東方人狼行軍   作:BATTU

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30話

次の日

 

 

「・・・ッ、朝・・・腕が重い」

 

 

朝早く寒い中、目を覚ますが両腕が重い

右腕は分からなくは無い。昨日の夜にリリーが寒いという事で俺の布団に入れてやった為、腕に抱きついているんだろうが左側は覚えが無い

 

 

「・・・」スッ

 

「すーすー・・・うぅ、ん・・・」

 

 

顔を左側に向けると小さく寝息をたてて無邪気な寝顔で眠る霊夢がすぐ傍にいた

腕を離さないと言わんばかりに強く抱きしめ、寝間着越しではあるが霊夢の柔肌の感触や体温が左腕を通して感じられた

 

 

「・・・起きろ霊夢」ユサユサ

 

「んー、おはよう兄さん」

 

 

左腕を動かして霊夢を起こす。眠たそうな目をこすりこちらを見ながら起きた

 

 

「・・・霊夢も寒かったのか?」

 

「まぁ、寒かったのもそうだけど・・・リリーだけずるいし(ボソッ)」

 

「・・・そうか」

 

 

最後の方は若干聞こえなかったがリリーと同じ理由だと納得する。別になにも言わずに入り込んで来たことに何か思ったことは無い、ただ霊夢がそうしたかったなら別に構わない

その後、リリーも起こしとりあえず朝食を食べその後の事を話し合った

 

結果、リリーをとりあえず紅魔館に匿ってもらい霊夢の勘頼りに冥界を見つけるという手筈になった

紅魔館を選んだ理由は主にルーミア姉が近くに住んでいる場所にもっとも近いのと相当な実力者が揃う紅魔館なら安全だと判断したからだ

 

しかし、匿ってもらえるかはどうかは館主であるレミリアの許可が下りればの話だ

ダメならルーミア姉に任せるしかない

 

 

「うぅ、今日も寒いわね」

 

「・・・大丈夫か?」

 

「うん。これくらいなら全然、クシュン!」

 

「霊夢さん、やっぱり寒いんじゃあ・・・これを持ちますか?」

 

「その春の光は大切な物なんでしょ?あんたが持ってなくてどうするのよ」

 

 

口を押さえ、小さくくしゃみをする霊夢

仕方ない事だ、こんな寒空の下でほぼ毎日異変解決の為に出払っていたんだ。下手をすれば風邪ぐらいひいてもおかしくなどない

 

 

「・・・」ファサ

 

「え、ちょっと兄さん!?」

 

「だ、駄目ですよ!こんな雪の日に上着脱いだら風邪ひきますよ!」

 

「・・・ッ」ミキッメキッ

 

 

上着を霊夢に渡した後、骨格が動き出した様に鈍い音を立てていき、白い獣毛が小夜を覆っていく。獣化を始めたのだ

数秒も経たぬうちに大きな白狼となった小夜は身を低くし、首を自身の背中へ促す様に動かす

 

 

「乗れって事?」

 

『・・・』コクッ

 

「・・・分かったわ。ほら、リリーも」

 

「は、はい」

 

 

2人を背中に乗せ、身を起こし歩き始めた

上着のオーバーコートはせめての雪よけに使うように渡した

 

 

「さっきまで兄さんが着てたから少し温かいわね」

 

「はい、白い獣毛もふさふさしてて少しくすぐったいですけど温かいです」

 

『・・・』

 

 

何も言わずに歩を進めて行き、数分後には紅魔館の門が見えてきた

そんな門前に数人の人影があった。人数は5人、小さい影はチルノ、大妖精、フランの3人。残りは紅美鈴ともう一人は見知らぬ女性だった

 

先にこちらに気づいたフランがいち早く小夜たちの元に向かってきた

 

 

「お兄様♪いらっしゃい」

 

『・・・』スリスリ

 

「あはは、くすぐったいよ〜」

 

 

まだ2人が降りていないため、獣化を解くわけにはいかないので頭をフランにすりつけるようにしてこたえた

 

 

「おぉ!おおかみ兄ちゃんがおっきい白おおかみになってる」

 

「ほらほら、元に戻れないからあんた達離れなさいよ」

 

「えー、霊夢と、おっリリーじゃん。久しぶり!」

 

「うん、久しぶりチルノちゃん大ちゃん」

 

「今年は全然姿が見えなかったら皆心配してたんですよ」

 

「ありがとう。でも、この通り大丈夫だよ」

 

