眩しい君がいる場所に私はいない。(仮)   作:自虐性症候群

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桜散る季節─続。

「──はい。失礼しました」

 

 

 職員室から退出し、自分の教室へと足を進める。

 あの後、織斑先生にボイスレコーダーを渡すと何故こんな物を所持していたのか聞かれた。何も隠すことはないので政府の方から渡された、と言うと織斑先生は少し顔をしかめていた。しばらく沈黙したあと時間も無くなっているといったら、お前はできるだけ一夏に干渉はするなよ? と言伝を貰い、この話は終わった。

 干渉をするなと言われても、向こうから近づいて来るのをどうしろと? それで無視したらしたで周りの女子から何か言われるし、話しても睨まれるし······理不尽だと思う。

 

「······はぁ」

 

 教室に戻り自分の席に座り小さくため息をつく。

 ふと誰か近づく気配がして顔を上げると織斑くんがいた。何故いるのですかね···。

 

「麻里、ちふ──いや、織斑先生と何を話してたんだ?」

「······先ほどのボイスレコーダーを先生に渡してきただけです」

「ふーん。あ、そういえば。麻里って代表候補生だったんだな。流石麻里。相変わらず凄いなぁ」

「いえ、そんなことは無いですが」

「いや、凄いだろ実際。代表候補生って皆エリートなんだろ? えっと···お前が転校したのが中学2年···いや、3年の始めか。それじゃあ1年で代表候補生になったんだろ? やっぱ凄いじゃん 」

「······どうも」

 

······なんで私ばかり話しかけてるのだろうか。私のことなんていいからさ、まわりを見ようよ。クラスの人たちと廊下の人たちが、なんでお前ばかりと言わんばかりの目線が鋭く突き刺さっているのですが? どうして私なのだろうか。

 予鈴が鳴り、織斑くんは自分の席に戻っていった。ただ、クラスの人たちからの目線は先生方が来るまでなくなることは無かった。

 

「······はぁ」

 

 

      ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

 

 放課後。自分がこれから住む寮の部屋に来ていた。部屋の番号は1024号室。部屋に入る前に隣の1025号室へ篠ノ之箒さんが入っていくのを見かけたが気にすることは無いだろう。

 内装は高級ホテルのようだった。荷物が私の物しかないのでこの部屋に同室の人は来ないようだ。取り敢えずダンボールに入っている荷物を直して取り敢えずシャワーを浴びることにした。

 浴び終え、濡れた髪を乾かした後明日の予習をしようと教科書を開こうとした時、外からガヤガヤと少し騒がしくなってることに気付き、ドアを開ける。するとなにかの騒ぎを嗅ぎつけてきたと思われる女子がチラホラと隣の部屋の方を見ていた。確か、隣は篠ノ之さんの部屋だったはず。そう思いながら見てみると穴の空いたドアとそのドアに縋り付く織斑くん。うん? 織斑くん?

 ふと彼がこちらを向く。······なんで嬉しそうな顔をするんですか?

 

「きゅ、救世主!!? ごめん麻里! 少しの間、匿ってくれ!!」

「え······あ、ちょ」

 

 織斑くんは私の腕をつかんで開けたままである私の部屋に入り込んで鍵を占める。意味が分からない。だからなんで私なんですか? ······はぁ。

 

「······そこに座ってください。お茶でも出しますから」

「わ、悪い。助かる」

 

 椅子を指差し、座るように促す。その間、冷やした麦茶を彼に渡す。

 

「······何をしたのですか織斑くん。確か隣は篠ノ之さんの部屋だった筈ですが?」

「そ、それがさ。おれがこれから住む部屋が箒と一緒で······」

 

 部屋に入り、シャワーを浴び終えた篠ノ之さんと鉢合わせをしたらしい。なんとまあ······タイミングが悪いとしかいいようがない。

 

「その、ごめんな?」

「···なにがですか?」

「いや、お前の部屋に咄嗟とはいえ何も聞かず押し入っちまってさ···」

「···まあ、今回は事情が事情なので気にはしませんが」

 

