東方人狼行軍   作:BATTU

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異変前の話となります


26話

ザッザッザッ

 

 

「・・・」

 

 

シャベルを持ちいつものオーバーコートの姿で雪を屋根から降ろす小夜

オーバーコートは宴会後日に文が持って来てくれた。置いてきた時より随分綺麗になっていた、僅かに椛の匂いがするのは彼女が洗ってくれたからだろう

 

前回の紅霧異変から早数ヶ月

4月下旬に差し掛かった頃、幻想郷は白い雪に覆われていた

 

小夜は人里にて屋根の上の除雪作業に取り掛かっていた、慧音から頼まれた仕事だ

4月になってからも雪は溶ける事は無く、今も多少ながら降り続いてる

それもあり博麗神社に参拝に来てくれる者達が少ない為、少し金銭面で問題がある。だから、こうして仕事を探しに人里に来たのだ

 

 

「おーい小夜くん!そろそろ休憩にしよう」

 

「・・・」バッ

 

 

慧音の声を聞き、屋根から飛び降り着地する小夜

今やっている場所は慧音が勤めている寺子屋だ、雪の日であっても寺子屋に通っている里の子供やチルノや大ちゃんの様な妖怪の子供は元気に雪合戦をして遊んでいた

 

その中にはフランの姿もあった

 

まだ力のコントロールは完全では無いが1人で外に出ても大丈夫な程には改善され、宴会の時に慧音から寺子屋に通ってみないかとフランに提案した。レミリアからの許しも得てこの4月の始まりからチルノたちと共に通いはじめた

 

 

「・・・楽しそうだ」

 

「そうだな。最初は不安がっていたがフランも最近はやっと寺子屋の皆と打ち解ける様になったよ」

 

「・・・雪は、未だに止む気配はなしか」

 

「あぁ、確かにもうすぐ春になってもおかしく時期だが雪が止む気配はない。だが、別に珍しい事でもない。本当にたまにだが、4月に入って雪が降っていたという前例はあるからな・・・霊夢と霊香の方はどうだ?」

 

「同じだ。まだ異変だと断定しづらいらしい・・・様子を見ると言っていた、霊香は全て霊夢に任せるそうだ」

 

「そうか。まぁ、里の者たちも特に不審がってはいないし、子供たちはまだ雪遊びが出来るとはしゃいでいたしな」

 

「・・・」

 

「おーい!おおかみ兄ちゃーん!一緒に遊ぼうよう!」

 

 

チルノから誘いの声が掛かり、他の子供たちも小夜を呼ぶ

 

だが、途中の仕事を放っておく訳にもいかない為、首を左右に振った

 

 

「いいよ小夜くん。もうほとんど終わっているから子供達の相手をしてあげて欲しい、それも立派な仕事だ」

 

「・・・分かった。慧音もどうだ?」

 

「私か?うーん・・・そうだな、たまには童心にかえるのも悪くないな」

 

 

結局、2人も混ざり皆で雪合戦をする事になった

 

 

 

 

 

 

数時間後

 

「楽しかったぁ〜」

 

「そうか・・・良かったな」

 

 

あの後は慧音と俺対子どもたちという対決で雪合戦をやった

 

まぁ能力を使い楽に避けながら相手していた

その為、卑怯だぞと言われたりしたが俺は知らない

 

 

「おおかみ兄ちゃんの能力は卑怯だよ本当に」

 

「・・・当たりたくはないからな。フラン、もう慣れたか?」

 

「うん。ルーミアやチルノ達も居たから大丈夫」

 

「他の皆も私達の知り合いだからと言ったすぐに仲良くなれてましたよ」

 

「そうか・・・ありがとうな2人とも」

 

「フランは友達だからな。これくらい最強のあたいに掛かれば楽勝!」

 

 

そんなたわいも無い話をしながらフラン、チルノ、大ちゃんの3人と共に人里内を少し探索しながら帰宅していた

 

フランは何時もなら咲夜の迎えが来ていたのだが、今日は紅魔館の仕事が多忙で来れないために俺に任された

人里の探索はフランの希望で行っており、チルノと大ちゃんは帰るまで一緒だからという事で共にいる

 

そんな時だ。目の前にふわふわと白い塊の様な物が四人の方に向かって来た

 

 

「なんだなんだ?変わった雪だな」

 

「これも雪なの?全然地面に落ちないよ?」

 

「雪じゃないよこれ・・・魂魄じゃないかな」

 

「魂魄・・・?」

 

「はい。霊魂とも呼びますけどつまり死者の魂です」

 

 

初めて見る死者の魂

 

いくら幻想郷でもそうそう魂魄が漂っていることは無いらしいが、ならばなぜこの魂魄は人里に居るのか

 

遂に小夜の目の前にまで来た魂魄を右手で掴んでみる

魂など言うから触れない物かと思ったが普通に捕まえられた、感触は柔らかく例えるなら出来たての餅の様なモチモチとした感じか

 

 

「お餅みたい。食べられるかな?あ〜」

 

「だ、ダメですよ!食べられない物ですよ!」

 

 

小夜の隣に飛びながら近づき、魂魄をフニフニと触りながら口に入れようとするフランを大ちゃんが必死に止めた

 

 

ミョーン!