「おう!大丈夫なら安心した!そんでリリーと霊夢だけ乗ってずるいぞ!あたいにも乗らせろー!」

 

「フランもー」

 

 

チルノとフランに乗りたいとせがまれる中、見知らぬ女性が声を掛けてきた

 

 

「ふふふ、チルノたちが言っていたおおかみ兄ちゃんの博麗小夜くんは君ね。はじめまして私はレティ・ホワイトロックよ」

 

『・・・』スッ

 

「あらあら、頭を下げることなんてないのに。喋れないのかしら?」

 

「兄さんはこの状態は絶対喋らないわ。鳴いて返事する事はたまにあるけど」

 

「あら、霊夢ちゃんにリリーちゃんも久しぶり」

 

「えぇ久しぶりレティ」

 

 

この女性がレティ・ホワイトロック

冬にのみ姿を現す寒気を操る程度の能力を持つ雪の妖怪。雪女と言えば分かりやすいだろう

 

 

「ちょっと門番、レミリアは今起きてるかしら?」

 

「はい。先程まで妹様の様子を見にいましたけど、少し前に中へお戻りになりました」

 

「そう、じゃあちょっとお邪魔するわね」

 

「ねぇ、霊夢ちゃんたちは今日は何しに来たの?もしかして冬が長引いてるのに関係があるのかな」

 

 

変わりなくにこやかな表情のまま話を振ったレティに対して霊夢はいつも通り答えた

 

 

「えぇ、冬が長引いた原因が分かったからその元凶の場所に行く前にリリーを匿ってもらえるか聞きにきたのよ」

 

「ふーん、そうなんだ・・・じゃあ、見過ごす訳にはいかないわね」

 

 

バッ!

 

 

嫌な予感を感じ、白狼のままの小夜と霊夢がその場から離れる

そして突如、彼らの周りに猛吹雪が発生した

 

 

「ちょ!レティ!」

 

「レティさん何を!?」

 

 

チルノや大ちゃんたちが驚く表情になるが霊夢は逆に「やっぱり」と呟いた

まぁ当然と言えば当然だ。冬にしか己の本領を発揮出来ないならば今の様に冬が続いて欲しいと願うものだ

 

 

「異変解決の邪魔をするからには覚悟はいいでしょうねレティ?」

 

「そんな怖い顔しないで。せっかくの異変なんだから楽しまなくっちゃ」

 

「異変を楽しむ趣味なんてないし、寒いのは個人的に苦手なのよ」

 

『グルルゥゥゥ・・・』

 

 

牙を晒し、唸り声をあげる小夜

どの様な理由であろうが博麗の巫女の敵は打ち倒すのみだ

 

 

「待って兄さん。レティの相手は私がするわ」

 

『・・・』

 

「大丈夫。いつまでも兄さんに守られる訳にはいかないわ、私もお母さんから博麗の巫女の名を受け継いたんだから」

 

「大切なのは分かるけど過保護はいけないわよお兄ちゃん」

 

 

それだけを言い残し、一気に空へ飛んでいった2人

霊夢が先手をとり、札を取り出してレティに向かって投げる。レティも負けじと弾幕を放ち迎撃する

 

チルノや大ちゃん、リリーなどは様子を見守るしかなく、フランは交ざりたそうに見ているのを美鈴が止めていた

小夜も獣化を解き、霊夢の戦いを見守っていた

 

 

「早速行くわよ霊夢ちゃん!」

 

「寒符『リンガリングコールド』」

 

 

レティの周りから霊夢に向けて白い空気が放たれた。寒気だ

その寒気の中から青い弾幕が現れ霊夢を取り囲み、さらに大きな弾と小さな弾をいくつも放つ

 

 

「ッ、弾幕がいつもより濃い。この真冬の環境の性で妖力が上がってる」

 

「そっ♪甘く見てると痛い目にあうわよ霊夢ちゃん」

 

「ご忠告どうも!」

 

 

どうやら普段よりも弾幕の力が上がっていることに多少驚いているようだがそれでもレティの放つ弾幕を札で相殺したり、見事な回避術で避けたりと確かに腕を上げている

 

実際に小夜自身も霊夢の特訓に付き合う事はあるが真剣勝負を挑んだ事は無い、霊香も同じだ

俺が知らない間に既にいくつも妖怪退治を経験しているそうだがその時の様子をしっかりと見た事も無い、今回が初めてと言える

 

 

「これで終わりよ」

 

「霊符『無双封印・集』」

 

 

弾幕勝負は霊夢がスペルカードを決めて勝ち星を得た

 

