見開いた覚えがある。
もともと身体を動かす事が不得手ではなかったようだが、ジムに通いたいと言い出した時も自分の身体の為、と言うよりは誰かの為といった雰囲気を漂わせていたので、今回のマウンテンバイクの件もただ単純な物欲だけではないのだろう、と判断してすぐさま許可を出した。
案の定、ややあってそこそこ乗りこなせるようになった和人が所沢の病院に三日と開けずに見舞いに通っているらしいと妻から氏へ報告が入る。
一体誰の元へ通っているのか、と仕事をしながらも気にはなっていたが、直接息子に問うのは気がひけてそのままにしていると二月の半ば頃だったろうか、娘の直葉からの又聞きという形で妻によってもたらされた、息子が《あの世界》で知り合った少女の元を訪れているのだという情報は氏を随分と驚かせた。
年齢を考えればごく当然の事なのだろうが、父親としては何と言うか息子は異性に関心が薄いタイプだと思い込んでいたようだ。
ともあれ、その後、年度末の慌ただしさに伴い和人が春から通う帰還者学校への手続きやら準備やらで翠も多忙だったらしく、しばらく何の連絡も無かったのだが……五月の中旬、和人がゴールデンウィーク中に例の彼女を家に連れて来たと随分浮かれた妻の声が峰高氏の鼓膜を刺激した。
「それがもうっ、本当にお人形みたいに綺麗なお嬢さんなのっ」
「ほお」
意外にも和人は面食いだったのかと、これまた息子の知らない一面を見たようで、峰高氏は携帯端末を持つ手を僅かに揺らす。
「それに和人がね、こっちが照れるくらい彼女に優しく接するのよ。まるで大切な宝物を守るみたいに、大事にね」
「……」
もう言葉も出なかった。確かに元来、優しい性格の息子だが女の子一人にそこまで特別扱いをする姿がまるで想像できない。
「それに彼女の方も和人の事が大好きなのね……仕草とか視線とか言葉でそれが伝わってきて……あー、早くあなたにも会わせてあげたいわ」
と、そこまでの夫婦の遠距離通話を思い出し、先程の息子と彼女とのやりとりを見て峰高氏は納得した。名前は聞きそびれていたが……自分はどうやら帰国早々、自宅の玄関で息子の宝物からの出迎えを受け、妻の言葉が大げさでも何でも無く彼女の容貌はもちろん、互いを想い合う言葉や所作はまさに相思相愛のそれに違いないということを。
風呂から上がった峰高氏の足は何やら楽しそうな気配が漏れているキッチンへ自然と引き寄せられて、次にその入り口に近づくにつれ気配だけではなく和食特有の出汁や醤油の香りに鼻が反応する。
途端に空腹を自覚した氏がそっとキッチンを覗くと、そこには若い新婚夫婦かと見まがう程の仲睦まじげな二人の姿があった。
「悪いな、アスナ。急に一人増えちゃって」
「うううん、大丈夫だよ。もともと保存が効く物は多めに作って冷蔵庫や冷凍庫に入れておいてね、っておばさまにお願いされてたから」
「……いつも来る度に頼んでるよな。でも、ほんとアスナの作り置きは正直助かる」
二人の会話を聞いていた峰高氏は自分の妻の遠慮の無い要望に頭痛のする思いを味わった後、ゆっくりとキッチンに足を踏み入れた。
「ああ、さっぱりしたよ。けれど、なんだか申し訳ない。お客さんである明日奈さんに家事をさせておいて先に風呂をもらうなんて……」
幾分照れた笑顔で峰高氏がやって来ると明日奈は濡れていた手を拭きながら和人に向かって小声で「焦げないようにかき混ぜててね」と木べらを渡すと「冷たいお茶でもどうですか?」とニコリと尋ねた。
「気になさらないで下さい。私の兄も海外出張から戻ってくると、いつもお風呂に一直線の人なんです。浴槽に浸かると日本に帰ってきたって実感するんですって」
少し恥ずかしそうに身内の話をした明日奈に和人と峰高氏が揃って「へぇ」「ほぅ」と相づちを打つ。冷蔵庫から取りだした冷茶を彼女がグラスに注いでいる間に和人が「風呂好きは兄妹共通なんだな」と呟く声を隣で聴いた氏は、そんな事まで知っているのか、と目を見開いたが、それを口にするより先に目の前に盆に乗ったお茶が差し出された。空腹ではあるが、それ以上に冷えた飲み物は風呂上がりの身に有り難く「すまないね」と素直に受け取る。
ゴク、ゴク、と半分ほどを飲み干してから峰高氏は明日奈に対して僅かに眉尻を下げた。
「さっき和人から聞いてね、学校の弁当まで作ってくれているそうじゃないか。それに、今日みたいにうちで料理をするのも初めてではないようだし……少し前の会話、聞こえてしまったんだが妻がずうずうしいお願いを……」
「いえっ、お弁当は私が言い出したんです。それに毎日じゃないんですよ、週に三回くらいですから…………私は自分が作ったお料理を食べてもらうのが嬉しいので……」
そこにすかさずニヤリと口角を上げた和人が口を挟む。
「今日の夕食、期待してていいよ、父さん」
「キリ……和人くんっ」
明日奈の戸惑う声とは反対に当然とばかり自信に満ちた和人の声は「オレが保証するから」と楽しそうだ。
「だってアスナの手料理を一番食べてるのはオレだろ?、そのオレが言うんだから間違いないよ」
「それは、そうだけど……でも、私、おじさまのお好きな食べ物とか知らないから」
「味付けの好みなんかは割とオレと似てるよな」
問いかけてくるような視線に思わず峰高氏が頷く。
「そうだな。翠や直葉は基本甘党だが、私と和人は辛い物も好むし……」
「あ、なら、よかった」
心底ホッとしたような柔らかな笑顔の明日奈に父親が目を細めたのを見た和人が、チョン、チョンと彼女の肩を突き自分の方へとその笑顔を向けさせ「アスナ、まだか?」とかき混ぜていた鍋の中身へ視線で導いた。まるで父の視界から彼女を遠ざけるように和人が二人の間に回り込むと、一瞬面食らった表情の峰高氏だったが、ははぁ、これが翠の言っていた宝物を守るように、というやつか、と内で苦笑いを零す。別に触れようとかあまつさえ盗もうなどとは露ほども思っていないのだが、つい目がいってしまうのは事実で、これほど色々と整ったお嬢さんならば下心を抱いた男性からの視線は多いだろう、と息子の気苦労を察すると同時に既に条件反射のように彼女を庇う息子の男っぷりを頼もしく思う。
「妻に言わせると私と和人は味覚が精神的に似てるらしいんですよ」
「おばさまらしい言い方ですね」
穏やかな微笑みの意味をくみ取って、手前に居る和人に視線を移せばこちらも落ち着いた笑顔で頷くので、峰高氏は自分と和人に血縁がない事を明日奈が承知していると確信した。その上で出会った玄関先で自分と息子の雰囲気が似ていると言ってくれたのだと気づき胸の奥がじわり、と温まる。
そんな穏やかな空気の中、突然、和人の携帯端末のコール音が鳴り響いた。
お読みいただき、有り難うございました。
峰高氏の人物像が把握しきれていないので、ほぼオリキャラに近い
感じで勝手をさせていただきました。
ほのぼのイチャは後半までお待ち下さい。