 

 

「・・・ん?今何か聞こえなかった?」

 

「「え?」」

 

「・・・」

 

 

チルノの言葉にフランと大ちゃんは耳をすませてみる

一方の小夜は人狼、つまり犬と同じように人間より何倍の聴力を持っており先ほどチルノが聞こえたであろう謎の音をしっかり聞きとっていた

 

確かにみょーんっと聞いたことの無い鳴き声が聞こえたのだ

 

 

「あ、またなんか来る」

 

「「「?」」」

 

 

フランの言葉にまた前を向く一同

前方からやって来たのは白髪のオカッパ頭に腰に刀を帯刀した少女がキョロキョロと周りを見渡しながら走っていた

 

 

「い、今誰かに半霊を触られたみょん!い、一体どこにいるのー!」

 

「・・・どうやら、これを探しているようだ。おい」

 

 

小夜の声に反応し、少女は急停止する

 

 

「な、なんですかみょん!こ、こっちは今大切な「・・・魂魄」半霊を探し、え?」

 

 

片手に持つ魂魄を少女の目の前に差し出すと少女は目を一瞬丸くして魂魄を抱きしめる

 

 

「よ、良かった!やっと見つかったみょん!・・・はッ!ん、ゲフン。え、えーと、これを見つけていただきありがとうございます」

 

 

やっとこちらに気付き、我に返った少女は咳払いをしてから丁寧な言葉使いでお礼をいった

先ほどのみょんは何だったのだろうか?

 

 

「自己紹介が遅れました。私は魂魄妖夢と申します」

 

「・・・博麗小夜」

 

「あたいはチルノだ!よろしくな!」

 

「はじめまして、大妖精といいます。皆からは大ちゃんって呼ばれてます」

 

「フランはフランドール・スカーレット。長いからフランでいいよ、所でそれは妖夢の何なの?」

 

「これは魂魄と言って私の半霊なんです。私は半分人間ですが、半分幽霊でもあるんです」

 

「・・・?」

 

 

妖夢の説明を聞いても理解が少し出来ない

幽霊とはつまり死者であるが、この少女は半分生きていて、半分死んでいるとでも言うのか?

 

 

「ところで、小夜さんと申しましたね」

 

「・・・」コクッ

 

「つかぬ事をお聞きしますが、小夜さんは剣士なのでしょうか?」

 

「・・・これか」

 

 

自身の背中にある獲物を見て、妖夢の質問に納得した

 

今背負っているのは椛から受け取った白狼天狗が使用している剣

愛銃であるモーゼルM712の変わりの武装として持ち歩いている

 

 

「剣士じゃない・・・これは仲間、いや、知人から貰った物だ。剣の腕は素人だ」

 

「そ、そうなのですか?とても屈強な男性に見えたのでてっきり腕の立つ剣士なのかと」

 

「おっと!おおかみ兄ちゃんの弟子になるならまずはあたいと戦ってからだ!」

 

「え?弟子?」

 

「おおかみ兄ちゃんをくっきょうだと見抜いて弟子入りしようて思ってるだろ!だけど弟子にふさわしいかまずは1番弟子のあたいが見てやる!」

 

「・・・やめろ」

 

「ふみゃ!」

 

 

頭を掴んで向かおうとするチルノを止める

 

 

「むぅ、剣の腕は素人と言いますがこんな妖精が弟子入りするほどこの小夜さんは強いのか?確かに妖気はその辺の妖怪たちよりも強いし。うーむ、見てくれでは判断出来ないしやはり祖父が言った通り斬ってみれば分かるかな」

 

 

ぶつぶつと独り言を始めだした

最後辺りに物騒な事を言っていたような気がするが聞かなかった事にしよう

 

 

「・・・あっ!そうでした、用事があるのですぐに行かなくては!では、私はこれで。お礼はいづれさせていただきますので」

 

 

そう言って急いでその場を離れていった妖夢

お礼はいらないと言えなかったな

 

 

「意外と面白そうな奴だな。あたいの部下にいれてやってもいいかも」

 

「それはやめとこうチルノちゃん」

 

「・・・?、雪が強くなったな。早く帰ろう」

 

「えー、まだ探索終わってないのに」

 

「また次だ・・・行こう」

 

「むー、はーい」

 

 

雪の降りが強くなったのを感じ、探索を切り上げて人里を離れた四人

 

フランを紅魔館に返した後、チルノと大ちゃんとも別れ1人博麗神社に帰宅する小夜

強く吹雪く空を1度見上げ本当に止むのだろうかと疑問に思いながら自宅に入っていった




妖夢との出会い

次回は書けなかったこの小説の東方キャラの軽紹介です
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