 

「あいたたた。やっぱりちょっと強くなっただけじゃあ霊夢ちゃんに勝てないか」

 

「この程度で負けてたら博麗の巫女は名乗れないわ。残念だったわね」

 

「そうね。特にお兄さんにいい所を見せる事が出来て嬉しいものね」クスクス

 

「・・・うるさい」スタスタ

 

「レティ!大丈夫!?」

 

「えぇ、大丈夫よチルノ」

 

 

弾幕勝負を終えて、座り込むレティの元にチルノが駆け寄り心配そうにしていた

大ちゃんに聞いた話だがまだチルノが氷の力を上手く操れなかった頃に同じ特性を持つレティから力のコントロールを教わっていたそうだ。今の俺がフランにやっているのと同じだ

そのおかげで無闇矢鱈に凍らせる事がなくなり他の妖精とも遊ぶ事が出来たらしい

 

チルノにとってレティという存在はとても大切な存在のようだ

 

 

「どう兄さん?私だって強くなってるのよ」

 

 

自慢げに言ってくる霊夢

確かに見事ではあった“弾幕勝負”という壇場ではだ

 

本当の戦場では回避術や弾幕の扱いは多少役に立つだろうが相手を完膚なきまでに倒すという覚悟と非情さが無ければきっと霊夢は生き延びれないだろう

 

・・・いや、やめよう

此処は幻想郷だ、戦場では無い。元の世界の戦争のルールなんて物は無い、弾幕勝負というルールがこの世界の戦いの規則だ

 

 

「あぁ、見事だった・・・・綺麗だったぞ霊夢(札や霊気の弾幕が)」

 

「き、きれッぃ?!・・・あ、ありがとう///」

 

 

そのままの感想を言ったら赤くなったまま俯いてしまった。レティの寒気にやられたか?

まぁこんな寒い中であんなに動けば身体が冷えるのは必然だ。少し紅魔館で休むことにしよう、まだ日は登っている最中だ沈むまで時間はまだある

 

とゆう訳で早く紅魔館へ入る事にしたが何故か美鈴やレティはニヤニヤと笑い、大ちゃん、リリー、フランは羨ましそうな目線でこちらを見る

ちなみチルノは霊夢の顔の紅潮に対して指摘したら霊夢の容赦ない弾幕によって散った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「ねぇ、小夜くん」

 

「?」

 

 

チルノが霊夢の弾幕にやられている所に突如声を掛けてきたレティ

 

 

「霊夢ちゃんの実力も分かったでしょ?あんまり過保護に扱っちゃあ駄目よ」

 

「・・・そうだな。だが、霊夢は家族・・・守る事に変わりは、無い」

 

「随分心配症なのね・・・それとも霊夢ちゃんを守らないといけない理由があるのかな?」

 

「・・・・」ピタッ

 

「貴方は確かに霊夢ちゃんを守りたいっていう気持ちは本物なんだろうけど、それは本心から?それとも霊香ちゃんか・・・紫ちゃんに言われたから?」

 

「・・・・」

 

「君は表情を表に出さないから仮に嘘を言っても疑われる可能性は低いでしょうね。で、貴方の言っていた言葉は本心?それとも嘘?怒らないし霊夢ちゃんにも喋らないからお姉さんに聞かせて」

 

「・・・同じ嘘を言うお前に、話す義理は無い」

 

「あれ?私、何か嘘ついたっけ?」

 

 

首を傾げて思い出すような素振りを見せるレティに対して小夜は続けた

 

 

「何が異変を楽しめ、だ・・・冬が続く望みなど最初から抱いていないだろう」

 

「ありゃりゃ、バレちゃった?」

 

 

レティは確かに冬にのみ力が発揮する妖怪だ。しかし、彼女自身は四季の訪れが壊される事を本心では望んでいない

春が来れば夏が来て秋が来れば冬が来る、その四季のめぐりは自然の摂理だからだと

 

 

「・・・嘘つきに話すことはない」

 

「ふふふ、今日は私の負けね。でも約束して、霊夢ちゃんの為に死んでも守るような事は絶対にしないでね」

 

「・・・」スタスタ

 

 

最後の約束事に対し何も答えずに小夜はその場から離れた




戦争にもルールがちゃんと存在するらしい
ちなみショットガンは戦争で使っちゃダメだそうだ、非人道的だからだそうですよ

そして大尉、そこ変わってください orz(土下座)
駄目なら霊夢、そこ変わってください orz(土下座)
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