 織斑くんは申し訳なさそうな顔をする。まあ、男の人にとって99.9%女子のこの学園は辛いだろう。今の時代、女尊男卑でもあるのでオルコットさんのような人もいる。喜ぶ男の人が居るとすれば多分それは『変人』か『変態』だけだろうと思う。

 

「そういえば、ここって麻里の部屋だろ? 一人なのか?」

「はい、そうですね。荷物も私の物しか無かったのでそうだと思います」

「······なんで俺が女子の箒と一緒で麻里が一人部屋なんだよ。俺が一人部屋だったらこんなことにもならなかったのに·····あと、どうせなら箒とじゃなくて麻里と一緒の部屋が良かったぜ」

「···なんで私なのですか?」

「いや、なんでって···好きな人と一緒に居たいと思ったからだろ? あれ? 俺、麻里が転校する前日に告白したよな? まさか、覚えてないのか?」

「いえ、あれは衝撃的だったので覚えています。それでも私は犯罪者の娘であるこんな私なのですか? 」

 

 私は犯罪者の娘。そのレッテルは一生私に張り付いて剥がれることは無い。

 そういうと織斑くんはなにか悲しそうな目をして私を見ていた。

 

「何言ってんだよ。犯罪者の娘が犯罪者であるわけないだろ? そういえば麻里が俺に言ってくれた言葉がある」

「······」

「『織斑くんとお姉さんは家族でも同じ人ではないでしょう?』ってまっすぐ俺を見て言ってくれたんだよ」

 

 その言葉は私と織斑くんが初めて会ってから少したっ手からのこと。姉と比べられ落ち込んでいた織斑くんへ送った言葉。もしかしたら自分に言い聞かせていたのかもしれない言葉。

 それから彼はクラスの人気者になっていった。

 

「今度は俺の番だな」

「······」

「麻里は麻里の両親と同じ人ではないだろ? お前は自分の意思で、行動で、努力でいまこの場所にいるんだぜ? それは犯罪者の娘なんかじゃなく『波月 麻里』としてだ。認められたからこそ国の代表候補生になれたんだぜ。無駄なんかあるもんか!」

「······」

「それに俺はお前を、『波月 麻里』を見ているからな。昔も。今も。そしてこれからもずっとな!」

 

 両手を大きく広げ笑顔で織斑くんは私にそう言った。

 なんだろうか。少し胸の奥の何かが軽くなったような気がした。彼に言われるとなんだか少し嬉しく思ってしまった。

 

「···ありがとう。何か少し軽くなった気がするよ。······うん、嬉しい」

「(初めて麻里が俺に本当の笑みをしせてくれた!? 凄く柔らかく綺麗だ···) ···そ、そっか。そそそ、そういえばやっと口調が昔のに戻ったな! 久しぶりに聞いた。いつの間にか敬語になっていたからなぁ」

 

 トクン、トクンと聞こえる自分の鼓動がなんだか安心する。そんな事を私は初めて知った。

 

 

 

     ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 

 

 

「ありがとな。少しって言ったのに長々と居させてもらって」

「ううん。そんなことはないよ。織斑くんのおかげで少し自分に自信が持てたような気がするから。こちらこそだよ」

「そうか。じゃあまた明日な!」

 

 そう言って俺は麻里の部屋を後にし、隣の自分の部屋に戻る。箒から どこに行っていたのだ! と凄い形相で言ってきたのだが、なんとか宥めることが出来た。

 シャワーを浴び終え、ベッドに寝転がり麻里が浮かべた柔らかい笑みを思い浮かべる。また彼女が好きになったような気がした。今日は色々あって大変だったけどぐっすり眠れそうだ。

 

「······(麻里を守りたいと思っていたけど、今日の彼女を見ていたら、なんか)同じ位置に並びたいな」ボソッ

「ん? 何か言ったか一夏?」

「いや、何でもない。お休み箒」

「ああ。お休み」

 

 いつかきっと、追いついて見せる。彼女はきっと俺より強い人だから。

 





やっと更新。ごめんなさい。

既に投稿した作品も少し書き換えようと思います。
いきなりでごめんなさい。
また読んでくれると嬉しいです。
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